278 冷たい校舎村8
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[ 落ち着こう。と礼一郎は思う。 なんだかそればかり考えてる気がする。
教室に残された面々の様子とか、 家庭科室で待ってるはずのふたりとか、
せめて礼一郎は、 何か今後のために良いことをするべきだ。 自分にできることを考えるべきだ。
そう思って、ゆっくり息をして、 もう一度、教室の中を見渡して──、*]
(1115) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ ←─ 幕間 ←─ ]
(1116) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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── いっくんとあーちゃん最終章 ──
その日、いっくんとあーちゃんは いつも通り、一緒に遊ぶ予定でした。
前の日は、ひどく雨が降っていた日でした。 だからその日だって、ぼんやりとした天気で でも雨は降っていないので、前はよく見えます。
いっくんははやくあーちゃんに会いたかった。 毎日のことだけれど、はやく会いたかった。
いっくんのパパとママはいつも忙しいし、 帰ってきてもいっくんのお兄ちゃんに構うし、 いっくんのお兄ちゃんはお兄ちゃんで 「俺に構うのは負い目だよ」って怒るし。
あーちゃんと居るのが一番楽しいです。
(1117) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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待ち合わせ場所である橋がよく見える河川敷を いっくんがてくてく歩いていると、 待っているあーちゃんの姿が見えました。
ぽつん、と橋の真ん中に立っているのは 間違いなくあーちゃんです。 いっくんが間違える訳ありません。
「あ」
でも、その近くに、悪魔が居ました。
あーちゃんの家にいる、あーちゃんを虐める、 あーちゃんを怒って傷付けて追い詰める、 いっくんが大嫌いな悪魔が居ました。
(1118) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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悪魔があーちゃんに近づいていきます。 何回か、悪魔があーちゃんに怒っているのを いっくんは見ていたので、嫌な予感がします。
あーちゃんは悪魔に気づいていないみたいです。 とてもとても嫌な予感がします。 いっくんは走り出しました。
何かに気付いて、あーちゃんが振り返ります。 あーちゃんのもうすぐ傍に、悪魔は居ました。 悪魔が手を伸ばします。
ぽちゃん。
あーちゃんは、橋から落とされました。
(1119) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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いっくんは、叫びもしませんでした。あーちゃんも。 ただひたすら走って、あーちゃんが落ちた場所に 追いつけるように、飛び込めるように。
悪魔がふらりと、何もなかったかのように そのまま歩いていくのが見えました。
あーちゃんの姿は見えません。 一瞬で見えなくなりました。 今どこに居るのかもわかりません。
でも、走りました。あーちゃんが居るから。
(1120) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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助けに行ったら死んじゃうかもな。 って、それ位はいっくんにも分かりました。 でも助けに行かないとあーちゃんは。 あーちゃんにはいっくんしか居ません。見てません。
河川敷を転げ落ちるみたいに下って、 川に飛び込もうとした寸前です。
(1121) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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「コラっ!なにやってんの!」
いっくんの腕をつかんだのは、 全然知らないおじさんでした。
たぶん、良い人です。良い人でした。 見ず知らずの子供が川に飛び込もうとするのを 危険を承知で川の近くまで下りて行って 止めようとしたのだから、良い人でしょう。
でもそんなこと、いっくんには関係ないのです。 いっくんとあーちゃんには、関係ないのです。
止められたから、またあーちゃんが遠くなりました。 そう思うと、いっくんは涙が出ました。
(1122) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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いっくんは暴れました。とっても。 だって、あーちゃんが溺れています。 きっと今だって溺れています。
「うあああああ!!」
今すぐ助けに行きたくって、 助けに行かなきゃいけなくて、 そうじゃなきゃ死んじゃいます。
「やだあっ!あああぁ!」
全力で暴れても、大人には敵いません。 おじさんだっていっくんが死なないように びっくりしながら必死に身体を押さえます。
(1123) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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あーちゃんが、って。名前を呼べていたら おじさんも察したかもしれません。
「やあぁ!!うああああぁ!」
でも、いっくんはすっかり泣きじゃくっていて 上手に感情をコントロールできるほど、 まだ大人じゃあありませんでした。
「ああっ、うぁあ……」
って。結局意識がなくなってしまうまで、 いっくんは泣いてました。泣いてるだけでした。
(1124) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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目が覚めたら知らないおじさんが いっくんの隣に心配そうに居ました。 もうすっかり夕方で、川も落ち着いていました。
まるで、なんにもなかったみたいです。 あーちゃんが落ちた川じゃないみたいです。 あーちゃんは今日此処に来なかったみたいです。
あーちゃんなんて、居なかったみたいです。
(1125) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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家に帰ったら、今日はもうママが居ました。 ママが早く帰ってきて、いっくんは嬉しいです。
