158 Anotherday for "wolves"
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マーゴ! 今日がお前の命日だ!
2015/05/15(Fri) 03時頃
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[去り際。 ラディスお姉ちゃんの唇がいびつに弓を作った。 それはお世辞にも綺麗とは言えなくて。 何だかゾッとして見ていると]
[聞こえた>>*67]
[まるで この場に合わせて誰かが声を出して 吹き替えたみたいに。
何で、と浮かぶ疑問も お兄さんの言葉>>*53>>*60を思い出すと すぐに合点がいく。]
[聞いたことない、高く、耳につく声。]
ラディス…お姉ちゃ……ん?
(*0) 2015/05/15(Fri) 03時頃
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─宿屋での、一時─
[歪な唇を見上げる姿。 そして少し考えたのでしょう、言葉の詰まる音を聞きました。>>*0 くすくすと、私から零れるのは耳障りな声。]
ええ。 やっとわかったかしら?
[誰、の問いの一つはこれで埋まったでしょう。 それなら、残すのは後一つ。 明日の朝になれば、それも埋まることです。
集会所へ向かう途中の、愛らしい彼女の行動が>>1:62>>1:63 ふっと脳裏に浮かびました。]
(*1) 2015/05/15(Fri) 03時頃
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今夜はきっといい子守唄が聞こえるわ。 眠れなかったら、耳を澄ませていらっしゃい?
[囀る小鳥よりも、美しい遠吠えを。 ふうわりと微笑んで、私は宿屋を後にしました*]
(*2) 2015/05/15(Fri) 03時半頃
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─深い、夜─
[それは人々も、そして『人狼』でさえも寝静まる深い夜のこと。
私はそっと家を出ました。 夜風は少し肌寒く感じます。 はたはたと、スカートが風に揺れていました。
赤い、ラズベリー(死肉)色のスカートでした。
コンコン、と。 彼女の家の扉を叩きます。 目の見えぬ彼女は、どんな反応をしたでしょう。 宿屋で会った時のように、そっと手をとって見せました。 私だと理解してもらえたなら、家に上げてもらうのは きっと容易かったのだと思います。]
(*3) 2015/05/15(Fri) 03時半頃
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[私はそっと彼女を抱きしめました。 悲しみを分かつようにして。 慰めを与えるようにして。
そしてゆっくりとその手を首へ回すと。
一気に力を篭めました。
私の指先は、駱駝色の毛に覆われ。 鋭く伸びた爪も、皮膚をツプリと刺していました。]
(*4) 2015/05/15(Fri) 03時半頃
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さようなら、可哀想な『犠牲者』さん。
あなたが死ぬ事で、きっと沢山の人が泣くでしょう。 沢山人が怒りに震える事でしょう。 そしてあなたは過去にされていくの。 あなたが、彼女をそうしたように。
だから私もそうしてあげる。
(*5) 2015/05/15(Fri) 03時半頃
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──私はあなたのこと、『大嫌い』だったわ。
(*6) 2015/05/15(Fri) 03時半頃
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[自由に唄う声が、愛され護られている姿が。 これを人はきっと『嫉妬』と呼ぶのでしょう。
力を篭めると、細く脆い喉元は 簡単に『くの字』へと、曲がってしまいました。 その首元に、私は歪な口をあけて。
真っ赤なりんごでも齧るかのように。
シャクシャクと。 ちゅくちゅくと。 がりごりと。 ぺちゃぺちゃと。
音を立てて齧りついていました。]
(*7) 2015/05/15(Fri) 03時半頃
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[頭と胴体が皮一枚で繋がっただけの姿になるまで 若く愛らしい少女の味を堪能すると。
死肉に染まった服を纏い うっとりとした恍惚の表情を浮かべ ルージュを引いたような鮮やかな唇で
私は夜風に、こう、唄うのです**]
(*8) 2015/05/15(Fri) 04時頃
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Amazing grace! how sweet the sound (驚くほどの恵み、やさしい響き)
That saved a wretch like me (あなたのような者でさえも、救われた)
I once was lost, but now am found (かつてあなたが失い、それでも見出したもの)
Was blind, but now I see. (視えなかったものが、今でも“視える”かしら?)
