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[ 仄日。正しくはソクジツと読む名。 即ち西に傾いた夕日のことである。 逢魔が時。大禍時。誰そ彼時の光。]
(2) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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──回想/各務公陽──
[ 知らないから聞いた。 端的に返ってきた答え>>392に、 私も、そう。と短く頷いた。
他人を恨んでいる人間。 中らずと雖も遠からず。
黒江仄日を訪ねてくる生徒たちの、 どれとも違う振る舞いを愉快に思い、
口を滑らせた。 ──という慣用句が不似合いな程度には、 意図的に、言葉を吐いていた。]
(3) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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恨んでいるようにも見えないのに、 他人を追い詰めるのが上手な人間に。
(4) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 隣の席を示す指>>1:393。 性格悪い、と指摘する声は、 やはり軽い調子に聞こえ、
馴れ馴れしいな。と思いながら、 隣の椅子との距離を、少し離した。]
──被害者面。 そういう顔でしょう。生まれつき。
……別にいいけど、 私、隣り合って話すのも好きじゃないの。 親しくない人とは、特に。
[ 斜めに角度をつけた椅子。 彼がそこに移動するならば、止める気はなく。]
(5) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 同類。同族。 性格が悪い。と言われるこちら側。
──と、思わなかったのはなぜだろう。 そう黒江仄日は何度か考えた。 今もうまく言語化できずにいるが、恐らく、]
(6) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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私、安住さんのこと、 嫌いじゃないわよ。
[ 好きでもないけど。 という、声にならない言葉も、 聡い男であるなら、察したかもしれぬが、
被害者面。そう呼んだ声に滲むのは、 軽蔑。呆れ。苦い味の類。そう感じた。
恐らく、それだけだった。*]
(7) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 身を乗り出して、地上を見る。 赤い血だまり。赤い光。 口元を覆った指先の、赤い爪。]
(8) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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──文化祭当日──
[ 悲鳴が上がるのを、上階から聞いた。 窓から外を見下ろしていれば、 じきに、周囲には人が集まっていた。
何かを抑えるように、 口元を覆う私の細長い指。
嘘でしょう。 そう叫びそうになるのを、懸命に堪えている。]
(9) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 嘘でしょう。こんなことになるなんて。]
(13) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 細い指、赤い爪の下で、 引き攣れんばかりに零れる笑みよ。]
(14) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 誰かが、救急車を。と叫んでいる。 言葉未満の悲鳴をあげる者がいる。
私はただ、その騒動の渦中で、 安住英子だ。と、小さく呟く。]
(16) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ 確かにその時、私の心を満たされた。 親愛なるA子。その瞬間だけは愛しいあの子。**]
(17) 2018/10/17(Wed) 00時半頃
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[ もう随分と長いことそうしていた。]
(60) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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──文化祭当日──
[ その身体から血液が流れ出ていくのを、 随分と長いこと、見つめていた。
窓枠を握り締める手指。 人々の喧騒も遠く、ただひたすらに、 その、動きもしない身体を、 食い入るようにして、見つめていた。
都合はいいけどどうでもいい。 黒江仄日にとっての少女Aが、 大禍時に運んできたもの。]
(61) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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[ その身体が白い車両に収められ、 どこかに連れられていくまでの過程を、 窓際の特等席で見届けてから、
私は、先程返事をしなかったメールを開く。
先のものとは違い、感想は? とは聞かなかった一報。 第三者の目にも触れたという事実。
この一連の出来事に、 私の指が、舌が、絡み付いていたのなら、 作者冥利に尽きる。と微笑む。]
(62) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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────────────── To 万年青 常彦 From 黒江 仄日 ──────────────
安住英子が落ちた。
──────────────
(63) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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[ どうにも興奮気味であったらしい。 指先の赴くままに送りつけた一文と、 直後に届くであろう、追加の一言。]
(64) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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────────────── To 万年青 常彦 From 黒江 仄日 ──────────────
言ったでしょう。祈れば届くと。
──────────────
(65) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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[ ……クラスメートの感想はいかがだろう。 頭がおかしい、性格が悪いなどと、 それが正常と疑わぬ調子で、 滑らかに紡がれる批判の言葉を想像し、 恐らく、然程外していなかろうと結論づける。
それでも、あの本が読者のやさしい日常を、 或いは私の倦んだ日常を崩す一助となれば。
そう思い、久々に明日という日を心待ちにする。**]
(66) 2018/10/17(Wed) 09時半頃
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────────────── To 万年青 常彦 From 黒江 仄日 ──────────────
