158 Anotherday for "wolves"
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ラディスお姉ちゃんも マーゴが憎かったの?
[そう、自分の大事なものと 誰かの大事なものは同じじゃないのだ。
自分の憎んでいるものもまた 誰かの憎んでるものとは違うのだろうな とぼんやり考えて。]
(*38) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[瞳を診察する医師。 (口がきけぬことさえ、知ったのは昨日。)
手を繋ぐ無力な飼い犬(ナイト)。 (ヒーローは理由も謂わず離れ、差し出される手にも応えられない。)
側にいる、歳も近い友人。 (私はいつだって、独り。)]
(*39) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[それから、少女はぽつぽつと伝えるだろう。
自分の考えた計画を。]
[教会にスティーブンを呼び出して 罪を背負わせるのだと。
大きな十字架を “背負わせて”
その罪をしょってもらうのだと。]
(*40) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[問い掛け>>*32に、ふっと笑う気配。]
――…さあ。 気分次第かな。
[狩りの時間はまだ先とばかりに悠長な言葉。]
[少女の声>>*33に綴られぬ先は概ね知れる。 彼女が望むのなら動くのも吝かでなく。]
[二人の話題が移ろえば、意識は目の前へと傾く。**]
(*41) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[思考に重なる声は、幾分と支離滅裂でいて>>*36>>*37 それでも子供ながらに、こどもだからか 確信を突いたような言葉が重なりました。>>*38]
憎い?
……、…………そう。
[不自然なほどの間をもってして返るのは くすくすと、笑いはじめる私の耳障りな笑い声。]
そう、憎かったの。 いいえ、憎いの。
[それはまだ終わっていないという暗示でしょうか。 過去を進行形に変えて、私は話しました。]
(*42) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[その計画とは別に 二人が一抹の不安を抱いて 例えばレオナルドに保険をかけたとしても 少女には与り知らぬところだろう。
知ったところで、父親を失った不安感から 強まった信頼感に変わりはない**]
(*43) 2015/05/16(Sat) 02時半頃
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[気分次第と返る声は、余裕さえ感じさせるほどでした。>>*41 時はまだ先とばかりの言葉遣いに、ゆるうりと笑みを返します。
やがて聞かされるのは、少女の夢物語。>>*40>>*43 教会で、彼に罪を、十字を背負わせるのだと。 私ならば最後の最後まで、彼には生きて苦痛を味わわせてから 狂い壊れたところを美味しくたべてしまうところだけれど。]
あなたがそうしたいのなら。 私はいつだって『お手伝い』するわ。
[レオナルドは、またいつだって殺すことが出来るでしょう。 狙いはそうっと別へと変化しては、赤い瞳がキラキラと輝くのです。 厚いカーテンの下に隠した、その瞳が。]
(*44) 2015/05/16(Sat) 03時頃
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[けれど私は、ひとつ保険をかけるでしょう。 それは別の相手を狙うのではなく、同じ相手へ。 上手く隠した牙を、爪を。
十字背負うべき、彼(スティーブン)へ。
命を奪う箱の中。 メアリーさんの名前が確かにあったのを覚えていたのです。 例えば彼女が夢物語を現実にしてしまうよりも前に もし、『無慈悲な決定』で命を奪われてしまったら。
その時のための、保険と、なるように**]
(*45) 2015/05/16(Sat) 03時頃
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[黒き獣の心は強き望みに傾く。 少女が望むならばその爪も牙もその者へ。**]
(*46) 2015/05/16(Sat) 03時頃
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お父さん…、ごめんなさい。 わたしのせいで、お父さんが殺されちゃったん…だよね。 怒ってるよね…。
ごめんなさい。 お父さんの仇は打ちたいけど それが済んだら、わたしも…
死んだ方がいいのかな…。
[声なき声はだんだんとか細く震えて。 嗚咽に混じって 溶けた。]
(*47) 2015/05/16(Sat) 22時頃
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……なに、あなた死ぬつもりでいるの?
[聞こえてきた声に、返すのは。>>*47 高く澄んだ嗤う声でもなければ。 やわらかく誘うような声でもなく。
無機質に、色も温度もなく、落ちました。]
(*48) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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死にたくないけど…。 お父さんがもし すごく怒ってたら…… って思うと…。
[低くくぐもったような声のお姉さん。 いつもの声と違う。 高くもなければ 楽しそうでもない。
怒らせたのかな、そう思って 咄嗟に] ごめんなさい…。
[と謝った。]
(*49) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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[聞こえ来る少女の震える声>>*47に意識が向く。]
――…キミのお父さんはキミを守ろうとしていただろう? 彼はキミが生きることを望んでいると僕は思うよ。
グレッグも、かなしむよ。
[静かに柔き音色をのせて。]
(*50) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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父親の仇をうったら、追いかける? 同じ場所にいきたいのなら、いつでも私が殺してあげるわよ?
ああでも。 あなたのそれも父親譲りね。
残される彼(グレッグ)の気持ちも考えないの。 殺された彼(ルパート)の思いも考えないの。
[それから、鈴の音がころころと鳴るでしょうか。 まるで取り繕ったような音。 よくできた、それはよくできた模造品の鈴。]
(*51) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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ああ、ごめんなさい? 怒っているわけじゃないの。 あなたの命だもの。 あなたが思うままに生きるといいわ。
[私は優しくなんてないから、 『かなしい』なんて思わないけど。]
仇を打つっていう『約束』は守ってあげる。 だから怖がらないで?