(*9) 2015/05/15(Fri) 04時頃
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───おやすみなさい、マーゴット。
(*10) 2015/05/15(Fri) 04時頃
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[歌い終わり、床に落ちた銀の首飾りを拾うと。 そっと、大切に。
事切れた彼女の、その手の中に握らせました。**]
(*11) 2015/05/15(Fri) 04時頃
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おとうさん…――?
ねえ、どこ? どこにいったの…?
(*12) 2015/05/15(Fri) 11時半頃
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そう。 そうなの。
[私の声は、どこか無機質に溢れました。]
(*13) 2015/05/15(Fri) 13時半頃
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日頃どんなに優しく接していても。 些細なことで殺されるのね。 ああ、怖い。
[その声は本音を語るのか、それとも騙るのか。 判らない音で、囁きました。]
“お前たちが生きる道なら。” あなたはそう仰っていたけれど。
……残される方の気も、考えたことはある?
[きっとその言葉は、もう遅く。]
(*14) 2015/05/15(Fri) 13時半頃
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残念ね。 死ぬ前にお茶くらい、したかったわ。
(*15) 2015/05/15(Fri) 13時半頃
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[ぽつと、一滴雨の落ちたような独り言でした。*]
(*16) 2015/05/15(Fri) 13時半頃
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ねえ…。 お姉さ……。 ラディスお姉ちゃん。 ベネット。
[この頭の声は現実。 わたしが殺したことも現実。 “お姉さん”はラディスお姉ちゃん。 “お兄さん”はベネット。 全部、全部現実のできごと。]
わたし、どうしたらいいの…――?
[苦しい胸中。 嘘をついてること。 殺したこと。 殺されたこと。
全てを受け止めるにはこの胸は小さすぎた。]
(*17) 2015/05/15(Fri) 13時半頃
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[幼い声がきこえます。>>*17 苦しみ、悲しむような音が届きました。
意地悪な笑みを浮かべることは、 今だけは出来ませんでした。
彼女の親は、無実の罪に。 命を『管理』されたのですから。]
(*18) 2015/05/15(Fri) 14時半頃
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[亡き命の標が林のように立ち並ぶ中。 私は天を仰ぎ見て、ぽつぽつと言葉を溢します。]
メアリー。 あなたは、お父さんを殺した『彼』が憎い?
[その人が、ルパートさんの奥さまの命をもなんて 私が知るところではなかったけれど。 きっと重ねて聞こえることでしょう。
あなたは、お母さんを殺した『彼』が憎い?
そんな風に。]
(*19) 2015/05/15(Fri) 14時半頃
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憎いなら、そうね。 殺してしまいましょう?
でも、もし殺すのなら最後。 彼の回りに誰も居なくなってから。 あなたの悲しみを、あなたの苦しみを、味わわせてあげるの。
[それは、甘い甘い悪魔の囁き。]
はじめに殺してしまったら、あなたと 『あなたのお兄さん』がきっと真っ先に疑われてしまうわ。 死にたくないでしょう? 殺されたくないでしょう?
だから、彼の回りの人を、殺すの。
(*20) 2015/05/15(Fri) 14時半頃
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例えば。
彼の旧くからのお友達、レオナルド。 彼と共に暮らす、アルカイド。
他にも親しい人はいたかしら?
[指折り、指折り、名を連ねていけば。 ふうわりと微笑んでおりました。]
ねえべネット。 あなたはどう思う?
[柔らかな声が、そう問いました*]
(*21) 2015/05/15(Fri) 14時半頃
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マーゴ……? マーゴ。 マーゴット。
聞こえたら返事を、
…………マー、ゴ……
( 「そんなに湿っぽくて」 ( 「カビちゃいますよ」と、 ) ( 言ってくれたなら、―― )
(=0) 2015/05/15(Fri) 20時頃
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[問いかけてくる高い声。>>*19]
憎い…?
[繰り返す。 自分の気持ちを確認するように。
「あなたは、お父さんを殺した『彼』が憎い?」
声が歪んで ノイズ混じりに だけど確かに感じて取れる。
「あなたは、お母さんを殺した『彼』が憎い?」]
わたしは…―― 憎い…! あの人が…、スティーブン先生が憎いよ。
(*22) 2015/05/15(Fri) 20時頃
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[その答えを待っていたと いわんばかりの肯定>>*20には 高圧さはなく柔らかく諭すような声。
だけどもわたしはひっかかりを覚えて 素直に相手にそれを返す。]
でも…。それじゃあ遅いよ。 …お父さんは何にも悪いことしてないのに。 本当は悪いことしたのわたしのせいなのに。 決まったことだからって 無理やり殺されたんだよ?
