167 ― さいごの手紙 ―
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捨てないために、捨てる依頼
大変結構、承りました
……と、申しましても万年筆の手入れは見様見真似 人に聞いて、馬鹿正直にそれを繰り返しただけです
あなたの望みが叶えられていますように
(-35) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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ッか、かふっ………ん、んんんんん!?
[あの習慣を始めたのはいつ頃だったか! 少なくとも初めて、彼–––若しくは彼女–––からの『返事』が届いたのだ。 いやいやありえない…と思わず手紙を閉じかけたが、 年を経た便箋上の美しいインクの色は何処か神秘的で、 文面から感じる素っ気ないようであたたかな雄大さは、 己が敬愛するそれに似ている様にすら思えてしまう。
だが肝心の、そのインクが綴る字は。 何やら、のたうったようで神々しさは無く。 誰かの遊び心ある気紛れだろう、と殆ど分かっているのに 逆に「もしかしたら」と思ってしまうような。 そんな絶妙さ。
さほど長くもない文面を何度も何度も読み返す。 同業者であればサイズに関して言及しただろうか。 一体誰が、どのような者が、と暫く頭を捻りながら どこか味のある魚の絵を指で撫でていた]
(39) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[薄茶色の便箋に、包んで返す万年筆。 欠けていたとしても、そうとは気づかぬ掃除屋の出来ははたしてどうだったか。
薄紅色の封筒に、ただRと書かれて郵便ポストへ託された]
(-36) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[三通目に、おや。と声を上げる。 彼女からの返事も来たとは。胸の中が擽ったく心地よい。 柔らかな文字から、彼女の釣竿を握る手を思い出す様だ、と 便箋を持ち上げれば。はらり、と便箋とは違う硬質の紙が落ち、慌てて拾い上げる。]
ん、焼げだなぁ。メルヤ。
[写されていたものにふと、昨日の己が重なってくすりと笑った。 そっと引き出しから鋲を出すと、文机の前の壁に翳す。 丁度いい場所をなんとなしに見つけると、ぷつり、と壁に鋲を立て。 その側に双眼鏡を立て置くと、満足そうに頷いた。 同封されていた別の字の手紙も読み終わる。 水の中に居るように、喧騒が、遠い。 心地よい。]
ほォ、こんなものが。
[ 四通目は心当たりの無いものだったが、 最後の差出人名に「心当た」った。 この手のものは初めてだ。先ほどの手紙も併せ、流星群の余韻は中々離れない]
(40) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[少年時代、青年時代、壮年期… いつかで流星群を見た機会はあっただろうに。 この齢になってやっと、空を見上げられたのだろうか。
齢をとって、全てがゆっくりと、喧騒になる。 別の世界に引き離れていく。 それは少し虚しいことで、だけれど、だったからこそ?
どちらにしろ、ほら。 読み終われば、また耳が震える。
凭れかかるように身体を預けていた文机に、座り直る。 墨を、擦る。 夜の川みたいに真っ黒な闇が、こなれ、とろける。
騒音が帰ってくる前に、息継ぎして。 静かさの中へ、もう一度深く、深く、潜って、沈んで、 筆を取った。]
(41) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[どこか後ろめたい手紙が手から離れたせいか、 ポストから上へと昇る視界には、 自宅からの往路には気にもとめなかった光景に気付く。]
そっか、今夜だった……。
[急がないと。 そう思って、商売道具でもある船へと駆け出していた。
ラヂオでは双眼鏡の準備を呼びかけていたけれど、 昔両親に買ってもらった双眼鏡は、 もうどこへしまいこんでしまったか憶えていない。
それを探している間に見逃してしまうのは、 とても勿体無く思って。]
(42) 2015/09/01(Tue) 22時頃
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っはぁ、 はぁ……。
[船着場に着くと、勢いのままに船へと飛び乗る。
グラグラと揺れるのも気に止めず、 船を漕いで、街明かりから離れるように上流へと。 そこまでしなくても、流れ落ちる星は十分に見られたのだけれど、 より好条件の場所で見たかったのだ。
青年が向かったのよりももっとよい場所もあったのだが、 今はその存在を知らないまま。]
この辺で、……いいかね。
[一度岸へと寄り、手近な木へと長めにロープをかけたなら、 櫂で岸を突き、なだらかに流れる河の中程へと。
そこで船に仰向けになって、降ってくる星をその身に浴びた。]
(43) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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[遮るものもなく、視界いっぱいの星空の中。 現れては流れ、消えていく星々。
初めはゆっくりとしたペースだったのに、 夜が深まっていくのに比例して、次々と―――。
雨のように降る様は、 青年が幼い頃に見た光景よりも遥かに綺麗で、
たった一人で見上げる夜空が綺麗すぎて――
このまま自分も、どこかへと流されてしまうような気がした。]
(44) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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/* 更新してから発言落とさないで寝てしまったのだな。
あぶないあぶない。
(-37) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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こんにちは。あなたの作品を読ませていただきました。 こういった恐怖ものは初めて読んだのですが、日常が侵食されていく恐ろしさにはらはらしながらページを進め、いつしかその恐ろしさをも楽しんでいる自分を発見したことは、新しい楽しみでもありました。続きを楽しみにしています。
暑い日が続いておりますが、どうぞお身体に気をつけて。
(-39) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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/*
お、や……… 流星群の夜がいつだかわからn
まちがえた???????????????
