97 wicked ROSE 【ハジマリの五線譜】
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ねえ……ロバート?
[消え行く森を見、滅びはじわりじわりと侵食を続けていた。 それが己の歌により齎された、奏者の願う世界ならば、楽器として喜ばしいものに思えた。 何かがちくりと軋むのは《調律》の甘さのせいに違いない。]
つぎは、なにをうたう?
[その問いかけすら、セレナーデのように。 歓喜にとろりととろけていた。]
(67) 2013/10/02(Wed) 23時半頃
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クシャミは、頭を撫でる手にい、少しもぞもぞしてる
2013/10/02(Wed) 23時半頃
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[撫でた先がもぞもぞと動く。 撫でた手は大人しくなって、 髪の流れを正すようにそっと撫でて。
歌詞もなく、旋律だけの子守唄を 小さくこぼしつつ。 楽章の合間、静かな時間を過ごす]
(68) 2013/10/02(Wed) 23時半頃
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"……あっち。"
[方角というよりは、座標。
隔てた其処への道筋を、潰れた喉から引きずり出された響きから聞き取る。 この比翼が調律師《チューナー》の方だったから、奏でられないのが残念だった。
翼を両目の上に被せて閉じさせれば、喉と額のしるしが赤黒く光る以外は、ただ眠っているような遺体の出来上がり。]
"行こうか、イディオ。" "次は第二楽章だよ。"
[>>67喜びに震える体鳴楽器へ、手を差し伸べた。]
(69) 2013/10/02(Wed) 23時半頃
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…神父…様? もう、大丈夫…ですか?
[まだ、夢の中にいるらしく そのまま、頭を撫でられている
それに気づくのは、もうしばらく後*]
(70) 2013/10/02(Wed) 23時半頃
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"終わりは此処にあり"
["イディオ"と手をそれぞれ重ね、指を絡ませ握る。]
"終わりは其処にあり"
[目を閉じ、額を寄せる。 道筋へ意識を研ぎ澄ませ、 南天《おわり》の鳥は北天《はじまり》を目指す。]
(71) 2013/10/02(Wed) 23時半頃
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[古典からロマン調へに移り近代詞、時に子守唄。 らら、と口ずさむ音律は、何れもが一律して、静かに包むラルゴ調。
本来の楽曲が備える作風は、全て眠る様な柔らかな調子に転換され。 アルトの声色でオルゴールを巻く様に。 祭壇の上から流れて来るのは、夜色の眠り詩。
元々の曲は崩している物の、こういう楽しみ方もひとつの乙。
微睡みを流しながら、少年は天窓を高く仰ぎ、罪の鎖を翳していた]
(72) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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[零れる羽の色は、"彼"の黒色に酷く近く。 嘗て『アルト』の天使が堕ちた後、黒羽の片翼はどの様な道を奏でていたのだろう。 地下霊廟で眠っていた、古の聖遺体。 それを思うと、胸が軽くざわりと揺れた気がした]
…………イーシュは…… 少しでも、自分の気持ちに正直に成れてたのかな……。
[知る者は、恐らくもうこの世の何処にも居ないのだろうけれども。
二楽章が始まるまでの、僅かな幕間の空白に、眠り詩は静かに柔らかく響いていた]
(73) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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/* あぁ……おわりのはじまり…… なんてんとほくてんにまたざんねんなよみがなが・・・
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
だめだぼくやっぱろびんこわい
(-40) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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" "
[音ならぬ音を響き合わせ、光がまたたく。 比翼から"借り受けた"片翼が、触れ合った手から"イディオ"の背へと宿り、 駒鳥の幼翼と共に羽ばたいて────── ]
(74) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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[寝ぼけた視線で第一声がそれ。 ふっ、と小さく笑をこぼし 返事の代わりに、ぽん、ぽんと、 手が頭の上を優しくはねた。]
[そのまま、やはり歌詞なく歌う。 声楽の才はない、テノールとも、バスとも 言い切れぬ音域で、聴こえる速度と音階。 ……曲によっては音域が時折足りず途切れもして。]
(75) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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── 倫敦/大聖堂上空 ──
[次の瞬間、二人の姿は大空にあった。]
(76) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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――――……きた。
[姿《聴こえぬ》聖堂の大空に現れた音律に、少年は静かに眠り詩を終える]
(77) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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ーーー…………
[その手が止まった。 視線は天井を、その先を見た。]
(78) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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[とん、と。
爪先を、大聖堂の先端につく。]
