86 忘却の海
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手がかり……か。 記憶の混乱が収まれば、早いんだろうけど。
そうじゃなかったら、持ち物から何か……、
[そのとき、セオドアが視線を向けた扉から、祖父が顔を出す。]
あ。祖父ちゃん。どう、記憶……戻りそう?
[『直ぐには難しいな、ありゃ。 それより、患者の清拭用に湯を沸かさにゃならん』 それだけ言い、物置を兼ねた小部屋へとどすどす足早に。]
ダーラさんのところ、泊まってもらうのがいい、のかな。
(180) 2013/06/16(Sun) 23時半頃
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……何も、わからない。 覚えていない。
[どういった経緯で海へと入ったのか。 何の衝撃で記憶を失ったのか。 自分が何なのか、何者なのか。
何一つとして、わからなくて。]
……俺が王子だと、何かあるのか、
[どうにもそれに拘るらしい娘の様子に、謎は深まるばかりだった。 王子様である事は、この村では何か意味があるのだろうか。 それとも彼女だけなのだろうか。
後者な気がした。なんとなく。]
(181) 2013/06/16(Sun) 23時半頃
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[そうして、娘の後方から歩んできた二つの姿が、浜にいた二人と気付く。 娘とも顔見知りらしい様子>>176だが、その二人は窓を通り過ぎ、表の扉の方に向かった。 窓から接触を試みる事は、やはり常識的ではないらしい。 開かれた扉>>174の向こう側に、青年達がまだ居る事に、少し驚く。 年頃も同じだろうに、何故彼女は向こうから入らないだろう、と、再び窓の外に視線を向けて。]
…………?
[浮かぶ疑問符を掻き消す様に、湯が沸いた、と、告げる医者の声が響く。]
(182) 2013/06/16(Sun) 23時半頃
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………、
[あまりにも早い逃げ足に、咄嗟の言葉が一つとして出なかった。 言葉が出ないうちに、彼女は声の届かない距離まで行ってしまった。
せめて次は、扉からの面会をお願いしたかった。]
(-54) 2013/06/16(Sun) 23時半頃
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―― 宿屋・Gorgon ――
[へろへろになりながら、扉の前までたどり着く。 もうお腹が減って死にそうだ。 やたらと重く感じる麻袋を担いで、酒場、もとい宿屋の扉を叩く。]
ダーラさぁん……
お腹減ったぁあ……
[そんな、間抜けな声をかけて]
(183) 2013/06/16(Sun) 23時半頃
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[差し出された服>>174>>178を、片方の手で受け取った。 置き場が無いので、とりあえず診察台にそれらを置かせて貰う。
今から身体を拭く事を考えれば、本当に良い頃合いだった。]
あぁ、……っと、 ……あり、がとう、 ? ……助かる、 ……ま、 す?
[感謝の言葉は、あっているのだろうか。 疑問符混じりに、そう告げる。
そのうちに、医者が扉を開いて戻ってくる。 洗面器に張られた湯と、取りに行ったらしい新品のタオルとを受け取った。 沸いた湯に水を足したのか、それは少し熱いくらいの温度。 冷えた身体には丁度良いだろう。
そう思いながら濡らしたタオルを手に取り、視線を上げて。]
(184) 2013/06/16(Sun) 23時半頃
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/* 長文消えた!!!
(-55) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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[親子らしい二人の視線が、二人して身体の刺青に向いた事を察すれば、]
こういうのは、……ここでは、目立つ、か ?
[刺青が見られない地域では、目立つ事になるだろう。 必要ならば、肌を晒さない方がいいのかもしれない。
記憶のあった頃の自分が、何を意図してそれを入れたのか。 覚えていれば何か言う事ができたのだが、其れすらも今は難しい。
言葉を濁しているうちに、少女が父親の後ろに隠れているのに気付いた。]
……きょ、ういくに、 良くない、んじゃ、
[この言い回しでいいのか、わからなかったけれど。 あまり、年頃の娘に見せるものではないとは、思った。
身体も、刺青も、治療された後の腕も。]
(185) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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[セオドアとセシルの姿が見えれば、軽く頭を下げる。 彼らの後ろから、湯を沸かしてきた医師が姿を見せたなら、容態についていくらかは聞けたろうか。]
ハナさん、あれはタトゥーといってですね……
[自分の後ろへ隠れてしまったハンナへは、少し困ったように説明し]
……すみません。 この子はその、大きい人が少し苦手で、タトゥーとかも、見たことがないものですから。
[見知らぬ男には、ハンナを背に庇ったままで詫びる。]
(186) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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持ち物……。 そー、だな。そっち方面から当たってみてもいいか。
[胸元にそっと手を当てる。 指輪の感触を布越しに確かめ、落ち着いた頃に問おう、と一人頷いた。]
そうだな。入院が必要ってわけじゃないなら、ダーラのところが一番気兼ねなくて楽だと思う。飯も美味いし。
[誰かの家でもいいのだが、客人自体が珍しいこの村で急に成人男性用の寝床を用意できる家は限られているだろう。 セオドアの家も、セオドアが寝床を明け渡さないと無理だ。
見えた医者の顔と言葉にも聞き耳を立て。 開いた扉の向こう、>>182驚いた男と目が合ったなら、 一瞬だけ、にっ、と笑い返した。**]
(187) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2013/06/17(Mon) 00時頃
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みるひーおねーちゃん、なんだったんだろ……
[いつもより変だったおねーちゃんを思って、ぽつっと呟いて。 それは、あとで聞いたらいいかな。]
どういた、しまして。 んー…… 見たことは、ないです。
[>>185お礼にはそう答えて、おとーさんの服を握る。 が。きょういく?]
