266 冷たい校舎村7
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[音響監督の名前に柊の苗字が書き込まれていくのを見ながら 俺はどういうお化け屋敷がいいかなって考えていた。
オーソドックスに和風の屋敷、 素材を生かすなら廃校の教室。
コンセプトというか、 小さなシナリオを決めて進行するのも面白そうだと思った。 たとえば廃校イメージであれば 入り口で行方不明になったクラスメイトからの手紙を渡されたり、して。
――――監獄。 XXの見本市。
ふっと頭の中を踊った文字に、 ニッチすぎんだろ、と一人で突っ込みをいれた。 こういう企画ものは、 芸術と違って、一般ウケするのが大事だ。]
(185) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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中身さ。 廃病院とか、コンセプトとしていいと思うんだけど。 どう?
[いろんな患者が収容された廃病院を思い浮かべて 俺は話し合いのうちの どこかのタイミングでそれを投げかける。 異論があれば、もちろんそちらの方を優先で。
話し合いながら、どこに何を配置するべきか、 英語を解く時には まったく働かない頭がくるくる回っていた。*]
(186) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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/* すごい、なんかめっちゃいきをするように縁故生まれてて役割分担の話進んでてしれっとこっちに話がきている
これが、これが校舎村ッ……!
(-38) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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──現在:通学路──
とても便利でいいものですよ。
[ わざとらしい棒読み>>170にも、 にっこりと頷くのが僕の反撃ともいえる。
体調を崩すリスクより、 濡れた布が肌に触れる不快感より、 見栄えの悪さを嫌う感性というのが、 僕にはつくづく不思議であるけれど、
一緒に歩く彼女にとっては、 僕の別の部分が不思議だったらしい。>>179]
(187) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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……普段からひとりで登校してるし、 毎日同じ道を歩いてると、無心になるから。
[ ぼんやりしすぎと言われればそれまでだけれど、 3年目も終盤ともなれば、足は無意識にも動く。
遅ればせながら人気のなさにやや驚き、 それも、雪だからかな。と内心で片付ける。
付き合いが短いというわけでもないのに、 会話を重ねるごとにお互い様の不思議が積み重なる。 たぶん、性質が違うというやつなんだろう。
僕と違って、彼女は溌剌と話すし、 空いた時間を埋めるアイディアだって豊富だ。]
(188) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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[ そう、例えば。 大雪の中自動販売機に手を伸ばすとか。>>180]
……そのうち、あれも。 埋もれて見えなくなりそうな、
[ ふと、自動販売機の墓標。などと思い付き、 無人の凍えた街の片隅に取り残される、 180cmぽっちの機械を想像する。SFじみている。]
(189) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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寄り道にしては、屋根も壁もなくてわびしいけど。 ……ココアにしようかな。灰谷さんは?
[ 奢ろうか。という提案>>182に微笑んで、 僕は彼女よりも広い歩幅でたどり着いた自販機に、 千円札を一枚滑り込ませた。ボタンを押す。
がこんとあたたかい缶をひとつ吐き出しても、 充分な金額を食った自販機のボタンは灯ったままで、 あとは選ぶだけですよ。と、彼女を見下ろした。*]
(190) 2019/06/05(Wed) 18時半頃
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―― 盗難事件の事 ――
[凹んでないのな、という呼びかけに 轟木とのやりとりがどうなったにせよ 俺はただ目を丸くしたに違いないのだ。>>102]
なんで?
