181 アイスソード伝記
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人
狼
墓
少
霊
全
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
サイモンが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、オーレリア、サイラス、アシモフ、カイル、アンタレス、イワンの6名。
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あや
まらないで
くだ さい
(*0) 2016/01/23(Sat) 06時半頃
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そう、口にする私の声は、 たぶん、私が目覚めてから──
はじめて
(-0) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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マスターは、サイラスさまは だって、
… なにも
(*1) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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はじめて、ひどく音をきしませて、 はじめて、意味もわからぬままに揺れ
(-1) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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はじめて。鼓動も打たぬ筈の心臓をひどく絞られながら、
── 今を、
主の在り様を。拒もうとしていました。
(-2) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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[ " 俺が " ]
[ ─── " 死んだら " … ]
(*2) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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[ことばの意味を、理解するために必要な時間は そのときの私には、あまりに短すぎて]
(*3) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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[ あ。 と、思う暇もありませんでした。 ]
(*4) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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[首を横へ、ふるだけの時間はあったでしょうか。 私のとる姿は、主人の命がなによりも優先で、 たちどころにヒトの姿は消え、 私は、黒柄の剣に戻っていました。
──目覚めたときの、本来の姿に。
ヒトを貫く鋭い切っ先と、 ヒトを切り裂く力を持った姿に。]
(*5) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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きん と、 空気が冷えた。
(0) 2016/01/23(Sat) 07時頃
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主の最期の力もてふるわれた剣の切っ先は、 深々と彼の体をつらぬき、 その心臓を、ふたつに別けた。
き き 、と、切り口が凍える音を立て 冷気を吐き出す剣は、 そのまだ弱弱しく脈打つやわらかな心臓を ぴきりと、硬く硬く、凍りつかせた。
(1) 2016/01/23(Sat) 07時半頃
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き 、 き き。と、 氷った心臓が、音を立てるのを。
心臓が軋むその音を、 私はそのとき、 たしかにたしかに、きいたのです。
(-3) 2016/01/23(Sat) 07時半頃
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ウィリディスの。
幸福で── 無知な剣であった時代の、 その、さいごの音を。
(-4) 2016/01/23(Sat) 07時半頃
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あ、 …
(*6) 2016/01/23(Sat) 07時半頃
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[それは、ひとくおくればせに。ゆっくりと、 私は、私をやさしくさいごに撫でた手が、 はじめて私にふれたときのことを思い出し、]
あ、 ああ
[海をみたいのだ。と語ったころより低くなった声が、 最期にやさしく響いていったことを知覚しました。]
(*7) 2016/01/23(Sat) 07時半頃
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きりきりと、きりきりと、空気が冷え、温度が下がり、 氷りついた領主の足元から きちきちと氷をすりあわせる音を立てながら 円形に、霜柱が広がる。
(2) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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──海の こと。どうか あやまらないで ください。
(-5) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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[ だって ]
(-6) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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オーレリアの願いは。──叶えていただいていました
(-7) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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[ずっと すっと]
かなえていただいて いたんです
(-8) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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[ああ。もしも このときの私が、 剣ではなく、ヒトの姿であったなら。]
…
[せめて、声をあげることは叶ったでしょうか。 首を振ることは叶ったでしようか。]
(*8) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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[ 私のこの冷たいからだが、主人をつらぬいたその理由を、
しらないふりをすることは、できたでしょうか。]
(*9) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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マスター、
…マスター
マスター
(*10) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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オーレリアは ずっと。ほんとうにずっと、
ずっとずっと、しあわせでした。
(*11) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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オーレリアは。
ウィリデの"オーレリア"でいられて。
本当に本当に、…しあわせものでした
(*12) 2016/01/23(Sat) 08時頃
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きしきしと、土に生えた霜柱がいびつに軋む。
(3) 2016/01/23(Sat) 08時半頃
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[私は本当に幸せでした。ですから、せめて。 心からの感謝を、微笑んで主に伝えることが。 苦悶のうちにでなくやすらかな顔で送り出すことが、 わたしの、]
ありがとうございます。マスター。
[ウィリデのオーレリアの、さいごの役目でした。]
(*13) 2016/01/23(Sat) 08時半頃
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[主をせめて安らかにおくりだすことは
またあおうと約束を果たせなかった。 愚かで無知だった。
なにも。 なにも、 守ることのできなかった。
ねがい その私に残された最後の役目でした。]
(*14) 2016/01/23(Sat) 08時半頃
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[── 私は、]
(*15) 2016/01/23(Sat) 08時半頃
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[私の自惚れでなければ、主が私を自身に突き立てたその理由を、そう過たずに理解できていたと思います。
ウィリデのオーレリアであれ。と 家族だと。ここにあれと。
たとえ力尽きたとて、 他に奪われまいと、
守ろうとして、そのために。]
(*16) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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[それは、あたたかくて、やさしくて、]
(*17) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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きしきしと軋みながら温度を下げる閉じられた氷室から 外部へと最初に現れた変化は、まず地面だった。
ぴし と微かな軋みをあげて 土が僅かに身をもたげる、 その後のほんの僅かの静寂のあと
(4) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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[その祈りのような思いを、拒絶できるわけもなくて]
[私は。 いやだと。 その言葉を飲みました。]
(*18) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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─── 剣の振り下ろされるよりも速く、
空気が裂けるような悲鳴をあげた。
(5) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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[叫びたいのも本当で。
いいたくないのも本当の。
私の拒絶を、呑みました。]
(*19) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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はじめにおきた足元の変化に集っていた兵が 何事かと視線を下げる。
そうして、その動作のために、 彼らは逃げる隙を永久に失した。
(6) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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[剣の力は主の遺した遺志のために、 拒絶することなく冷気を引き出され、 内側から主を凍りつかせ、 柔らかなヒトから冷たい剣の鞘へ──
ひとから、ただのモノへと。 私の力はそのように主を変えていきました。
そうして、あとに残ったのは。
誰もわたしの声を聞くことのない、静寂でした。]
(*20) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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…マスター。
(*21) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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[剣の姿のとき、私の言葉は、所有者たるひとにしか聞こえません。 ですから、主が死ねば私の言葉が誰かに聞こえることはありません。]
…きこえてますか、マスター。
[だから言葉を発しても、それは誰にも届きません。]
(*22) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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マスター。
[呼びかけても。返事がもどることは、ありません。]
(*23) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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──────。
[確認するように、沈黙に私は耳を澄まして]
(*24) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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…、 っ、…ふふ
… ねむく、なっちゃいましたよね。
[聞こえないことが、返らないことが、 わかりきっている独り言を、つぶやいて、]
(*25) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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マスター。…っ
[もし、私がひとの姿であれば、]
マスター、マスター、マスター、… [私は、]
(*26) 2016/01/23(Sat) 09時頃
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…っ、 っ、さいらす、さ ま
[私は、涙をこぼすことを許されたでしょうか。]
(*27) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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ぱあん。とはじけるような何かの音があり 水を含んだ濃い茶色の土の表面が ひび割れたかと思えば、瞬過に白が走りぬける。
──土の下より顔を見せた霜柱は成長を続け 兵らの鉄靴を縫いとめ、張り付き、 また互いに身を繋げて大地の表層を覆った。
下草がしなやかさを忘れ硝子の用に尖り、 木々すらも内側に抱いた水を凍らせて蒼ざめた。
(7) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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どうして 、
(*28) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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夕刻を過ぎた暗がりの中で 曇天を見上げた誰かが、 死だ。と言った。
冷やされた空気の中をちらちらと白いものが降る。
雨となるべき水は凍り、 吐き出された人の息に溶けることすら無く 空を仰いだ者の頬へと積もる。、
(8) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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雪と呼ばれる白さを見たことがあるものは幾人だったか。
知識のあるものは驚愕に 無知のものは未知の恐怖に
それぞれが襲われる間に、 冷気は彼らの思考ごと命を凍らせた。
(9) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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走り抜けた白は動くものらの足を、 動きを染み入る針で縛りつけ、痺れさせ、 やがてその痛みすら奪い去っていった。
死神の手に撫でられた森には 温度を失った氷像のみが立ち並ぶ。
(10) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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── どう して、…、っ
(*29) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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[一度沈めた声は、塞ぎこんだ以上に爆ぜるようでした。]
…ぁ、あ ああ
ああああ
っあ、ああああ
(*30) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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────ああ、〜ぁ ああ ああ、あああぁぁぁあ っ
(*31) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
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白は人を、村を、城を、 森を、山を、大地を、 湖を、川を、滝を、区別もなく呑んだ。
瞬く間に水源たる湖を瞬く間に凍りつかせ、 川の流れるよりも疾く氷を走らせ 滝の落ちる姿そのままを白い壁と成した。
(11) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
|
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空に逃げた鳥すらも寒波の矢で射落とし、 白は平地を平らげて山裾にまで至った。
かつて、氷の剣のあった城も。
その城下までも、みな等しく 氷のうちに鎖した。
(12) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
|
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西暦973年、春。
たった一本の剣から発せられた巨大な寒波は、 緑の園を完全に飲み込み、
白の国 アルビオンへと、塗り替えてしまった*という*。
(13) 2016/01/23(Sat) 09時半頃
|
|
[── 剣は、武器は、道具は、
「エア」は。
それを使うものがなくば、 その力を発揮することができません。
ですから。本来ならば、 主の死後に力が暴発するなど 本来はありえぬことのはずでした。]
(*32) 2016/01/23(Sat) 14時半頃
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|
[ただ、ふたつに割った心臓を 崩すことなく壊すことなく 触れた先から皹ひとついれず凍らせるそのためには、 街を沈めるほどの湖の水を、みっつ数える間に 子供の小指より細い管からすべて吹きつけるような
そんな力が必要で。]
(*33) 2016/01/23(Sat) 14時半頃
|
|
[主の最後の望みをかなえるために 私が、たわめ溜め込んだその大きな力は、 ──、けれども。そのときの私には、 ただしく扱うことができませんでした。]
[白い力は、かけられた圧力に凝り、 そうして、私の叫びのように、 弾けるように、広がりました。]
(*34) 2016/01/23(Sat) 14時半頃
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[その白は、空気を伝い地面を潜り、 ── 或いは、私自身にすら届かない声で 叫んで、叫んで、叫んで、]
…ぁ、ぁ
[どれだけそうしていたかもわからないその後に、 ようやく凝った力のすべてを ただただ、── 無軌道に吐ききって、 それで、ようやく、空っぽになりました。]
(*35) 2016/01/23(Sat) 14時半頃
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[ただただ、吐き出すためだけに使った精神は 磨耗し、擦り切れ、回転を止めて、]
─────、
[それは、いっときの忘我、 自失に似た感覚だったでしょうか。]
(*36) 2016/01/23(Sat) 14時半頃
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[空になった私の意識は、ふと、天を向き、]
────
[見えない高い遠い空を思うとき。 あたたかな寝床から一歩足を出したときのような。 しん。としみる寒さを、胸内に *覚えました*]
(*37) 2016/01/23(Sat) 14時半頃
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大地は凍て、氷が地を這っている。 凍った地面、凍上により道は悪路となった。
吐く息はすぐさま凍り、夜ともなればその寒さは人を殺す程。 山を越えようと入った者たちは行方が知れない。
かの地に立ち入る者は、誰一人としていない。
――― レグルス風土記より抜粋
(14) 2016/01/23(Sat) 15時頃
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■西暦973年
ウィリデ家の戦を最後に以後400年、 氷剣の記述は失われている。
他文献から見るに、アルビオンの風土は 11世紀初頭時点で極地に等しく、 氷剣を用いた戦が原因として形成されたものだろう。 長い歴史の中でもエアによる戦争被害の中でも大規模なものと分類される。
(15) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
当時、極地開拓が可能であったかと言えば、 答えはほとんど否。
極地開拓を可能にするような、 この当時に確認できる強力なエアは 例えば、アウァールス家の炎槍であるが、 アウァールス家が氷剣を手に入れたという記載は無い。
至る理由で革命、戦争が続いたこの時代。 強力な武力となり得る氷剣が あらゆる文献に記載が無いところを見ると、
一つの可能性として 極地状態が改善化されるまで 氷剣は戦場に留置されていた…と考えることも出来る。
(16) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
14世紀後半、商家にまつわる文献にて記載がされるまで、 氷剣の歴史の空白は続くが
氷剣が極地の中留置されていたとして
その当時、果たして誰がどうやって発見したのだろうか?
(17) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
*
(18) 2016/01/23(Sat) 15時頃
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|
―西暦1347年―
(19) 2016/01/23(Sat) 15時頃
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|
[時は経た。 アルビオンの地に、かつての極地の勢いは無い]
(20) 2016/01/23(Sat) 15時頃
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|
[それでも未だ大地は白く、 霜の走る大地は褐色で緑は無い。
寒さに死んだ木々は、 霜の薄くなったところから倒壊しはじめているものもある。]
[市街地跡。 凍りついていた家の残骸の中は野党の餌食となって、 何から何まで奪われた。]
(21) 2016/01/23(Sat) 15時頃
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[万年の冬はゆるやかに過ぎ、氷は融けつつある。 それでも未だ、そこに命の面影はない。
霜の割れる音すら聞こえそうな静寂が辺りを包んでいた]
(22) 2016/01/23(Sat) 15時頃
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|
[―――凍てついた地面を、 音もなく三匹の白い鼠が走っていく。
雪のような毛を膨らませて、 引くつかせた鼻を左右に振って。 僅かな白い息を吐きながら通っていくのは もぬけの殻の家の中、冷えきった黒い瓦礫の山。
右往左往と走る鼠の走る大地は、 茶の色から黒色へ、灰色から白色へと変わっていく。]
(23) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
[やがて辿り着いたのは凍った土地の中心部。 そこに奇妙な形の氷山がそびえたっていた]
[静かだった氷の世界。 その真ん中に立つ高くそびえる氷から、 ひるる、と甲高い音が笛のように鳴っていた。
融けたり風化した名残なのだろうか。 氷の隙間にはわずかなひびが生まれていて、そこから風が漏れ出て笛のような音を僅かな鳴らしていたのだった。
氷の分厚さはそのか細いひびからも察することが出来る。 これを打ち破るのは、人間の労力だけでは不可能だろう。]
(24) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
[その氷山の前で鼠達は鼻を再び引くつかせる。 やがて、僅かに風の通るその小さな隙間に体を潜り込ませた。
隙間の先に行くほどに寒くなる。 寒さに膨れそうな毛を寝かせて通り抜けた先には
――ぽっかりと小さな空間が出来ていた。]
(25) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
[中央には、蹲る様に青白い人影がある。
剣を胸に突き立てて、自害した男。 …傍から見れば、それは実に精巧にできた氷像のようだった。
それ以外は何もない。 まるで時間が止まったような空間だった。]
(26) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
“第一人間発見〜!”