でもやっぱり、いっくんは悲しいです。 今日の出来事をママに言おうと思いました。
「ねえ、おかあさん」 「ごめんね、ママ疲れてるの。 後で聞くね?分かるでしょう?」
そう言われたので、頷くしか出来なくなりました。
もしかしたらあーちゃんなんて、 本当に居なかったのかもしれないな。 そういっくんは思って、眠りました。
(1126) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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三日後、あーちゃんは見つかりました。
(1127) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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そして、もう二度と いっくんはあーちゃんに会えませんでした。
(1128) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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おわり。
(1129) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ ─→ あとがき ←─ ]
(1130) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ な?やっぱ面白くなくねえ?(笑) ]
(1131) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ みんな〜! 面白くないこと、思い出すのやめよーぜ。(笑)。 ]*
(1132) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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/* 長くてごめんね。としている。もうたぶん長くならないから…。
(-191) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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――現在:男子トイレ前――
…………。
[何があったんだ、と辰美は思う。 トイレから聞こえてくる声は、 女装していたことを謝り、 痛い、やめて、と囀っている。
まるでそう、――何か責め苦から許しを請うようで 普段ふてぶてしいと言っても過言ではない友人には おおよそ似つかわしくない。>>1091]
(1133) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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…………頼む。
[辰美だって、こんな自分が押し入っていって すぐに相手を落ち着かせられるとは思わなかった。
……笑えない男が何の役に立つ。
だから、福住が頷くならば、 向かう先がどんな場所であろうが、 彼女に任せる他なかった。]
(1134) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[――たすけて。
そうつぶやく氷室の声が辰美の喉を締める。
辰美は黙って、福住の背を見つめていた。>>1106]*
(1135) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ なっちゃん? と、あたしは呼んだ。 ]
(1136) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ 愛の力作は、 味見係のお気に召して頂いたよう。>>1102 なっちゃん、ひとくちだけ!とか言って、 もう何口食べたのってレベルだった。
あたしは、食べ過ぎないようにーとか、 それっぽく言ってはいるけれど、 ほら、食べてもらうのって嬉しいし。 あげちゃうんですよね。仕方ないことです。 ]
(1137) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ ……ちょっぴり?ちょっぴりかな。 ここのちゃん的には、このシチュー、 良くなかったみたいだけど。>>1104
愛情はいっぱい詰まってる、と思います。 あたしは、ここのちゃんの愛が好きです。 包丁、ちょっと危なっかしかった?>>1103 残念、あたし的には59(0..100)x1点なのになー。 ]
(1138) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ うーん、フツー(笑) ]
(1139) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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―― 現在 / 男子トイレ ――
[誠香の声が響いた、その瞬間に>>1106 世界に色がつくのが分かった。
見下ろす男たちの幻影は掻き消え、 そこには冷たい男子トイレが広がるばかりだ。 喉の奥が、酸っぱい。 それがとても、気持ちが悪くて。
現実に、戻ってきたみたいで]
ひどい顔、してるから。いま無理。 ブサイクだから。
[誠香の問いかけに、そう答えた。精一杯に、茶化して]
(1140) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ おんなじように、笑ってくれる、 おんなじように、お揃いにしてくれる。
そんなここのちゃんに、 あたしは安心します。>>1101 ]
(1141) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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ごめん。 ちょっと、嫌なことを思い出して。 心配を、かけました。
次に出てきたときは、きっといつもの俺だから。 だから――
[それから、少しの躊躇の後に]
(1142) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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――誠香。辰美。 よかったら、俺の懺悔、聞いてくれる?
(1143) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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