どどどどどおっどどう
(-38) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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/*
おちつけ ごまかそう どうにかどうにか
(-40) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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/* 受け取った手紙、これから受け取る手紙を整理しないと。 俺の残念な頭が……!!このやろう!!
(-41) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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いつの間にか、もう夜更けだ。今日読んだのは、普段は食わず嫌いのごとく、なんとなく避けてきた部類の物語だった。どうしてこれが、なかなか面白い。新しいことはしてみるものだ。
充実した一日に感謝しつつ、床についた。流れ星のことをすっかり忘れていたことを思い出した時、わたしはすでに半分夢の中。明日店を閉めたら見に行こう。まどろみながらそう考えるのだった。
(45) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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/* メモ
31日(1日受け取り可): フランク、ジェフ(イアン)、ヌマタロウ、ラルフ
1日(2日受け取り可): ヒナコ、メルヤ
(-42) 2015/09/01(Tue) 22時半頃
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/* すみません 洗濯物干してきます
うぉぉぉ 日付が変わるううううう
(-43) 2015/09/01(Tue) 23時頃
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い、いててててて………… あ゛ぁぁ……… う〜さみっ
[身体を起こし、自身を抱くような格好で腕を摩る。]
船の上で、一夜を過ごしてしまった。 体の身体は痛いし、夏とは言え河の上は冷える。 しかも、虫にさされてしまって腕やら首やらが痒い。]
いい年して、なにやってんだか。
[ハハ、と乾いた笑いを零して、 ロープを繋いでいた岸へと船を寄せる。
外そうと木の枝に手を伸ばした時、 せり出した木の根に引っかかる酒瓶を見つけた。]
(46) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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[見覚えのある酒瓶だった。
予感がして、迷わずにそれを拾い上げる。 中には、同じように結われた紙と、贈り物。]
律儀な人もあったもんだ……。
[中を見てはいなかったが、内容に察しがつく。
この瓶を拾ったのは二度目だが、 これまでも青年が発見しなかっただけで、 日々繰り返されてきたのかもしれない。]
(47) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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[身体を酷使する仕事とはいえ、一応は客商売。
一度自宅へ戻り、身体を拭って着替えを済ませると、 いつものようにパンを布袋へ放り込んで家を出た。
新聞を抜き取ろうと手を伸ばして、 「おっと」と声を漏らして扉を開く。
三通の手紙が届けられていた。 そのうちの一通は、先日手紙を出した知人から。
他の二通は、パッと見では誰からのものかはわからなかった。
まとめて三通を袋へ突っ込んだなら、 今日も人々の営みを運ぶ仕事へと。]
(48) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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フランク殿
文面を見るに 私の事ァ覚えてくれてた様だ 魚どもも残らず届いだ様で胸を撫で下ろした物だ 海の奴たぁ違う味もするだろう 山に居るらしきおめさんに合うがもなァ
私も驚いたものだが 世の中偶然の連鎖だもンな 針だけの釣糸にも魚が偶然えらを引っ掛け釣れる事もあるものだ そうな 雨コ降らねばしょっちゅう釣りだ ニャアーニャアー騒がしい仲間共も多いが 夜になりゃこんと静まって そうだ 酷く綺麗だったな 今日の流星群 ちらちらきらきら 汽車の様にせわしなく駆け燃えるが 煩く感じながったのは 奴ら 一種で燃え尽きちまうがらだな
(-44) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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おめさんの手紙を受け取ったのが今日なものだが 気づかんうちに約束を果たしていで これも愉快だ 昔のおめさんのこどだどか でもきっと 色んな人が空見上げてただろう 君の知らん人間も きっと今日は首を痛めた人間まみれろう
相変わらず沢山の文章を書いとるのだろうなど 文字見て思ったげ、間違いなく成長しとるのだろう 描いた絵の分だけ画家が成長すんのなら 字書きも同じだ 文学わからぬ門外漢ながら 勝手にそう思うのだ
おめさんに送ッたンと同じ魚齧りながら、筆を置こう 行く末に幸多からん事を
(-45) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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追伸:単なる友人だが 最近お洒落を覚えたらしい
ヌマタロウ
[便箋の空白に、不慣れな筆致で猫の黒いシルエットが描いてある。 最初は顔も描かれていたらしいが、その上から少し薄めの墨で塗りつぶしてあるので見えにくい。 首には布の様なものを巻いている様に描かれているが、 その柄がどうにも不明瞭で、水玉なのか滲みなのか、描き切れていなかった]
