278 冷たい校舎村8
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「あの子と遊んじゃダメってママ言わなかった?」 「でもね」 「ママ頭痛いからちょっと休むね」
そう言って奥の部屋に引っ込んでしまいました。
少し経ってからパパが帰ってきました。 パパは、ママのいないキッチンを見て、 切っている途中で放置されたキュウリを見て、 疲れた顔をして溜息を吐きました。
深い深い溜息だったので、いっくんはその時 とても悪いことをしてしまったのだと気付きました。
(933) 2020/06/15(Mon) 19時半頃
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「ちょっと向こう行ってろ」
いっくんは、ちらちらとパパの方を見ながら その言葉に従うしかありません。
途中、お兄ちゃんとすれ違って パパとママと同じような目でいっくんを見ました。
いっくんは何も言えませんでした。
(934) 2020/06/15(Mon) 19時半頃
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次の日です。
「とおくにいきたい」
と、あーちゃんが言いました。いっくんも大賛成です!
二人で電車に乗ることにしました。 いっくんは自分で切手を買うのははじめてだし、 あーちゃんは電車に乗るのがはじめてです。
まず、バス停までたどり着かなければいけません。 バス停まで二人で歩いたところで もう二人は、結構疲れていました。
あーちゃんなんて、へとへとで、眠そうです。
(935) 2020/06/15(Mon) 19時半頃
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着いた電車の駅は、人で溢れかえっていました。 忙しなく動く人の波が押し寄せて、 いっくんは動けなくなってしまいました。
あーちゃんは今にも眠ってしまいそうです。
「……かえる?」
あーちゃんは頷きました。 でもきっと、いっくんが何と言っても あーちゃんは頷いたと思います。
(936) 2020/06/15(Mon) 19時半頃
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帰りのバスの中。うとうととしていたあーちゃんは ついに眠ってしまいました。
「あーちゃん」
返事はありません。ぐっすり眠っているのでしょう。 いっくんもあーちゃんに寄りかかりました。
あーちゃんは今日、ずっとひょこひょこ歩きでした。 多分、足が痛いんです。足も痛くしたんです。 あーちゃんが身動きすれば袖がずりおちて あーちゃんの、まだら色の肌が露になります。 それを見るたび、いっくんは泣きたくなります。
あーちゃんの家には悪魔が居ます。 悪魔の居る家に、今からいっくんは あーちゃんのことを送り出さなければいけません。
(937) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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悪魔とあーちゃんは 簡単にバイバイすることは出来ません。
いっくんも一つ一つ年を取って、 この世界の仕組みが分かってきました。 握りしめていたお金じゃ電車に乗れないことも 本当は、分かっていました。
(938) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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いっくんは、あーちゃんの手のひらが 何かを握りしめていることに気づきます。
そうっと手を開かせると、 あの日砕け散ったラムネの瓶から拾い上げた ビー玉があーちゃんの手のひらに収まっていました。
いっくんはまたあーちゃんに寄りかかって 夢を見るみたいに、目を閉じました。
「だいじょうぶだよ、あーちゃん」
そうです。 いっくんが居るので、あーちゃんは大丈夫です。
(939) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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いつか、ずっと遠くに行きたいね。
(940) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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めでたし、めでたし
(941) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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[ ─→ 閑話休題 ─→ ]
(942) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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── 現在:階段 ──
ごっめーん! おれこれ以上階段降りたら 死ぬ病に罹ってんだよなあ!
[ どんな病だよ。って、言われたのならば 甘んじてそのツッコミは受け止めるのだけれど。
もし颯真の心の声が聞こえたら、 実はちょー大食いだったとか?って言うだろう。 眼鏡の度は合ってます。>>831 ]
(943) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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えーヤバ、ちょ〜がんばってんじゃん? ゴチになりまぁす?
[ 奢りではない。と、分かってないので、 郁斗はどこまでも見当違いな言葉を発する。
それもまあ、状況説明されてしまえば>>833 もう言うことなんてなくなるけれど。 ]
ハア?外に出れない? なに言ってんのソーマ?
(944) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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[ どう考えても、ウソじゃない。 って雰囲気を醸し出しているのだから 郁斗はそれ以上、疑えなくなる。 ]
マ?……え?ヤバくねえ? 何始まんの?デスバトル? ガチでライオン解放される感じ?
[ 文化祭の装飾が突然現れて、 その上学校に閉じ込められた。 ってなると、漫画みたいな展開だって笑った。 ]
(945) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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うわわチョー重いんだけどお!? え、てかこれ一人で持ってたのお前! フツーにゴリラじゃん!
[ とは言え袋の半分を押し付けられたのなら 暢気に笑っていられなくもなる。
食べ物はともかく、飲み物がキツイ。 空想のデスバトルよりも 目の前の荷物運びの方が重要だ。 ]
(946) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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[ 重い、重い、と騒ぎながら階段を上る。 たぶん、ペットボトルを2、3本取り出して 颯真の袋に入れようとしたりした。
そういうバカ騒ぎは教室まで響くらしい。>>872 廊下までくれば、ひょい、と飛び出る顔。 ]
ズーミン!チョーちょーど良いとこに! 死ぬほど重いんだけどぉ! 腕ちぎれる!持って!
