53 走る肢体
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[その感情はそう訴えるように、 じくじくと心の弱いところを刺激する。
まるでシャーレの中で弱い菌を捕食するファージたちのように。 楽になりたいと思う僕の心をむしばむかのように]
…………ぃ、
(+7) 2012/07/20(Fri) 09時頃
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ぃ、ゃ……だ……。
(+8) 2012/07/20(Fri) 09時頃
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[忘れちゃいけないものが、確かにあるはずなんだ。 僕にとって大切な記憶。 大切な思い]
わすれたく、ない。 わすれたくないよ―――……!!
[闇の中、あらん限りの声でそう叫ぶ]
(+9) 2012/07/20(Fri) 09時頃
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[途端、その深さが色あせて行く闇]
な、に……?!
[まるで近くで閃光弾を放ったかのように、 世界は黒から白へ]
(+10) 2012/07/20(Fri) 09時頃
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― 医局室前廊下 ―
[まぶしいほどの光が収まった後。 再び瞳を開いた僕は、医局室前の廊下に立っていた]
……あれ?
[きょとんと首をかしげて、僕は″初めて見る″この病院の医局室の扉をまじまじと見つめた]
なんかどこかで見たことある様な……。 気のせいかな。
[これが既視感ってやつなのかなって一人ごちて、もう一度目の前の扉を見やる]
(+11) 2012/07/20(Fri) 09時頃
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き、緊張するなあ……。
[初めて袖を通したこの病院の白衣の裾をぎゅっと握りしめ、僕はごくりと生唾を飲んだ。 心臓がどきどきと高鳴って、酷く煩い。 この戸をたたけば、僕は――あのメディカル・ドラゴンのように、偉大な医師としての第一歩を歩く事になるんだ……!]
よ、よーし!
[もう一度ごくりと唾を飲み込むと、拳を振り上げて]
し、失礼シますっ。
[ノックに負けないように、扉の向こうへと声を張り上げた]
(+12) 2012/07/20(Fri) 09時半頃
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ジョージは、緊張のしすぎで声が裏返った。は、はずかしい…っ!!**
2012/07/20(Fri) 09時半頃
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― 医局室 ―
[扉をすり抜け、僕は医局室の中へ入る]
あ、あの…っ。 今日からお世話になります、研修医のタカヤナギです。 よろしくお願いします……っ!
[ぶん、っと音がしそうな勢いで挨拶をし、 ちらりと視線を上げて周りを見つめるも]
………あれ?
[誰も、僕の挨拶を見ている人はいなかった]
(+13) 2012/07/20(Fri) 10時頃
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[元々人の輪の中にいても、存在感がないって言われていたから。 これもきっとそういうことなんだろうと、納得する]
……ははっ。
[乾いた笑いを一つ洩らして 挨拶はそれぐらいにして空いている机に座る。 ぼんやりと周りを見ていれば、なにか病院で事件?があったみたいで、ちらちらと「心中」とか「研修医」とかそんなキーワードが耳に入った]
(+14) 2012/07/20(Fri) 10時頃
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[机に肩肘をついてそれらを聞きながら]
心中とか……この病院大丈夫なのかな。 しかも研修医とか……、 ちょっと不安になってきたなあ。
[まるで他人事のように呟く]
はあ――…。
[大きく息を吐くと、 ふらふらと廊下へ漂っていった]
(+15) 2012/07/20(Fri) 10時頃
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[ひとりは―――――、さみしいの。]
(+16) 2012/07/20(Fri) 10時半頃
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[いらないなんて、いわないで。 わたしは、――――…、わたしは……。]
(+17) 2012/07/20(Fri) 10時半頃
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っ、……
[長い睫毛を揺らして、瞳を開く。 見なれた病院の中で、まだ、自分がまるで生きているかのような―――]
(+18) 2012/07/20(Fri) 10時半頃
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…、…わたし…、
[何をしていた? 思い出せない。
わたし、―――――。]
(+19) 2012/07/20(Fri) 10時半頃
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クラリッサは、頭が痛くて、手を添えるけれど
2012/07/20(Fri) 10時半頃
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[ふわふわと廊下を漂い、初めて見るはずの景色をぼんやりと眺めていた。 せわしなく仕事をする看護師や、不安そうな顔の患者さんたち。 その合間を悠然と歩く先輩医師たちの間を、ふわふわ通り抜ける]
あれ……?
[視線の先に、 頭に手を添える女の人の姿が見えた]
頭痛いの、かな?
[あんなに痛そうにしているのに、どうして周りのみんなは声をかけてあげないんだろう。 そんなことを想う僕も、ただ遠巻きに見つめるだけなのだけれど]
(+20) 2012/07/20(Fri) 10時半頃
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――――…、リサ
(-13) 2012/07/20(Fri) 10時半頃
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[誰かの声がする。 名前を、そう、わたしの名前を呼んでいる。]
……、ぁ、……あぁ
[栗色の髪をくしゃりと掴む。
へた、とその場に立つことも出来ず座り込む。]
(+21) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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[>>2:343 頭から、言葉が離れない。
最後、最期―――、わたしは、一体、どうなったの?]
