266 冷たい校舎村7
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/* nabeさん村建てありがとうございます!! 改めてよろしくお願いします!!
入村した時に言うの忘れてたので今言う
(-16) 2019/06/08(Sat) 00時半頃
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/* 落ち日程、ホントワガママ言ってしまって申し訳ありません…… 確実に残業食らう日以外は意地でも帰ります……
(-20) 2019/06/08(Sat) 00時半頃
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―教室―
[チャイムが鳴る少し前、 問い>>0:1027に紫苑は頷いた。]
呼んだよ。 でも、はるちゃん来てないみたい。 朝から連絡もつかないんだ。
[既読がつかない。
それだけに気を取られていた紫苑は 右上のアンテナが 二文字に切り替わっていることには 未だ気付かない。]
(23) 2019/06/08(Sat) 01時頃
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当たり前じゃん。 多分、はるちゃんも寂しがってる。
[唇を尖らせる。>>0:1031 一番後ろに座っている宇井野を振り向いて きっぱりと紫苑は言いきった。
そう、はるちゃんも寂しがってる。 俺に会いたい筈なのだ。 愛し合っているのだから。]
(24) 2019/06/08(Sat) 01時頃
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[イヤホンからは、雑音しか聴こえない。]
(25) 2019/06/08(Sat) 01時頃
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[程なくして、 チャイムが鳴った。>>#0
教師が入って来るわけでもないから、 ガタガタと疎らな椅子の音は響かず、 チャイムの後に響いたのは スマホが着信を告げる音。
内容に目を通す。 別れを告げるようなそれに目を瞬いて 首を振る。違う、と小さく呟いた。
だって、ほら、 他の皆も驚いたような顔してる。 俺に対してじゃない、はずだ。だから、違う。 はるちゃんからのメールじゃない。]
(26) 2019/06/08(Sat) 01時頃
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俺、帰るよ。ごめん。
[椅子にかけたばかりの荷物を抱え直す。 誰にともなくそう言って、 廊下へ向かう背に続く。>>19
流行りのJPOPが耳に入って、顔を上げた。
お化け屋敷のようだとすら思った廊下に、 色とりどりのライトが瞬いている、 ように見える。
何か、おかしい。 そう思いながらも、開けられた扉から 一歩足を踏み出した。]
(27) 2019/06/08(Sat) 01時頃
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[誰かが、文化祭>>12と呟いていた。 そうだ、その通り。 そこにあったのは紛れもなく文化祭の光景で けれど、窓の外では雪が降り積もっている。
訳が分からない。 分からないけれど、分かっていることもある。
紫苑は荷物を抱え直して、 競歩だか早足だかのようなスピードで 昇降口を目指して歩いていく。
早く、彼女に会いたい。 何でかは、分からない、けれど。**]
(28) 2019/06/08(Sat) 01時頃
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―回想:2万5千円のアパートにて―
[年上も案外悪くない。 そう思っていた時期もあった。
母性が擽られるってやつかな。 紫苑の方は何も望まないというのに、 彼女たちの多くは紫苑に手をかけてくれた。
同じベッドで目覚めた朝、 味噌汁とご飯が出来上がってたり、 勉強を教えてくれたり、 ある人はお小遣いを置いていくこともあった。]
(58) 2019/06/08(Sat) 10時頃
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[これも一つの愛の形なんじゃないかな。 少なくとも、紫苑は彼女たちのことを 彼女だと思っていたし、愛していた。
けれど、やっぱり長続きはしない。 甘い残り香と、数枚の諭吉、 さよならを告げるメモ。 冷めた味噌汁だけの朝は虚しくて 紫苑は毛布の下で鼻を啜った。
遊んできたの、とイヤホンが嗤う。 続きを聴きたくなくて、紫苑は 乱暴に電源を切った。
人は、見かけによらない。]
(59) 2019/06/08(Sat) 10時頃
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[耳は悪くない。 音は文字の羅列よりも紫苑の脳を掴んで ざわざわと心を掻き乱す。
たぷたぷ。たぷたぷ。 輪唱のような間抜けなお経の間を縫って、 すすり泣くような声>>0:923が聴こえる。 幼い子供が住んでるのだろうと思った。
可哀想に、と思った。 けれど、良いなぁ、とも思った。
泣けば、お菓子を買ってもらえる。 泣けば、相手が頭を下げてくれる。
涙は望みを叶えてくれる魔法だ。 ――女の子と、子供にとっての。]
(60) 2019/06/08(Sat) 10時頃
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……泣かないでよ。
[もごもごと毛布の下、紫苑は呟く。 押し殺したような啜り泣きと しっかり者の同級生が 紫苑の頭の中で繋がることは無い。
だから、その呟きは慰めでなく、嫉妬だ。
既に自分が使えなくなった魔法を使える 見たこともない子供への、 つまらない嫉妬。**]
(61) 2019/06/08(Sat) 10時頃
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/* 紫苑くん、ジャムなレディかと思ってたらアダイヴやなこれ 思った以上に遊ばれてる
性癖か!!!!
