181 アイスソード伝記
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□西暦 973年
ウィリディスの攻防の最中、 アウァールスとヴィリデの名が歴史に記される頃、 名も無き小隊は歴史に名を残さずひっそりと失せた。
数多の兵と同じく死んだ男の名は 今はまだ、表舞台に刻まれる時ではなく―― **
(111) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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――ここに記すのは歴史の欄外。覚書。 正史の裏で繰り返されるとある小隊の運命の系譜。 その一篇。
(*40) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[西暦 973年
ウィリディスの南側の山の中腹。 不揃いの軽鎧を纏った傭兵の小隊が、木立に身を紛らわせ其々に面持ちを苦くして見下ろすのは、陽を鋭利に弾き緑野に尖るアウァールスの行軍の光。
かの領地を巡る十数年の均衡も氷の砦とともに崩れ落ち、今や天秤の皿に落とされんとするただ水の一滴で傾こうとしている。
その際で。
さて、どうすると。小隊の間で言葉にせぬ間があった。 彼らの視線は一人の赤い癖毛の男に集まる。
赤毛の男――アンタレスは黙したままぎらつく光に目を眇めた]
(*41) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[この頃の彼らは小隊と呼ぶには数は少なく、ごろつきの集まりと称した方が正しい。彼らはアウァールスとウィリデのどちらにも与さない。ひとりのエア研究者が雇った傭兵たちだ。
研究者エスペラントの目的はウィリデの家宝と名高いアイスソードへの謁見。治安の悪いアウァールス領での護衛が依頼の主である。
報酬金は戦火のただなかに飛び込むには見合わない。 金と研究者を置いての撤退が妥当な判断といえよう]
(*42) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[だが、彼らは。
旧アウストラリスの孤児たちであった]
(*43) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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――――。
(*44) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[戦火に親兄弟を亡くし故郷を奪われ、王を失くした。
あの焼き払われた日から――17年。
蜂起も失敗しもはや故郷に再び剣を手に取る力は残されていない。年々力を蓄えるアウァールスのお膝元で傭兵稼業を営みながら、寝首を掻く機会を窺っていたのだ]
(*45) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[そんな折、ひとりのエア研究者と出会う。 このひょろりとした年齢不詳の研究者は、 エアの使い手や他の研究者とは少し毛色が違っていた。
”魔法使い”
武器の使い手としてこそ優れないが、 エアの力を引き出すことに長けている者をそう呼ぶ。 ことエスペラントについては、持ち手にならずともそれができる。
理屈は分からない。 エスペラント曰くちょっとしたメンテナンスは、 どこにでも売られている彼らのエアを一級品に変えた。
では、ウィリディスの宝剣ならば。
千載一遇の機会は現れ、今まさに失せようともしていた]
(*46) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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ミツボシ、斥候準備。先行して強襲部隊の誘導。
[黙していたアンタレスから鋭く指示が飛ぶ]
(*47) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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ラッドは待機、戦況確認と退路の確保。
これより本隊は混戦の隙を縫い ウィリデ領主とアイスソードの確保を目的とする。
――今こそ三度、アウストラリスの烽火を上げる時だ。 [時を告げる声に、傭兵たちの顔つきが変わった。 亡国の兵士の顔を一巡見回して、アンタレスは頷いた]
(*48) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[わしりと癖のある赤毛を一度混ぜる]
おう、センセイさんよ。あんたもここに残れ。 まかり間違ってアウァールスの手に落ちても困る。
[エスペラントへと向けるのは、飄々とした傭兵の顔つきだ]
それにアウァールスの野郎にゃ ちいとばかし借しがあるもんでな。
こいつは仕事とは別の話だ。 あんたが気にするもんじゃねえよ。
[そうは言っても拠点兵器の戦の只中に飛び込むなど無謀以外の何でもない。困惑めいた表情を浮かべたエスペラントを、アンタレスがこうなったら無駄だとでも言いたげなラッシードが肩を叩かれ連れて行った]
(*49) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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いくぜ、野郎ども。
[アンタレスが馬上で手綱を繰った。 傭兵隊はさらに数を減らし先行したミツボシを追って山を下りる。 彼らの鬨の声が上がるのはウィリディスの城門が崩れ去るその頃に**]
(*50) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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鶏が騒ぎ、馬と羊は言うことを訊かない
空には鳥たちが逃げまどい、 鼠が大地を滑るように走って逃げていく
煙と炎で空は焼けた炭のように赤黒い 家と父は火の中だ
家畜も土地も置いて逃げるより他はない 鳥を追って、鼠を追って――
─── ウィリディス伝聞書「ウィリディスの最期」より抜粋 挿絵: 作家不明 ≪ 焼けた民達 ≫ 10世紀、版画
(112) 2016/01/22(Fri) 17時半頃
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[――歴史の参考書には、版画で描かれた 焼け出される人達の挿絵が載っている。
エアによる戦争の資料は文献が多い。 強大であればこそ更に、だ]
(*51) 2016/01/22(Fri) 18時頃
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[…授業の続く教室の後ろ。 ロッカーの上に置かれたケージの中で 白い鼠が鼻をひくつかせている。
うろうろとケージの中を歩き終えたのち、 とたたたたんっ と小さな音を立てて回し車に飛び乗ると 鼠は回し車の中を、全速力で走り始めた。
くるくるくると、車は回る**]
(*52) 2016/01/22(Fri) 18時頃
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[西暦973年。 その年の初めに、ウィリデにはひとつの慶事があった。 サイラスの妻、クラリッサ・ウィリデ懐妊の報である。
本来、ウィリディス領主の妻懐妊の報は、 もっと盛大に祝われるべき事柄であったろう。 なれど時の事情はこれを許さず、 ウィリデ家はささやかにこれを祝うのみに留まった。]
(113) 2016/01/22(Fri) 22時半頃