わたしもバレてなくても殺される。 お兄ちゃんも何もしてなくても殺される。
絶対にたすかるって誰にもわかんないよ…。
(*23) 2015/05/15(Fri) 20時頃
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わたしがお父さんとお母さんの仇をとるんだ。
[少女はその時初めて明確な殺意を持った。 ぎり、と口腔に潜む 鋭い牙を擦り鳴らして。
赤く腫れた目を 更に血走らせて。]
ラディスお姉ちゃんも ベネットも
……手伝ってくれる…――?
(*24) 2015/05/15(Fri) 20時半頃
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[憎いという感情は、確かに鼓膜を揺らしました。>>*22]
憎い。 そう、…憎いの。
[大切な家族を殺されて。 憎む相手がこの子にはいるのです。 それはどこか。 どこか、羨ましくもありました。]
(*25) 2015/05/15(Fri) 21時頃
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絶対に助かるなんて、謂ってあげられないけど。 手助けなら、喜んでしてあげるわ。
[バレなくても殺されるかもしれません。 それは、彼女も、彼も、私も、かわりません。 だから死なないための手助けなら、いくらでもしてあげましょう。 でなければ、昨夜殺されてしまった『味方』が いったい何のために死んだのか。]
それが『私たち』が生き延びる道なら。 彼が望んでいたことですものね?
[殺意を芽生えさせる彼女に、私はそぉっと微笑みました。**]
(*26) 2015/05/15(Fri) 21時半頃
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―― 前夜 ――
[ルパートの苦笑>>2:*57がふっと過ぎる。 軽口に対する答えははぐらかされたけれど、 少しくらいは、届くものがあっただろうか。
大丈夫だよ、と>>2:*58彼がいうから 「ん」と短い応えだけ向けて。
彼の事を、彼女の事を、 グレッグの相談を受けながら思い出すのは それが“家族”に関することだったからだろう。]
(*27) 2015/05/15(Fri) 22時頃
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子供を置いて逝ったか。 ――…否、望んでそうしたわけではないだろうけど。
ルパート。
[ぽつ、と零れた音色はかなしげなもの。]
(*28) 2015/05/15(Fri) 22時半頃
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[少女の声>>*12が聞こえた。 呼ぶそのひとが昨夜選ばれたのだと知っていたが それを伝えるのは忍びなく言葉がみつからない。
呼びかける相手がかわる>>*17。]
メアリー。 キミは如何したいの?
[きょうだいに語りかけるようにその心を問うけれど ラディスラヴァの声>>*19が続けば、ふっと男の声は途切れ。]
(*29) 2015/05/15(Fri) 23時半頃
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[その彼女からの訊ね>>*21に考えるような間。]
彼の親しい相手か。 僕は彼とそれほど親しいわけじゃないから よくわからない、かな。
――…ああ、レオナルドに深い思い入れはないかな。
(*30) 2015/05/15(Fri) 23時半頃
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死ねば、もののように捨ておくのね。
[オモチャに飽きたこどもが、それを見向きもしないように。 言葉は汗と共に、ポツリと零れました。]
(*31) 2015/05/16(Sat) 01時頃
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……、ああ ごめんなさい。 メアリーがどうしたいか、だったわね。
[我に返るように戻る、話題。 私は高く澄んだ声をやわらかくして答えました。]
さて、どうしましょう。
私がいく? あなた(べネット)がいく? それとも、あなた(メアリー)?