"見てごらん、イディオ。"
"下にいるのが、僕らの観客だよ。"
[手を取り合った楽器の重みは感じない。 大気に浮くように存在できているのは、借り受けた翼の効果か、 歪ではあれど、奏者と楽人の繋がりができた故か。
眼下に広がる街並みを、そこに生きる命たちを見下ろして]
(79) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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"なんて耳障りなんだろう。"
[感嘆込めて、呟いた。]
(80) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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"始めよう、イディオ。"
"第二楽章を終える頃には、この街はきっと、静かな雨の音だけの美しい街になっているよ。"
[自然の音は美しい。 命の音は姦しい。
最期の音を全てかき鳴らしてしまえば、もう二度と騒音《ゴートリンゲン》は生まれないだろう、と。]
(81) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[
切望と渇欲のCapriccio
第二楽章
]
(82) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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所詮、僕の声《ヴォイス》はひとりじゃ何もできない。
[ひら、と少年は軽い動きで長椅子の上、身を翻す。 同時に指先が摘むのは、鍵盤両端に並ぶ、多くのオルガンストップ]
(83) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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だけど、ひとつ違うのは……。
[高く聳える、このデカブツの扱いは知る訳が無い。 オマケに、歌はイケても鍵盤はてんでダメだ。が。 両手の指を確かめる様な手付きで鍵盤の上に滑らせ]
さっきの俺じゃなく。
(84) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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今の俺はもう、記憶を知ってる……。
[ひとつの呼吸と共に、鍵盤に向けて両手を振り上げて]
(85) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[パイプオルガンの重厚な和声《ハーモニクス》を、聖堂中に鳴らした]
D 《A》――――――!! C F# C
[強く濃厚に鳴り響く、二度の不協和音《ゴートリンゲン》を美しい重音へと消化させる、神聖なセプテンノートは、天窓から空へと届くだろう。 火蓋を切る、奇想曲に絡みつく様に]
(86) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[駒鳥の指差す方向を、ついと見る。]
あっち。 いっしょに、いくの?
[重ねられる手。自分の手と一つになるような感覚。 指を絡ませて、目を伏せる。そっと息を吸う。]
(87) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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『終わりは此処にあり』
[二人で声を重ねれば、それだけでもわずかな《増幅》。 意志をも重ねあわせるようにして、唇を動かす。]
『終わりは其処にあり』
[空へ。 空へ。 翼は羽ばたく。]
(88) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[第二楽章の開始とともに パイプオルガンの音が歌うのを聞いた。
そこには、意思があり、旋律があり。]
[調和ではなく対位、 調和《ハーモニー》と違い それぞれの旋律が対等であり、独立したそれ。]
名乗る自信が薄らいだなんて …………やはり、《奏者》なんですね。
[そう、少しだけ視線を落としたあと 穏やかに笑って。]
(89) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[>>86大聖堂そのものが、響き始める。]
(90) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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ーーー…………
[増幅された音に、青年は考える。 パイプオルガンはただ鍵盤を鳴らすだけでは 強弱も、ニュアンスもない死んだ楽器だ。
青年は寝台から床におりて。]
(91) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[撫でる手とバリトンの歌声が止んだ 天上から、降り注ぐのは]
…ロビンとチェレスタ!
[それに絡みつくようなオルガンの音]
(92) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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神父様、聖堂に…
[寝台から離れ、椅子から立ち上がる]
(93) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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――大聖堂――
[がさ、と不慣れな羽ばたきで、空にいる。 下を見る。見て、そして、それに何を思うでもないままに、ただ見ている。]
[耳障りだ、と奏者が言うなら、そうなのだと認識して。 雨の音が心地よいのなら、そうなればいいと思って。]
(94) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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"おいで"
"おいで"
"飲み込んであげる。"
[音とは、流れだ。 流れこんでくるパイプオルガンの音量を、 チェレスタが増幅する欲望の旋律が圧し塗り広げてのし上げて。]
(95) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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