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■西暦973年
ウィリディス領主サイラス・ウィリデ、兵を率い 街道を進むアウァールス軍と会敵
村へ迫る敵兵へ水袋を括りつけた矢を射掛け アイスソード「オーレリア」の力を用い 瞬く間に水を浴びたアウァールス兵を凍りつかせた。
(114) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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アウァールス軍馬の足が道に張りつき、 歩兵の隊列が乱れ、隊が分断されたところを ウィリディスは各個撃破。
行軍困難とみなしたアウァールス軍は 落とした砦近辺まで一時撤退。
この戦では、ウィリディスが勝利を収める。
(115) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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同、973年。
アウァールス領主、ドン・アウァールス、 再びウィリディス西方より侵攻。
ウィリディスは住民を退避させた近隣村落を 迎え撃つための拠点とするが、 アウァールスは、周囲一帯の村ごと 炎の槍、ファイアスピアの力で焼き払った。
(116) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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ファイアスピアの吐きだす火の勢いは 青々と葉をつけた樹を 見る間に焼きつくすほど凄まじく、 ひとたび燃え上がった炎は、 ウィリディス平地西の草木を灰にし、 村落をまるごと炭にした。
人の手では燃え盛る炎を消火することはかなわず、 ウィリディスは戦線を後退することとなった。
(117) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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後先を構わぬアウァールスの侵攻に、 ウィリディスの民は怖じずよく戦った。
しかし、炎の侵攻は焼き尽くすものを選ばす、 村も森も草原も構わずに全て灰にした。
じりじりと這い進む火は、 やがてウィリディスの城下にまで至り、 アウァールスの兵らは炎の壁の向こうで 領主の居城に攻め入るときを いまかいまかと待ち構えていた。
(118) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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[973年、ウィリディスの城の青い絨毯の敷かれた広間には、 此度の戦に関わる人員と、村長が顔を揃えていた。]
(119) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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────。
[西方の窓を覘けば、火を盾に城を取り囲まんと狙う アウァールス軍の迫るが見える。
今、ウィリディスは、 この城を捨てるか残るか、 決断の瀬戸際にあった。]
(120) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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[城門が破られたわけでもなく、武器の備えも地の利もある。 領民を迎え入れた城の備蓄には未だ余裕があった。
一日二日で城が落とされることはなかろうと思われた。
しかし、今年の秋が巡りきたとて収穫は望める状況にはなく、 このまま耐え忍ぶことを続けたとて、 状況は悪化するだろうことも、同様に予測されていた。]
(121) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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[城の広間の青い絨毯の上に、柔らかな日差しが落ちている。 穏やかな明るさの中集った人々の表情は、しかし、 温かな日差しとは対照的に沈みがちであった。
理由はここに集う者、誰しもが承知している。 彼らは一様に広間の奥、壇の上に立つ若者へと視線を注いでいた。 彼らのまなざしの先、領主サイラスの姿がある。]
(122) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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皆に集まってもらったのは他でもない、 この先の──…、我らの行く末についての話だ。
[サイラスが口を開けば、一同は低くざわめいた。 城に篭るべきだという者がある。 いや、打って出るべきだという者もある。 不意を突けば死中に活を求めることも叶おうという者もある。
それぞれがそれぞれの意見を口にした。 若き領主は、それらを少しの間じっと聞いていた。]
(123) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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─────、
[やがてサイラスの腕が上がる。 ざわめきは次第に収まり、やがて視線は再び彼へ戻った。 それを確かめ、サイラスは軽く顎を引いた。]
皆の意見は分かった。 それぞれに一理あるように思う。
その上で──… 俺は、この城を出ようと思うのだ。
[再び広間がざわめいた。 出るとはどういうことか、打って出るということか。 それとも降伏かと不安がる臣下領民らに、彼らの領主は首を横に振った。]
(124) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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いや、降伏ではない。 降伏でもなければ、一か八かの突撃でもない。
(125) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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[本当は、とも思う。 もしも臣下領民の命だけを贖うならば、 己の命と共にオーレリアを差し出せば良いのかも知れぬ。 可能性はゼロではなかろうと思われた。
けれど。「彼女」はウィリデの宝であり…家族でもあった。 それを差し出すことは、 それだけはウィリデには到底首肯し得ぬことであったのだ。 無論、サイラス・ウィリデとて例外ではない。
そしてそれは恐らく───…いや間違いなく。 ウィリディスの人々の、思いでもあった。]
(*53) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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俺とオーレリアが、炎の盾を破る。 一軍を以って、敵陣へと攻撃を仕掛ける。
非戦闘員は退避。 兵に守らせるゆえ、食料と水を抱えて北に逃げろ。 退路は確保する。
[そう口にしたサイラスの視線は、 ちらとオーレリアへと向けられる。 "頼むぞ"と音にするまでもなくまなざしのみを向け、 そうしてすぐに視線は傍らの妻へと注がれた。]
(126) 2016/01/23(Sat) 00時頃
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