155 【身内】砂煙の村
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[鼻をつまみながら、素っ頓狂な呻きを上げる坊主(>>122)を見下ろして。さっきまで泣いていやがったくせに、その反応が愉快で愉快で、ついつい手に力が籠ってしまう。 歯を剥き出して睨み付けてくる坊主には、口を歪めて鼻を鳴らして。 "泣きたい気分にならなきゃいいんだよ"、と。少しばかり無茶な事を言ってやった。
本当なら、泣かせてやるのがいいんだろうが。しかしどうにも、泣いてる餓鬼の扱いが分からんモンでね。]
……泣き虫が。 だがもしも、そいつを食って俺が死んじまっても、墓の前では泣くなよ。
[からかうように言われた(>>123)モンだから、こっちもまた軽口を返す。 今朝、雑貨屋に行く前のような。何年も続けてきたようなこんなやり取りが戻ってきた事に、内心少しホッとしながら。 ――それでも、その時とは確実に違う坊主の表情に。またひとつざわりと、胸を引っ掻かれながら。]
(126) 2015/04/11(Sat) 17時頃
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[その安堵を壊したのは自分自身。どこかぎごちなく笑いつつも大人しく目を閉じる坊主を見下ろし、自嘲気味に浮かべた笑みは坊主にはきっと見えんだろう。 ほんのすぐ先、指一本も開いていない距離の中で。強張る坊主の身体に苦笑を零し、ぞわりと湧き上がる感情からは目を背けながら。
触れた白百合の花に震えた睫毛に、それでも決して開かれなかった瞼には、心の中で賞賛を――あぁでも"その後"には開いてしまったようだから、やっぱり満点はやれんな。]
…………したかったから、だ。 この話はこれで終わりだ。もう聞くなよ……いいな。
[坊主のなんで、が飛んでくるまでの間、何とかそれらしい理由をでっち上げようとしたんだが、結局それは徒労に終わる。仕方無しに小さくポツリと"理由"を口にすれば、視界の端に移った坊主の真っ赤な顔から逃げるように、ふいと顔を逸らした。
"お前さんをからかってやろうと"、"ただの悪戯だ、気にするな"……でっち上げの理由なら、本当は幾つか浮かびはしたんだが。 その理由のどれもが、口にする気には結局なれなかった。 あぁ、まったく。好きじゃないならしちゃならん、だなんて――餓鬼らしい、初心な事だと、思いつつ。]
(-134) 2015/04/11(Sat) 17時頃
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……はぁ?今ならって何だ、時期で味が変わりでもすんのか。
[腕を回され、真っ赤になった顔を押し付けてくる坊主には、今度はこっちが素っ頓狂な声を上げる番か。坊主の話は結局何の話か分からんかったから、一先ず言葉通りに食い物の話と受け取って。 カソックとシャツに阻まれて、坊主の心臓の音までは伝わっては来なかったが、坊主の耳と行動を見れば想像くらいは出来ようもの。
そのまま告げられた恨み言(>>124)の意味は、やっぱり分からずに。首を傾げてただただ不思議そうな視線を向けるばかり。 自分にとっての毒の果実と、坊主にとっての毒の果実。それらが同じ物だなんて、考えようともせんままに。]
……ん?今何つった、もう少し大きな声……
[小さく呟かれた坊主の言葉(>>125)は、この静かな教会の中でも耳に届かん程には小さいもので。聞き返そうと軽く屈んだ先、押し当てられた袖口に思わず口を噤む。
先の自分のように、布を隔てて触れてくる坊主はどんな顔をしていたろうか。じゃらりと硬い鎖の音に漸くハッとしたのなら、まるで触れようとでもするようなその腕を――いつの間にか眼前に迫る坊主の顔を振り払おうと、手を上げようとしたんだが。]
(127) 2015/04/11(Sat) 17時半頃
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………、そりゃあもう聞いた。何度も言わんでいい、ったく……、
[つい、と。真っ直ぐに見つめてくる坊主の視線に耐えかねて、ふいに視線を逸らして。ついでに一度止まった手を再度持ち上げ、坊主の顔を押しのける。 餓鬼は本当に、これだから。自分のような歳を食って汚れたオッサンには、その真っ直ぐさが痛々しい。