(-33) 2019/06/08(Sat) 10時頃
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/* もう皆のやりとり凄い好きで こう……すごい……かっこいい……(ろくろを回す) みたいな感じに毎秒なってるな。
陶芸家になるしかない。
(-34) 2019/06/08(Sat) 10時頃
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―回想:美術部の彼女―
[付き合っていた女バスの子と別れたのは、 その前の日だった。
今回は「連絡がしつこい」って理由で なるほど、加減が必要だったのだなと 紫苑はトーク画面を眺めて反省していた。
一時間に一回がダメなら、 三時間に一回が良いのだろうか。 それは少なすぎるのかな、さっぱり分からない。
正解の見えない問題に結論が出ることは無く 紫苑は名前を呼ばれて>>0:1026顔を上げた。
願ったり叶ったりというやつだった。]
(62) 2019/06/08(Sat) 10時半頃
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いいよぉ。大歓迎。
[紫苑は快く笑って頷く。 そうして、彼が話しかけてくるのは 珍しいなぁと思った。
蛭野京輔とは親しい訳でなく、 かと言って睨み合う訳でもない。
単純に、生きている世界が違う。]
(63) 2019/06/08(Sat) 10時半頃
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[紫苑にとって、美術は便覧を眺めて 「昔の人って裸描くの好きなの?」 と首を傾げるくらいの興味しか無かったし、 蛭野の方も、女の子に 特段興味がある訳でもなさそうだ。
(むしろ興味がないようにすら見える。 それはそれで大丈夫なのだろうか。 知ったこっちゃないけど。)]
(64) 2019/06/08(Sat) 10時半頃
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養くん、ちょっと。
[今にも気まずさで死にそうな鳩さんに もう一度手紙をお預けするのは気が引けたので 紫苑が呼んだのは、彼と同じ部活のクラスメイトだ。
養うと書いて、ヨウと読むらしい。 変わった名前だなぁと、 名前を呼ぶ度に紫苑は思う。]
(65) 2019/06/08(Sat) 10時半頃
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放課後、会いに行きますって 伝えて欲しいんだけど、良いよね? よろしく。
……なんて子だっけ、その子。
[最後は蛭野に向けての問いで、 そう言えば何も 彼女について聞いていなかったなと思う。
まぁ、なんら問題ない。 紫苑はへにゃりと笑う。
相手を知る。好意を抱く。 愛してるの呪文の前で その順番なんて些細なこと。*]
(66) 2019/06/08(Sat) 10時半頃
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―回想:校舎裏にて―
[女子は別れ際のビンタも好きなんだろうか。 紅葉形というには歪な赤を右手で押さえて 紫苑は突然の問いに振り向いた。 校舎裏の主がそこにいた。
顔がいい?>>141 ありがとう、よく言われます。 照れたように頬を掻く。痛いな、と思った。]
(213) 2019/06/08(Sat) 22時半頃
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何でかなぁ、俺も分かんない。
暇だって言ってたから電話したし、 ぬいぐるみ欲しいって言ってたから 好きなシリーズのくまさん買ったし、 観たい映画あるって言うからDVD借りて、 アイス食べたいって言ってたから、 いつも食べてたバニラアイス買ってあげたんだけど
……気に入らなかったみたい。
[紫苑は彼女を愛していた。 だから全部、彼女の望む通りにした。
何故知っているのか、と問い詰められて 紫苑は、君のことが好きだからね、と答えた。 結果、最後には頬を引っ叩かれたわけである。]
(219) 2019/06/08(Sat) 22時半頃
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どうやったら、 好きになってもらえるんだろうね。
轟木くんにはわかる?