食べるのはレオナルドかしら。
[彼も、失わないための犠牲に見捨てられるのねと。 少しばかり話したことのある、あの顔を思い出しながら訊ねました。]
(*32) 2015/05/16(Sat) 01時半頃
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わたし…、アイツを殺したい。 でも、わたし一人じゃ…多分無理。 だから…
[手伝ってほしいのだけど]
その前に……。
ラディスお姉ちゃん。 見捨てるって…―― 昨日言ってたのって…――
マーゴのことだったんだね。
[そこに悼みはあれど 友の死を泣き叫ぶことはなく。
父の死に直面した少女の精神は崩壊寸前で 感情に重りがついているみたいに 目の前の出来事への実感が乏しかった。]
(*33) 2015/05/16(Sat) 01時半頃
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[それでもふと浮かぶのは。 村に響いた、声。>>169]
私はレオナルドを食べることを勧めるけれど。
メアリー。 あなたがもし、危険とわかっていても 今すぐにでも彼(スティーブン)を殺したいというのなら。
私は『止めない』わ。
[私は私の考えを述べるけれど、それは強制ではありません。 強要してしまえばそれは、『この村』と変わらない。 我慢し、耐え、黙って従うだけの『共存』。
私たちは『味方』なのですから。 私以外の二人の願いも、思いも。 配慮、しなくては、ね?]
(*34) 2015/05/16(Sat) 01時半頃
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ええそう、私が食い殺したのはマーゴット。
[いつも、彼女の側には助けてくれる手がありました。 いつでも、私の側には助けてくれる手なんてありません。
目が見えぬこと 口がきけぬこと
似たようなものだというのに、 なのになぜ、あの娘の回りには人が集まるのでしょう。]
『知っていたら』止めたかしら?
[彼女もまた、マーゴットの側にあるひとりでしたから。]
(*35) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[「止めたか」と聞かれて きっと、昨日のわたしなら 「当たり前だよ!」って返したと思う。]
…わかんない。 わたし… 何かを引き換えにしないと 大事なものは守れないんだって…
そう思ってた。 でも違った。
(*36) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[楽になりたくて、あの気持ち――オーレリアを殺めた罪悪感――から 逃げたくて、マーゴにネックレスを渡したのに。]
[大好きだよって言ったのに。 自分の大事なものはもっと別にあって。]
多分、わたし マーゴを引き換えにしようとしたけど お父さんも守れなかった。
わたし、どこで間違えたのか…―― わかんないよ。
[支離滅裂な返事が 今のせいいっぱいだった。]
(*37) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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ラディスお姉ちゃんも マーゴが憎かったの?
[そう、自分の大事なものと 誰かの大事なものは同じじゃないのだ。
自分の憎んでいるものもまた 誰かの憎んでるものとは違うのだろうな とぼんやり考えて。]
(*38) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[瞳を診察する医師。 (口がきけぬことさえ、知ったのは昨日。)
手を繋ぐ無力な飼い犬(ナイト)。 (ヒーローは理由も謂わず離れ、差し出される手にも応えられない。)
側にいる、歳も近い友人。 (私はいつだって、独り。)]
(*39) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[それから、少女はぽつぽつと伝えるだろう。
自分の考えた計画を。]
[教会にスティーブンを呼び出して 罪を背負わせるのだと。
大きな十字架を “背負わせて”
その罪をしょってもらうのだと。]
(*40) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[問い掛け>>*32に、ふっと笑う気配。]
――…さあ。 気分次第かな。
[狩りの時間はまだ先とばかりに悠長な言葉。]
[少女の声>>*33に綴られぬ先は概ね知れる。 彼女が望むのなら動くのも吝かでなく。]
[二人の話題が移ろえば、意識は目の前へと傾く。**]
(*41) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[思考に重なる声は、幾分と支離滅裂でいて>>*36>>*37 それでも子供ながらに、こどもだからか 確信を突いたような言葉が重なりました。>>*38]
憎い?