[俺は馬鹿みたいにその言葉を投げかけた。 それから、ああ、と合点した。]
(191) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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盗まれたの、数学のノートだし。 暗記が好きな奴が 歴史のノート盗まれたらショックかもな。 ほら、ノート作るのにかけた時間的に。
[高本がノートを貸してくれるというから さすが幼馴染、と俺は感動し、]
ありがとう、わが友よ! キスはやれないけどハグくらいならやれるぞ
[と、大仰に喜んでいた。 ぐしゃぐしゃになっても、には、まあなあ、と笑う。]
(192) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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ぐしゃぐしゃじゃなかった頃を覚えてるから、 いいんだよ。 書く分には新しいのおろせばいいし
[目が覚えてる、とじゃれるように言って、 けれどありがたく数学のノートは受け取っておく。 多分ぺらぺらめくった三日後くらいに返すだろう。]
つまんねーことするよな、犯人。
[俺は当然、お前もそう思うだろ? って目で、高本を見てた。*]
(193) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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―― 回想:文化祭の役割分担をしましょう ――
[高校最後の文化祭における我がクラスの出し物はお化け屋敷、だそうだ。 面白そうだとイロハは思った。 拍手のために打ち鳴らしていた手の片方をあげてやりたい役に立候補したのは、]
じゃああたし衣装係やりまーす。
[要は衣装係である。 母が業界ではそれなりに有名らしいファッションデザイナーということもあって、 イロハは毎年衣装絡みの役をやりたがっていた。 デザインを考え、必要な材料を集め、 時に制作に手を出しはする、が、いかんせん器用さが足りない]
ねぇアイちゃん! ならさ、衣装作るの手伝ってよ!
[内装に立候補した養は男手を御所望している。>>184 ならば、と、相原の肩をとんとんと叩いて頼み込めば、 彼女は緩やかな黒髪を揺らして頷いてくれた。 手先が器用な有望な人手ゲット、である]
(194) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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そんで、さっきメイクの話してたけど。 なんか適当に顔を青白くするとかならそれもあたし、できると思う。……うん。 ……で、それを蛭野くんに手伝ってもらっちゃう感じで……。
[イロハは頭の中で人間を飾り付ける方法を考えた。 顔にファンデーションを塗りたくってマスカラで目の下にクマでもつければ、 生気のないお化けの顔っぽくなるだろう、と。 できなくはないだろう。しかし器用さの足りないイロハひとりじゃ大変そうだ。 だから他に人手があるのは正直ありがたい]
(195) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[高本が蛭野の姉の話を出して、 蛭野がそれに微笑んで返す。>>107>>167 そのやりとりに一抹の不安を浮かべはしたが、 イロハもただ笑っていた。何も言わずに]
(196) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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高本くんってば、男の人が化粧道具持たないってのはちょっと考え古いかもよ、 メイクアップアーティストにもれっきとした男の人だっているし。
[とはいえ進学校の1クラスの中じゃそういう人はレアか、とは、 言ってから気付いた。 ……なんとなく蛭野の姉の話から話題を逸らしたかったなんてことは、 言わない。もちろん]
……まぁ何はともあれよろしくね、蛭野くん。 …………こういうの珍しいねぇ、なんか。
[立候補のこともそうだが。 明らかに”できる”分野が違うと思っていた蛭野と同じ役割をこなすことになるとは。 ともあれ役割は決まっていきつつある。音響監督もいるとは、 本格的っぽいことになりそうだ、とつらつら考えていた*]
(197) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[――別にご近所付き合いは希薄じゃない、と思う。 母が忙しい分、イロハがご近所付き合いの役目をちょっとだけ進んで担ってもいたし。 それでも、蛭野の家のもうひとりの子ども――蛭野京輔にとっての姉の姿を最後に見たのは、 もうずいぶん前だったように思う。 そう、回覧板を届けに来た時に、たまたま。 窓越しであっても顔は良く見えていた。 一目見て、思った。似合う服がなさそうな顔をしている、と]
(198) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[彼女が普通の服を着てお化け屋敷に行く姿を想像するのは難しかった。 思ったのはそれだけだ。別段感慨も抱かない。
綺麗に生まれなかったひとが身近にいる―― それは、この世界にあるありふれた不条理のひとつだ。 それも己には降りかかっていない不条理]
(199) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[――でも、今はね。
あたしにもそんな不条理が降りかかっていれば今頃、 あのひとはあたしをあんな目で見ることはなかったかもしれない、って、 だいぶ極端なことを考えてしまってならない**]
(200) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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―― 古い記憶 ――