言葉も、行動も。どれもこれもが"間違って"いる事など、わかっているのに。 未だその間違いも正せずに――かと言って、間違ったまま進む覚悟も決まらずに。 ただ坊主を弄ぶようにして、中途半端な事ばかりを繰り返す自分が嫌になる、が。]
――……考えておく、と言ったろう。俺は男に走る趣味は無ェんだよ。
[押しのけた手で坊主の前髪を掻き上げ、絞り出すように言葉を紡ぎ。あぁまた一つ潰れた逃げ道に頭を抱えるのは内心だけで、今度は逃げないように坊主の目をじっと見据える。
これじゃあまるで、期待しろとでも言っているようじゃあないか。決定的な言葉はひとつもやらずに、ただこうして餌ばかりを撒き散らす自分に、坊主が愛想を尽かすのは果たしていつになる事か。]
(128) 2015/04/11(Sat) 17時半頃
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息子程も年の違う男の餓鬼に靡くには、オッサンは少し歳を取り過ぎたんでな。 そう簡単に、今すぐお前さんに応えられる訳が無ェだろう。
[わしわしと頭をかき混ぜながら、眉を下げて告げる言葉は自分でも驚く程落ち着いたもので。告げた事実は坊主の顔を歪めたかも知らんが、そこは我慢して貰うしかない。
かき混ぜる手は、徐々に緩やかに。最後には手を止めてしまいながら、次の言葉を用意して。すう、と息を吐き、一度息を止めれば頭を抑え、坊主にこっちを向かせながら。]
…………、
結論を急くな、大人しくしてろ。じゃなきゃ考えてもやらんぞ、……ん?
[漏れた小さな嘲笑は、自分に向けて。浮かべた苦笑は、坊主に向けて。語尾を上げて、伺うように口の端を持ち上げる。 未だ揺れる心の中で、自分が出せる言葉はここまでだ、と。背に壁を感じながら眉を下げれば、諦めたように息を吐いた。]
(129) 2015/04/11(Sat) 17時半頃
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/* iPhone5回くらい投げた
(-140) 2015/04/11(Sat) 21時頃
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/* かわいいしぬ
(-141) 2015/04/11(Sat) 21時頃
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/* あーーーーーーーしぬ;;;;;にこらすくん;;;;;かわいい;;;;;かわいい;;;;;かわいいかわいいかわいいかわいいはーーーーかわいい
(-142) 2015/04/11(Sat) 21時頃
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/* ちょっと灰よごしすぎだからだまろう
(-143) 2015/04/11(Sat) 21時頃
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/* おっさんそろそろおまえあきらめろよっておもってる
(-144) 2015/04/11(Sat) 22時頃
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/* わたしがおっさんにそろそろあきらめろよっておもってる
(-145) 2015/04/11(Sat) 22時頃
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[少しだけ強張った顔で再度念を押してくる坊主にも、やはり視線を戻す事はせずに。からかっているだとか、嘘だとか。今更そんな事は思わんし、それを理由に出来るとも思っていない。
話は終わりだと言ってるにも関わらず、最後に一言付け加えられた言葉には、敢えて返事は返さずに。 ――またしたくなったら、だと。これが最初で最後だと、そう言えれば一番良かったんだろうが。 それでもどうして、これが最後じゃないような。そんな気がしているんだか……また触れたいと、心の底では思っていると言うのだろうか。]
揚げ足を取るんじゃあない。お前さんは本当に、余計な一言が好きだな……えぇ?