……あ、 ごめ、なさい
[>>186おとーさんが謝った。 ハナは、良くないことをしたんだ。 重ねて謝って、ふとまゆがへなっとした。]
(188) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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あの……
いたいのとんでけ、してもらった、ですか?
[治療のあとをみて、ぽそぽそ。 外科の医者にかかるような大怪我はしたことがないから、治療のことはよくわかっていないけれど。
元の親は、それでは間に合わなかった から。 そうはならなくて、本当に、よかった。]
(189) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2013/06/17(Mon) 00時頃
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[マグカップが空になっても物思いに耽っていた。 不意の来客>>183にも、一拍反応が遅れて]
ん……あら、嬢ちゃん。 どうしたんだい。そんな似合わない物担いでさ。
[キッチンに向かう傍ら、今しがた自分が座っていた席を勧め、まず目に入ったのは麻袋。 セシルと共に取った食事の残りを温めながら不意に思い出した。]
今日はみんな腹ペコなんだねェ。 セシルの坊もさっき腹っ減らしで来たよ。
[二人の間のことなど知らないから、世間話のように。]
(190) 2013/06/17(Mon) 00時頃
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[火をつけて、ミルクと水を温める。木べらでくるりと、かき混ぜる。 本当は自分用だった、少し固いパン。それを何の躊躇いもなく、小さくちぎって煮てしまう。 素性も知れない男であるとか、自分自身の食であるとか、そういうことは考えないのが、クラリッサだった。]
……うん。
[頷いて、蓋つきのシチュー皿にパン粥をうつす。 ホレーショーにパンを分けて空いたバスケットのスペースに、今度はそのシチュー皿が入った。 今日はダーラのところへ行くのは遅くなりそうだ。後で謝りにもいかないと。]
(191) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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――診療所へ――
すみません。
[表口をノックして、扉を薄く開けながら、遠慮がちに中に呼びかけた。 それはきっと、ミルフィが走り去った、その少しばかり後のこと。]
(192) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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[教育に……>>185と言われ、咎人に刺青を施す地域もあったと思い出した。 けれど、少なくとも自分が知っている、咎人に施されるそれとは違う気がした。]
いえ。 そんなことはないと思いますよ。
それより、服は大丈夫ですか? あなたの服とはだいぶ違うかもしれませんが、着方に苦労することはないと思います。
(193) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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[濡らしたタオルを、そっと絞る。 左腕は負傷していたが、動かせない程ではなかった。 深い傷ではなかったのだろう。 勿論、力を籠めれば、多少は痛むが。
ぼたぼたと、落ちる水滴に立ち昇る湯気。 絞り方が下手なのか何なのかわからないが、そこまで硬く絞れなかった。 構わず、それを右の肩から腕へと滑らせる。]
……苦手なのに、わざわざ此処まで?
[浜で一度、顔も、身体も見ているだろうに。 父親と、離れたくない年頃なのだろうか。
そこまで幼い風には、見えなかった。]
(194) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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或る程度、楽になった。 ……痛いのは、痛い。
[小さな声の問いかけに、それだけ答える。 極力、穏やかな口調になる様に、心がけて。
本当は、痛み止めなども殆ど口にしなかったので、身体の痛みは変わらない。 だが、何も分からず、混乱していた時よりは、ずっとマシに思えた。
医者は、頭を強く打ったせいで起こった記憶障害だと告げるだろうか。 あの海の何処で、頭を強く打つのか。 あまり、ぴんとこない。]
(195) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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[よろよろと屋内に入り、勧められた席につく>>190。 床に置いた麻袋からは、重量を感じる音が響いた。]
ダーラさんも見たでしょ、浜辺にいた人。 あの人が要るものあるかなーって、持ってきたの。 父さんの靴のお下がりとか、歯ブラシとか。
[確かに似合わない、とへらりと笑みを浮かべる。 早速キッチンに立ってくれる彼女に小さく頭を下げたが、セシルの名を聞けばぴくりと動きが止まる。]
あ、あー……セスも。そうなんだ。
……ね、セス、なんか言ってなかった?
[くたくたの足をふらふらと振りながら、さり気なく聞きだすつもりが そういう振る舞いが下手なのはわかりきったことできっとさり気なさは皆無だろう。]
(196) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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[汚れたタオルを湯に浸し、絞り、身体を拭い。 繰り返しの作業は、あまり効率の良いものではなかった。
それでも手伝いの申し出は断り―――背中は頼んだかもしれないが―――、上体を拭き終えて。
湯の交換を頼み、洗面器と共に去った医者の背を見送れば、初めて渡された服を広げる。]
……あぁ、 ……平気、 と思う、 ……ます
[何故彼はそう、畏まった口調>>193なのだろう。 他の者は言葉に多少の崩れが見られるが、彼は何だか、知識にある言葉通りの喋り方をするような気がした。
そんな彼に尋ねられれば、自ずと似たような口調になりそうになり。 結果的に知識と声とが噛み合わず、妙な言葉になってしまう。]
(197) 2013/06/17(Mon) 00時半頃
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