“ひぇ〜 まるまま凍ってる” “くわばらくわばら”
(*38) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
“ようやく見つけたのがこれかぁ〜” “ガチガチに凍ってるじゃん だめじゃない?これ”
“歯も砥げてちょうどいい?” “溶かせば大丈夫?”
“そういう問題じゃないし その理屈だと氷の下の象も食べれちゃうな〜”
(*39) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
“まあでもこれしか 食べれそうなのはなさそうなわけだし”
“ちょっとしたお弁当だと思おう!”
(*40) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
[隙間から這い出て、氷像の足元を ちょろちょろと動き回ること、二回り半。
それぞれが氷像を昇り、足を止めたのは 肩の上と右手首、剣の柄を握る指の上だ。]
[白い息を吐きながら 小さな口を開いた。 そこから覗いた長い前歯を、氷像の凍った皮膚へと突き立てる]
[がりがり、がりがりと 凍てついた空気の中に、芯まで凍った肉を削る音が続いた]
(27) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
[―――やがて かつん、と硬い音が地面へと落ちた。] [白い地面に落ちたのは、凍りついた指。
三匹掛かりで齧り始めて数時間。 剣の柄を握る指の多くは失われ、 霜の掛かった黒柄がようやく顔を出す。]
(28) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
“――っぱ厳しいな〜 指ちぎるのでも結構だなあ”
“僕らが凍っちゃうなあ” “仕方ないなあ 北方部警備の方をこっちに回そう” “鳶も確認してないしね 今のうち今のうち” “顔と手首まで貰ったら撤収!”
(29) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
[足場代わりの黒柄を、鼠の小さな手がしっかりと握る。
残った指と手首を削り取るべく、 再び鼠は青白く硬い皮膚へと歯を立てた]
(30) 2016/01/23(Sat) 15時頃
|
|
─────、
[かりかり、と鼠が氷を齧る音が続く。 氷像に刺さった黒柄をちいさな動物の指がつかんだとき。 かすかに カタ と無機物である剣が身を震わせた。]
" … め、"
(31) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
" あ、あ " " だめ "
"とれちゃう"
"おねがい"
(32) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
" ───たべないで! "
(33) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
″うっわあああ!!生きてた!! ″
[黒柄に乗る鼠達の雪毛がぶわっと逆立った。 三匹の鼠のうち二匹は、凍った手首から転げ落ちるように地面に着地して、すぐさま氷像から距離を取る。
″警戒!!警戒!!″ ″であえであえーーー!!″
(34) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[残った一匹は黒柄の一番端に捕まったまま。 赤い二つの目が、目の前の凍り付いたままの 男の顔を覗き見る。]
"…… やっぱ死んでる?"
"おい! おい!こら! 何者だこら!"
(35) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[鼠の一匹がぴょん!とはねて、 ころころと氷像の手首から転げた。]
" … あ、 … えっ "
[鼠の行動を叫ぶように制止したその声は、けれども、 そのちいさな生き物の警戒行動に気づいて、 ややも戸惑いとおどろきを交えた声をこぼした。]
(36) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
……きこえてる?
(*41) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[のぞきこまれた男には、何の動きもない。 ただ、戸惑いと驚きと確認の間を持って、 誰何への返答があった。]
"……その いま、あなたが、のってる…
黒い柄の、し……した? うえ?"
(37) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[どっち……と、上下をどういうべきか、声は口ごもり、]
"私……は、あなたがのってる、
その、剣、です。"
[声は、自分の言葉が誰かに届いていることが信じられていないような、そんな調子で自分が何者かを、ちいさな来訪者に答えた。]
(38) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[短い疑問に、鼠は辺りをきょろきょろと見回した]
(*42) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[した?うえ?と声が返る度に三匹の首が上下する。
口ごもるような戸惑いの言葉に、 やがて視線は足元の黒柄へ。 それをじっと見ながら、返すのは音のない声。]
"喋った" "喋る剣だ"
[賑やかな子供の声のような、甲高い声だった]
(39) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
"知ってる 人間の街で見た事があるよ"
"人間の形も取れる武器" "剣とか槍とか杖とか" "爪みたいなのもあったよね"
"人間が使う牙のことでしょ?"
[矢継ぎ早、それでいてとりとめもないように並んだ言葉は、 まるで「会話に慣れていない」という風だ]
(40) 2016/01/23(Sat) 15時半頃
|
|
[六つの赤い目が、氷剣とその刺さったものを交互に見やる。 鼻を引くつかせてから、警戒を解いたように 距離を取った二匹が氷像に近づいてくる]
"ふむ。へんなものを見つけたなあ…"
"で? なんで食べちゃだめなんだい?"
"これはきみの所有物なのかい?"
(41) 2016/01/23(Sat) 16時頃
|
|
"─────。"
[知ってる。と目の前のねずみ──のものだと考える以外に、どうやら該当する相手がない声が言う。]
"… はい。 私は、おっしゃっている 「武器」と同じものだと思います "
[知識と照らしあわせ、剣はねずみの推測を肯定し、]
(42) 2016/01/23(Sat) 16時頃
|
|
[そうしてから、一匹の足場となったままに 黒柄は、赤い6つの視線を受ける。]
" …傷を。つけられたくないからです。"
[問いに、この場に姿のない少女の声のみが理由を応えた。]
(43) 2016/01/23(Sat) 16時頃
|
|
[少女の声で返事が返るたびに、鼠から お〜〜 などという感嘆の声が小さく上がる。
細く長い尻尾が空を向いて、ゆらゆらと揺れた]
"ああ なるほど 人間にもよくみるなぁ そういうの" "喰えもしない所有物なのに、 あいつらひどく威嚇行動をとるよね"
"年月が経てばいつか壊れちゃうんだし、 気にしなくてもいいと思うけど" "だめなの?"
[氷の壁から、風化してできた隙間から僅かに風の音が鳴る。 念を押すようにもう一度問うてから]
(44) 2016/01/23(Sat) 16時半頃
|
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"…まぁぁ、だめなら仕方ないけど" "僕らもこれじゃなきゃだめってわけじゃないしね"
"むしろもっと別なものがあるならそれを食べたいよ" "冷凍じゃお腹が下るよね" "折角食べたものがすぐ出ちゃうんじゃ勿体ないからね"
[ぶつぶつと文句を言うように、 赤い目達は氷像からは目を離す。]
(45) 2016/01/23(Sat) 16時半頃
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"それより 別の存在と対話が出来ると思わなかったな〜" "これが対話かあ"
"ふーーーん なるほどなあ…"
[黒柄の上をうろちょろと一匹の鼠が動き回る。 端の方でゆさゆさと身体を揺すってみたりした。 きし、と氷がこすれるような音がする]
"きみ、人間の武器だったんだよね?" "人間と暮らしたことはあるのかい?"
(46) 2016/01/23(Sat) 16時半頃
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[きょろきょろとあたりを見回す仕草からは やはり、私の声は、この甲高い声の持ち主、
すなわちねずみに、聞こえているようでした。]
(*43) 2016/01/23(Sat) 17時半頃
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[鼠の甲高い声は城で暮らした記憶の中を手繰っても、だいぶ早口なものに、剣には思えた。ちょろちょろと足早に歩くような会話のテンポに一歩遅れるような調子で、少女の声がねずみに応える。]
"たべられませんけど、大事なものなんです" "ずっと守って……… いただいていたので、"
"こわれてしまうのとこわされるのをみているのは、 べつのようにおもいますし"
[考える間が挟まる言葉は後を追うように]
(47) 2016/01/23(Sat) 17時半頃
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[ただちらちらと伺うような念押しにだけ]
"だめです" [と、間をおかない却下がされた。 人の姿であれば、立ちふさがるぐらいはしていたかもしれないが。あいにくと剣は自力では微動だにできない。]
(48) 2016/01/23(Sat) 17時半頃
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"私も、自分がもねずみさんと お話ができるとは、知りませんでした"
[ぶつぶついう声に、少女の沈黙はすこし気をはりつめたが、やがて"それより〜"と、気がそれる様子に、警戒の糸を僅かにゆるめた。白いちいさな体の動きが、きしきしと剣と氷像の隙間を軋ませる。]
" 、ありますよ。人と暮らしたこと"
[ねずみとの会話というのは、はじめてではあったが、そもそも人と剣とが違うものだ。思えば、会話自体には、剣の方は慣れるのは早かった。]
(49) 2016/01/23(Sat) 17時半頃
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"ここにいるようになる前は ウィリディスのお城で、主さまと、そのご家族と いっしょに暮らしていました"
(50) 2016/01/23(Sat) 17時半頃
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"武器が守ってもらう? 守るんじゃなくて?" "武器っていうのは護衛の意味の道具でも あるんじゃなかったっけ"
"大体 彼はもうきみを守ってくれないのに?"
"結果は同じ壊れたで、" "元は生きてたと思うと 既に壊れているという方が適切に感じるけど"
"それでも大事”
"ふーん。きみは変なやつだなぁ"
[ぼやくように感想を言った後。 間を置かない却下には、ぶーぶー!と 気の抜けた不満の声が返った]
(51) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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[自分の言葉へ、少女の声が返ってくるたびに、 鼠は鼻を上下に揺すって引くつかせる。 少し興奮している、そんな様子だ]
"「うぃりでぃすのおしろ」っていうとー …ああ、すっごく昔の 背のすごく高い縄張りか" "もう背高のっぽじゃなくなったけど" "霜だらけだしね あそこに縄張りはもう無理だよね"
(52) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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"でもさ、城に住むってことは 人間の中でも統率者に近い位置だよね"
[赤い目が剣を再び見て、長い尻尾がゆらゆらゆれた。]
"ふーーん。そっかあ"
"つまり人間の情報を、 きみはたくさん持っているってことだよね?”
(53) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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[そう言うや否や、 地面で見ていた二匹の鼠が、氷像を素早く登って 剣の柄の上に乗る。
今度は三匹掛かりで剣を抜こうと柄を揺すり始めた。]
"きめた! きみを鹵獲しよう!"
"きみの持つ情報は、ぼくらに有益なものになりそうだ!"
(54) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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"人間のことを知れば、 僕らの生存能力は格段に上がる!" "人間を出し抜くことだって目じゃないね〜!"
"打倒人間!" "打倒人間!"
(55) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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"情報を!情報を! 僕らに情報を!
(56) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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" 情報をよこすんだー!! "
(57) 2016/01/23(Sat) 18時頃
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"っ っ! わ、ちょっと まって まってください"
(58) 2016/01/23(Sat) 19時半頃
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[剣の柄に飛び乗ったねずみは 動きをあわせてぐらぐらと剣をゆする。]
"まって、まってください。 さっきさっきの すっごく昔の、と ウィリディスのことを、"
[ただ、ウィリディス。と、その名前を口にした後にきいたねずみの言葉を気にして、剣から発せられる念は、会話の流れを引きとめようともがいた。]
(59) 2016/01/23(Sat) 19時半頃
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[揺らされて慌てながらも、会話に鉤をかけて意識を止めたのは、きっと、それが長くここにとどまる間に気にかかることだったからだった。]
[──"この氷の外は、どうなっただろう"]
[──"あの火の手が上がったあとの皆は"]
(60) 2016/01/23(Sat) 19時半頃
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[──"ずいぶん永く、ここには誰もこなかった"]
(61) 2016/01/23(Sat) 19時半頃
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[鹵獲に打倒人間。とそれはそれで気になる単語はいくつかあったが、それよりも剣が気にかけていたのは、外に出ることのできない自分が知りえない情報だった。]
"た くさんたくさん、は、 できないかも、しれませんが、
おはなしします、 おはなし、しますか、らっ"
(62) 2016/01/23(Sat) 19時半頃
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[剣をここから引き抜こうとしている動きに、窮したように小さく剣は呻る。ぐらぐらと柄がゆれて、氷の刃を纏わない細身の長剣の根元がねずみに引き出され、数百年ぶりの光に白く光った。]
"っ 私、私にも、外のことを、 お話して、くださいま、せんか、っ"
[それと、できればもう少し、丁寧に抜いてほしいです。と時折緊張に身を固めるようなぴりりとした念を剣は発した。人型であれば、思わず目を瞑ってでもいたかもしれない。]
(63) 2016/01/23(Sat) 20時頃
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"それは交換条件ってことかい?" "まあ別にそれはいいけど"
[引き留めるような念にも押されたのか、 三匹の鼠はぴたりとゆさぶりを止める。 剣の提案を二つ返事で受け入れれば]
"それよりきみ、今言ったからなー!"
"言質言質ー!" "たっぷり話してもらうからなー!"
[緊張したような念とは打って変わって、 返す鼠は興奮したような賑やかな声だ。]
[こんなとこじゃ話はできない、と 「丁寧」に抜けるまで、やいのやいのと 賑やかな音なき声が、氷の籠の中で続いた。]
(64) 2016/01/23(Sat) 20時半頃
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[―――やがて時間はかかったが、 剣はなんとか抜くことが出来た。]
[氷剣の手も借りた、分厚い氷の割れる前。 鼠たちは先程と変わらぬ高い声で言う]
"外の事、といっても僕らがここに来るのは 久しぶりだけど"
"しばらく僕らも離れていたからねー"
(65) 2016/01/23(Sat) 20時半頃
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[割れた氷の壁の先、鼠と氷剣の前には]
"そうだなあ ざっと、400年くらい?"
"何せ生き物がすめる場所じゃなくなったからね"
[緑とは程遠い、真っ白な凍てついた平野が広がっていた]
(66) 2016/01/23(Sat) 21時頃
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[丁寧に。との言葉は文句を言われながらではあれど、どうやらそれなりに剣を左右に揺らす幅や、引き抜くときの慎重さに、ねずみたちは反映してくれたようだった。]
ありがとう、ございます。
[引き抜かれた剣は、ねずみに人の姿にしてもらい、ぺこりと膝上に手をそろえて頭を下げた。]
(67) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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[氷剣が抜けた後には、胸に穴を開けたかつて緑の園であった地の領主が眠るような表情で、そこにいた。]
……私。皆さんのこと。 探してきますね。
[そう、言葉を口にして、ぽっかりと胸に開いてしまった穴を、そっと少女の手がふさぐ。]
(68) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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[氷室の中でそうするしかなかったように、思念での言葉を選ばなかったのは。 或いは無自覚に、もしくは自覚的に、 見ないふりをしながらも、
"所持者"が移ったことを、私が誰より理解していたからだったでしょうか。]
(*44) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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[なにしてるのー。と急かす声にいまいきます。と曲げていた膝を伸ばして、なにしてたの?との答えには、お話していました。と剣は答えた。]
もう動かないことがわかっていても、
「大切にしていただいた方であること」は、 壊れてはいないのです。
[それは、私が覚えていることですから、とそういって娘はねずみを肩に乗せた。]
(69) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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[そうして暫しして、少女姿の氷剣の手のひらに乗れるほどのちいさなねずみらと、人を模す剣の共同作業で、長く永く閉じていた氷壁が崩される。]
── 離れて?