[数年前の彼や、教師からの偏見とか。 そんなことに興味は無いので 他意も悪意もなく、 純粋な気持ちで尋ね、紫苑は笑った。
そうして、保健室行くね、と踵を返す。 次は、ビンタは嫌だなぁとか そんなことを考えていた。*]
(220) 2019/06/08(Sat) 22時半頃
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―現在:昇降口にて―
[立て付けが悪いとかいうより、 一枚の板みたいになった扉と、 それを引くクラスメイトを 紫苑は呆然と眺めた。]
何、これ。
[慌てていても、名前を読んできた人を 邪険にするつもりは無い。 なので、扉を蹴っ飛ばした轟木>>139の隣で 紫苑は同じ言葉を零す。
訳が分からなかった。
近くの窓に手を伸ばしてみても、 やっぱり開くことは無い。 雪のせい? でも、全部が全部そうなるって、有り得る?]
(223) 2019/06/08(Sat) 23時頃
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[何の成果も得られなかった 昇降口を諦めた紫苑は、轟木の後ろを とぼとぼとついて行く。
行こうとしている場所は 何となく分かっているので、 紫苑は彼の目を盗んで、 イヤホンを耳につけてみる。
やっぱり音は聴こえない。 ひとり、ため息を吐いた。
はるちゃん、と心の中で呼びかけても 彼女の声は聞こえはしなかった。]
(224) 2019/06/08(Sat) 23時頃
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[紫苑は改めて、学校の中を見回す。 朝に来た時とは様変わりしていたその場所は お化け屋敷と言うには色鮮やかすぎて、 けれど、文化祭というには静かすぎる。
行き交う人はおらず、喧騒は全く聴こえない。 二人分の上履きの音が耳につくくらいには 廊下は静かだった。]
……なんなのこれ、ドッキリ? 悪趣味すぎるよ。
[そう思わない?と疑問を轟木の背へと投げて、 紫苑は強ばった笑みを浮かべた。
訳が分からなかった。何もかも、全部。**]
(225) 2019/06/08(Sat) 23時頃
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[静かな中、時折紛れ込む不協和音。 何かを引っ掻くような音や 心音が紛れ込むおどろおどろしい曲。
その話>>250になった途端、 紫苑は表情を緩ませる。]
やだなぁ、それ。 絶対怖いじゃん。
[お化け屋敷で作った音響は 全て紫苑の自作で、 けれど、それは誰にも内緒だった。]
(315) 2019/06/09(Sun) 01時半頃
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[「ガチすぎて引くわ」 佐藤さんが別れ際そう吐き捨てたお陰で、 紫苑はまたひとつ賢くなった。
なるほど、こういう趣味は 隠した方が良いらしい。勉強になる。
それでも、作ったものを 褒められて嬉しくならない訳が無い。 自信作だった。あの演出は。]
振り向いた轟木くんが 口裂けゾンビになってたりしても嫌だな。
そうなったら、一人で逃げるよ、俺。
[その頃には、そんな軽口が叩けるくらいには 調子を取り戻していた。]
(316) 2019/06/09(Sun) 01時半頃
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[けれど、それも少しの間だけのこと。]
え、あ、ちょっと!