[坊主の顔を押し退け、投げられたどうして(>>130)には舌打ちと共に非難の言葉を。ギロリと坊主を睨み付け、指で額を押し込む。 余計な事は言わずに、そうして頷いてりゃいいんだと。笑顔と共に言われた言葉(>>140)に頷きつつも、そこに込められた別の色には気付かずに。]
(133) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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[――考えんようにしていた、と。そう言った方が正しいか。そりゃあそうだ、考えてしまえば、そこから自ずと答えが出てしまうから。 骨ばった貧相な男の餓鬼に触れた所で、何も楽しくなんざ無い。それでもあの時確かに、そう願う気持ちがあったのだと……認めざるを得なく、なってしまうから。]
大人は狡いモンなんだよ。お前さんもそのうち、狡くなる。
[きっと五年後十年後、坊主はこの時の事を忘れたいと思うのだろう。父程も年の離れた男に、こうして好きだと宣った事を。 "おとなだったらよかったのかな"、あぁまったくその通りだ。もしも坊主がもう少し歳を食っていて、色んなしがらみを知っていれば。その上でなら、自分はもう少し、臆病にならずに済んだのかもしれない。
そう、もっともらしい理由を捏ねてはいるものの、要は自分が怖いだけだ。坊主が間違いに気付いた時に、自分だけが引き返せなくなるのが――怖いだけだ。]
(134) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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……その時にはきっと、後悔してるだろうがね。
[小さく呟き、坊主の頭を掴んだ手を離す。 坊主が後悔した時に、せめて少しでもその後悔が少ないようにと、そう考える自分は既に、戻れない所まで来ているのかもしれない。
あぁ、それなら。この呪われた村は好都合なのかも知れん。 触れれば消える、分かりやすく恐ろしいその呪いは、何よりの大義名分。この先決して坊主に触れずに済む……何よりの、理由になる。]
(135) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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[袖を引かれ、ふとそっちを見たのなら。頬を赤らめ切なげに見上げる坊主の、何と……いや、何でもない。]
調子に乗るな、マセガキが。 それが無いといい子に出来んのか、ん?
[差し出された花も無視して、ゴツン。目を閉じた坊主の頭に、小さな拳骨を落としてやり。一度してやりゃ調子に乗りよって、と溜息をひとつ、しっしっと鬱陶しげに手を振る。]
……"約束"は、忘れたとは言わせんぞ。 破るってんなら、考えとくって話もチャラだ。
[頬へと伸ばされた腕を叩き、距離を取り。咎めるように言ってやれば、坊主は反省したろうか。 もしも反省せずに、尚も腕を伸ばして来たのなら。その腕を掴み、今度はもう少し大きな拳骨を落としてやろう。
自分に触れて、坊主が消える所なんざ。 ――見たく、無い。]
(-146) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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……さて。そろそろ帰れ、お袋さんが待ってんじゃあねェのか。お使いの途中だろう。 送ってやる、行くぞ。
[坊主を引っぺがし、椅子に置いたままの袋を取り。随分と長居させてしまったから、と小さな理由を付けて同行を申し出る。 坊主の事だ、きっと断りはせんだろうと。不恰好になってしまった白百合に苦笑を向けつつも、さっきみたいに鎖を引いて、教会の扉へと向かった。
坊主はもしかしたら、駄々を捏ねはしただろうか。捏ねたのならまた鬱陶しげに、なら勝手にしろと自分一人で扉へと向かっただろうが。 そうすりゃあきっと、――追い掛けて、来るんだろう?]
(136) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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[教会の扉の前に立ったなら、一度坊主の鎖を引き。トン、と微かな音を立てて、坊主がこっちを向くように、扉に向けて肩を押す。 腰に付けた鍵の束から、手探りで鍵を探し当て。坊主の腰の後ろ、鍵穴にそれを差し込んで小さな金属音を聞く。
ほんの少しの間だけれど、邪魔が入ったら頂けない。そんな思考が既に、堕ちてしまっているのだと気付いてはいるものの、今はそっと蓋をしよう。]
……こういう時は、どうするんだ。
[先のように、白百合の花弁をもう一枚、千切り。自分も坊主も目を開けたまま、相手の唇に千切った花弁を押し付ける。 そうして、皮肉気な笑みを向けて。ん?と坊主を伺うように問うてみれば、坊主はちゃあんと"いい子"に出来たかね。