[崩れる直前に語られるねずみの説明に、 赤いちいさな目に青い瞳が向き]
(70) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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[がらり と崩れた一角、氷室の出口の外。 そこには、真っ白な世界が広がっていて、]
───。
[離れていた。というねずみの言葉の意味を理解する。離れざるを得なかったのだ、と。そう。 なぜならかつての緑の平原は、 今、まるで跡形もなかったからだ。]
(71) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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[400年。
ねずみの言った年数を頭の中で反復する。それはウィリデで過ごした時間の2倍を超えいて、娘の目が見開き、ただ同時に冷える心地が体の芯を通っていった。]
(72) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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・・・ ・・・・・・・・ [ これは、私が起こしたことだ。と、
ごくごく単純なその理解に、 剣は暫しその場に立ち尽くした。]
(73) 2016/01/23(Sat) 23時半頃
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"ひゅうううううう〜〜〜!" "あいたあいた〜” "行きはつらつら、帰りはよいよい〜"
[音を立てて出来た氷室の出口を 鼠達は軽快な足取りで超えていく。
凍てついた平原から、氷室の中で立ち尽くす少女に気付くと 六つの赤い目が瞬いた]
(74) 2016/01/24(Sun) 00時半頃
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"おーい はやくいこうよー" "はーやーく!" "はーやーく!"
"…なにしてんのかな" "寒いとか?" "凍っちゃったとか?" "いやー さっきの部屋のが寒かったよね"
(75) 2016/01/24(Sun) 00時半頃
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"…あ、なるほど 外のこと?"
"あーそんな話もあったね"
"ここで話しするの? 寒くない?" "そもそも聞いてるのかな?あれ"
"いいよいいよ 既成事実が大事"
(76) 2016/01/24(Sun) 00時半頃
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"えーと、城がある頃には居たんだっけ?"
"えっとーここは 平原だよー" "昔よりぼこぼこしちゃってるけど" "霜がすごかったからね"
[鼻先が向いたのは白い平野から、遠くの岩のような影へ]
"で、あっちが 村かな" "昔はよく食べ物一杯手に入ったよね〜〜"
[氷室の中と変わらぬ声色で赤い目が もうどこにも面影もない緑の国を次々に指し示していく。]
(77) 2016/01/24(Sun) 00時半頃
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"…と、まあ見えるとこはこんだけかな"
"ねー もーこれでいいー?"
[呆然とする青い目の意を、赤い目が解することもなく 早く行こうと、まるでせかすようにねずみは首を傾げた]
(78) 2016/01/24(Sun) 00時半頃
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/* あっ しまったな。 外のはなし数秒で忘れちゃい過ぎだろう。
くっそおおおおミスったくやしい! イワン写植ミスですよ。とかそういうわけにもいかないところで イワンめ!ともいえない!
wwwくっそお!
ないない。 ないないしよう。
(-9) 2016/01/24(Sun) 00時半頃
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/* 相変わらずみせきさんは拾いが上手だよなああ… すげえええきれいなまとめだ
最期のターンにつかわせてもらおうっと メモメモ
(-10) 2016/01/24(Sun) 01時頃
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声が届いてしまったのは多分、
「彼女」が、今もこの身と共にあったからなのだろう───
(-11) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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"レリィ"
[けれど、彼女に呼びかけるこの声は]
" オーレリア "
[逆方向に響くことはない。]
(-12) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
[かつて自分は夢を語った。そうして彼女に夢を聞いた。 海を見てみたいと語ったあの時、 共にと交わした約束に、自分はまたひとつ夢を増やした。]
" 一緒に "
" …─── 行こう "
[無垢な瞳を持つ、この剣の少女と共に。 広い広い見知らぬ海を見に行こう。 それは夢となり、いつしか消えぬ憧れとなって己の胸に焼きついた。]
(-13) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
[だから半分叶っていたのは、
多分一緒の話で。]
(-14) 2016/01/24(Sun) 03時頃
|
|
[かつて自分は彼女を家族と呼んだ。 一族も彼女を家族と呼んだ。 それを疑問に思ったことはなかった。
けれど、思う。 それは少し違っていたのではなかったか、と。
家族のような、相棒でもあるような。 伴侶のような、…───もっと近しい特別な絆のような。 そんなものとして、自分は彼女を見てはいなかったか。
……或いはひょっとしたら父も、その父もかも知れないけど。]
(-15) 2016/01/24(Sun) 03時頃
|
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[マスター、と。自分を呼ぶ声がする。 それは迷い子のように、どこか途方にくれたようにも響いて、 何故だか彼女が落とさぬはずの涙を見たような気がした。]
" 泣くんじゃないよ "
" ここにいるから "
[心臓が二つに裂けて、彼女の氷が鼓動を止めても。 凍った身体は、彼女の刃を抱き続ける。 これまでと変わることなく、…これまでよりも一層近く。]
(-16) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
[ふわりと気配が動いた。 形なき腕が──腕と思うだけの何かであったかも知れないけど、 それが幻のような白金の髪を優しく撫でる。
己の名を呼ぶ剣の娘を愛しむように。 心に涙を零す彼女を慰めるかのように。]
"レリィ、"
[聞こえずとも響かずとも、彼女の名前を再び呼んで。]
(-17) 2016/01/24(Sun) 03時頃
|
|
[冷気が凝って、やがて弾ける。 自分や祖先や愛しい者らが愛した土地が、 見る間に生命の気配のない白き死の地へと変貌していく。
けれど現世を離れたサイラスの目に映るのはその景色ではなく、 白く冷えた地の中心で、嘆き叫ぶ剣の少女の姿であった。 狂ったように叫ぶ彼女を形なき腕で抱きしめて、 その音が消えるまで、彼女の声が枯れるまでもそうしていた。
その姿は丁度、剣を抱いて凍った己が姿にも似ている。 人の目にも生物の目にも、剣の目にも映らぬ存在は、 そうしてどれだけかの時を過ごした。]
(-18) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
*
(-19) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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[うとうとと眠りにつくようにして消えかけていた意識が、 微かに揺り動かされたのは、それからどれだけ後のことだったか。 指を落とされても目覚めることのなかった淡い意識は、 剣の娘の目覚めによって漸く少し目を開けた。]
" …────、あ 、あ "
[ただ。何かが違う。 何が違うのだろうと、少し、首を捻るようにして考えて、 意識は大切な何かがぽっかりと胸から抜け落ちていることに気づいた。]
(-20) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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" おーレ リ あ "
(-21) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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[ふつりと、糸が途切れている。 意識にはそれが、ねずみが氷剣の柄に乗ったことによって、 己と剣との繋がりが断たれたのだとまで気付くことはなかった。 ただ、ぽかりとした空白がある。 手を伸ばそうとして、その先もまた空白であることを意識は知った。]
(-22) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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[行くのか、と。淡く思う。 彼女は漸くこの外へ行くのだ。 己の手の届かない、見知らぬ地へと。]
──────…
(-23) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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…─────
(-24) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
…… …
( しあわせ に )
(-25) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
[言葉も失いつつある消え行く意識が、ほつりと、祈りを落とした。 それは心臓が凍りついたその時に、確か聞いた言葉だ。 幸せでしたと告げられた音、その音に己は祈りを重ねた。
幸せだったよ、俺たちも。 だから幸せにおなり、これからも。]
(-26) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
[ ───── ありがとう、 ……
… いって おいで。 ]
(-27) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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|
[微笑むように薄れ行く意識の脳裏に、青が映った。 眩しいほどの青だった。
" … … "
光が閃くほどの瞬間、過去が掠めた。 "それ"は幸せそうに微笑んで───ちかと小さく瞬き *消えた*]
(-28) 2016/01/24(Sun) 03時頃
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[鼠と娘が佇む凍土の地に、ひっそりと失せたものたちがいた]
(*45) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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|
[時は遡ること400年も昔のこと――973年。 歴史の余白たる彼らの一篇の結論を述べると、 決死作戦は実を結ばなかった。
何もかもが遅すぎたのだ]
(*46) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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[973年 ウィリディス領]
はやく、逃げてっ
[領内に忍び込んでいたミツボシがアウァールス兵の前に躍り出る。斥候の役割を知りながら、かつて門戸を開けてやさしく受け入れてくれたウィリディスの人々を彼女は見捨てることが出来なかった]
(*47) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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…すまないアンタレス。 ミツボシを連れて戻る。
[いつでも黙ってついてきた寡黙な工兵が搾り出すような声を出したのは、遅すぎたミツボシからの合図。旋風を纏わせた空への一矢を見て。 ほどけるように風が失せたのは持ち手の命が失せたからだ。
戦場を駆ける小隊の馬群から一頭が行く先を逸れた。 ライジの馬の蹄の音が全速力で遠ざかるのをアンタレスの背が聞く]
(*48) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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[重い蹄の音を連れ息を狂わせた馬が戦場を駆ける。
アウァールスの騎兵を追い抜きざま馬上の男が長剣を振えば、滑らかな弧を描いて後方に飛んだ。血の飛沫さえ追い抜いて最前線を目指す男の髪が赤く乱れた。
前線の空で上がる焔と氷の澄んだ剣戟が止んでいた。 一時静まり返った戦場の行方はここからでは見通すことができない。
ライジは戻ってこなかった。 背後で何度も撤退の光が上がった。
引くか進むかその決断にひとときの迷いもなく、男は馬の横腹を蹴る――]
(*49) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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[そして白は全てを呑みこんだ]
(*50) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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[974年
極寒の地の際を踏む足音がある。 あの大寒波の折、山の中腹に居たことを幸いとし、薄皮一枚凍らせて命からがら逃げ延びたラッシードとエスペラントだ。
一瞬にして平野を飲み込んだ凍土は未だその範囲を広げているらしい。 この際さえも幾日もたたず白の領土の一部となるだろう。 凍りついたページに何かを熱心に書き付けているエスペラントを横目に、分厚い手袋に包まれたラッシードの手が凍土へばらばらと野花を撒いた]
何も変わっちゃいねーよ。 俺たちは犬死だ。
[あの時、撤退の合図を無視して進んだ男は、 糸さえ通らぬ針の穴の先に何を見ていたのだろうか。
だが、そんなものは、より大きな力の前には無意味だ。 アウァールスの領主が死んだ今でも故郷の鎖は解かれない。 この山を越えて凍てついた平原の色を見ることすら叶わない]
(*51) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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お前らに、俺の気持ちなんか分かるかよ。
[吐き捨てるラッシードの赤剥れの頬を寒風が横切る。 今夜はアルビオンの死の欠片が風に運ばれ麓に降るだろう]
(*52) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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[翌年、ラッシードは故郷を離れた。 エスペラントはしばらくアイスソードが生んだ極寒の地にて研究を続けたが、やがて次なる研究対象を求め旅立った。
かくして973年の彼らの一遍は人知れず幕を下ろす**]
(*53) 2016/01/24(Sun) 05時半頃
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誤表記訂正
× エスペラントはしばらくアイスソードが生んだ極寒の地にて研究を続けたが
○ エスペラントはしばらくアイスソードが生んだ極寒の地の周辺に留まり研究を続けたが
(-29) 2016/01/24(Sun) 09時半頃
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■西暦1347年
アルビオンの白き山を遠く臨むノルデンラーデンの地。 圧政に苦しむ下級労働者たちは水面下で反乱を企てていた。夜毎密やかに行われた会談を、「真夜中の農園」と言う。**
(79) 2016/01/24(Sun) 09時半頃
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[氷室から出た後に広がる風景に生き物の気配はない。 土の茶色の上には霜柱の白。 氷結した地面が割れて皹のある地面はかつての草が風に靡く平地の面影はなく、ねずみの案内を受けながら、黒衣を着た少女の面があちらへ、そちらへと動いた。
遠目に見る岩陰に似た姿はかつてには藁葺きの屋根が身を寄せあい二輪車が荷を引いていたところだった。 家畜らが柵の内側で草を食んでいたところだった。]
(80) 2016/01/24(Sun) 11時頃
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[打ち壊して出た城にもねずみは霜が及んだと言う。ちょろちょろと足元を走り見上げる視線に、遠くへ視線を投げたままに、服と同じに黒い靴が一歩前へと踏み出した。ばりん、と重みに土の表面が割れる。]
見によっても。 いいですか。
[どこか遠くを見ていた視線がねずみらの方へ動き、青い湖に鼠が映るより前に、ええ〜っと不満の声が上がった。さむさむ、おなかすいちゃうーと、とてちた鼠がちいさな足を踏む。それに白金の髪をした少女の姿は、首を横に傾けて鼠が上りやすいようにしゃがむと地面に手をおいた。]
(81) 2016/01/24(Sun) 11時頃
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[空気を震わす言葉はあれど、娘の口元は鼠らのように白くは煙らない。黒裾の下から白い足を覗かせても、寒さを口にしないのは、娘が人ではないことの証左だった。]
だめですか
[先とは逆に、剣が鼠に問う。おべんとう食べていい? と聞かれたのに、だめです。と一言を返して、ぶーぶー!と抗議の声があがった。]
(82) 2016/01/24(Sun) 11時頃
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[めんどうな武器だなあ。と不満を漏らしながらも、ねずみらは少女姿と共に歩き出す。道行、何処へ行くご予定でしたか。と問う少女姿の質問に、大移動の最中だったのだとねずみは答えた。
まずは住めるところと、ごはんですね。と、剣は応じる。何をたべるんですか。と問いを投げればまたわあわあと言葉が返った。
凍土を行くにはあまりに軽装の少女と白いねずみたちの奇妙な一行は、白い国を横切る線をときおりあちらへこちらへとくねらせながら、西の方角へと進んでいった。]
(83) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[アルビオンと呼ばれる白い地平をいく間、黒い靴はときおりその歩を鈍らせた。
──張った氷の下に感じる僅かな段差は、これはかつて道だったものだろう。 あの丘ともいえないなだらかな土のふくらみは、かつてアルフレッド・ウィリデが初めてアイスソードを伴い出陣した場所で。 あちらのさびしげにひとつ立ち尽くしている大きな岩の陰には、かつてにはシロツメクサが寄り添い身を隠していた。]
…
[やや南に寄った地面の上、野党の忘れ物だろうか。 アウストラリス式の兜が転がる。]
(84) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[このさまでは。あのときあの場にいた兵らは、逃げられなかっただろうと、剣にはそう思われた。 恐らくは敵も味方も、それ以外も、もろともに。]
……
(85) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[鼓動も打たないがらんどうの胸が、 痛むなどというのは]
(*54) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[── 人に似せて作られたものの、 自己欺瞞でしょうか。]
(*55) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[死に際の彼は、あの緑豊かな土地を。 あのひとの家族を。 ここに暮らしていた人々を。
このような土地に眠らせたいわけでは なかったはずでした。]
(*56) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[本来道具は、主語になることはありません。 使われるものに意思はないからです。
でも、この有様は。 この死の風景は 他の誰のせいでもなく、
私の嘆きが引き起こしたものでした。]
(*57) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[この冷たい死の光景の一部となるものは すべて。私が、殺したものたちでした。]
(*58) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[私は。 近づきすぎたのでしょうか。
それで自分でも気づかぬうちに、 考え違いをしていたのでしょう。
ああ。そうでなければ、 道具が使われ方を拒むなど
おそれるなど。
本来ありえぬことでした。]
(*59) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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願わなければよかったでしょうか 望まなければよかったでしょうか
ウィリデのオーレリアであることを。
(*60) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[──── そうであれば、すくなくとも。
あの緑の園が死に鎖されることは、 なかったでしょう。]
(*61) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[鼠と同道する黒い靴の足が止まった。 膝を抱える形でかがみこみ、名も知らぬものが使っていただろう武具へと手が添えられる。
そのまま、冷たいだけの金属の上に手は残る。指が兜の曲面を撫でるように下がるにつれ、白金の前髪が青い瞳にかかり影を落とした。
膝の上に倒れた白金の髪が、くしゃりとつぶれる。]
(86) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[兜から手が離されて、かかえた膝に額が埋められた。肩を少し過ぎる色素の薄い髪が、まるめられた背に落ちかかっていた。]
、
[地面に落ちた手は、指を曲げたまま動かず。 しゃがみこんだ娘の前にば 喋りはしない兜だけがてんと転がる。]
(87) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[呼吸に上下することもないその丸まった背の周辺を、とてちてと鼠の尾がちょろちょろと回る。しゃがんで動かなくなった娘の周囲で鼻をひくつかせ、左の手を鼻先でつつきまわす。なにしてんの、とまってる暇なんてないぞ!ほらほらはーやーく。と、顔を覗くように、ねずみたちはにぎやかしく甲高い声で急かした。
やがて、 はい。 と、静かな娘の声が 奇妙な捕獲者たちに応えた。]
(88) 2016/01/24(Sun) 11時半頃
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[氷土を行く足の周りをねずみが囲む。
急かされながら、つまさきを前にした黒靴は 西への道行を続ける**]
(89) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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"お腹空いたなあ" "お腹空いた"
"やっぱ長い移動には お弁当が必要じゃないかなあ" "だめ?"