[ひょいとイヤホンを奪われる。>>251 咄嗟に伸ばした手は空を切って、 片方だけのイヤホンは 彼の耳に収まっただろう。]
(317) 2019/06/09(Sun) 01時半頃
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[イヤホンからは、 周波数が合わないラジオのような 雑音が聞こえてくるだけだ。]
(318) 2019/06/09(Sun) 01時半頃
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[けれど、それは、今の紫苑にとって はるちゃんと自分を繋ぐ数少ない糸でもあった。]
っ、返して!
[紫苑は乱暴にイヤホンを奪い返す。 き、と轟木を睨みつけて、 はぁ、とため息を吐いた。
少しだけ、青ざめたような顔をして。]
(319) 2019/06/09(Sun) 01時半頃
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……みょんみょんの曲、 聴こうと思ったんだよ。 ほら、こんなに静かだと不気味でしょ?
[流行りの歌手の名前を挙げる。 目線を轟木から逸らしたままに、 紫苑はかつかつと校舎裏に続く扉に歩み寄る。
結果はやっぱり昇降口の方と同じで、 ビクともしない扉を 紫苑は少し苛立たしげに叩いた。
どん、と鈍い音がした。*]
(320) 2019/06/09(Sun) 01時半頃
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―彼女について:2―
[はるちゃんの話をしよう。 前もしたっけ。>>0:685 まぁいいや、その続き。
彼女はとっても大人しい子だ。 二人でいる時も、手を繋ぐだけで 茹でダコみたいに真っ赤になる。 外は苦手みたいで、デートは専ら紫苑の家で お勉強するような感じ。歴史が得意らしい。
とっても楽しそうな顔をして 歴史や古文の話をするものだから、 紫苑に出来るのは、うんうんと頷きながら 彼女の話を聞く事ぐらい。
今のところ、彼女とは 清く健全なお付き合いをしている。 門限も厳しいらしいしね。]
(376) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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[家でもとっても勉強熱心で、 毎日夜遅くまで起きてるらしい。 お母さんに早く休みなさい、って しょっちゅう心配されている。
一人っ子らしいけれど、家族との仲も良好で お母さんに紫苑の話をしていたこともあった。
とってもかっこよくて、頼もしい男の子。 そうやって話しているのをイヤホンが告げた時 紫苑はひとり、布団の中で身悶えた。]
(377) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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[紫苑の連絡頻度や好意にも 渋い顔をすることなく、 いつだって嬉しそうに笑ってくれる。
好きだなぁ、と思った。 多分、いつも以上に。
普段は目減りしていく彼女の愛情が、 紫苑と同じように、 日に日に増していくように感じた。
もしかしたら、はるちゃんなら ずっと、ずっと、ずーっと一緒に いてくれるんじゃないかって
そう思ってしまった。]
(378) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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[イヤホンから聴こえるはるちゃんの声に 嫌悪したのは初めてだった。*]
(379) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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―現在:校舎裏前にて―
[また、取られるかと思った。]
やめてよ!