[腐れ縁、って奴だったと思う。]
(201) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[そいつがその頃から 美術が好きだったかは置いとくにして
小学校の廊下に貼り出された子供達の絵の中に、 とびきり、目を引く作品があって どんな奴が描いたんだろう、と思って顔を見に行った。
それは普通の男の子 だったけれど 外を走り回る女の子よりは色が白く見えて 俺はそいつの姿を一発で覚えた。
ヒルノキョウスケ。
通学路でたまに見る、 肌が荒れていて「怖い」上級生の――
口さがない子供達が「ゾンビ」と噂する女の子の その弟だと知ったのは それからずっと後のことだけれど]
(202) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[俺はよく興味で、そいつを遊びに誘った。 他愛もない子供の遊びもあれば、 子供感覚でちょっと遠くまで行く遊びまで
それにあいつがどう応えてたかは、 やっぱりさておき、 見かければ俺が声をかけるような関係は 高校になるまで続いてた。]
(203) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[同じ部活に入った同性だもの、そりゃあ、 蛭野の絵を見て、触発されることも何度かあったさ。 だから、――だからだろうな。
蛭野が、メイク。って言い出したときに 俺はびっくりして、 絵じゃねえの、と言いかけて、 SNSで見たいつかの指先を思い出して、]
[……やめた。]
(204) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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――文化祭準備中――
キョースケ、それ、チョー怖い。 才能あるなお前
[ある時 俺はお化け屋敷の中で使う小道具を作りながら 蛭野の手元でつくられる赤い肉塊じみたものを見つめ そう声をかけたことがある。]
(205) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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[綺麗な指先がつくる醜い何か。 シェイクスピアならいい言い回しを思いつくだろう。 俺は、SNSでよく流れてくる 化粧の動画を思い出している。
平々凡々な人間が生まれかわるように 化粧で化けるあれだ。]
納得できそ? 出来。
[なんだかハイトクテキだな、と思いながら こねまわされるそれを見守っていた。>>90]**
(206) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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“ なんでも出来る奴 ”
と いうのが おそらく 宇井野 堅治 という男の評価だ
(207) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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一番はとったことがなくて 二番になったのは いつも そこにある名前が 違う所にとんでいった一度きりだけども>>129
貼り出されるテストの順位を見れば 宇井野 堅治の名前の頭に くっついてる数字は一つだけで
力仕事だって得意で 格闘技で 何度も賞を取るくらいには 見目相応以上に運動だって出来た
特別器用というわけでもないが ものを作るのだって それなりに得意だった
(208) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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それが 宇井野 堅治の求めた器だった
(209) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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なんでも出来たならば きっと とっても頼りがいがあって 頼りがいに 男らしさを見出していたから
頼れる男というものは
人よりも 睡眠を欲さない身体を良いことに 娯楽の時間も殆どとらずに
“ なんでもできる ” 自分の為に 全部の時間を割いて────出来上がる
例えば 痴漢に遭っている女子がいれば 無言で助けて 女子に見つかる前に去るような そんな性格だけは 素でしかないけども
(210) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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身体も大きくして 力も強くして 強さを称えられて
出来る限りの男らしさで 宇井野 堅治の名を飾った
だって それだけやって はじめて 他の と 並べるから
(211) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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飾って 塗り固めて 繕って いらないものに土をかぶせて
そうして 作った舞台の上で 劣等感を背負って 生きている
(212) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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/* 未だかつてなく、陰キャとかコミュ障をやろうとして、実際そういう認識をされているキャラにできているのでは……? と思って笑ってる。 蛭野、クラスで浮いてる……よね……?? ホラー担当目指してがんばります。
(-39) 2019/06/05(Wed) 19時頃
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