[だめです。 すぐに却下が下って、ぶーぶー!と不満の声が上がる]
[足を進める事に白色は灰色へ、茶色へ。 凍てついた氷、地面から
いつしか踏むのは、緑の草]
(90) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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[白い国の外。
―――世は、夏を迎えていた。**]
(91) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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(92) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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[―――その鼠たちは、昔からいる、 どこの地方にも広く分布した、ごくありきたりな鼠であった。
数匹から十匹程の群れをつくり、人里近いところに巣を構え 人間の残飯や、作った穀物を盗み喰う。
ただ、氷剣の前に現れた鼠たちと、 それらとの違いがあるとすれば。
その群れが千、万、それよりも多くまで届きそうな、 世に無いほどの大群であった事。
大群であるが故か 鼠の全を一とした「知性」を手に入れた事。
その二つが大きく異なることであったろう。]
(93) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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[……その「考える鼠の群れ」曰く、 『我々は「より良い生」を追い求めるもの達』なのだそうだ。]
(94) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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"この世は弱肉強食!"
"…というよりは「適者生存」、 こっちの方がより適切かな"
"じゃあこれに当たる最高の適者とは?" "今の時代、その頂点に立つのは人間だ"
"ここしばらくは不動の地位!" "長者番付!殿堂入り! 意味わかんないよね〜!"
(95) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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"そう!意味がわからない! なぜ人間が頂点で、なぜ僕らが頂点じゃないのか!"
(96) 2016/01/24(Sun) 12時頃
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"人間が今まで地位の頂点に立っている理由としての、 最大の牙っていえば?"
"やっぱり頭脳? あの頭脳は他の類を見ないよね"
"なら、頭脳を集合により手に入れた僕らにも その牙はもちえるわけだ!"
"むしろ僕らの方がずっとすごいんだよ? 人間同士は未だに言語という鳴き声を 介さないと碌に意思疎通が取れないんだろ?"
"おっくれてるよね〜〜 未だにそんな古臭い手段とってるなんて 僕らなら記憶も意識も瞬時に共有できるのにさ"
(97) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"そう!だからこそ!最初の疑問に戻ろう!"
"なぜ!遅れている人間が頂点で、 未だ僕らは頂点に至ってないのか!"
(98) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"頂点にこそ 僕らの目指す「より良い」生が待っているに違いない!"
"頂点の条件はもう既に揃っている!"
"僕らの前にはもう既に道がある! 「より良い生」の為の道が開かれている!"
(99) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"打倒人間!" "打倒人間!" "打倒人間!"
(100) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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" 今こそ頂点の座を奪うときだー! "
(101) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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[…そう語る鼠が氷剣を連れ出して 凍土から連れ出して向かった先は西方。]
[ウィリディスが「アルビオン」となった一因、 アウァールスの広大な領地が広がる土地である。]
(102) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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(103) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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/* ミスってるけど気にしないよ!!!!
打倒誤植!打倒誤植!打倒誤植!!
(-30) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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■14世紀
10世紀から領地を広げていた アウァールス家の侵略戦争は続き、 14世紀にはレグルス地方の大半を支配権に置くに至った。 その間に 三圃制農業の普及、 鉄製農具の改良などによる生産力の向上の結果、 貨幣経済が復活。
農業、手工業、商工業が盛んになっていった事。 長きに続く侵略戦争。
これらによって労働者たちの 自立の気風が少しずつ流れ始めていた。
(104) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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アウァールス家領土の西北、 ノルデンラーデンという街がある。
侵略戦争によって広げられた土地にあるそこは、 アウァールス家の家臣、ピゲル家によって治められていた。
14世紀半ばにノルデンラーデンを治めた ヨアヒム・ピゲルは、暗君として有名であった。
侵略戦争による赤字に、さして意味もない街の改修工事。 中央への上納金を治める為の多くの税。
豊かな土地に栄えた町並みは虚栄でしかなく、 本質である民の暮らしは、厳しいものであった。
(105) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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(106) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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[西暦1347年。夏の終わり、秋を迎える頃の事。]
[ノルデンラーデンの街から少し離れた、小高い丘の上。 遠くにアルビオンの白を見ることもできるそこに、 荒れた田畑と、小さな空き家があった。
おそらく持ち主である農民は、辛い生活に逃げたのだろう。 人影はどこにもなかった。
その荒れた田畑の真ん中。 少女と数百の鼠たちがそこに居た。]
(107) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"街よーし!" "土よーし!"
"ここを巣とするーー!!"
[音なき声が、賑やかに騒ぐ] [大群の鼠が、尻尾を振りうろつきまわり 飛び跳ねるさまは、異様な光景であった。]
(108) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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[少女の肩には一匹の白い鼠が乗っている。
この剣である少女は、「主」を据えねば 会話ができないという。
大群を一とした知性を持つ鼠に 一匹一匹ごとの性格も認識もさして無いが、 代表一匹を「主」と据えることになり。
その選ばれた一匹は「あるじ」鼠として、 天敵から最も安全な場所…主に少女の肩の上に 居座ることが多かった。]
(109) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"さて!"
"僕らは東の大水害を経てここまで移動を終えた!" "さらにかかし作戦により 鳥共からの襲撃数は格段と減った!"
"僕らの生存能力は安定してきたわけだ!"
"そんな僕らが次にやるべきことはわかるかい? きみ!"
[少女の肩に乗るあるじ鼠が、頭へと移る。 白金の髪を見下ろしながら、 まるで答えを促すよう長い尻尾を ぺしぺしと彼女の頭を軽く叩いた。]
(110) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"情報活動!" "情報活動だよ!"
(111) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"遥か遠くの国では、物事を真似ることで ゆくゆくは大国を作るに至った黄色い猿がいるんだって"
"狩りだってなんだって模倣から覚える。 模倣は大事だよねえ"
"猿にできるんなら、僕らに出来ないわけないよね〜"
"僕らも遠国の猿のように模倣を重点におけば ゆくゆくは大国と地位を手に入れるってことだ!"
(112) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"そして、この模倣を行うためには まず情報が必要ってわけだよ!"
"よ〜〜〜うやくここに来て、本腰を入れて きみを使うというわけだ!"
"ここまで来るまでにお腹減ったり大変だったよね〜" "抱えたリスクに見合うだけのメリットを要求しなきゃねー!"
[数多くの赤い目が、次々と少女の方を向く]
(113) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"それじゃあ、なにから聞こうか〜"
(114) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"どうやって人間は 安定した食を手に入れられてるんだろう!"
(115) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"あの水車とかいう建物、なんなんだろう? 水をかき混ぜて意味あるのかなぁ?"
(116) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"パンっていう食べ物 あれ、麦ってほんとー!? どうやったらあんなに膨らむの!?"
(117) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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"あの不思議な行動、意味あるのかなー? なんかさ足と手をくねくね〜っ て"
(118) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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[…大群をひとつの知性としてあるが故なのだろう、 鼠の話す疑問は、色々な方向にとっ散らかって ひどくとりとめもない。
自分でもそのことに気付いているのだろう。 やがて唸ったような高い声を 音もなく上げた] "う〜〜〜わ〜〜〜〜 ありすぎて困るなあ〜〜〜〜"
(119) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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|
"ん〜〜〜〜〜まず!" "基本の基本、人間の生活について聞こうか!"
"生活パターンや、暮らしぶりをまず知れば 思考がスムーズだからね!" "実例が分かりやすいよね!"
"例えばほら、きみの前の主について!"
" 教えてよ! ” **
(120) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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/*
おい、この剣やろう
よく聞け、いいか
ここをキャンプ地とする
(-31) 2016/01/24(Sun) 12時半頃
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/* あ。 まちがえてる 諜報活動が 情報活動になってる
wwwwwwwwwwwwwやってまったな! なあイワン!やっちまったなあ!!
(-32) 2016/01/24(Sun) 14時半頃
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[凍土を西に抜けた先にある丘に立つ小屋の、がたついた蝶番が軋み声を上げた。中からはねずみが走り出て、続いて腰に剣をつるさない剣帯を巻いた少女が、ぺしぺしと無表情な顔を尻尾にはたかれながら、草の生えた地面を踏む。]
ごはんは、牛や豚を飼っていて、 土に麦を撒くと、 麦が生えるのだとききました
(121) 2016/01/24(Sun) 15時頃
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[荒れ放題の畑にたった、かかしの横をすぎる。]
あの回る水車のちからを使って、 小屋で麦をひいているんです 石臼をみせていただいたことがあります
(122) 2016/01/24(Sun) 15時頃
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[黒靴は鼠を踏まぬよう頂上に続く斜面を登る。 風がやわらかく吹いていた。]
パンは、その麦をひいた粉でつくるそうです 厨房で料理長がばたんばたんと 棒をつかってこねていらっしゃいました。
ふくらむのは、 ……? おさとうとたまご……?
(123) 2016/01/24(Sun) 15時頃
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[くねくね? と、疑問を口にしながら、やがて少女は丘のてっぺんにつき、そこから見える白い国を指差した。]
私の主は、ウィリディスと呼ばれている 緑豊かな土地の領主さまでした。
[前の前の主も、その前の前の前の主もです。と少女は肩に乗ったねずみに言った。]
(124) 2016/01/24(Sun) 15時頃
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[丘の向こうから視線を横に移した先には、目印のように少女の膝ほどの高さになる石が置かれ、土が深く掘り返された証明に、小高く盛られていた。ところどころに巻き込まれた草の緑がある。] 朝のお食事は城でとられてそのあとには 騎士のかたがたと共に鍛錬をなさっていました。 そのあとは会議や他領よりとどいたお手紙や お客様をお出迎えになったり 領民の下にも出向いて、夕刻には戻り、 夜にはご家族と過ごされ眠ります。 、
(125) 2016/01/24(Sun) 15時頃
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ウィリディスで私が仕えたどの主も。 ご家族を、…受け継いだ 領と領民を深く愛していらっしゃっいました
[手を腰に触れさせると、古びた金属とぼろになってしまった革が指にささくれた感触を伝えた。]
この帯の持ち主だった、 サイラスさまも。
[── 同じに。と、そんな風に、 娘は肩の、ねずみに*語った*。]
(126) 2016/01/24(Sun) 15時頃
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[風がいつかのようにいつかとは違う斜面を撫でていく。 今、少し大きすぎる剣帯を腰に下げた少女の隣には、 物言わぬ石がある。]
ほかにもききたいことは、 ありますか?
[凍りついた主を、アルビレオン──ウィリディスの土地が見える丘に埋めたいと言い出したのは剣の方で、ねずみらはそれに相変わらず文句をいいながらも、運ぶための頭数を貸してくれた。]
(127) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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[西に向かう道中で剣の娘が頼みをするたび、倍々に"貸し"は膨らんだが、ねずみたちはなんだかんだといいながら、要求を聞いてくれた。
ゆえに傍にいる間中、ほとんどひっきりなしに話すねずみの、 走ると同じにたかたかと飛ぶ質問に、よくおいていかれながらも、 己が知る限りのことを口にするのは、 剣なりにこの奇妙な新しい「主」に、感謝があるからだった。
そうだなあー、とその次にくる質問を 耳にして、はい。と応えながら、 剣の娘は、抜けるような夏の空を見あげた*。]
(128) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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■西暦1348年
ノルデンラーデン領主ヨアヒム・ピゲル、課税強化を行う。 ここ数年は豊作が続いたものの、 豊作が民の生活に碌に繋がらぬままであった。
(129) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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[西暦1348年、春の始まりの頃の事]
[小高い丘の、小さな小屋の中に数匹の鼠と少女は居た。 今日の収穫であるパンを頬に詰めて、 音のない賑やかな声が不満そうな声を上げる]
"なんだよなんだよ あの農園の人間たちは" "こっちの話を笑い飛ばすだけで聞こうとしないね" "きみに鼻の下伸ばしてたときは いけるんじゃないかーっていう空気だったんだけどなー"
(130) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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"何がいけないんだろうなー 悪い交渉じゃなかったろうにね!"