"いい子"に出来りゃ、いい子だと褒めてやろう。出来なけりゃ、呆れたようにまた手で瞼を塞ぐだけだ。 鼻頭や、頬や。露出した肌は決して触れんように気を付けながら、さっきと同じように花弁越しのキスを――さっきよりも少しだけ、長く。]
(-147) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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先にご褒美を強請ったんだ、ちゃんといい子にしとくんだ……いいな。
[唇を離し、花弁を抑えた手を離す。唇からひらりと舞った花弁はまた、床に落ちた事だろう。 あぁ、まったく。餓鬼を甘やしても為にならんと、いつも思っているんだが。そもそも甘やかすのなんて苦手だし、もっと言えば餓鬼自体がそんなに好かん。
これで最後だと決めたのが数分前。その誓いは、既に破られてしまった後だ。 こうして、果実を摘むたびに。食えばどれ程美味いだろうと、果実の味を考えてしまう自分は――そのうち、毒を齧ってしまうんじゃあないだろうか。 例えこの命を、捨ててでも。
そんな薄ら寒い可能性に舌を打ちそうになりつつも、鍵の束から、再び同じ鍵を取り。閉めたばかりの教会の扉の鍵を開ける。 そうしてくしゃりと一度坊主の頭をかき混ぜれば、また鎖を取り。今度こそ教会の外へと向かおうと。]
(-148) 2015/04/11(Sat) 23時頃
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/* あーーーーーーーーーー!!ー!ーーーかわいいまっめかわいい飯を作らねばならないのにかわいい
(-158) 2015/04/12(Sun) 01時半頃
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/* かわいすぎて涙でてきたかわいいなんなのもうかわいい慌てて追いかけてくるニコ君ぎゃんかわいいなんだよもうご褒美あげるよもう;;;;;
(-159) 2015/04/12(Sun) 01時半頃
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/* はーーーーかわいい。。。ごはんつくるかわいい。。。ニコ君とふたりでぎゃあぎゃあ言いながらお料理したい(おっさん料理しない) ニコ君引き取りたいよもう;;;;;おっさん缶詰とかしかたべないけど;;;;;料理したいって言われたらなんだかんだで料理一緒にしそうでわらう
(-161) 2015/04/12(Sun) 02時頃
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[人が折角忠告してやってるってのに、この餓鬼は。舌を出して反論する坊主(>>137)には、まったく口の減らん奴だと呆れる。 自分が決めると、そう言うが。そりゃあそうだろうが、いざ後悔した時にそれを見るこっちの身にもなれ、と。 ――頼むからそれ以上、踏み込んで来てくれるなと。そう思いつつも、手を引くことは止められずに。
駄々を捏ねる坊主を小突き、それにまた小さく上がった声に笑う。尖らせた唇を弾いてやろうかと思ったが、流石にその手は引っ込めて。 しかし、恨みがましく告げられた言葉には、思わず眉が寄ってしまう。 この坊主、まさか約束を破るつもりじゃあないだろうな、と。僅かな警戒を滲ませて坊主を睨むも、どうやら腕は大人しく引かれたようで――ほっと、安堵の息を。]
(145) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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じゃあ好きにするんだな。ただし、触ろうとした時点で話はチャラだ。 ……俺がお前さんに、そう簡単に触らせると思うか?
[舐めてると知らんぞ、と。拗ねる坊主には、再度釘を刺しておこうか。 どうにもこの餓鬼は、ともすれば触れてきそうな気がするモンで。今なら食べてもいい、と言った坊主の言葉を思い出し、困ったように眉を寄せた。 俺には食うなと言っておきながら、と。胸に燻る苛立ちは、吐いた息へと込めて。
帰宅の話を出せば、何となくそんな気はしていたんだが……駄々を捏ねられてしまった(>>138)。それでもこのままずっと、教会に置いておく訳にはいかんだろうと、呆れたように手を振って扉へと向かえば、慌てて追いかけてくる坊主にほくそ笑む――追いかけてくるくらいなら、最初から大人しく言う事を聞きゃあいいものを。]
(146) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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……いい子だ。
[冷たい扉に押し付けた坊主のふるりと震える様に、胸中で嗤う。 花弁を押し付けたまま投げた問いは、どうやら坊主に正しく伝わったらしい。素直に閉じられた瞼を褒めてやれば、少しの間その百合の香りを堪能した。