[紫苑は伸ばされた掌>>341を 咄嗟に振り払う。 振り払ってから、しまったと思った。
え、とか、あ、とか 声を詰まらせてから、 漸く、紫苑は頭を下げた。]
(380) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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……ごめん、びっくりしちゃった。 幽霊かな、って思って。
[熱なんて無い。 むしろ血の気が引いたような顔で紫苑は笑って 轟木の提案>>342に甘えることにした。
――元はと言えば、お前のせいなのに。
そう口にすることはしなかった。 険しい顔をしているが、轟木に悪意はない。 純粋に気になっただけなのだろう。 そう思いたい。
人は見かけによらないし、ね。]
(381) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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……ごめん、ありがとう。 俺、休んでくるよ。 教室の皆に、昇降口とか、ここのこと 教えてあげた方がいいかも。 窓も開かない、って。
[こん、と校舎裏に繋がる扉をノックして 紫苑は保健室に向かう。 去り際、水道水よりは アタエリが良いなぁって伝えるのは忘れない。
道中、 手の中のイヤホンをもう一度耳にはめてみる。
やっぱり、何も聞こえない。 少なくとも、紫苑には。]
(382) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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[聴きたくない。そう思った。 それでも、イヤホンを外せなかったのだ。**]
(383) 2019/06/09(Sun) 12時頃
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/* 紫苑の花言葉が遠方にある人を思うなんですよね。 姿見えなかったら遠距離だもんな(拡大解釈)
(-110) 2019/06/09(Sun) 14時頃
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―回想:美術部の彼女―
アイリ。 アイリちゃんかぁ。
[伝えられた名前>>93を 紫苑は数度噛み締めるように呟く。 良い名前だなと思った。 女の子らしい、可愛い響き。]
養くん、下駄箱に知らない後輩からの ラブレター入ってたとして、シカトしちゃう? 行くでしょ、普通は。
[呆れてるのか、褒めているのか。>>84 後者として受け取っておこう。
緩い笑みを浮かべたところで、話は打ち切られる。 日本史の教師が、教室へと入ってきた。]
(452) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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[さて、肝心の受井アイリちゃんは、 実際、とってもいい子だった。 絵画から飛び出してきたような 指触りの良い髪と、整った顔立ち。 お菓子のような甘い香りに、 晴れて彼氏となった紫苑は夢中になった。
好きだなぁ、と思った。
愛らしい外見と仕草とは裏腹に 家では内弁慶って言うのかな、 兄弟にちょっと風当たりが強いのも 可愛いと紫苑は思う。
とはいえ、そんなアイリちゃんにも 紅葉マークを置き土産に、 数日で振られる>>213のだが それはまた、別の話。**]
(453) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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―1F:保健室―
[誰かが来た痕跡がある。>>0:1059 タオルがごっそり無くなっていて、 そう言えば、教室の前に 大量に置かれてたっけ。>>0:1064 チャイムの前に見た光景を思い出す。
まぁ、そんなことはどうでもいい。 紫苑は大きなため息を吐いて 適当なベッドに寝転がった。 イヤホンは着けたままに。
やっぱり、何も聞こえない。 はるちゃんの声も、何も。
耳を澄ませるように目を閉じた。 聴こえるのは、窓の外の風の音。 機械が動く音。暖房だろうか。]
(477) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[寝転んだままに、 ふと、思い出したようにスマホを見る。 チャイムの後で届いたメール。>>#1 はるちゃんでないということだけは分かるけれど それ以外はさっぱりだった。 声に出して、短い手紙を読んでみる。]
『文化祭、楽しかった。』……かぁ。
[文化祭の再現のような光景とその一文が重なる。 そして、メールの主とは もう二度と会えないんじゃないか、って そんなことを思った。
まるで、遺書、みたいな――。]
(478) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[頭を過ったのは、動画サイトで見た 都市伝説のような話。
思い悩んでいる人や、死にそうな人の 精神世界に閉じ込められることがある。 眉唾ものだけれど、窓や昇降口の様子を考えるに 自分達はここに閉じ込められている状態だ。
そうだとしたら、助けてあげないと 出られないのかなぁ、とか紫苑は考えて ごろんと寝返りを打った。 ・・・・・・・ 息を吐く。安堵したように。
……あれ?]