"害虫を寄せ付けないようにしてやるから、 小麦の半分をくれって!"
"虫に食われた小麦、 実あんまり入ってなくてまっずいのにねー"
[街に根城とするようにしてから、鼠が始めた事は 少女からの伝聞を基本に据えた諜報活動。 少女に服に身を隠しながらの実地調査。 そして、まず模倣として人間と同水準の生活を築く為の、 少女を介した交渉活動だ。]
[諜報活動はまだしも、交渉は未だ何もうまくいかず、 結果のほとんどは門前払いであった。]
(131) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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"小麦といえば、あれはなんでかな" "小麦撒きながら、変な調子で歌っちゃったりしてさあ"
"あの歌って行為、謎だよね?" "この前酒場で見た見た" "人間の男が真っ赤になって大声でやったあとグースカ寝てた"
"なにかの意思伝達手段なのかな" "通常言語でいいんじゃないの?" "暗号文ってこと?"
[赤い目が並んで少女の方へ向いた。]
"ねえきみ、教えてよ! なんで人間は歌ってるんだい?" **
(132) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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■西暦1349年
レグルス地方南方にて、黒死病が流行。 この当時、有効な治療方法も無く数万の人間が死亡した。 大陸の交易が盛んになり始めた事が 流行の背景にあると考えられている。
(133) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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[西暦1349年、夏の頃の事]
"…やっぱりでないよ、きみ" "ほんとにこれで食べ物たくさん出来るのー?" "せっかくのご飯を捨ててる気がするんだけどー"
[小高い丘の荒れた畑に数匹の鼠と、少女が居た。 覗き込んでいる地面には、少女から話を聞いて植えた 小麦が数粒埋まっていた。 「農業」の話を聞いてから始まった模倣行為の一つであったが、 作物が育つというのはそう簡単な話でもなく、 未だ碌な収穫に至っていなかった。]
(134) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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"嘘ついたりしてないだろうねー、きみ" "情報も嘘、歯も碌に砥げないんじゃ いよいよもって不便だぞー" "もうすこしがんばりましょうー"
[少女の肩の鼠は少女へと小さな歯を見せつける。
一度、剣状態の彼女を歯を砥ぐ為に 利用しようとして噛みついた事がある。 結果は芳しくなく、鼠の口の端を少し切るだけに終わり、 鼠から不評を買ったりもしていた。 その鼠が、初代の「あるじ」鼠。
その鼠が寿命で死んで代替わりをし、 今は、少女の肩には性格も記憶も同じであれど、 違う鼠が「あるじ」として乗っている]
(135) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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"そういやあ 南の方では病気がすごいんだってさ" "僕らを刺したノミからくるやつだよね" "僕らもかかると、きっついんだよな〜"
"僕らにも今、130匹程感染が見られるんだ" "おー こわこわ"
"とりあえず感染根絶の為に 街の西に川があるでしょ" "あそこに感染した僕らを流すから"
"一応あの近辺には今後あんまり寄らないほうがいいかな〜" "きみもノミとか拾ってこないでよ" **
(136) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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(137) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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わたしゃ名高き歌うたい あちこち旅するネズミさらいでござい 古くより知られたるこの町も きっと御用がこざいましょう いかにネズミが多かろうと いかにイタチが目立ってようと みなこの場より片づけて見せましょう やつらはみんなどこかへと消える
―――――1803年 歌曲《鼠取り》より
(138) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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有名な伝承『鼠取り』は ノルデンラーデンで起きたとされる出来事である。
ノルデンラーデンでは鼠が大繁殖し、人々を悩ませていた。 ある早朝、川に大量の鼠が溺死していた。 その川の端に黒衣の人間を農民が見たという。
その黒衣の人間は鼠取りと名乗り、 魔法を使って鼠を騙し、紙の船に乗せると そのまま流して溺れさせたと 伝わっている。
(139) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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(140) 2016/01/24(Sun) 16時頃
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■西暦1350年
前年にヨアヒムによって定められた人頭税により ノルデンラーデンの治安は悪化。
下級労働者は水面下で反乱を企てており、 その会談の一つには、 後の反乱主導者であるモンド・タイラーの姿もあった。
(141) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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[西暦1350年、冬の頃の事]
[小高い丘の小さな小屋の中に数匹の鼠と、少女が居た。 外は冬の冷たい風が吹き、澄んだ空気は 遠く、アルビオンの白まではっきりと見える]
"今日も交渉、だめだったねえ" "むしろ最近、人間の様子がおかしくない?" "なんかイライラしちゃってねえ" "子供抱えてるとか?" "威嚇威嚇?" "今日行ったとこ、子供なんていなかったのになあ"
"喧嘩とかもよくみるよね〜" "縄張り争いじゃないやつ" "仲間同士で殴り合ってたよね" "取っ組み合いの狩りごっこは子供までだよね〜"
"おっくれてるよなあ〜 人間は"
[僅かな小麦を頬張りながら、数匹の鼠たちがそろって頷く。]
(142) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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|
"そんな喧嘩より討論の方がずっとずっと ずっとずっと有意義だよねえ"
"議題は?" "もちろん!"
(143) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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"「より良い生を送る為にどうしたらいいか」!"
(144) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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"色々情報を得てきたけど、 人間の文化 っていうものは不思議だよね!" "必要性に疑問点は沢山あるけど、 あれらには特異を感じるよ!" "千年続いてるんでしょ? あれらが!"
"あれらにも 頂点の為の何かしらの 大きな力があるのかなあ!"
"僕らもきみに聞いてとりあえず歌は作ってみたけど、 もっと研究すべきかもしれないなあ!"
(145) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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[音のない賑やかな声はいつものように やいやいと議論を進めていたが、その日は赤い目が 少女の方を向いた]
"そういやきみ、いつもは誰から聞いたとか、 見たとかそういう話ばかりだよね"
"きみとしての意見はどうなんだい?"
(146) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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|
"もしかしてきみ、考えるのをさぼってるんじゃなかろうね?"
"時間は有限!" "限りある時の中で 最高の答えにたどり着くには 一秒たりとも無駄はできないよ!"
"怠惰は限りあるものに対しての冒涜だ!"
"冒涜だ!" "冒涜だ!"
(147) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
|
|
[数匹の鼠達が、少女の青い目をじいっと見たまま じりじりと距離を詰める]
"ほらほら議題ー!"
"「どうすれば時間の無駄無く、 道具としての最高の生を全うできるか!」"
(148) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
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|
"適当に使い手を待つっていうだけじゃだめだよね" "何年待った先で 相手がどうしようもない怠け者だったらどうする!" "埃被ってお蔵入り〜"
"適当っていうのがよくない。 むしろ相手を選ぶくらいの全力さがないとじゃない?"
(149) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
|
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"さ! きみの考えはどうなんだい?"
"つまらない意見は即刻却下ー!" "だめです!" "だめです!"
"きみは、最高に使われるために どうしたらいいと思う?" **
(150) 2016/01/24(Sun) 16時半頃
|
|
/* ちょっと ランダム出させてね
44(0..100)x1
(-33) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
|
/* んん
[[mdn]][[mdn]][[mdn]]
(-34) 2016/01/24(Sun) 17時頃
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|
/* あっくそうww
[[1d20]
(-35) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
|
/* みすみす 1
あとこっちってほんとにだめなの? [[mdn]] [[mdn]] [[mdn]]
(-36) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
|
/* ん? こうか? 3636034
(-37) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
|
/* なるほどなあ
じゃあーーええと。 485037
これでそこそこ妥当になるかな
(-38) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
|
/* んんーーーーーーーーーーーーーーーーーー不安だな まあいい か?
5997264
(-39) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
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/* よし いいことにしよう 目汚しすまんかった!!
(-40) 2016/01/24(Sun) 17時頃
|
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とんたたたん 足音響くよ とんたたたん 戸棚の向こうに
お気をつけなさい うっかりすれば 戸棚の奥は いつの間にやら足跡だらけ!
消えたチーズとクッキーの 向こうにちょろりと尻尾が覗く
とんたたたん そら! 追いかけろ とんたたたん そら! 追い詰めた とんたたたん そら! とぷんと落ちた川の中
とんたたたん ねずみが走るよ とんたたたん もうすっかり静かになった
(151) 2016/01/24(Sun) 20時頃
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これは14世紀ごろ流行した童歌である。 こうした歌にも見られるように、 鼠は庶民にとって身近で厄介な存在であった。
こうした事情はやがて、『鼠取り』の伝承といった形で、 人々の間に広く受け継がれていくことになる。 当時の小説の挿絵に、子どもが歌いながら駆け回る描写がある。 恐らくは、こうした歌を口ずさみながら遊んだのであろう。
─── レオナルド・アッシュ「歌と庶民の生活」より
(152) 2016/01/24(Sun) 20時頃
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[夏が過ぎ、秋がきて、冬になり、また春が来る。
西暦1348年、ねずみと行動を共にするようになった剣は"通訳"として「あるじ」と共に農園に出かけ交渉を失敗して帰ってきていた。
ねずみたちが失敗だった。と言うとおりに、交渉の状況はおもわしくない。]
農場主さん、半分、といったら、 領主がふたりんなっちまった、と いっていらっしゃいました
[領主がそんなにももっていくのか。とは思ったが、しかしそれでは確かに農家の人々の食べる分がない。やはり取り分がだめなのかもしれない。とは思えど、一万以上ののねずみらにせめて十粒づつと思えば、それだけで十万粒以上の麦が必要になる。]
(153) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[ひとところとの契約ではだめなのかもしれない。失敗の原因についてねずみらはかしましく話し合い、あちらこちらへ興味を飛ばす。会話の中身はそのうちにてんてんと転がって、歌の話になった。]
人が歌う理由ですか?
[教えてよ!と赤い目に催促されて、 首が傾げられ、白金の髪が肩に流れる。]
(154) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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歌ならきいたことはありました。 ウィリデの収穫時にも、村からはよく 麦の歌が聞こえていました。
東西の街道を旅する途中で、ウィリディスに立ち寄った旅芸人の一団が歌姫の美しい声をきかせてくれることもありました。
(*62) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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けれど、どうして。なぜ、と、 あらためてきかれると──
ちゃんとした答えを、 私は持ってはいませんでした。
(*63) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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(……みなさんは「人間の情報」を、 必要としているのだから)
私の見方を交えるのは違うようにも思われて、 そうですねえ。と思い返したあとに、 私はいつもどおりに聞いたお話をします。
(*64) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[まだー!と急かす声に、首をかしげた少女は、ええと。とすっかり古びた記憶をひっぱりあげる。この間の酒場でみかけた赤ら顔のおひげさんは、気分がいいから とおっしゃっていましたし、と、いくつかの聞いた例を挙げる。 それは、韻を踏んで覚えやすくするためだとか、かがめた腰がつらいのをまぎらわせるためだとか、これと統一されてはおらず、]
ウィリディスにわたってきた、 旅芸人さんは、 明日のために歌うのだ と おっしゃっていました
[決められきらないまま、伝聞の形をもって答えられるのが常だった。]
(155) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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(156) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[西暦1349年、夏。背中に陽を浴びながら、荒れ果てた畑でねずみと少女が地面を覗き込んでいた。]
うそではないです。
麦をうえたら麦がふえるのです
[そのはずだった。しかし、結果は芳しくなく、毎日見にきても、麦に変化はないままだった。]
(157) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[普段無表情がちの顔は、むう。と眉をよせた真剣な顔で麦粒をみつめている。]
………………… …………… ………
……
…… ふえませんね
[そのまましばらくそうしていたが、 やはり変化はなかった。]
(158) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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おかしいですね。……、
このかっこうのときに噛まれると、 刃がかけてしまいます
[原因がわからずに、やいのやいのとねずみにはやされながら、膝をはらって立ち上がる。肩で歯をみせるねずみには、首をちいさく横にふる。]
帰るまえに、 丘によってもいいですか
[断りをいれるのは癖のようなものだ。 丘の上にはいまも石があり、その隣にはそれよりちいさな石と枝が増えた。 最初に「あるじ」になったねずみの墓だった。]
(159) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[── 剣で前歯を研ごうとしたねずみは、どんぐりをひとつ 選別にもたせて、丘に埋めた。
あっちの具合はどうかなー。と肩で声がある。
最初の「あるじ」とは別の、それでいて最初の「あるじ」と同じ声と思考と記憶をもったねずみは、ふんふんと鼻を空に向けた。]
(160) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[ねずみと行動を共にするようになって、ずっと最初のころに、 それぞれをどう呼べばいいかを聞いてみたことがある。
"ねずみ"というのはあくまで人間の呼称で、 自分を「エア」とだけ呼ばうのと同じような気がしたのと、 自分に「オーレリア」と名があるように、 ねずみたちにも呼ばれたい名があるのかと思ったからだった。]
(161) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[ねずみの回答は、"とくにない" とのことで、"必要?"だとかなんだかんだとか聞かれた後に、
"じゃあ、きみがつけてよ"
と、いう話になった。]
(162) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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["かっこいいやつね"とか"覚えやすいので"とか、考えている間にねずみ算式に増えていく注文の中で、オーレリアがねずみにつけた名前は、「アシモフさん」だった。
一瞬ばかりねずみたちがいっせいに首と尻尾をうなだれた。 しーん、となったあと、
"なんで?"の一言に、
「……みなさん、あしがもふもふだったので。」と、
オーレリアは答えた。]
(163) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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["きみって、センスが絶望的だね"と、 そうありがたい評価をくだした「あるじ」は、 今は土の中だ。
以来、だいたい全体を呼ぶときには、 「みなさん」という呼称が使われている。]
(164) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[黒靴が花をつけない草を踏んで石のある頂上に向かう。 そういやあ。と、ねずみが続けたのは、 南で流行っているらしい病の話題だった。]
…病気…、ですか。
[川に流しにいくのだ。と簡単にいうねずみに、 少し思案の間を挟んだあと、 ──ついていってもいいですか。と、 少女はねずみらに同行を申し出た。]
(165) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[川べり。ひどく熱いねずみの体を冷たい手のひらに掬い上げて、紙で作った船の上に乗せる。]
川というものは。 海まで続いているのだそうです
[流れにのってすべりだす船に、誰に向かってでもなく、つぶやくように少女はそんなことを口にした。 ちいさな小船は幾隻も連なって、ねずみと少女が見守るきらきらと水をはじく川を下っていった。]
(166) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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*
(167) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[西暦1350年、アルビレオンを抜けてきた寒風がふきすさぶ冬。
剣はこのとき、ねずみらと小屋の中にいた。 床には秋のうちに蓄えておいた小麦が撒かれている。]
(168) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[今日も今日とて、会議の台の上には"交渉"の話題がのぼる。相変わらず、はっきりとした成果は得られてはいないまま、ねずみと剣がでくわしてから三年が経とうとしている。]
────。
[ぺちゃくちゃと交わされる会話に、出かけた先の街の様子を思う。どこか緊張感をはらんで暗い影のある顔をしたものが多いように見受けられた。]
(169) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[会話の内容の推移を見守る間に、喧嘩よりも討論だ。とねずみらは頷きあい、やがて彼ら最大の目標について、いつものように意見を出し合いはじめた。]
え。
私……の意見、ですか?