花実が咲くのを期待しましょう
──────────────
(140) 2018/10/17(Wed) 22時頃
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──翌日──
[ いつも通りに登校した。 ネイルは昨晩のうちに落とした。 どことなく、空気は重く、 黒江仄日はその制服の集団の中、 ただ、まっすぐに前を向いていた。
無事を祈りましょう>>116。
そう言ってもらえる程度には、 助かる可能性があるのだなと、 そんなことを、考えていた。]
(141) 2018/10/17(Wed) 22時頃
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[ 当たり前のように無事を祈る。 その意味が分からないのだけれど。]
(142) 2018/10/17(Wed) 22時頃
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──そうね。助かるといいわね。
[ 戻ってきた教室で、 隣の席の生徒が眉を八の字にし、 物憂げな声で同意を求めてきたので、
同じように眉だけは下げ、 穏やかな声で、そう答えてやるなどする。*]
(143) 2018/10/17(Wed) 22時頃
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──文化祭当日──
[ 窓の傍に立ち、地面を見下ろしていたのだ。
私の周りは騒々しかった。 身近な場所で誰かが血を流している。 そのことに、間違いなく、みんな、 興奮だって覚えていたんでしょう。
ドラマみたい。って、 死んでるのかな。って、 ニュースになるかも。って、 明日休みにならないかな。って、
性格の悪いこと。考えたくせに。]
(181) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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[ ──一際、大きな声がした>>124。 それを制止する声も聞こえたので、
私は、落下の痕跡を、 それを覆い隠そうとする人の蠢きを、 眺めるのをようやくやめ、振り向いた。
狼狽したような長身の男子生徒が見え、 私は、何それ。と思わず笑った。]
(182) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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──回想/加賀公陽>>102──
同じよ。もう染み着いて、 いつだって、意思の弱そうな、 私は弱者ですって顔。してるじゃない。
[ 遠慮なく隣にやってきた男>>102を、 ちらりと一瞥して、答えたのだ。
嫌いじゃないわよ。>>103
安住英子に思い入れなどもない。 大した温度もない声音は、 そのまま伝わったようで>>104、 各務公陽は黒江仄日の数倍は、 自分の思い入れを語った。滔々と。]
(183) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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──いいえ、おもしろいわよ。
[ 人差し指を立てる仕草>>104に、 すうっと目を細めて、私は言った。]
おもしろいわよ。 傷つけばいいのに。って言っても、 そうする気はないんでしょう。 その、うじうじした感じは。
[ 秘密。と言われて、私は曖昧に、 そうね。と答えた。いつものことだ。
人なんて、嘘をつくし、 そんな約束に大した意味はない。 と思いつつも、破る気も然程なかった。 少なくとも、そのときは。]
(184) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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……安住英子のこと、好きでもないわよ。 確かにそう。各務くんの言う通り。
3年の不良──葛くんかしら。 相関図に彼を交えたって、 そりゃあ、ありきたりな話よね。でも、
[ 知ってる。崩すなら安住英子みたいな、 自分の意思が希薄で、ひ弱な人間からだ。 だけど、ちょっと遊ぶくらいいいでしょう。 って、ほんの気まぐれに、言葉を紡ぐ。]
(185) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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ねえ。各務くん、知ってる? 大事件なんて、早々ないの。 なら、よくある話で、 気を紛らわせるしかないじゃない。
[ じいっと、その時ばかりは、 各務公陽の目を、まっすぐに見ていた。 そうするべきだと、思っていた。
上がった名前>>105に興味を抱き、 少しのやさしさか、礼のつもりをして、 黒江仄日は、いっとう目を細めて言う。]
(186) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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安住英子がいつか、傷つけばいいわね。 あなたの、各務くんのために。*
(187) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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[ ──そのくせ、どうして声を荒げるのでしょう。*]
(188) 2018/10/17(Wed) 23時頃
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──翌日/掲示板前──
[ 一旦、教室に向かったはいいものの、 結局のところ、授業はないのだから、 することといっても、何もなかった。
部室の片づけでも済ませようか。 と思い、荷物を教室に置いて、 最低限のものだけを持って教室を出る。
片付け。といっても、 ゴミ捨てくらい残していない。
昨日を過ぎても残った部誌は、 自身の綴った白い冊子は、 すべて、捨ててしまおうと決めていた。]
(198) 2018/10/17(Wed) 23時半頃
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[ 形ばかりの顧問は、 過去の部誌の残部を捨てることに、 はじめこそ「そこまでしなくとも」と言ったが、
私が卒業すれば部員もいなくなるのだ。 という話を重ねるうちに、 各号の一冊ずつを残すことで同意した。
──かくして、紙ばかりつまった、 大きなゴミ袋を提げ、そこに立った。]
(199) 2018/10/17(Wed) 23時半頃
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[ そこから立ち去った先客>>171が、 以前文芸部を訪れた部員だ。と、 気が付いていたが、はて。
どうして部員が、そんな顔をして、 そこに立ち尽くしているのだろう。 これは、あなた達の制作物のはずだ。
そう思い、目を通すことを優先した。 無責任な囁きを煽るような文言に、 ああ。と思い、スマートフォンを取り出す。]
(200) 2018/10/17(Wed) 23時半頃
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────────────── To 万年青 常彦 From 黒江 仄日 ──────────────
読んだわよ。よかった。 写真なんて、いつの間に?