(479) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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……はるちゃん。 はるちゃん、大好き。愛してる。
早く、会いたい。
[それは全部、紫苑の本心だ。 その筈なのに、 零れた愛の囁きは奇妙にざらついて 紫苑は顔を顰めた。
きっと、彼女の声が聴こえないせい。*]
(480) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[音に形はない。]
(481) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[プレイボーイ、女好き。 彼女を取っかえ引っかえしている なんて言われるけれど、 紫苑が誰かを振ったことは一度もない。
最初からそうだった。 彼女たちは何かを強請るように、 じっと紫苑の目を見るばかりで 肝心なことは何も教えてはくれない。
そうして、いつしか失望して離れていくので、 紫苑は彼女らが何を考えているのか、 どうやって察すれば良いのかも、 とんと理解出来ないままだ。]
(482) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[――なら、直接聞いてみたらいい。
悪魔の囁きに、 雷に打たれたような衝撃が走った。]
(483) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[音に形はない。 だから、紫苑は耳を澄ませることにした。
海外製なら高音質だし、コスパも良い。 ぬいぐるみに入れても 分からないくらいの大きさだから、 咎める人だっていない。今のところ。
だって、想像もしないだろう?
呼吸の音、身じろぐ音、衣擦れの音。 テレビの音、スマホのキー音、周囲の喧騒。 家族との会話。友人との通話、零れた不満。
自分の周囲の音に、 他の誰かが耳を澄ませているなんて、ね。]
(484) 2019/06/09(Sun) 17時頃
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[けれども、どうやったって上手くいかないんだ。 やっぱり、彼女らは紫苑から離れていく。
どこで間違えたんだろう。
問いかけても、イヤホンは答えてくれない。 ただ、残酷に、鮮明に、 不快な雑音を奏でるだけである。**]
(488) 2019/06/09(Sun) 17時半頃
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/* イヤホンの音、他の人は雑音。 紫苑は都合良く聴こえてない。 落ちの時に紫苑にも聴こえるようになる(トラウマ音声)
(-124) 2019/06/09(Sun) 17時半頃
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[嘘をつくと、人は口数が増えるらしい。]
(512) 2019/06/09(Sun) 19時頃
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―回想:伝書鳩の話・その後>>494―
うん、そう。 俺、エスパーなんだよ。
[一瞬の沈黙。 ははっと紫苑は吹き出して 否定するように右手を振った。]
(513) 2019/06/09(Sun) 19時頃
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……嘘だよ。 この子、こういうの好きかなぁって 何となく分かるでしょ?雰囲気で。
色んな子と お付き合いさせてもらったからね。
[同じような話を振ってきた人はいたけれど、 理由はほぼほぼやっかみなので、 大抵の人はこれで舌打ちして 話を切り上げる。
けれど、養は少し違うらしく、 紫苑も頬杖をついて、世間話を続けることにした。 続けさせられたのかもしれない。 まぁ、どっちでもいい。]
(514) 2019/06/09(Sun) 19時頃
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分かるものでしょ、普通は。
こういうもの食べたいだろうなぁ、とか ここに行きたいんだろうなぁ、とか このぬいぐるみ好きそうだなぁ、とか。
愛してたら、当たり前じゃないかな。
[嘘。紫苑にだってさっぱり分からない。 何せ、空気が読めない。 相手の考えを察することなんて出来やしない。
だけど、普通は分かるものらしいので、 紫苑は気取って、実感の無い言葉を吐く。]
(515) 2019/06/09(Sun) 19時頃
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でも、女心は複雑だからね。 振られる理由なんて、 エスパーじゃないから分からないよ。
養くんには分かる?
[ただの世間話だ。 答えを求めている訳じゃないけれど 紫苑はそう問うて、笑った。
それにしても、養って不思議な響きだ。 彼の苗字を呼ぶ度に紫苑はそう思って、 良い名前だなぁ、とそんなことも思う。 別に、言うつもりもない話だけれど、ね。**]
(516) 2019/06/09(Sun) 19時頃
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―現在:保健室―
[うつらうつらしていた意識を引き戻したのは つんつん、と腕をつつかれる感触だった。]
ん、あれ?宮古さん?