……、…………そう。
[不自然なほどの間をもってして返るのは くすくすと、笑いはじめる私の耳障りな笑い声。]
そう、憎かったの。 いいえ、憎いの。
[それはまだ終わっていないという暗示でしょうか。 過去を進行形に変えて、私は話しました。]
(*42) 2015/05/16(Sat) 02時頃
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[その計画とは別に 二人が一抹の不安を抱いて 例えばレオナルドに保険をかけたとしても 少女には与り知らぬところだろう。
知ったところで、父親を失った不安感から 強まった信頼感に変わりはない**]
(*43) 2015/05/16(Sat) 02時半頃
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[気分次第と返る声は、余裕さえ感じさせるほどでした。>>*41 時はまだ先とばかりの言葉遣いに、ゆるうりと笑みを返します。
やがて聞かされるのは、少女の夢物語。>>*40>>*43 教会で、彼に罪を、十字を背負わせるのだと。 私ならば最後の最後まで、彼には生きて苦痛を味わわせてから 狂い壊れたところを美味しくたべてしまうところだけれど。]
あなたがそうしたいのなら。 私はいつだって『お手伝い』するわ。
[レオナルドは、またいつだって殺すことが出来るでしょう。 狙いはそうっと別へと変化しては、赤い瞳がキラキラと輝くのです。 厚いカーテンの下に隠した、その瞳が。]
(*44) 2015/05/16(Sat) 03時頃
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[けれど私は、ひとつ保険をかけるでしょう。 それは別の相手を狙うのではなく、同じ相手へ。 上手く隠した牙を、爪を。
十字背負うべき、彼(スティーブン)へ。
命を奪う箱の中。 メアリーさんの名前が確かにあったのを覚えていたのです。 例えば彼女が夢物語を現実にしてしまうよりも前に もし、『無慈悲な決定』で命を奪われてしまったら。
その時のための、保険と、なるように**]
(*45) 2015/05/16(Sat) 03時頃
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[黒き獣の心は強き望みに傾く。 少女が望むならばその爪も牙もその者へ。**]
(*46) 2015/05/16(Sat) 03時頃
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お父さん…、ごめんなさい。 わたしのせいで、お父さんが殺されちゃったん…だよね。 怒ってるよね…。
ごめんなさい。 お父さんの仇は打ちたいけど それが済んだら、わたしも…
死んだ方がいいのかな…。
[声なき声はだんだんとか細く震えて。 嗚咽に混じって 溶けた。]
(*47) 2015/05/16(Sat) 22時頃
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……なに、あなた死ぬつもりでいるの?
[聞こえてきた声に、返すのは。>>*47 高く澄んだ嗤う声でもなければ。 やわらかく誘うような声でもなく。
無機質に、色も温度もなく、落ちました。]
(*48) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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死にたくないけど…。 お父さんがもし すごく怒ってたら…… って思うと…。
[低くくぐもったような声のお姉さん。 いつもの声と違う。 高くもなければ 楽しそうでもない。
怒らせたのかな、そう思って 咄嗟に] ごめんなさい…。
[と謝った。]
(*49) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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[聞こえ来る少女の震える声>>*47に意識が向く。]
――…キミのお父さんはキミを守ろうとしていただろう? 彼はキミが生きることを望んでいると僕は思うよ。
グレッグも、かなしむよ。
[静かに柔き音色をのせて。]
(*50) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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父親の仇をうったら、追いかける? 同じ場所にいきたいのなら、いつでも私が殺してあげるわよ?
ああでも。 あなたのそれも父親譲りね。
残される彼(グレッグ)の気持ちも考えないの。 殺された彼(ルパート)の思いも考えないの。
[それから、鈴の音がころころと鳴るでしょうか。 まるで取り繕ったような音。 よくできた、それはよくできた模造品の鈴。]
(*51) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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|
ああ、ごめんなさい? 怒っているわけじゃないの。 あなたの命だもの。 あなたが思うままに生きるといいわ。
[私は優しくなんてないから、 『かなしい』なんて思わないけど。]
仇を打つっていう『約束』は守ってあげる。 だから怖がらないで?
