190 【身内村】宇宙奇病村
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[電気パイプを探す若者の手の意味や あちこち「ガタ」がきているという若者の体の事情を、 エスペラントは知らないわけではなかった。
生死事大、光陰可惜、無常迅速、時不待人。 『時間は待ってくれない』と彼が言ったとおりだ。 生身の体は壊れていく。 エスペラントもそうであった。 壊れたものを補い、手放しているうち、こうなった。
エスペラントは、ワクラバをこの船で会う前から知っている。]
(=0) 2016/05/14(Sat) 18時頃
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[いまではもうワクラバと共に食事を味わうことは 脳の働きで再現可能だったとして、 物理的には不可能なのだ。]
(=1) 2016/05/14(Sat) 18時半頃
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[生まれながらに背負った遺伝子損傷。 這いつくばるように育ったスラムでの劣悪な環境。 汚染に蝕まれたワクラバの肉体に残された時間は、長くはない。 貧困ゆえに治療を受けられず、 仲間と共に荒んだ生活を送った青春時代。
エスペラントと出会い、救いの手を差し伸べられなければ、 成人を迎える前に、阿片窟で野たれ死んでいただろう]
(=2) 2016/05/14(Sat) 22時半頃
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[肉体の老いと崩壊。生と死。 エスペラントと過ごした時間は、少なくとも、 絶望と向き合う勇気を与えるに足るものだった。 『時間は待ってくれない』
彼を苛む焦りは、別の事情に由来する]
……祖国の命か…ままならねぇな。
(=3) 2016/05/14(Sat) 22時半頃
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して、病葉(びょうよう)さんよ。 受け売りとはいうが、あんたさんの胸から出た言葉は あんたさんのもんじゃ。 [懐かしい。 エスペラント達僧侶はそこをそうとは呼ばないが、ワクラバと出会ったのは『スラム』と呼ばれる場所だった。肉体を長生きさせるのには向かない場所だ。 ましてワクラバ少年には先天的な遺伝子損傷があった。
彼と会い、エスペラントは星を渡るための技を習わせた。]
(=4) 2016/05/15(Sun) 19時頃
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[誇るでもない。 あの行動は、エスペラントにとって 『急流に浮かぶ月の光』といってよいかもしれないからだ。 水急不渡月。
されど、それはそれ。
あのワクラバ少年が今、 こうして未知の宙域を調査するのに抜擢されるようにまでその腕を磨いた事は、彼自身が為してきたことに依るものだ。
言葉とて同じ。
『いろんな奴と出会って、経験積んで』 『前みて胸はって生きられる』 『そんな大人になれたら……』
それらが彼自身の言葉となり出た言葉だとしたら、エスペラントにとっては、受け売りなどとはとんでもない事だ。]
(=5) 2016/05/15(Sun) 19時半頃
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