伸ばされた腕を、振り払う事はしない。坊主の肩に手を置いて、逆の手では花弁を押さえて。薄く目を開けて肌が触れんように注意しながら、もう少しだけ強く、唇を押し当てた。]
……調子に乗るな。 そういう事は、いい子にしてから言うんだ。
[頭を撫でながら見下ろした坊主は、何とまあ情けない顔をしている事。不細工な面を下げよって、と小さく吹き出してしまったから、坊主はまた剥れてしまうかね。
笑ってしまった詫びも兼ねて、腕を掴まれる前にほんの少しの間だけ、撫でる頭を抱き寄せてやり。あぁ本当に、これじゃあまるで……期待を持たせるどころじゃあないだろう。]
(-190) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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[扉を開けて、教会の外へと歩き出し。広場の喧騒は、少しは収まっていたろうか。 鎖の揺れる音も、時折腿に当たる感触も――組まれた、腕も。咎める事はせずに、足を進めていく。 それにしても、この坊主は今日は妙にゆっくりと歩こうとしやがる。大方時間稼ぎのつもりなんだろうが、と肩を竦めて、少し歩調を早めてやるも――どうやら、譲る気は無いらしいから、今回はこっちが負けておくか。]
…………。
[引かれる腕に従い、肩に擦り寄る頭を見下ろす。小さく呟かれた問いには、やはり直ぐには答えずに。 あぁ、やっぱり。思った通りだ。この坊主、何かあれば……下手をすれば、触れて来るんじゃあないだろうか。 渦巻いていた懸念は、確信へと変わる。消えさせん為に約束なんぞを取り付けたのに、それすらも意味が無くなってしまいそうだと。]
(147) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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……一服、付き合え。
[組んだのとは逆の手で頭を掻きながら、呆れの篭る嘆息を零し。坊主の家へと向かう足を、近くの横道へと向け直す。 言葉の通り、取り出した煙草を咥えて。ふかした煙を吐きながら空を見上げ、潮風を感じ――さて、どうしたものかと。
広場の近く、遊歩道を先よりもゆっくりとした足取りで歩きつつ。指に触れる鎖を弾き、漸く口を開く。]
――悲しまんと思うか。そこまで薄情なつもりは無ェんだがな。
[目線は前へと向けたまま、坊主の質問への返答を。まさかこの坊主は、自分が消えても俺が何も悲しまんと、そう思ってでもいたんだろうか。
何のために、あんな約束を取り付けたたと思っているんだと。小さな苛立ちすら覚えながらも、それでも歩調を早める事はせずに。]
(148) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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悲しんでやる、泣いてやる。お前さんがもしも、消えたらな。 だから、約束は守るんだ……いい子にするんだろう?
[煙草を手に取り、また息を吐き。今度は坊主の方を見下ろしながら言ってやれば、坊主はどんな顔をしただろう。
この靴の下に広がる無数の砂達。隣に歩く坊主が、その砂粒のひとつになるだなんて。 泣きもせず、笑いもせず。我儘も言わん坊主なんざ今以上に御免だと。 例え、そうすれば触れられる事になろうとも。手の指の間から零れ落ちる砂になんざ、触れても何も楽しくない。]
二度とそんな馬鹿な事は聞くな、そういう質問をする奴は好かん。 少し考えりゃ分かるだろう、えぇ?
[忌々しそうな口振りで、そう吐き捨てて。誰かに死を連想させる問いを掛けられるのは、どうにも好かんものだから。 仕事上、そんな話を聞かされる事もあるけれど。何が悲しくて、教会の外でまでそんな事を聞かれんとならんのだと。
ゆっくり、ゆっくり。遊歩道の木々の間を歩きつつ。行こうと思えば直ぐにでも抜けれはするのだが、わざと回り道をする理由をこの坊主は気付くだろうか。]
(149) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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……それにしても、散歩には鎖が邪魔だな。 何だってそんな邪魔なモンを付けてるんだ。
[普段はさして、気にしていない事だったんだが。今日は妙にくっついてくるモンで、鎖が当たって邪魔臭くて仕方がない。 だから、ふと。普段から疑問に思いつつも、聞けなかった事を口にする。 まさか、ファッションでもあるまいし、何か理由があるのだろうが――どっちにしろ、面倒な理由には違い無いと。面倒事を嫌う自分は、今まで決して聞こうとしなかったのだが。
口にしてから、少し。しまったと思いはしたものだから。少しだけ気まずげに坊主を見つつ、誤魔化すように煙を吸った。]
(150) 2015/04/12(Sun) 06時半頃
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