[目を開ける。蛍光灯の光を遮るように 自分を見下ろしていた>>543のは、 クラスメイトの宮古瑠璃だった。
ミステリアスというか、天然というか。 不思議な雰囲気を纏った女子。 紫苑の中では彼女はそんな印象だ。
ベッドから身を起こす。 なんでここに、と聞こうとして 彼女の指に目が止まった。]
(577) 2019/06/09(Sun) 21時半頃
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あ、怪我してる。
[細い指に赤い線が走っている>>541のが見えて 紫苑はその手を取った。
少し冷たい指先を、躊躇い無く口に含む。
舐めときゃ治る、というのが 柊家の家訓だった。]
(579) 2019/06/09(Sun) 21時半頃
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[ただ、ここが家でもなく、 相手も宮古だったことに 紫苑はそこでようやく気付いて。
あっと声を上げて、 慌てて彼女から身を離したと思う。
違うんです、浮気とかじゃないんです。 頭に浮かんだはるちゃんに、紫苑は必死に弁明する。
彼女が居る時は、その人以外は見ない。 紫苑のポリシーの一つだ。というか、当たり前の話。]
(583) 2019/06/09(Sun) 21時半頃
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ちょっと待ってて。 消毒液、俺が出すよ。
[ベッドから立ち上がる。 彼女を椅子に座らせてから、 不慣れな手つきで棚の中を漁る。
最中、先程まで見聞きしたことを話す。 昇降口が開かない、窓もダメ。 どうやら閉じ込められているらしいこと。]
参るよねぇ。 早く、帰らなきゃなのに。
[紫苑は大仰な溜息を吐いて、 消毒液の瓶を取り出す。 困ったように笑って、首を傾げた。**]
(585) 2019/06/09(Sun) 21時半頃
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―回想:祭りのあと>>397―
[佐藤さんと別れてから今まで、 何人と付き合っただろう。 ケーキを頬張りながら、紫苑は遠い目をする。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
我らがクラスのお化け屋敷は かなりの好評価だったようで、 生徒の間でもかなりの話題になったらしい。 ゾンビが怖い、装飾がリアル、それから。
音響に関しての話題は殆ど無かったけれど 良いんじゃない。と紫苑は思う。
料理でスパイスの方が目立っても困るし 紫苑も別段音響で目立ちたい訳じゃない。]
(594) 2019/06/09(Sun) 22時頃
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写真?いいよぉ。
[とはいえ、目立ちたくない訳でもないし 良い思い出だとは思っているので、 写真>>398にはちゃっかり映り込む 紫苑の姿があったと思う。**]
(595) 2019/06/09(Sun) 22時頃
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具合は平気。 ちょっと、色々びっくりしちゃって。 休んでただけなんだ。
[オキシドール、マーキュロクロム、マキロン。 横文字が並ぶ棚の中を漁る。
養護教諭が薬を出してくれるのに比べれば 多分、何倍もの時間をかけて、 漸く紫苑は目当てのものを探し当てた。
宮古>>596の方がずっと要領は良さそうだし、 もしかしたら、下手に手を出さない方が 良かったのかもしれない。
まぁ、いっか。紫苑は思う。 過ぎたことはどうしようもない。]
(627) 2019/06/09(Sun) 23時頃
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[宮古の手を取る。 消毒を済ませ、指先に絆創膏を巻き付ける。 道具さえ見つければ、 あとはあっという間だ。]
会いたいよ、そりゃあね。 好きな子だもん。
[問いには、即答を返す。 何処か、自分に言い聞かせるように。]
宮古さんだって、 会いたい人とか居るんじゃない?
[むしろ、彼女に会いたがっている人が多そうだ。 モテそうだし。
ただの勝手な憶測は口に出すことはせず、 宮古の手当を終えた紫苑は 再びベッドに横たわることにした。]
(628) 2019/06/09(Sun) 23時頃
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[会いたい。はるちゃんに会いたい。 確かにそう思うのに、何故だか気は進まなかった。*]
(629) 2019/06/09(Sun) 23時頃
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