(+22) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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[さすがに座り込んでしまうのを見てしまえば、 慌てたように側へ]
あ、あの大丈夫…ですか? 頭痛いんだったら、内科で薬を処方してもらったほうがいいよ。
[くしゃりと栗色の髪をつかむその後ろから、そっと声をかけた]
(+23) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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[わからない。 自分が、誰なのかすら―――
ここは自分の職場で、わたしは、看護婦で、 だけど、それ以外が、まだ、闇の底で。]
!!
……、ぁ、…は、はい。 えと、その…大丈夫、です。
[背後からの声に、振り返れば言葉を返して 相手を安心させるように淡い笑みを浮かべた。]
(+24) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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……う、わぁ。
[振り返る相手の綺麗なその面立ちに、思わず間抜けな声が漏れた]
こ、こほんっ。 あ、うん。大丈夫ならいいんだ。
気分悪い時にごめんね。それじゃ……。
[誤魔化すように咳払いを一つし、 居たたまれなさにくるりと踵を返そうと――]
(+25) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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[あげられた声の意味が解らず、きょとり目を瞬かせる。]
ご心配をお掛けして、すみません。
[座ったまま、浅く頭を下げる。 足に力を込めて、ゆっくりと立ち上がり]
ぁ、あの。 …、研修医の…、方ですか?
(+26) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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クラリッサは、ジョージが、足を動かそうとする時に声をかけた
2012/07/20(Fri) 11時頃
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[踵を返したところで声をかけられ、脚を止める]
そうだけど……。 それが、なにか?
[よほど頼りない雰囲気なのだろう。 初見で研修医だと見破られ、少し情けない顔で笑う]
(+27) 2012/07/20(Fri) 11時頃
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…、わたしここで看護婦をしてます…
[名前、と考えてもひとつしか思い浮かばず―― 少し、間をあけてから]
―――…、リサ と言います。
[そう、名乗りもう一度頭を下げた。]
わからないことがあったら、気軽に聞いてくださいね。
(+28) 2012/07/20(Fri) 11時半頃
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僕はタカヤナギって言います。 今日からここで働く研修医です。
[よろしくおねがいします、と頭を下げる]
え…とはい。 じゃあ、その時はお言葉に甘えますね。
[にこにこと、小動物的な笑顔を浮かべて笑う。
同じようなやり取りをどこかでしたような気がしたけれど、 それはリサという名前に上書きされてしまう]
えっと……それじゃ、そのお大事に。 無理しないようにね。
[既視感は既に忘却の彼方へ。 何か大切なものがあったような気がしたけれど、それすらもどこか遠くへ行ってしまったのだろう。 僕の存在は、薄く薄く。その向こうが見通せるほどに、ぼやけ始めた]
(+29) 2012/07/20(Fri) 11時半頃
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タカヤナギ…、せん、せ。
[繰り返すように、確かめるように 名を囁く。
わからない。 わからないのに。
それが、苦しいと感じている。
その場から去る彼を、止めるも出来ず しばらく立ち尽くす**]
(+30) 2012/07/20(Fri) 12時頃
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[自らの身体が薄くなりつつあることに気づかないまま。 立ち去る前、脚を止めて]
あの……。 どこかで逢ったことない、よね……?
[まるでナンパの常套句のようだと内心苦笑いしながら、そう訪ねてしまったのは――彼女が僕の名前を呼ぶその声に、何かが震えたから]
――……クラリス。
[ふと心に浮かんだ名前。 まるで喪ってしまった宝物を惜しむかのように、自分でも思った以上に呟く声は重みを含む。 それが誰の名前かわからない。だけど――…。
リサと名乗った看護師に向けた背の向こうで、涙が一つ伝った*]
(+31) 2012/07/20(Fri) 12時半頃
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もっと、ぼろぼろにみじめになりたいなあ……。
早くエアさん落ちてきて、目の前でえろっくすしてくれないかなあ。 それを見ても気づかない僕とか、みじめ過ぎていいと思うんだはあはあはあはあ
(-14) 2012/07/20(Fri) 13時半頃
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……、…えっ?
[生まれも育ちもこの地ではなく、大分昔から独りで生活をしていた。 知り合い、親戚と呼べる人も少ないから]
………、きっと、人違い…ですよ?
[残酷な言葉が返される。
けれど、ふいに聞こえた、誰かの名前。 馴染み深い響き。
だれ?の、名前?]
―――…、わから、ないわ…。
(+32) 2012/07/20(Fri) 13時半頃
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すみません。 僕の勘違いでした。
[否定されれば、失礼を素直に謝った。 それ以上問いを重ねることはなく。
頬を伝う涙を袖で拭いながら、廊下を歩く。
奪われてしまった僕の宝物。 それが何かすら、もう僕にはわからない――]
(+33) 2012/07/20(Fri) 13時半頃
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たぶん、このまま思い出さずに消えてしまうのが、 僕的には一番綺麗な終わり方だよなあ。
それはそれで綺麗過ぎて詰まらんけれども。
……乙一のアレ思い出したw
(-15) 2012/07/20(Fri) 13時半頃
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