[ 手は……振れないので、 とりあえず大声でお願いしてみよう。 ]*
(947) 2020/06/15(Mon) 20時頃
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── 回想:笑顔の気持ち ──
[ “無理矢理笑うたつみん”って玩具があるなら>>929 たぶん、郁斗は喜んで買う。 そして爆笑で息が出来なくなる。と思う。
もちろん、そんな玩具は発売されないし 今だって玩具にしている訳ではない。 真剣です。本当です。 ]
え〜〜〜?
[ 楽しいから笑う。>>930って、言われて 不満そうな声が口から伸びていく。 ]
(1003) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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楽しいから笑う。んだったらさァ、 いっつも笑わないたつみんは いっつも楽しくないの?って話になるくなぁい?
[ なるくなくっても、なる。 って前提で郁斗は言葉を続ける。 ]
おれ、ケッコーたつみん楽しそうに見えるよ。 いっちーと話してるときとか、 レイくんと話してるときとかア? 笑ってなくてもさあ、フツーに。
(1004) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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逆に楽しくなくってもさ〜、 マジで人って笑うんだよ?超逆にね。
悲しくても笑ったりー、 ムカついてても笑ったりぃ? あと辛い時に無理やり笑ってみたりするよ。
たつみん、知らなかったあ?
[ (笑)。って語尾に付けて 喜多仲郁斗は幸俊の顔をのぞき込む。 ]
(1005) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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ま!そ〜ゆ〜ことも含めてさァ、 考えてみてよ。たつみんも!
ずっと笑顔でいる人の、気持ち?ってか? コイツが今何考えるんだろうな〜とか?
[ こいつ、って指さすのは台本の中 微笑みを絶やさない案内人の名前。 ]
そしたら案外笑えるかもしんねーじゃん?
(1006) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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[ 脚本なりのアドバイス?をしたところで、 あ。と思い出したように付け足す。 ]
ちなみに「何考えてるか」に対して 答えはありませ〜ん!おつ!!
[ 要は「おれ考えてないから、明確な答えが欲しいなら たつみんが考えてね!」ってことである。 ]*
(1007) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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── 現在:教室 ──
あ〜助かるちょ〜助かる。 ズーミン神じゃん。最高。 てかズーミン神って居そう逆に。 その辺の地方で奉ってそ〜!!
[ 袋が一つ手元からなくなっていって>>951 それに釣られるように口も軽くなる。
ズーミン最高。ズーミンを崇めよ。 え?喧嘩?>>925んなことしたっけ(笑) ]
(1036) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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[ 感謝していたら、何やら申し訳なさそうな ……というか、言いにくそうな顔をして 誠香は黒板を指さしたので、見る。>>953
“ごはん、家庭科室に置いておきます”。>>864 ]
ハア!?ちょっとオマエ、ソーマぁ!?
[ 瞬間キレた郁斗は悪くない。と思う。 そして多分、颯真も悪くない。 ちなみに家庭科室組も悪くない。はずだ。 ]
(1037) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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[ 盛大にどついてやろうと思ったけれど、 その場で崩れ落ちられたので叶わない。>>998
ので。崩れ落ちた颯真の上に座る。 袋の中のペットボトルを勝手に飲みながら。 ]
哀れだわー。チョー哀れだわ。 同情してチョー泣ける。
[ あ、全体重は預けてない。流石に。 おれ、優しいからね。 ]
(1038) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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あっ、はーいはーい! 今の発言は不適切だと思いまぁす!
いつ出られるか分かんないとかさァ、 チョー不穏過ぎねぇ?レイくん。 不穏だと思いま〜す!
[ そのままか、颯真に起き上がられたか。 まあどっちにしたって怜の発言>>1002に手を挙げた。 ]
(1039) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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[ よく分からない校舎の中でも このクラスメイトは女装を続けてるみたいだ。 いつも通り。変わらずに。
流石に始めて見たときはびっくりした。 「ハア!?レイくん、どうした! チョー可愛いじゃん!おっぱいねーけど!」 ゲラゲラゲラ……(以下略)。ってね。
内心どう思ってたかって、ウケる(笑)だよ。 超絶イケメンが女装男子になるんだから、 それ以外なくね?って、郁斗は思う。 ]
(1040) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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[ 教室前あたりでわちゃわちゃやってたら 今度は毛布が運ばれてくる。>>1019 ]
あ〜マジでお泊り会じゃん! ヤバくね?楽しくなってきた!
[ やべーな、って言いながら たぶん郁斗は、教室に入るだろう。 ]*
(1041) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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/* ヤバくね?やべーな。の語彙力0構文は使えるな。
(-177) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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/* みんな!笑っていこう!すまーいる!
(-187) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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[ ←─ 幕間 ←─ ]
(1116) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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── いっくんとあーちゃん最終章 ──
その日、いっくんとあーちゃんは いつも通り、一緒に遊ぶ予定でした。
前の日は、ひどく雨が降っていた日でした。 だからその日だって、ぼんやりとした天気で でも雨は降っていないので、前はよく見えます。
いっくんははやくあーちゃんに会いたかった。 毎日のことだけれど、はやく会いたかった。
いっくんのパパとママはいつも忙しいし、 帰ってきてもいっくんのお兄ちゃんに構うし、 いっくんのお兄ちゃんはお兄ちゃんで 「俺に構うのは負い目だよ」って怒るし。
あーちゃんと居るのが一番楽しいです。
(1117) 2020/06/15(Mon) 23時半頃
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