82 【薔薇村企画】 Contagio ―共鳴―
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[不意に、戸口を叩く音。その次に声。
ジェームスの来訪を知り、 一瞬の躊躇いの後に扉を開けに向かう。 ドリベルと並んで。
両足と右腕はまだ機能を保持している。 普段と変わらない素振りで。]
《ジェームス。おはよう。
お姫様(その上に打ち消し線)トレイルは 一緒じゃないの?》
[揶揄の言葉を交えた一文は、 玄関口で傍の壁に半身を凭せかけ書いたもの。]
(467) 2013/05/16(Thu) 21時頃
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《そう。いい場所。 森の奥。立派な鳥もたくさん来る。 これからは一緒に行こう。》
[《密やかな水浴びに使っている滝の傍。 村の面々にはもちろん会ったことが無い。 邪気の強い魔物も寄り付かない、澄んだ場所。》
ジェームスを迎え入れる間際、 拗ねた様子のドリベルの頬を右手で撫でてから そういった説明を提示する。]
(472) 2013/05/16(Thu) 21時頃
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[ジェームスの影にトレイルの姿を見つけ。 ついついとまた額を突いてやろうか…と、 思ったけど 止めた。
彼を眺めて、浅く右に肩を竦ませてみせる。
それから板面に新たな文字を書き。 ジェームスとトレイルふたりに向けて。]
《 やっぱり嬉しかったよ。 嬉しいの先にあったのは、たぶん愛ってやつ。
トレイルはどう ? 何かを見つけた ? 》
[ジェームスは何の事か解らないかもしれないが。 トレイルはどう反応してくれるか。
何にせよ、きっと、笑った。]
(475) 2013/05/16(Thu) 21時頃
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[病については、 問われても何も書かなかった。
左頬から耳、眦から瞼、左上腕、左の眼球の端… 左半身に現れた黒石の異常さは明らかで。 それが時折、ピシリ、と音を立てて拡がる。
動く事にまだ不自由は少ないが、 確実に、死に、病に、取り込まれつつある。
副作用が出ても、侮るなかれ、と。 ただ黙って彼らに注ぐ眼差しで訴える。
彼らの無事を願って。]
(481) 2013/05/16(Thu) 21時半頃
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/* ストレートに聞きたい。 ドリー。死に場所はどこがよろしいか…!
ボクは猫なので。ふらりと居なくなりたいのだが。 発見されないの寂しいようなら、 寝室でもいいね!どうしようね!
(-423) 2013/05/16(Thu) 21時半頃
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[伝えたかった事、尋ねたかった事、 言葉を受け取ってくれたトレイルに頷き。
新たに書き添えるのは、短く一言。]
《葡萄と桃がいい。》
[この案件については 実情はどうなっているのか解らないが。 トレイルなりの葛藤や考えは多々あるのだろう。 生きて、見つければ良い。生きて。
握られた右手を、握り返した。 特別なにも変わらない。いままでと同じ力で。]
(500) 2013/05/16(Thu) 22時頃
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[間近から聞いた声(>>502)に、 右手の指先がヒクリと跳ねた。
そんな一瞬の躊躇いの後に書いた文字は ほんの少し震えているが、 それを隠すように大きく強い筆圧で書かれた。]
(505) 2013/05/16(Thu) 22時頃
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《死ぬわけない。ボクが。きっと、トレイルより強いよ。》
(-437) 2013/05/16(Thu) 22時頃
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[動きが鈍い左手で板を支え、 右手でチョークを走らせる。
そんな動作さえ、難しくなってきているのは、 まさに艷やかな黒玉と化した左の眼球が いよいよ視力を失ったから。
額もまた、石の硬さで。 トレイルの指の温度は感じられなかった。]
《 勝負の続きは、いつか、また 》
[右手で拳を握り、トレイルにもそうさせ、 拳を付き合わせた。]
(512) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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[去り際のトレイルがドリベルを抱き寄せ 何やら内緒話をしているようで。
普段の光景ではあったが、なんとなく、 右手でドリベルの腕を掴んで。 自らの片腕の中へ抱き寄せて。
彼らの距離を引き離した。 「ドリーはボクのドリーだから 触っちゃダメ。」 とでも言わんばかりの露骨な態度で。]
(513) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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/* ボクは基本的に液体もダメだよ!