(*52) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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「あなたは、大丈夫ですか?」 「どうか。」
[それは彼の、心優しき医師の手のひらに乗せた文字。 本当は何と続けましょう。]
(*53) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
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お父さんは、わたしを守ろうと…。 そう、かな…。 うん、そうよね。お父さん、わたしの味方って 言ってくれたもんね…。
お兄ちゃんも…悲しむかな……。 ううん、きっと悲しんでくれるよね。
[だって、わたしのお兄ちゃんだもん。 声には出さないが少し誇らしげに。]
(*54) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
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『背後には気を付けて。 重い十字架(罰)が、降るかもしれませんから。』
(*55) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
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……、お姉さんの言うこと、やっぱり 難しくてよくわかんないわ。
でもありがとう。 そうよね、わたし、お兄ちゃんとけっこんして 家族にならないといけないもん。 本物の家族に。
だからこんなとこで死にたくない。
[迷って、前に進んだと思いきや後ろを振り返るような。 そんな自分だけれど。
少女にとってそんな『仲間』の声が頼もしかったし 『仲間』に応えたいという思いが芽生えた。]
(*56) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
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いいわ、判らなくて。 もっと大人になれば、きっとわかるから。
[くすくすと微笑んで見せましょう。 言葉の裡にある想いなど、判らなくていいのです。]
この医者(ひと)を殺すのね。
[優しい優しい、この『死神(ひと)』を。 私はすぐに訪れるであろう贖罪の未来に。 うっとりと、赤い瞳を細めては。 彼の熱伝わる指先を見詰めていたのです。]
(*57) 2015/05/17(Sun) 02時頃
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―???―
「昨日はごめんなさい。 こうなっちゃったからには 仕方ないことだったのに。
みんなの嫌がること 進んでしてくれたのに 先生にひどいこと言って。
ごめんなさい。
お願いがあるの。」
[俯いたわたしの口からでる声。 まるで別人みたい。]
(*58) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[わたしの話を聞く医者の眼は 冷え切った暗い琥珀。
鋭いその双眸を見つめながらゆっくりと わたしの唇が動く。]
「おそう式をしたいの。 お兄ちゃんと先生とわたしとで。」
[しばらく黙って聞いていたけれど 先生はやがて重たい口を開いて、返事をくれた。
肯定。
けれどその眼は相変わらず睨み殺すような眼光で。 それは一見して彼が、その葬儀が茶番だと思った上で 頷いたとわかる態度。]
(*59) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[けれどそれはきっとわたしとて同じことで。
冴え冴えとした目は睨むでもなく 先生の琥珀をじっと見つめたまま。 そしてきつく口を結んで、先生に対峙していた。]
(*60) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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―教会―
[先生が現れる。
教会には祭壇の上にろうそくが2本灯っているだけ。 薄暗い灯りの中、先生が 燭台を持ちながら祭壇の方へ歩みよる。
暗がりだけど、もう片方の手に何か持っているのが見えた。 気配でわたしを探そうとする先生。]
[わたしは十字架の裏でじっと息を潜めて 先生が十分近づいてくるのを今か今かと待ちわびる。
きっとこの真っ赤な眼がぎらついてる。
暗闇の中で鈍く、それでいて鮮やかに。]
(*61) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[予め、お兄さんとお姉さんが傷をつけてくれていた 十字架の根本に足をけり下ろせば、その直下に、先生の身体。
もうすぐ、もうすぐだ。 そう思うとお父さんとお母さんの優しい声が 聞こえた気がした。]
(*62) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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先生は罪の意識から逃げたかったんだ。 だから一番にお父さんを殺したんだよね。 そうでしょ?
[わたしの声は反響して、聖堂中に広がる。 その声は力強く、遠くの仲間にも届いただろう。]
(*63) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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そんな男、神様が見逃してもわたしが見逃さない!!!
(*64) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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わたしのお父さんとお母さんを殺した罪!!! 地獄で味わえ!!!!
[絶叫とともにわたしは 足を振り下ろした。]
(*65) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[例えば――。 「マーゴット」という名前ではあるけれど。 清い雫を纏い、煌めく 桃色の薔薇のような。 そんな、娘だったと思う。]
マーゴット。
サイラスと君を見ていてさ。 僕は、ね……。
(娘の幸せを願う父親のような顔をして 君を見送りたかった。
死出の旅路ではなく
ただ 幸せな未来へ旅立つ君を )
[―― もはや、 手遅れか。]
(=1) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[その夜、教会から火が出ているのを 近くの村人が発見したらしい。 夜を徹しての消化活動の甲斐あって 教会は半焼に収まったが、火元と思われる 祭壇付近はほぼ全焼だったという。
祭壇には胸に何か突き刺さっている遺体があったとのことだが 突き刺さったものは辛うじて教会の十字架だったと思われるが 遺体は消し炭で身元の断定は難しそうだ、と
村人たちは明くる朝知ることになるだろう。]
(*66) 2015/05/17(Sun) 03時頃
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