──────────────
(201) 2018/10/17(Wed) 23時半頃
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[ ……自然と、微笑みを宿していた。 そのまま足早に歩き出し、声をかける。]
──伏見さん、おはよう。 なんだか、雰囲気が変わった?
[ 単純に、その女がどんな思いで、 あの場所に立ち、そして去ったのか。 関心以上に、疼いたのは悪戯心だろう。]
……今日の新聞も、 いつもと随分雰囲気が違うのね。
[ そして、浮かべているのは笑みであった。*]
(202) 2018/10/17(Wed) 23時半頃
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[ われわれ自身の享楽を目的とする。]
(227) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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──現在──
[ 伏見美鶴は、どうやら機嫌がよさそうには見えない。>>219
雰囲気が変わった。という指摘に、 それ以上の返答はなく、 女の化粧の腕や持ち得る技術など、 一昼夜で大きく変わることなどないと、 思ってはいたが、気に留めなかった。
ただ、彼女が一瞥した方向>>219と、 そこに残る人々の群れ。
それに、やはり私は笑いを零し、]
(228) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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われわれ一人ひとりの気が狂うことは稀である。
(229) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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[ 何が面白いのか。という問いかけ>>221に、 ごく率直に答えるつもりで諳んじる。]
──読んだ? ……そういえば、あの本。 返してもらいに行かなくちゃね。
[ 棘のある視線から、微笑みを隠すよう、 片手を、口元を隠すように顔に寄せ、]
みんな、寄ってたかって、 馬鹿みたいに騒いでるっていうのに、 あなたは、つまらなさそうね。
[ その方が奇妙だ。と言わんばかりに、 黒江仄日はただ、騒がしい生徒らを見つめていた。]
(230) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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[ 気が狂っている。みんな、病気だ。**]
(231) 2018/10/18(Thu) 00時半頃
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──現在/ゴミ捨て場へ──
[ 女といくらか言葉を交わし、 黒江仄日は当初の目的に戻ることにした。
ゴミを捨てる。燃えるゴミの山を。 紙の山はそれなりに重く、 とっとと捨ててしまいたい気持ちならずっとあった。
その道中で、ふと立ち止まる。 見知った顔があった>>210ためだ。]
(271) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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[ 悪意は育つ。膨らむ。芽吹き、花実をつける。]
(272) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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──各務くん。
[ 重いゴミ袋を提げていた。 立ち止まるのと合わせて、 だらりと腕を下げたら、 それは地面にどさりと落ちた。
ほんの、悪戯心が芽生えた。 陽射しの強い晩夏の日に、 黒江仄日の目も口も三日月を象った。]
(273) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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良かったじゃない。 望み通りになって。
(274) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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[ ポケットの中で、スマートフォンが二度震えた。 まだ見ぬ問い>>260に答えるのならば、そう、 良い肥やしとなったとでも言うのだろう。**]
(275) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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──現在/ゴミ捨て場──
[ 前夜祭、赤い炎の周りを囲んだとき。 昨日、ステージに立っていたとき。 或いはいつか私の部屋で見たとき。
そのいずれとも異なる表情>>283に、 私はやっぱり、いつもより楽しい。
つまらない、繰り返しの毎日。 導入部分をようやく読み終えた。 きっと、そういった感覚に近い。]
(314) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ いつか、黒江仄日の見た各務公陽は、 その後、同じ箱に住まう者同士として、 時折見かけることのあったその男は、
彼の口からも第三者的に語られる、 三年の不良ともまた違って、 表情の薄い男であった。
苦笑。戯れのような手つき>>285。 それを、手で払うようにして避けながら、 警告めいた言葉>>286を受けたことを思い出す。
去り行く姿に、その時は言わなかった。]
(315) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ 知っている。そんなこととうに知っている。 自身の欲なら、自身でどうにかすればいいのだ。]
