212 冷たい校舎村(突)
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[ 今までの人形より、大きい身体も。 短髪も、服装も。やっぱりおまえだろ、元賀。
だいじなもの みたいに抱えてるぬいぐるみに、 見覚えなんて、当然、ないけど、 ふわりと過る記憶は、あってさ。
俺、見ちゃダメだと思ってた。 触れずに、なにも、聞こえなかったことに。
気づかれませんように と、 自分自身が、ひとりで願ってたみたいに。
おまえは違ったんだろうか。
だって、違わなかったとしたら、 こんなの、あんまりじゃねえか。]
(66) 2017/03/16(Thu) 19時半頃
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[ ただひとつ、救いともとれるのは、
不思議と、その人形のまとう雰囲気は、 悲壮なもの とは、思えないこと。
やさしいかおをしてねむっている。 など、顔のない人形に思うのは、馬鹿げている?
……ただ さ、 だけど、それでも。 俺、なんか、いきぐるしい。]
(67) 2017/03/16(Thu) 19時半頃
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[ せめて、それが、 おまえ自身の望んだ結末でありますように ]
(68) 2017/03/16(Thu) 19時半頃
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[ なにか、展示をやっていたのだと思う。 ……文化祭、あんま回ってないし、覚えてねーけど。
たくさん、ポスターが貼られていた。 パネルから、勝手に剥いで、引き剥がして、 黒板の上 埋め尽くすように、 せめて貼り直そうと思った。
落書き と笑い飛ばせないその数多の目が、 とうてい、好意的な眼差しには、俺には思えない。
視線にさらされていること。 それさえも、おまえの望んだことなのか。 もう、わかんねーけど。
淡々と、手を動かしながら、なんか──、]
(69) 2017/03/16(Thu) 19時半頃
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[ あーーー、 泣きそう。
と思うのが、なんなのか、わかんねえや。
きっと、この部屋の光景を、その意味を、 自分に重ねた とか、 そういう理由も、確かにあって、
なんて言えばいいのかわかんねーけど、 俺は死にたかった。死にたい。]
(70) 2017/03/16(Thu) 19時半頃
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[ おまえらを模したマネキンを見ても、
帰れた。 じゃなくて、 いなくなってしまう。 と、思ってしまったのだ。
この場所が怖いとか、気味が悪いとか、 おかしい場所だから脱出しなければ とか、
そんなことよりも、現実を思うと、 いき苦しい。
なあ、みんな、なんでいなくなんの。
帰りたい と、思わないな。 だけど、ひとり も、苦手なんだよ。
誰かさんの言うとおり。*]
(71) 2017/03/16(Thu) 19時半頃
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―3F空き教室―
っ、う、く……っ
[涙でぐしゃぐしゃになった顔を ようやく上げられたのは 呼ぶ声、があったからだ]
――やまと、さん……?
ちが、なに、――っ、だって、たかし、 こんな、……っ
[――違う、違うって、なにが。 要領を得ない声の断片を零しながら 座り込んだまま大和を見上げた。 帽子を被るようになってから隠れてしまった顔が、きっとその角度からは覗いたろう、心配してくれている、と、わかっても]
(72) 2017/03/16(Thu) 20時半頃
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かえ、っ、……でも、 窓あいてた、落ちてたら、……っ
また、怪我、し、――、っ、
[しゃくり上げ、己の口元を手で覆う。 肩で息をして、こんな有様であるから 大和が力を込めれば、引きずられてずるりとマネキンから少しだけ離れた。
がしゃん、とゆかとぶつかる、 人間にはあるまじき音。 蒼ざめて、切れ切れに小さく吐き出す言葉は弱い]
――っ、――、 おいてかない、で よ……
(73) 2017/03/16(Thu) 20時半頃
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[――とうさんも、かあさんも あまり寄り付かなくなった家。
親権がどうとか、 ききたくなかった。 どちらを選んでも 心がおれをおいていく。
――でも、でも、たかしだけは、って、そう――]
(74) 2017/03/16(Thu) 21時頃
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……、た、――くん、……
[ひどく弱く、ひとつ呼んで。 ――錯乱じみた様子は漸く、なりを潜めた]
(75) 2017/03/16(Thu) 21時頃
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[ほっぺたふにっふにされるのは痛くはなかった。>>+12 最初は冷たい指先にびっくりしたけど、時間が経つにつれ慣れたというか、 いい具合にわたしの温度がうつってきたみたいで気にならなくなったというか]
気にしないで。
[指を離して謝るささらちゃんに、笑い返した後。 みんなを指して大丈夫、と言われれば俯いてしまう。
ただいまとおかえりを言い合って、笑い合う。 ささらちゃんとはそれができたけど―――、>>+11]
(+14) 2017/03/16(Thu) 21時頃
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[薄情と思われるかもしれないけれど、 今この時真っ先に思い浮かぶのは、 ちよちゃんの言葉、だとか、繋いだ手にぎゅっと力がこもる感触だとか、>>2:335 勝手にいなくなって慌てているかもしれない姿だとか。こっちはただの想像だけど。
泣いている姿は想像できなかった。 むしろわたしにしたみたいに誰かを励ます姿の方がしっくりくる。
そういう、しっかりしたところに、向こうでもずいぶん助けられてきた。
……ああ、元気でやってるかな。 そして無事に帰れるのかな]
(+15) 2017/03/16(Thu) 21時頃
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………そう、だね、きっと大丈夫だよね。
[ようやっと顔をあげてほんのり笑う。 今わたしにできるのは、信じることだけ。
行こう、って言って手を差し伸べた時、 ポケットの中でスマートフォンが震えた。 ちょっとごめん、って言い置いて、ポケットから出したスマートフォンの画面をタップする。 つばさちゃんからメールが来ていた]
……つばさちゃん、夜用の出入り口のところで待ってるって。 はやく顔を見せてあげよう。
[告げて、改めてささらちゃんの手をとって、 病院に向かうことにする*]
(+16) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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「 屋上、行ってみたいんだよな 」
(76) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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― 回想:春先のある日 ―