っていうか攻ゲイさんのスープはそもそも怖いよwww なんか怖いよwwwww
(-448) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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[無事にドリベルは奪回できたようだ。
もう右腕の内側から 彼を出さないでおこうと密かに決意しつつ。
そうなると、 トレイルとジェームスの背後から聞こえた チアキと攻芸の声に文字を返せない。
仕方がないので、 不慣れながら精一杯の笑顔を作って 「いらっしゃい」と唇を動かして見せた。]
(518) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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/* い…一時間で〆までいく計算かこれ…! ドリー…ボクちょっと自信ないよどうしようドリー!
(-450) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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/* いやでも、あれなんだよ。 初回落ちの宿命だから。 情報を残して死なねばならない的なあれこれ。
副作用アリでも死ぬぜ?おまえら油断すんなよ?
を周知して死にたいっていうのはあるね。 うん。あるね。
そのために顔面からとか隠しようのない 悪趣味な発症を選んだんだもの。 まさに黒玉のようになった眼球…っていうのを やりたかっただけっていうのもありますが。
かぶりそうなベタなネタは さくさくやっていきたいずるい子です。
(-452) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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[不思議そうな眼差し(>>519)に、 まだ動く右の瞼だけを僅かに細めた。
抱いた体の硬さが増している。 死の切迫に騒ぐ胸が 締め付けられるように痛んだ。
受け止める重みを、しっかりと支える。 少しでも安心できるように。 怖くないように。]
(526) 2013/05/16(Thu) 22時半頃
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[鍋が落ちて砕ける音(>>525)に、 右肩を竦ませて少し驚いた。 右目を瞬かせて。
「また こわした。かたづけ よろしく」と、 二人へ向けて音の無い言葉をかける。
次にやったら叱ろうか…と相談していた通り。 シーツでは無かったが。
ドリベルが日々掃除してくれる 大切な我が家の軒先を汚したのだから。 叱っても良いだろう。
チアキを揶揄するいつもの調子で。]
(532) 2013/05/16(Thu) 23時頃
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[チアキの痛々しい様子にも動じない。 おそらくは獣との戦いで受けた傷だろう。
戦の傷は恥と思うて精進を。
いつか、どこかで、誰かさんに聞いたような。 そんな言葉を思い出し。
白狼の巨体に対峙していた師の背中を思い出し。
今はただ、雛鳥の成長を願おうか。]
(538) 2013/05/16(Thu) 23時頃
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[片付けようとする攻芸に少し、笑って。 素直に片付けを快諾するチアキに、 「いいよ。あとで しておく。」と。
結局は許してしまう。ドリベルの予想通り。
(そうだ。食事だ。)
チアキの言葉(>>539)で、思い出した。 いつものように静かな食卓で向き合って食事をして いつものようにふらりと出かけて 手を繋いで昼寝をして そして明日も同じように…――、
そこまで、考えて、思考を止めた。
ドリベルの顔へと視線を落とし、手を握る。]
(543) 2013/05/16(Thu) 23時頃
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/* そして死にそうなひとを前にして 鍋の破片を気にする攻ゲイさんったらかわいいwwww
(-466) 2013/05/16(Thu) 23時頃
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[何やら泣きそうな面構えのチアキを見て、 ドリベルを抱いていた腕を少しだけ解いて。 板にチョークを走らせる。]
《チィ。いいと思うよ。 泣きたい時は 泣いても。
涙の止め方さえ 覚えておけば。 食事、楽しみにしておく。豆食べたい。》
[見せる言葉は、やっぱりあくまで、 日常そのもの。]
(545) 2013/05/16(Thu) 23時半頃
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《うん。ちょっと。遠いかもしれない。
ごめんね。 連れて行って あげられない。》
[抱えて歩くのは難しいかもしれない。 脚と右腕に不安は無いとは言え、 短い時間で随分と不自由が増えた。