[ねずみのおしゃべりを座ったまま聞いていた少女は、 不意に赤い目を向けられてまばたいた。]
(170) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[考えるのをさぼっているんじゃなかろうね?とやいやいねずみらが、口々に野次を飛ばす。
議題として出されたのは、「どうすれば時間の無駄無く、道具としての最高の生を全うできるか!」と、人間の情報収集。という意味合いからは外れるものだった。]
やく……めを常に与えておく、 とか、でしょうか [時間の無駄なく。という議題ならましだった。 ただ、最高に使われるために。と言われて、 難易度が上がったのか、かくん、と首が横に傾いた。]
(171) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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最高…… 、最高。 さい、こう
… 最高?
(172) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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どう使われたい というのを 言ってしまう道具は、 めんどうな気もしますが
["だめです!" "だめです!"と、最初のときのおべんとうを根にもっているのか意見が却下される。]
ううん、何を最高と言っていいのかが むずかしい です が
(173) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[最高。目標。目指すもの、──夢。 眉を少し寄せて、やいやいと意見を並べ立てるねずみに どうしたら。ともう一度くりかえして]
りかい…
(174) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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… 理解、すること で、しょうか
(175) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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どう使いたいか。を、
…主のことを。
理解…することでしょうか
(176) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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間違うことも、きっと たくさんあるかもしれませんが
[それでも]
(177) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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主がどう使いたいかを、 理解できなければ、
"最高"とは、やっぱり。
……いえないかと、思いますから**
(178) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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■西暦1351年
ノルデンラーデンの南、ズューデンシュタットにまで 黒死病の流行が広がる。 ノルデンラーデンにも死に至る不治の病の噂は広がり 領民たちの不安の色は増すばかりであった。
流行病と侵略戦争により領土の各所で人材不足に苛まれ、 ヨアヒム・ピゲルは農民の移動の自由を奪い、 農奴制を強化するようにした。
領主と領民の間にはますます溝が出来、 ついに農民による小規模反乱が勃発。緊迫した情勢と化した。
(179) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[西暦1351年、夏の頃の事]
[先日の農民の反乱に、黒死病の噂。
それらにより、 実地調査、交渉活動、それどころか 食糧調達にまで難儀し始めて6日目。
食糧調達を行っていた鼠の一匹が 「真夜中の農園」と呼ばれる会談を目撃。
その晩、鼠は「あること」を学んだ。
―――その次の日の出来事。]
(180) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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[小高い丘の上の、荒れた畑の中。 少女の元へと鼠が集まり始めていた。
食糧調達、周囲警戒、諜報活動。 様々な役割を分担し、共有していた鼠たちが 少女に出会った大移動以来、珍しく一同に集まろうとしていた。]
(181) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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"交渉も難儀、南の食料確保ルートは次々と封鎖〜"
"諜報活動もやってしばらく経ったね!" "まだ集められる情報はあるだろうけどー"
"攻め入る分としての情報は十分集まったよねー" "全部分かってからなんて、まだるっこしいよー!"
(182) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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"時間は有限!" "怠惰は冒涜!"
"人間が馬鹿みたいに争うのを繰り返すのは、 こういう利点があるからなのかもね!"
(183) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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"数はー?" "人間たちが5万弱" "僕らは2382365匹”
"リスクにもならないねえ" "成功すればパン食べ放題ー!!"
"数が減れば、人間の支配だって可能かも!"
"滅茶苦茶大きなパンを作らせるぞー!" "一面トウモロコシとりんごと麦畑ー!!" "人間牧場!" "人間牧場!"
"それがダメでも、街はいっぱいあるもんね!" "僕らがまた増えるまで待って、 またご飯を大量にゲットー!"
(-41) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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"数はー?" "人間たちが5万弱" "僕らは4505143匹”
"リスクにもならないねえ" "成功すればパン食べ放題ー!!"
"数が減れば、人間の支配だって可能かも!"
"滅茶苦茶大きなパンを作らせるぞー!" "一面トウモロコシとりんごと麦畑ー!!" "人間牧場!" "人間牧場!"
"それがダメでも、 街はいっぱいあるもんね!" "増えるまでまって、ご飯をまた大量にゲットー!"
(184) 2016/01/24(Sun) 23時半頃
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/* しまったおおすぎたけど まあ まあ…
(-42) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"数は十分! 下見は万全!" "手段もおっけー!"
(185) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"よーし、きみ! 僕らはこれから、「戦争」することにしたよ!" **
(186) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[同日、夜。 鼠の「作戦」は夜の闇に乗じて行われることになった。]
[真っ暗な小高い丘に、 夥しい数のいびつな赤い星が地を這うように並ぶ]
(187) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"前に話したウィリディスの戦の話のさ" "号令っていうの! やってみよう" "突撃!ってやつ!"
"僕らは知性ある生き物なんだから、 ただの狩りと同じと思われちゃ困るよね" "ただの狩りとは違うんですー ってとこを見せつけよう!"
"突撃!じゃ短すぎかな" "文化っぽさが欲しいよー!文化っぽさ!"
"そうだ! 意気込みっぽいことを付け足して言っておこう!" "なんか文化的っぽいよね!"
[異様な光景の中でもその声は、 いつもの賑やかさとまるで変わりなく] [やがて、少女の前に数十万の鼠が畑の前に並ぶ。 肩に乗った鼠が、音のない号令をかけた]
(188) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"――― 飢えに朽ちた同胞の声を思い出せ"
"人間に駆逐された同胞の声を思い出せ!"
"地へと還った、全ての同胞たちの声を思い出せ!!"
(189) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"無駄な死などは一つもない!" "そのどれもが必要な生だった!!"
"過去に消えた同胞の高潔を、経験を" "僕らは生きるために記憶に刻み付けよう!"
(190) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"地へと還るもの、これから生きるものの悲願"
"それらすべてを一身に背負い、 いざ僕らは戦地へと赴こう!"
(191) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"今の僕らは死ぬために逝くのではない" "生きるために逝くのだ!"
"今の僕らの挺身が、 未来の僕らの生きる道にならんことを!"
(192) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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" お互い、生を全うしよう!!! "
(193) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[数十万の鼠たちが一斉に 長い尻尾を点へと向けて、左から右に。そこで止める。
少女と肩の鼠に向けたその奇妙な動作は、 どこか「敬礼」にも似た動作だった。]
[―――かつて、 少女の話に聞いた「ウィリディスの兵士」達が そうしていたと伝え聞いて出来たものだ。]
(194) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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僕らはしってる。
「僕らに」とって、これらに意味がないってこと。
(*65) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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僕らは全で一。
こんなこと、やらずとも全てわかってる。
(*66) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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意味が あるとするなら、
それは、
(*67) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[「明日の為に歌うのだ」―――そう教わったから 歌をつくろう、とかつて作られた軍歌が、 子供のような高い声で歌われる。
それが 遠く、アルビオンから吹く風にも乗ることは無く]
(195) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[いくつもの命たちが埋まる小高い丘から 迫りくる数十万の軍靴の音を 誰も知る由は無い]
[―――それを聞いていたのは ただ一人、剣の少女だけ**]
(196) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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■西暦1351年
小規模反乱勃発後、 ノルデンラーデンで大鼠害が発生。 これを主な原因として、伝染病が爆発的に流行。
当時劇的な流行を見せていた黒死病は勿論、 鼠咬症等の鼠の齎す病が発生。
防疫が軽視されていたこと、 有効な治療方法が無かったことが 被害の拡大の原因となった。
当時街には5万程の人口が居たと推測されているが、 この伝染病により人口の8割が罹患、死亡したとされている。
(197) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"よーし! ノミは持ったなー!" "装着よーーし!"
"いくぞー!"
(*68) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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" 生を全うしよう! "
(*69) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[――夜の宿の隅を、数匹の鼠が走っていく。 ベッドで眠る男に音もなく素早く近づくと、 鼠は腕と指、それから耳へと力いっぱい噛みついた]
(*70) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[劈くような悲鳴を上げて、男は 耳を齧った一匹目の鼠を咄嗟に握る。]
ぢっ
[かすれるような悲鳴を上げたが最後。 一匹目の鼠は壁に叩き付けられて動かなくなった]
(*71) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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葬儀も埋葬も間に合わず 街の隅には死した人が転がるばかり
子供の黒くなった遺骸は 我が家の中に転がっている
如何なる祈祷も我が心の慰めにならず、 拠り所にもなれない
無情に滾る怒りを 嘆きを 痛苦を 誰が慰めてくれるのだろう
(198) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"わっ さっそくやられたー!" "怯むな怯むなー!!"
[逃げた残りの鼠が男の足やベットに 身体をこすりつける。]
[悲鳴を上げた男の足には、小さなノミが吸いついていた] [街の西に流れる川。 病で死ぬ同胞の身体たちから持ってきたものだ]
(*72) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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誰もが皆 死んでいく
(199) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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[男が鼠を蹴り上げて、 二匹目の鼠は壁にぶつかった。
もがく鼠めがけて、 動揺した男は枕もとの酒瓶を壁に投げつけた]
(*73) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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黒くなって死んでいく
(200) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"生を全うせよ!"
[ガラスの分厚い欠片達が、重たい音を上げて、 もがいた鼠に振り落ちる]
(*74) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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男も 女も
(201) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"生を全うせよ!"
[三匹目、雨のように降る酒とガラスを身に受けながら、 全速力で部屋の隅を駆けていく]
(*75) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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子供も 老人も
(202) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"生を全うせよ!!
[泣き叫ぶ子供の傍ら。 数匹の鼠が走り去っていく。
その内の一匹が 同じ病に弱った鼠が這いずって、やがて動かなくなった]
(*76) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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君主も 教皇も
(203) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"生を全うせよ!!
[綺麗な床の上。 噛まれて怒鳴る貴族の足元には 鼠が一匹転がっている]
(*77) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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修道士も 農民も 医師も
(204) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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"生を全うせよ!!!"
[墓地への埋葬中。 疲れた顔の修道士の傍で、 農民が恐怖に引き攣れた顔で、半狂乱になって踊り続けた。
鼠がそれを、遠くから見ていた]
(*78) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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自らも
(205) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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" 生を全うせよ!!!! "
(*79) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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/* ゲシュタルト崩壊
(-43) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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――――挿絵:ギネス・ヴォルゲムート 《十枚からなる死の舞踏》 1493年、版画
(206) 2016/01/25(Mon) 00時頃
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金がないからって、どうして猫を追い出したりしたんだ!
─── 「路地に書かれた言葉」 抜粋
(207) 2016/01/25(Mon) 00時半頃
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鼠め!!
鼠公め!!!!
全部ぜんぶおまえのせいだ 全部ぜんぶおまえが奪った
わたしの愛しい妻も子も わたしの大事な友すらも
…――――どうして!!!
(208) 2016/01/25(Mon) 00時半頃
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どうして… いっそわたしも殺してくれなかったのだ…
生なんて全うしたくなかった
この生き地獄に残されて 嗚呼、
もうこの街は 死の匂いしか しない
─── ノルデンラーデン伝聞書「告死鼠」より抜粋
(209) 2016/01/25(Mon) 00時半頃
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時の断片の話をしよう。 歴史に名を刻むことなき者らの話を。
(*80) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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[約400年前─── 西暦973年 ウィリディス]
(*81) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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[アウァールス侵攻当時、 領主と共にウィリディス城に篭った者らがいた。
彼らの事情は様々だ。 領主に恩義を感じていた者、逃げるには不安を抱えた者。 よもやウィリデ家が負けることなど夢にも思わず、 家土地のある故郷を離れるを嫌がった者もある。
しかし西暦973年の春、 領主サイラス・ウィリデがウィリディス城の放棄を決めるに辺り、 彼らは否応なしにウィリディスを離れることとなった。]
(*82) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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[領主は食料と水……即ち、 最低限のみを持ち、早急に領を離れよと彼らに通達した。 さりとて人が多くもあれば、そう素直にことが運ぶはずもない。
結果的に、彼らの多くは水や食料の他に、 多くの物資───財産を持ち行くことを選択した。]
(*83) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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「はやく、逃げてっ」
[その声を聞けたのは、そんな民の中のごく一握り。 逃げ出した者らの中でも特に素早く、領主の通達のまま、 食料と野宿用の布切れ一枚程度で逃げ出した者らであった。
飛び出してきた娘が、手早くアウァールス兵を薙ぎ倒す。 その助けに礼を言う暇もあらばこそ、 彼らはこけつまろびつ振り返らず、必死に山野を逃げのびた。
──── 結果的にはこれが、彼らを生かすこととなる。]
(*84) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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[白き死が、圧倒的な冷気が、やがて背後から迫り来た。 アウァールスの手から逃れても、 白き死神の手に捕まり死んだ者らは数多い。
けれど領民の中にはごく少数、 僅かながらもその死をすら逃れ得た者らがいたのだ。 名の知れぬ娘の助けを得て走り、走り、走り───…、]
(*85) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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[後に彼らのうちの一人はウィリディスの過去を振り返り、 こんな昔語りを記録に残すこととなる。 それはウィリディス伝聞書の名で後世の人に当時を伝えた。
章の冒頭に曰く、
『これからの暮らしを期待するには 新しい領主さまはお若すぎたのです』
…────、* と。*]
(*86) 2016/01/25(Mon) 01時頃
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再び、別の視点に光を当てよう。
民は民でも、今度は後世の民である。
(*87) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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[西暦1493年、アトリエにて。]
なー、おっちゃん。 何描いてんの。
[少年は、ひょい。と、 汚れたエプロンを掛けた男の手もとを覗き込む。]
…うわっ。 すっげーーー
(*88) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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悪趣味!!!!