[ 確か、高校二年生。
引っ越ししたばかりで、 転入したばかりで、 …俺の狭い世界から えとさんがいなくなったばかりで、 飛び込んでくるものが 全部 真新しく見えすぎた 頃だった。
そう 真新しいもの。 目の前にいる橘も そのひとつ。 ]
(77) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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[ 昼時だった。 職員室でばったり出会ったクラスメートと 流れで翌日の昼飯を共にする、という 憧れていた"ふつう"の光景。 俺の手には 引っ越し先の家主である 伯父伯母夫婦からの小遣いで買った弁当があって、 それをつまんで 窓の外を眺めて、 ぽつりと言った>>76…、そんな 記憶。
なんで橘相手かって、 なんか 乗ってくれそうじゃん。 ]
(78) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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[ 前通っていた高校だと 鍵がかかっていて、屋上はいけなかったし。 この高校でも同じである可能性は、あって。
それなら、 橘なら何か抜け道知ってそうなんじゃ無い? とか そういう予想も 無くは無かった。 …俺は橘をどう見てたんだろうな。 思い返すと なんだか面白かったけれど。 少なくとも、 こういうことをすっと言える程度には、 呼吸がしやすい相手だったんだと、思う。 ]
(79) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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[ なんで? って聞かれたら、 "引っ越してきたばかりで街の景色が分からない" とか、言っていた筈。 だってこれ、昨晩から考えていた理由。 嘘じゃあないけれど、さ。 ずうっと出たかった外の世界の、 その景色が見てみたい とか…言えないだろ。 恥ずかしさ とか、 …言っちゃあいけない、事情とか あるし。 ]
(80) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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[ 頼みの甲斐があったのか、 そもそも普通に解放されていたのか、 今となっては 置いておくことで。
あの記憶に残っていたのは よく晴れた空と、 遠く 小さく見える建物と、 髪を撫でる柔らかい春先の風と。
隣、並んでいた橘に話しかけられるまで 俺は そう 今振り返ればやっぱり珍しく、 こどものようにずうっと 前髪の下から 憧憬 という表現がぴったりくる程に、 外を見続けていた ってこと。 ]
(81) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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[ ……俺にとっての 確かな記憶だけど。 あいつ、このこと、まだ覚えてるんだろうか* ]
(82) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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/*
昴卒業したら堆と暮らしてくれないかなー この人面倒見る人が必要だけど家にいない両親じゃそれ無理だし いやでもただの幼馴染にそこまで面倒見させるわけにもいかないか…
(-27) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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/* なんか、美味しい思い出を頂いている……。 これは回想に組み込むしか。
あと昴のメモ〜〜〜〜やっぱ帰ってきて欲しいかそうか。 ぬぅん。
(-28) 2017/03/16(Thu) 21時半頃
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― → 屋上 ー
[ ふらふら うろうろ。 自分で言ったことを 守らないタイプの生徒 って 結構たちが悪いと思う。
何時かの光景と違って、 耳に飛び込んでくる音は 冷たい。 屋上への道、階段を上っているけれど、 気を抜いたら落ちてしまいそうな。 そんな 感覚で、いた。 ]
(83) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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[ ―― 誰かいたらいいな って、 そんな 淡い期待。
吹きすさぶ風の音は、 淡い期待毎何処かへ飛ばしてしまいそうだけど、 何かしら あるかも、って …思いたい じゃあ ないか。 此処ってホストの精神世界なんだろ? 笑い声も、泣き声も、囁き声も、 この風の音も、何かあるって言うなら 手がかりぐらい、思ったって、… ]
(84) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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[ ……見つけたところで、 いつか たったひとりのかみさまに 死ねと祈り続けた俺が、 何が出来るか分かったもんじゃあ ない、けど、 ]
(85) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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[ 上履きの音は、風鳴りの中小さく響いて。 踊り場の その更に上、 屋上の扉があっけなく開いたら、 閉めるのも忘れて 開けっ放しで、
その向こうに、歩んで、―― ]
(86) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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[ よく似た、風の音。 ]
(87) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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[ ―― 気のせい だろうか。 冷たいそれが、飛び込んできた。 教室で窓を開けたときとはまるで違って、 全身に来るものだから、 ちょっと、…いや結構 寒い。 視界の端、風に煽られる前髪を捉えつつ はっきりしているんだかそうでないんだか、 よく分からない視界で 屋上の端 まで、行って。 ]
(88) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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[ …飛び降りたら、死ねそうだな と。 そう思ったのは 本能 って やつで ]
(89) 2017/03/16(Thu) 22時頃
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