(-46) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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河の神へ
常々の感謝と返礼を受け取り頂いた事に加え 返事を頂戴し 光栄に候 貴殿より釣り上げた魚は私のみならず 私に縁の有る者無き者 人に限らず猫獣の類の血肉となってあろう
川を敬愛する者は私に限らぬと思う 此れからも貴殿に濁らぬ命の血液と 生命の繁栄がある事を願う
追伸:かの夜空からの落し物を同封致す ヌマタロウ
[いつもと同じ様式の、折り結ばれた手紙。小さめの酒瓶。 ただ二つ、違う点があった事は、瓶の口には目立つように 少し古びた赤い布が結いつけられていたこと、 そして紙に包まれていたのは煙草ではなく金平糖だったことだ]
(-47) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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[少し大きめの、妙な膨らみ方をした封筒には 『食物注意』の注意書きが赤で書かれていた]
メルヤへ おめさんがらの返事が来るたぁ思わなくてな 嬉しかった 初めての魚拓だろうがら、飽きるまでかざるといい
いぬのような男の声が元気なラヂオだ ヒョっとしたら同じだろうか 同じならゆかいな事だ 双眼鏡が買えたなら、昨日の流星群をみれただろうか わたしも双眼鏡をひとからもらったのだが つける暇がねえぐれェ 雨のようだったな これまで夜空をみつめつづけたのは長い人生 初めてかもしれん 釣りすんのも忘れて ずッと見てたものだがら もしかしたら一緒にみれていたかもしれンものだ
日焼けしすぎて肌痛くせんようにヨ お母さんやともだちと仲良くな 西の ヌマ爺
[母に向けては写真に関しての感謝と 飾ったという報告。 それから夕のおかずにでも、という言葉と共に、干物が家族の数の分だけ、紙に包まれて入れられている]
(-48) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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[出版社に着くと、編集者はなにやら慌ただしくあれやこれやと、どんな広告を打ちましょうかと資料を広げた。
適当に相槌を打ちながら話を聞いていたが、結局編集者の言うままに広告は出来上がった。
僕が来る意味あったの、これ…とぼやくと、じゃあ何か一言添えて下さいよと言われる。
少しだけ考え込んで、短い一言を添えた。]
(49) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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ナナボシ放送局様
双眼鏡は持っていたのだが あんまり使わなかったものです 空を区切ッて大きくすっもんよりがは 全身で光を浴びているようなんが 私の様な機械オンチの老人には合っていたのでしょう
この老体 願う事なんざ思いつかず ただただ眺めておりましたが ヒョッとしたら 蚊だの 鉢だの ユーフォだの 邪魔が入らんことを願ってたかもしれんですね ナマズ翁
[買ったまま使われていなかったのだろう、 日に焼けてクリーム色、様式も一世代前のような葉書には ゆらゆらと、考え事をしながら運んだような筆さばきで 呑気な文字が書かれていた]
(-49) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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!緊急告知!
上巻の発行から一年、満を持して完結。
『朽ちゆく日々』下巻は、秋初旬に発売!
是非とも皆様、秋の夜長のお供にどうぞ。
作者からの一言。 あの日、流星群を見た全ての人に捧ぐ。
frank
[広告には流れ星のイラストと、荒廃した大地に佇む男が描かれている。]
(-50) 2015/09/02(Wed) 00時頃
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気紛れに頼んでおくものだな、菓子ちうもんは。
[しわくちゃの手が、2つの封筒をぴっと糊付けして封じる。 そこに葉書を挟んで、迂闊に折らぬ様にして手に持つと、 懐にはまた、適当な紙で包んだ酒瓶を入れた。 文机の上には、魚匂が残る紙袋と小さな透明の袋が残っている。
腰を軽く回し、また何分かの格闘後に戸を開くと 馴染みの青年とばったりはちあった]
ああ、おめさん。 んにゃ、こりぁ自分で行くけぇな。 やや、郵便局だげじゃねんだぁ。 おっきにゃぁ長め散歩も必要、だげな?
(50) 2015/09/02(Wed) 00時頃
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[ラヂオ局宛の手紙。 朝のニュースのついでに宣伝よろしくお願いします、と出版社名の横に厚かましい走り書きがしてある。]
!緊急告知!
上巻の発行から一年、満を持して完結。
『朽ちゆく日々』下巻は、秋初旬に発売!
是非とも皆様、秋の夜長のお供にどうぞ。
作者からの一言。 あの日、流星群を見た全ての人に捧ぐ。
frank
[広告には流れ星のイラストと、荒廃した大地に佇む男が描かれている。]
(-51) 2015/09/02(Wed) 00時頃
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…つかおめさん、頭さっぱりしだなぁ。 床屋ぁ、そぉげそぉげ。
かっはははは、おれぁ間に合っとるが。 んだら、また。
[特に買い物は頼まず、軽い雑談を交わし 額をつるりと撫でて笑ってから別れる。 何やらやつの気弱な声も、今日は喧しく感じない。 気分が良いのは、星のせいか、手紙のお陰だろうか。]
(51) 2015/09/02(Wed) 00時頃
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