[たくさんの人が、うめきもがいている10枚のスケッチ。 それは一言で表すならば、狂気と絶望が手を組んで踊っているような線画だった。
苦しみ喘いでいるのか身体を奇妙な格好に曲げながらも、救いを求めるように両手を天に伸ばしている。 表情は苦悶、あるいは黒くぐしゃぐしゃに塗り潰されている。
大人も子供も老人も、 偉そうな服を着た人も、ボロ布を巻きつけただけの人も。 まっくろくろすけの顔つきで苦悶の踊りしている光景。]
(*89) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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[そしてその周りを埋め尽くすように――多数の鼠がいた。
他は黒色の線画なのに、目の部分だけ赤い色が使われている。 赤い点々が、いくつもいくつも…
ひとつひとつの大きさは小さいのに、 ぎょろり。と、全部の目から見られている心地がして、
なんだか胃の奥がキュウウと絞られるようで 気持ち悪くなってきた。]
(*90) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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…ギネスー。なにこれ!!!
[青ざめた顔で少年が問うと、男はひとつの歴史を教えてくれた。 鼠によって齎された恐怖と絶望の時代を。]
(*91) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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うげっ、ネズミってこえーーんだ…。
って、あ!!!! 昨日オレ、道端のネズミの尻尾踏んづけちゃった!!!
もしかしてオレも明日こんな風にされちゃう?? されちゃう????!?
[真面目に心配する少年の様子に、男はぷっと吹き出して笑う。]
(*92) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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「大丈夫だよ。ネズミは悪いやつでもないんだ」
えっ。 こんなことしちゃってるのに???
「うん。この時の原因は確かに鼠だったけれど……」
ふうん?? じゃあさー、なんでギネスはこんな絵を描いてるんだ?
(*93) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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「そうだなあ…」
[男は自らのスケッチを見下ろした後、 しばし考える素振りをして。]
「どんな形であれ、生を全うした“彼ら”を
描き残して――――みたかったからかな」
(*94) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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ええええーーー… やぁっぱ、ギネスって悪趣味!!!!!
[呆れたような少年の叫びが、 再度賑やかにアトリエに響いたのだった**]
(*95) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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[西暦1352年 冬の終わりの頃]
[小高い丘の上。 小さな小屋の前に 数匹の鼠と少女が居た]
(210) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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"僕らの数もまあまあ減っちゃったけど、 それに見合う威力は出たねー!" "病気でばったばった いなくなってるもんねー!" "お蔭でご飯取るのもらくちんらくちんー!
"この前 農民が墓でバカみたいに踊ってたの見たんだー" "わー それも病気のせい?" "知能が下がってるんじゃない?" "僕らみたいに数を保てなくなるとそうなるのかも!"
"そうなるとこの後の街の支配も楽にできそうー!"
"順調だ!" "順調だ!"
[先の「作戦」で、街の人間の数も減ったが、 それの代償として、同じ病にかかって死ぬもの 人間に駆除されたものを含め、 鼠の数も四分の一以下にまで減った。
それでも鼠たちは相も変らぬ賑やかな音なき声を上げている。]
(211) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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"さーて、今日は食糧調達を重点的にいこう!" "頑張った自分へのご褒美ー!"
"きみ! 今日は豪華な食事にするよ!" "いつか言ってた 城の「朝のお食事」というのを模倣しよう!" "どんななのかなあ!" "大きいパンとー果物とー"
(212) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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"あ、それとさ! 酒、というのも試してみよう!" "人間が真っ赤になっておかしくなっちゃう謎の水!"
"あれが僕たちにどう有益に使えるかを検証するんだー!" "きみ、水なら飲めるんでしょ?"
"検証手伝ってもらうからねー!"
[倍額、倍額、といつだったかの言葉を囃し立てて。 「お食事」の準備しておいて、と言いつけると、
いつもより少ない、三匹程度の鼠を少女の元に残し、 残りの鼠は、倍の数を増やした食糧調達係と共に、 街へと向かっていった。]
(213) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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[小屋には少女と数匹のねずみ。"準備"のために少女は片付けられていたテーブルをがたがたと引き出してきていた。
──今回は人間と話す必要はないから、と少女はこの巣に留まり、 食料と雌や仔を守ることをいいつけられていた。
ねずみが街の様子を口々に並べ立てる。人との"戦争"は、人間の街に大きな損害をもたらしたようだった。]
……慢心、というのはあぶないものです 最初というのはだいたい。 調子がよいと思うものです
[順調順調。という声と対象に、微かな心配を滲ませて、 剣の娘はねずみたちにそんなことを言った。]
(214) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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[剣は"戦争"という言葉をきいたときに、噛み返されませんか。とだけ、ねずみに言った。それでも、貪欲に生活環境の改善を求めるねずみたちを止めることをしないのは、剣が人間の味方というわけではないからだろう。
ねずみらの交渉の中で、逃げたウィリデ家の行く末について尋ねてみることもあったが、当時敵対関係であったアウァールス方面には逃げてきてはいないと、聞いていたせいもあった。]
(215) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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── "戦争"に、つれていかれないというのも 初めての経験です。
[食事の準備をいいつけられた剣の娘は大真面目な顔で、特に使っていなかったテーブルを居間に戻した。埃が舞う。]
パンに、水と、果物と……
… お酒ですか?
[ねずみが並べる中に、朝には並ばない名称が上がり問い返す。検証、飲めないわけではないだろうが──考える言葉は、倍額倍額、と作った借りを言われて、喉の奥にしまわれた。]
(216) 2016/01/25(Mon) 01時半頃
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ただ、その言葉を飲み込んだのは。
きみも。と、言われた言葉が、なんだか少し、
──きみの意見は? と
そうはじめて問われたときに感じたものと 似ていたせいだったでしょうか。
(*96) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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酔う かはわかりませんが、 では、無事おかえりになられたら おつきあいします。
[そう出立するねずみには答えて。──お気をつけて、と 街へ向かうねずみらを、小屋に残る剣は送り出した**。]
(217) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[―――ノルデンラーデンの街。
大きな道の隅。酒場の裏。噴水広場。 …それどころか、家の中さえ。 人影は一つも見当たらない]
"みんな死んじゃったかな" "かなり減ってたもんねー" "支配どころじゃなくなったね"
"まあ、幸い荷物はそのままの家が多いみたいだし"
"なんかやばくなる前にゲットして帰ろうー!"
(*97) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[一家が死んだ空き家の裏戸から裏路地へ。 乱暴に書かれた文句が残る壁を伝うように。
小ぶりな酒瓶の端に結わえた紐を口に、 ずるずると引っ張って数匹の鼠は行く。]
[ふいにその内の一匹が鼻を引くつかせて、顔を上げた。]
[―――遠くに、甘いにおいがする]
(*98) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[――――そこで、その鼠の意識は途絶えた]
(*99) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[戸棚の奥から見つけた大きなクッキーと、 チーズを咥えた二匹の鼠が、 いつか家族と友を失い嘆き叫んだ男の家の窓から顔を出す。]
[窓の外から繋がるすぐの雨どいで、 鼠が数匹 泡を吹いて動かなくなっていた]
[鼠の意識はまた途絶える]
(*100) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[大通りの端に積まれた樽の影。 パンを咥えた鼠たちが走る。]
[大通りの真ん中。 誰も居なかった街に、 複数の赤い目は、ようやく人の影を見た。]
(*101) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[それは杖をついて真っ黒なコートを着た、男かと思われた。
…正確じゃないのは、フードを深く被り そしてその顔は 骸骨の鳥のようなマスクで 覆われていたからだ。]
[その恰好を鼠は知っている。 黒死病の患者を診る人間たちの姿に、それは似ていた。
ただ、その人間達が持つ杖と、男の杖の形は少し違うし、 それらよりも少し長い。老人が地面を着くための杖ほどだ]
(*102) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[男はかつん、と地面を杖で突いた。 杖から何か、水のようなものが出た。
ぱしゃりとそれらは地面を濡らすと、 瞬く間に気化して、濁った紫のような色の煙になった。]
[煙は大通りに音もなく広がって
…それを見ていた鼠の意識は そこで途絶えた]
(*103) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"… ん あ んーー" "なんかやばいかも?"
(218) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"たぶんきみと同じ武器が 僕らを攻撃してきた"
"どんどん 数が減ってきてる"
(219) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"なんだろ なんか 水みたいなの" "すぐ 紫色の煙になる"
"吸うと死んじゃう みたいだ"
[少女の肩の上。語る鼠の声から、 少しずつ少しずつ、いつもの賑やかさが減っていく]
[その代りに発せられたのは 言葉にもならない 焦るような念だった。
この鼠は、少女との会話には言葉を多用し、 不明確なものを避ける傾向がある。
言葉にならない不確定な意思というのを発した事は 少女と暮らした数年で 今までかつてあったことがない。]
(220) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"罠 だったのかもしれない" "きみ、「朝のおしょくじ」は 取りやめよう"
"すぐ 街からにげなきゃ まずい"
[肩の鼠は、街の方を向いたまま。 赤い目を瞬きすらさせず、まるで凍ったように固まっている]
[肩の鼠だけではない。 残った三匹の鼠も、街の方角を向いたまま 固まったように動かない]
(221) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"―――あれ?"
"おかしい な 出口につかない"
[少しずつ 少しずつ 子供のように高い、早口な声が途切れになっていく]
(222) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"確か 穴を つたっていけたのに"
"あれ? どこだ"
[あれだけ毎日通った筈の街。 記憶と経験を共有した鼠に、通れぬ道は無かったのに]
(223) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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"ぼくら いま どこにいるんだ?"
[―――鼠の向く方。
街の方角からは、 霞んだ紫色の煙が 音もなく上がっている]
(224) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[小屋に留まる娘の肩に乗るねずみが、不意にとまどったような言葉を発したのは、空にまた陽があるうちのこと。]
やばい?
(225) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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同じ武器
[ねずみ言葉を反復する言葉は、 疑問系にはならなかった。 エアのことだろう。ちり、と嫌な予感があった。]
どんなことをしてくるか わかりますか
[虫に食われたテーブルクロスを広げる間に、 声、そのものに変化があった。]
(226) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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|
[じわ、と嫌な予感がさらに広がる。 それが決定的になったのは、言葉ではなく、──それになりきらないものが届いたという事実だった。]
──── どこに、って
わからないんですか
[問い返す間に、先ほどの焦りが、 病のように伝染してくる。]
(227) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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[ねすみたちは、会話を好んでみえていた。 これまでの五年、質問、不平、思考、 なんでも言葉で交わしてきた。
こんなことは、いままでになく、 なにか、それも急激な変化が、 たった今起きているのに違いなかった。]
(228) 2016/01/25(Mon) 02時頃
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────、
[扉を開けて、外へと小走りに駆け出す。 スカートの黒裾が翻った。
食事会が中止ならその準備も中止だ。
そう判断を下して、そのまま畑脇の納屋に飛び込む。]
… 助けに、いきましょう
[がさがさとためてあるどんぐりや麦を詰めた麻袋、 それにその他の枝などの資材を書き分けて、 前の持ち主がここにおいていったナタを掴み出した。]
(229) 2016/01/25(Mon) 02時半頃
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[助けへ行こうという少女へ、 鼠は答えを返さず、肩の鼠は そのまま少女の肩で固まったように動かない]
[駆けだした少女に 鼠は細い手に力を入れてなんとか掴まった。
鼠が何を言う前に、鉈を掴んだその手を 動かなかった赤い目が、僅かに追いかける]
" うん "
[そこでようやく鼠は僅かな返事を返した]
(230) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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[街へ向かう道を走る少女の肩の上。 ぽつぽつと途切れた音なき声が少女の元に届く]
" こまったな " " みつからない どっち だろ "
" この赤い たてものだったじゃ なかったっけ "
" あ だめだ 川沿いどおりのほうは あいつがいる "
[襲撃者から逃げているのだろうか、 零す言葉は、少女に向けてか]
(231) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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" かずが たりない "
" ご、 ろく、 、 …いっぱい、"
" いっぱいしんだ "
[……それとも、それを考えることも出来なくなったのか]
(232) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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だめだ どんどん わからなくなる
どっちへ行けばいいんだ?
いっぱいしんだ
かずが わからない
(*104) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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このまましんだら
「ぼくら」はどうなるんだ?