(*52) 2015/05/16(Sat) 22時半頃
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|
「あなたは、大丈夫ですか?」 「どうか。」
[それは彼の、心優しき医師の手のひらに乗せた文字。 本当は何と続けましょう。]
(*53) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
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|
お父さんは、わたしを守ろうと…。 そう、かな…。 うん、そうよね。お父さん、わたしの味方って 言ってくれたもんね…。
お兄ちゃんも…悲しむかな……。 ううん、きっと悲しんでくれるよね。
[だって、わたしのお兄ちゃんだもん。 声には出さないが少し誇らしげに。]
(*54) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
|
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『背後には気を付けて。 重い十字架(罰)が、降るかもしれませんから。』
(*55) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
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|
……、お姉さんの言うこと、やっぱり 難しくてよくわかんないわ。
でもありがとう。 そうよね、わたし、お兄ちゃんとけっこんして 家族にならないといけないもん。 本物の家族に。
だからこんなとこで死にたくない。
[迷って、前に進んだと思いきや後ろを振り返るような。 そんな自分だけれど。
少女にとってそんな『仲間』の声が頼もしかったし 『仲間』に応えたいという思いが芽生えた。]
(*56) 2015/05/17(Sun) 01時半頃
|
|
いいわ、判らなくて。 もっと大人になれば、きっとわかるから。
[くすくすと微笑んで見せましょう。 言葉の裡にある想いなど、判らなくていいのです。]
この医者(ひと)を殺すのね。
[優しい優しい、この『死神(ひと)』を。 私はすぐに訪れるであろう贖罪の未来に。 うっとりと、赤い瞳を細めては。 彼の熱伝わる指先を見詰めていたのです。]
(*57) 2015/05/17(Sun) 02時頃
|
|
―???―
「昨日はごめんなさい。 こうなっちゃったからには 仕方ないことだったのに。
みんなの嫌がること 進んでしてくれたのに 先生にひどいこと言って。
ごめんなさい。
お願いがあるの。」
[俯いたわたしの口からでる声。 まるで別人みたい。]
(*58) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
|
|
[わたしの話を聞く医者の眼は 冷え切った暗い琥珀。
鋭いその双眸を見つめながらゆっくりと わたしの唇が動く。]
「おそう式をしたいの。 お兄ちゃんと先生とわたしとで。」
[しばらく黙って聞いていたけれど 先生はやがて重たい口を開いて、返事をくれた。
肯定。
けれどその眼は相変わらず睨み殺すような眼光で。 それは一見して彼が、その葬儀が茶番だと思った上で 頷いたとわかる態度。]
(*59) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
|
|
[けれどそれはきっとわたしとて同じことで。
冴え冴えとした目は睨むでもなく 先生の琥珀をじっと見つめたまま。 そしてきつく口を結んで、先生に対峙していた。]
(*60) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
|
|
―教会―
[先生が現れる。
教会には祭壇の上にろうそくが2本灯っているだけ。 薄暗い灯りの中、先生が 燭台を持ちながら祭壇の方へ歩みよる。
暗がりだけど、もう片方の手に何か持っているのが見えた。 気配でわたしを探そうとする先生。]
[わたしは十字架の裏でじっと息を潜めて 先生が十分近づいてくるのを今か今かと待ちわびる。
きっとこの真っ赤な眼がぎらついてる。
暗闇の中で鈍く、それでいて鮮やかに。]
(*61) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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|
[予め、お兄さんとお姉さんが傷をつけてくれていた 十字架の根本に足をけり下ろせば、その直下に、先生の身体。
もうすぐ、もうすぐだ。 そう思うとお父さんとお母さんの優しい声が 聞こえた気がした。]
(*62) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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|
先生は罪の意識から逃げたかったんだ。 だから一番にお父さんを殺したんだよね。 そうでしょ?
[わたしの声は反響して、聖堂中に広がる。 その声は力強く、遠くの仲間にも届いただろう。]
(*63) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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そんな男、神様が見逃してもわたしが見逃さない!!!
(*64) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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わたしのお父さんとお母さんを殺した罪!!! 地獄で味わえ!!!!
[絶叫とともにわたしは 足を振り下ろした。]
(*65) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[例えば――。 「マーゴット」という名前ではあるけれど。 清い雫を纏い、煌めく 桃色の薔薇のような。 そんな、娘だったと思う。]
マーゴット。
サイラスと君を見ていてさ。 僕は、ね……。
(娘の幸せを願う父親のような顔をして 君を見送りたかった。
死出の旅路ではなく
ただ 幸せな未来へ旅立つ君を )
[―― もはや、 手遅れか。]
(=1) 2015/05/17(Sun) 02時半頃
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[その夜、教会から火が出ているのを 近くの村人が発見したらしい。 夜を徹しての消化活動の甲斐あって 教会は半焼に収まったが、火元と思われる 祭壇付近はほぼ全焼だったという。
祭壇には胸に何か突き刺さっている遺体があったとのことだが 突き刺さったものは辛うじて教会の十字架だったと思われるが 遺体は消し炭で身元の断定は難しそうだ、と
村人たちは明くる朝知ることになるだろう。]
(*66) 2015/05/17(Sun) 03時頃
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