(316) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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そういう顔もするのね。
[ 淡々と言った。じっとその顔>>287を見て。 いくらか堪えた様子の各務公陽は、 何かを後悔したりするのだろうか。はて。
自殺かな。と彼は言った。 いくつか可能性を考えるように首を傾げた。]
自殺かもしれない。 誰かに突き落とされたかもしれない。 或いは事故かも。夕日に目が眩んで。
[ ただの、羅列でしかなかった。 いくつか考えた可能性なら、 最後のひとつでなければいい。と思う。]
(317) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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写真。
[ それも、ひとつの思い付き。 というふうに、黒江仄日は呟いた。]
撮った人に聞けば分かるんじゃない。 そこまでして、知りたいなら。だけど。
[ 試してみる? というふうに、 私の目はまっすぐに彼のそれを覗き込み、
不意に返された問い>>287に、 なんのためらいもなく、答えていた。]
(318) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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──ええ、おもしろいわよ。
(319) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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このまま、死んでくれればもっといい。
(-70) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ そう、答えて。 ああ、と気づく。私は楽しい。 そして、こうも願っているのだ。 この物語の、終わりまでを見届けたいと。*]
(320) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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──現在/ゴミ捨て場──
迷子の子どもみたいな顔。かしら。 僕は弱いですとでも言いたげね。
[ 言葉を交わしている内にも、 やや常の調子を取り戻したように見えるが。
聞かれたこと>>331に率直に答え、 分からないだろうと言われれば、 そうね。と言って頷いた。
そうだ。答え合わせのしようがない。 遺書か、犯人でも見つからない限り。 或いは揺ぎなき目撃者の一人でも。]
(346) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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そう、写真。 直後じゃないと撮れないでしょう。 すぐに人だかりができて、 少ししたら運ばれていったんだから。
[ 当然のことを繰り返すようにして、 一瞬、不思議そうな声を上げた男>>332に、 いくらか親切な言い方をしてやる。
調べてみるか。という誘いは、 どこか拾われたようで癪だが、 ふと、もしすべてが明らかになったなら、 この男はどんな顔をするのだろう。と思う。]
(347) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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[ ほんの、ありきたりな物語。 ありきたりな女であった少女A。 それが物語の中心に収まったのなら、 その親しい人間を追うのも悪くない。]
(348) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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いいわよ。一緒に来る? ちょうど、会いにいこうと思ってたから。
[ 知り合いがいるか。その問い>>336に、 明確に答えずとも伝わるだろうと。
スマートフォンを取り出して、 メッセージを送り付ければ、歩き出した。*]
(349) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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────────────── To 万年青 常彦 From 黒江 仄日 ──────────────
芽吹くかもしれない種の少女A。 あの本に記した通り。
今から行くけど、いいわよね。
──────────────
(350) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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──現在──
[ 不機嫌そうな仕草>>357に、 思わず、小さく喉を鳴らして笑った。
弱くないし。どこか言い聞かせるようだと思い、 浮かべられた笑みに、なぜか思い出したのは、 弱さから生じるすべてを悪とする言説であった。
ゴミ袋を運ぶ姿を尻目にメールを送り、 帰ってきた男>>358に「ありがとう」と笑む。
弱くないし。そう言う意味。 やはり理解はできない男に、 ひとつ頷いて新聞部へと歩き出し、]
(361) 2018/10/19(Fri) 00時頃
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──現在/新聞部──
[ ノックを一度、二度、三度。]
万年青くん、いる?
[ やはり慣れた調子で扉を開き、 その部屋の中へと勝手に立ち入る。
同行者にどうぞとも言わず、 きょろきょろと室内を見回したのは、 もう一つ探し物>>328があったからだ。
机の隅を漁るように、躊躇なく手を伸ばし、 少しの作業の後に、薄っぺらい本を見つけ出した。
それを手に取り、振り返った先に、 さて、目当ての人物はいただろうか。*]
(362) 2018/10/19(Fri) 00時頃
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