(*105) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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もしかして 死んじゃうのかな
(*106) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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[焦りの念はじわじわと大きくなり、 それらはやがて段々と恐怖を感じているような、 言葉にならない念に代わっていく]
(233) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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[ナタを片手に半ば納屋のドアにねずみの乗らない反対の肩をぶつけるようにして外に転がり出た少女は、よろめきかけながらも体勢を持ち直して、そのままに丘を一気に駆け下りる。 人ではない体は肺や心臓が疲れるようなことはない。休憩を挟まずに、街まで駆け抜けきれる。]
はい。 落ちないでくださいね
[頷きに、駆ける足の速度を上げる。 目指すのは街の周りを囲む壁だった。]
(234) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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[肩のねずみからは、途切れ途切れに 混乱が続いているらしき声がする。]
───"音は。"
"音は、" "どうですか" "聞こえますか"
[舌を噛む危険を避けて、走りながら思念を飛ばす。きり、と唇をかんで、まっすぐにまっすぐに黒いリボンを靡かせて駆けて、駆けて、駆ける。]
(235) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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こわい
(*107) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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[嫌な予感が足を動かす。地面を蹴り上げる力の弱さがもどかしい。街の壁が見えて近づくその速度が遅く感じてたまらなかった。]
いま、つきます 東の壁を、こわします
[ナタを握りしめて、逃げ道をつくるとねずみに伝える。もし、音が聞こえるならば、鉄の刃で壁をたたき続けるつもりだった。]
(236) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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だめです。 だめです。
(*108) 2016/01/25(Mon) 03時頃
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[たんっ と手が崩れかけた石壁にたどりつく。 飛び込んだ勢いを片手で殺して、そのままにナタを壁に向けて振り上げる。]
… ごめんなさい。
[つぶやく謝罪は本来の用途とは違う使い方をすることになるナタへ向けられる。たぶん痛いだろう。とわが身に重ねながら、それでも、勢いを殺すことなく、振り上げられたナタは石壁にぶつけられた。]
[ ぎんっ!! ]
[鉄と石がぶつかる重くも高い音が周囲に響き渡る。一度では終わらず、二度、三度、音は続く。]
(237) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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[聞こえますか、と聞かれた問いに 肩の鼠からはすぐさま返らなかった]
[休みもなく走り続け、街の壁に着いた。 壁に鉈が打ち付けられて、硬い音が何度も何度もなり続ける]
[その音が、肩の鼠の耳にも響く]
(238) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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ちがう
死なない
(*109) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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だって生きてる
きみのかたにも 生きてる
(*110) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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もっともっと、たくさん
いっぱい、 生きてる
(*111) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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僕らは わからなくなるけど
それでも 生きてる
(*112) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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[ふっ、と 言葉にならない恐怖の念が止んだ。
代わりに、必死にもがくような 緊迫した念が伝わる。 決して苦しみ喘ぐだけのものではなく。
意志を持って、何かに進むような。
言葉にならない念が届く]
(239) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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[街の隅、人も入れない狭い隙間を 十数匹の鼠が走る]
[かつん、かつんと どこかで杖を鳴らす声がする]
まだ だめ
まだ もうすこし
[鼠たちは息を止めて、
ひたすら ひたすらに走り続けた]
(*113) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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そう、 これだけはやらなきゃ、
(*114) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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[重い音のする方へ]
[高い音のする方へ]
(*115) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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[―――鉄と石がぶつかる音の中。 ふいに肩の鼠が、子供のような音なき声を上げた]
" ねえ きみ "
" ちょっと ききたいんだけど "
(240) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
|
" きみ、わすれてないだろうね " " ぼくらに 言ったこと "
" どうすれば むだなく
道具として さいこうの 生を 全う できるか "
" あのとき きみ なんていった? "
(241) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
|
[―――それは、 少女と鼠が重ねた会話とも似た、
拙いながらも賑やかな声をしていた]
(242) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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|
[振り上げられたナタが、風を切る。]
っ [ ぎんっ! ]
[刃が石にもぐりこみ、砕けた石つぶてが飛ぶ]
[ ぎんっ! ] [ っが ]
[皹ができたその隙間に向けて、分厚い金属をたたきおろす。 止まず、何度も、連続してその音は続く。]
(243) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
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あたりまえです。生きてます
生きてます。
生きてます。
(*116) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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|
───〜生きてるのだから。 生きて、生きてください
(*117) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
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[ぎんっ、と高くて重い音またひとつ]
っ
[手にびりびりと反動がかえって、 石つぶてがむき出しの腕にあたる]
(*118) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
|
[無茶振りのように繰り返し繰り返し口にされる言葉は]
また 諦めるだなんて。
そんなの、私は いや です
[或いは、呑んだ拒絶のかけらだったか。]
(-44) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
|
[幾度目にか、食い込んだ刃が、深々と壁につきたった。]
──っ 忘れ、てま、せんっ
[肩からのねずみの声に、答えるのは力む声。]
(244) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
|
使い手の、理解っ を、する ことだと こたえ、っ ました [たいへん、悩んだので、覚えています。と、言いながら、 はまりこんだナタを引き抜くと、がらり 壁の一部が崩れた。]
(245) 2016/01/25(Mon) 03時半頃
|
|
" そっか " " うんうん "
" なるほどなるほど"
" いいね。 ちょっとかんしんした "
[返る答えは、どこか 上機嫌そうに]
(246) 2016/01/25(Mon) 04時頃
|
|
" それじゃあさ "
" きみとぼくは ちょっと…すこしの間を いっしょにいたわけだけど "
" きみには まあ " " ちょうほうかつどうとか" " のうぎょうとか" "
" いろいろ いろいろ やってもらった わけだけど "
(247) 2016/01/25(Mon) 04時頃
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|
" きみは ぼくらとすごしたなかで きみのなにが 一ばん やくに たったとおもう?"
(248) 2016/01/25(Mon) 04時頃
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" つまんないこたえは きゃっかきゃっか "
" だめです だめです "
[かつての囃し立てのごとく。 いつかの少女の言葉を重ねる]
(249) 2016/01/25(Mon) 04時頃
|
|
[ねずみたちの面白がるような声が、ここ五年ほど毎日毎晩そうだったように、やいのやいのとはやし立てる。]
どうしてそう、いつも、悩むこと ばかり !
[ナタは崩れた壁の周囲に振り下ろされて、 少しづつ出口の穴を広げていく。]
(250) 2016/01/25(Mon) 04時頃
|
|
[―――広がった穴から、駆けてくる鼠の姿が見えた。 数は9匹。全速力で路地の煉瓦を駆けてくる]
(251) 2016/01/25(Mon) 04時頃
|
|
農業、うまくいきませんでした 情報収集、みなさんが家の中できいてくることの方が おおかった ですっ
[その上、剣としてはやくたたず扱いだ。 "戦争"では、お留守番。]
(252) 2016/01/25(Mon) 04時頃
|
|
…〜〜わかりません
[幾分、悔しそうに少女は白旗をあげた]
だって 他に、ずっと、してたの、
お話、ぐらい、です
[がらり 壁が崩れる。]
(253) 2016/01/25(Mon) 04時頃
|
|
[少女の悔しそうに聞こえる返事に。 無表情じゃなさそうな声に
鼠は不満の声を上げるわけでもなく]
" ぴんぽーぶぶー "
[いっそ、ご機嫌そうにそう言った]
(254) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
" おしいおしい "
" もうすこしがんばりましょー "
" またこんどー"
(255) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
僕らが きみをすばらしいっておもったのは。
(-45) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
いまも そう、 この 会話だ。
これのせいで、僕らは気づいてしまった。
僕らは、人間を羨ましいって 思ってるって。
(-46) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
言葉を介さなきゃ 碌に意思伝達もできないくせに
すぐ仲間で喧嘩して、自滅していくくせに
限りある生の元で生きてるくせに
まともな生を全うすることもできないくせに
それでも、歌とか 踊りとか 意味のない、でも不思議なものを作っていく
そんな、生に「余裕」があるいきものに。
(-47) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
羨ましい。 羨ましい。 羨ましい。
(-48) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
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きみも まるで人間みたいなきみも いつか 余裕を持つ日が来るんだろうか。
人間みたいな生活ができて、 でも簡単には死なない。
僕らが思った、「よりよい生」に、辿り着く日が。
(-49) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
羨ましい。 羨ましい。 羨ましい。
(-50) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
―――でも、ぼくらは。
こんな感情があるって、 こんな変な感情があるって気づいたとき
とっても とっても、興奮したんだ
(-51) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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|
お腹が空いたから食たいわけでもない。 眠たいから寝たいわけでもない。
知らないものを、知った。 それが、とてもいいことに思えたって。
これこそ、僕らが手に入れた「余裕」なのかもしれない。
(-52) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
もうじきぼくらはその余裕を、たぶん忘れてしまうだろう。
(-53) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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|
それでもきみはいってた
もう動かないことがわかっていても、
「大切にしていただいた方であること」は、 壊れてはいない。
それは、自分が覚えていることだから。
(-54) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
じゃあ、
僕らは忘れてしまうだろうけど 分からなくなってしまうだろうけど
なくならないものもあるのだろう。
きみが、覚えてくれるなら。
きみが、わかってくれるなら。
(-55) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
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わかってほしくなんか ないけどね
(-56) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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" ねえきみ またこんどだから "
" さぼっちゃだめだよ "
" たいだわ ぼーとく "
(256) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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" だから きみ "
" ちゃんと かんがえておくんだよ "
(257) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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だから、せいぜいかんがえてもらおう
(-57) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
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" ぼくらわそうやってすごしてきたんだ "
(258) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
" ぼくらわそうやってすごしてきたんだ "
(-58) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
[少女の広げた穴に、9匹の鼠が飛び込む。 後を追いかけるような人影は穴からは見えなかった。
少女の周りで鼠たちは 赤い目で少女を見て、鼻を引くつかせるも]
[何も語らず、動かない。]
(259) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
にんげん。
なつかしい、き、が、する。
なつかしい、すみか、みたいな、かんじ、
(-59) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
わからない。
わからなく、なった。
(-60) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
どう、すれば、いい、ん、だっけ。
(-61) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
|
そうだ、 ほんのうを、おもいだせ
(-62) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
|
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そうだ、 ぼく、 、 わ ぼく わ、
いかね ば。
(-63) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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|
いき ねば 。
(-64) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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|
ぢっっ 、
[少女の肩の鼠が、急に暴れ出す。 慌てたように肩を降りると、地面に転がり。
少女を威嚇するように、毛を逆立てた。 他の9匹も動揺に、少女を威嚇する。
―――――― まるでこの 十匹の鼠は、 少女の事をかつての少女だと 認識できなくなったように]
(260) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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ぴんぽぶぶーってどっちなんですかっ
[おしいおしいといいながら、 ねずみは少女をはやしたて、] …また そうやって難しいことをいうんです
[答えは自分で考えろ。と、おいていかれた宿題に、 娘が眉をよせた拍子に白い姿が 壁の穴からぴゃっと飛び出した。]
(261) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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! あしもふさんっ
[少女が声をあげる。ナタがそこでようやく下ろされて、]
(262) 2016/01/25(Mon) 04時半頃
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[肩から、ねずみが飛び降りる。]
あしもふさ
[ちぃっと威嚇に、呼びかけがとまった。]
(263) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[センスが絶望的に悪いと、そう詰った名前にも 鼠は声で答えることは無く]
[ただ]
(264) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[鼠の尻尾が天へと向いた。]
(265) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[長い尻尾を 左から右に。
そこで止める。]
(266) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[いつか、彼女のはなしのもとに鼠たちが作った 敬礼だった]
[いつか、贈る言葉と共に、少女に向けた敬礼だった]
(267) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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『 お互い、 生を 全うしよう 』
(268) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[かつてそう言って、向けられた敬礼を
知性を失った鼠たちが少女に向けたのは、 偶然故か、経験故か。]
(269) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[やがて、尻尾を下すと]
[赤い目で、少女を数秒だけ見た後に] [鼠たちはその場から 静かに去っていった。]
(270) 2016/01/25(Mon) 05時頃
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[ ―― ]
(*119) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[正史に残らぬ鼠の戦争のその隙間。 とある下級労働者たちの真夜中の会談に彼らの名が再び浮かび上がる。
西暦1351年、夏。それは真夜中の農園でのこと]
(*120) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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「だめだ、モーリスたちと連絡がとれねえ。 南の領は流行り病で壊滅だ」
「モンドはどうだ」 「あっちはまだ無事だが足止めを食ってる」 「まだ領地の中だ」
「警邏が増えた」「尾行けられてないか」 「ワットが捕まった」 「首吊り峠にまた…」
「ただの一振りでもいい、エアさえありゃあ――」
「門が閉ざされた。手形が必要になったらしい」 「もう他所と連絡もとれやしねえ」「どうする」 「どうする」「中央への直訴も水の泡だ」「どうする」
(*121) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[まくらな闇の中に男たちの潜めた声がある。
ここはノルデンラーデンの街の外れの古びた貯蔵庫。 鍵の管理を任されている農民も、真夜中の農園の一員だった。 今宵も領主の目を盗み秘密の会談が開かれる]
(*122) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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――おい、ミツボシはどうした。
[今まで囁きに混じらなかった男の声がした。 寡黙とはいえいつまでも混じらぬ声にひとつ問いを投げる]
「 …、 」
[静まり返った闇の中で誰かが何かを窺う気配を見せた。 そしてひどく歯切れ悪く、言いにくそうに。
今朝方、腐った川に捨てられていたのだと告げた。
曰く、ワット一家を逃がしに向かったのだと――]
(*123) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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くそ g ん むぐ !!!!!
[感情とともに吐き出した男の声を、ずんぐりとした手が慌てて覆った]
…………。
[口を塞がれたままぎろりと睨み付けるが、ずんぐりとした影も引かない。 睨み合うこと数秒。男が鋭く小さく首を振った。手が退く。 男は息を雑に吐き、くたびれたハンチング帽を脱いでわしわしと髪を混ぜ、目深に被りなおす]
(*124) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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いいか、俺たちはもう限界だ。
…ブレンダのところの赤子は飢え死にだ。 乳も出やがらねえ。
鍬のひとつも握れねえ奴らの家は俺たちの墓より上等だ。
おい、ランタンを貸せ。
…。
…ライジ。 ランタンだ。
[ライジと呼んだ影の手からランタンを取る。 灯りが照らし出すのは貯蔵庫に詰まれた食料だ。 薄汚れてぼろを着た男たちの姿も浮かび上がる]
(*125) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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ここにあるもんは全部ピゲルの野郎のもんだ。 俺たちに鍵をもたせてんのもそいつを見せ付けるためだ。
次はなけなしの自由か? 上等じゃねえか。
(*126) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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――反乱だ。
(*127) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[言って赤毛の男が麻袋のひとつから麦を掴んだその拍子]
っ ――― てぇ
[徐に麦の粒ごと腕を勢いよく払いのけた。 何かが柱にぶつかる鈍い音と小さな悲鳴が重なる。 灯りを巡らせ見ればつぶれた鼠が一匹落ちていた]
ちっ ねずみか。
[舌打ちひとつ。 噛まれた手を振り顔を顰めたが、すぐに仲間に向き直る]
(*128) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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東のケヴィンに連絡を取る。 夜明けにゃ決行だ。 エアがねえなら鍬を手にとるまでだ。
ハデにやりゃ門は手薄になるだろうよ。
ラッドはモンドに伝えてそのまま同行してくれ。 センセイも連れてきな。 首尾よくエアを外で手にいれられた時に必要だ。 事が済んだら、好きなだけピゲルのエアでも研究するといいさ。
おら、解散だ。
今夜は指を咥える必要はねえ。 好きなだけもってけ、家族にたらふく食わせてやれよ。
[鍵番の農奴――アンタレスはランタンを消すと貯蔵庫の扉を開け放すと、鼠の噛み跡のある指先で回した鍵を夜へ放り投げた]
(*129) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[西暦1351年の夏の夜明け。
真夜中の農園と呼ばれた男たちは小規模な反乱を同時に起こし、後に反乱の主導者たるモンド・タイラーを中央に向かわせることに成功した。 直後に起こる大鼠害からもタイラーは守られることになる**]
(*130) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[走り出したねずみが、
長い尻尾を 左から右に。
そこで止める。]
(271) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[ぐっと、口が真一文字に結ばれた。
指をぴんと伸ばした白い手が、 肩の左から右におかれて、
そのままねずみの去った方へ体を向け続け]
(272) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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[やがて、 歩き出すのは *少女の姿*]
(273) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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(274) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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■西暦1352年
黒い服をきた少女が、ねずみをみていないかと 民家を訪ねてきた話が家族へ送られた手紙などに見られる
伝わる身なりから《鼠取り》と 同一視する向きもあるが 活動が見られるのは一年未満と短く つながりを確認できる証拠は *なにも残っていない*
(275) 2016/01/25(Mon) 05時半頃
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