森を歩くには、もう遅すぎる。
板に筆記する右手が震えた。 不意に、涙が滲む。]
(549) 2013/05/16(Thu) 23時半頃
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[濡れた右目を強く瞑って、堪え。
攻芸の背を見つめる。 彼はきっと言葉交わさずとも、ただ、観て。 察し、理解し、怯え、何かと戦うんだろう。
チアキを護るために。 そんな予感があった。
彼らにも、災いが訪れなければ良い。 心から願い、見送った。]
(552) 2013/05/16(Thu) 23時半頃
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[緩く首を横に振る。
顔の半分を覆った黒石は、 もう半分へと侵食するより先に 脳を部分的に蝕みつつある。
心地良い眠気を感じる幸福感に近い感覚。
再びドリベルを抱き寄せ。 彼の体を支えて、寝室へ行こうと。誘う。]
(558) 2013/05/16(Thu) 23時半頃
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《泣かないよ。幸せだし。とても。
ドリー。眠ろう。一緒に。少し、眠い。》
[寝室へと向かう間際に見せた板に、歪んだ文字の列。]
(-488) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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[玄関の扉を閉めてしまえば。
屋内にはふたりきり。 一緒に過ごすようになってから ずっとふたりで暮らしてきた家。大切な。 ささやかな幸せに満ちている家。愛しい。
寝室。寝台にはまだ新しいシーツ。
そこへドリベルを座らせて。 まだ微かに感覚が残る頬へと触れてくれる唇。
微笑って、ドリベルを強く抱きしめた。]
(563) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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[夜が更けても、ずっと 寝台の上で寄り添って過ごそう。
文字が書けるうちは、 ぽつぽつと言葉を交わして。
キスをして、抱きしめて。ずっとずっと。]
(566) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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― 枕元の板に遺した独白 ―
[翌朝。砕けた黒石の破片が 窓からの光に煌めく寝室に残っているのは 板にチョークで書かれた歪んだ文字の連なり。 その上に大きく「×」の形に線が引かれている。]
《 錬金術師の片割れが病に罹ったと聞いた時 それがドリーじゃなくて本当に良かったと ボクはとても安心した。 安心の対価に何かを失った人たちを見た時 それがドリーじゃなくて本当に良かったと ボクはとても安心した。
その時のボクは とても浅ましい顔をしていたと思う。
ごめんなさい。懺悔します。 》
(569) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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《 ボクはもうすぐ死ぬようだ。 ドリーと 一緒に。
ボクが死んだ後に生き続けるドリーを 少しだけ悲しいと思ってしまったから。 ドリーを遺して死んでしまうボクを とても悔しいと思ってしまったから。
そう思った時にはじめて ドリーがボクの大切な人なんだと気付いたよ。
幸運だね。気付けたんだから。
だから ボクはドリーの手を握って逝くよ。 どこまでも いつまでも 一緒に。
さようなら。ありがとう。 》
(570) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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― 枕元の板に遺した書き置き ―
[「×」で隠滅しようとした痕跡の残る文章の傍に、 先の文章と同じ筆跡による文字が書き足されている。
こちらを読め、と言わんばかりに。大きく。]
《 眠い。眠る。起こさないでね。 》
《 追伸 先生。やっぱり強いね。格好良かった。 》
(571) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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[ドリー。ボクのドリー。
繋がる手に残る僅かな体温。 ドリベルを抱きしめたまま、目を閉じる。
触れ合う箇所に感覚は薄いはずなのに ひとつになってしまったような 何よりの幸福を感じる。
そのまま。 意識が途絶える瞬間まで。 命が途切れる瞬間まで。
おやすみ、ドリー。愛してる…―――**]
(580) 2013/05/17(Fri) 00時頃
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