45 哀染桜 〜届かなかったこの想い〜
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[開いた桜の花弁がひとひら、風に吹かれ、右腕のギプスのうえにおちちた。 摘み上げると、まじまじ見つめ、吹いて飛ばす。]
……ふん。
[見れば見るほど、薄気味悪い。 しかしその気味悪さに惹かれもする。]
(31) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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負傷兵 ヒューは、メモを貼った。
2012/03/14(Wed) 23時頃
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ごめんな、さい。
[泣き顔と言われ>>26、自分が泣きそうになっていたと気付く。 慌てて目に溜まった涙を、零れる前に拭った。
ヴァイオリンでなく、奏者が歌う言葉にぽつりと呟く。]
(32) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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……夢。
[此処にいる理由に、妙に納得した。
ああ、でも夢なのに。 どうして、こんな気持ちのままなのか。 どうして彼がいてくれないのだろうか。 どうして。
曲名を言われても、どんな曲か想像もつかずに首を振る。]
(-12) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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[ヴァイオリンが歌う。 曲名は知らなくても、聞いた事のある旋律。
切ないような、哀しい音。 自分の心にある音は、きっとこんな音なのだろうか。
泣いても良いと言われているように思え、拭ったはずの目から感情と共に涙が溢れた。]
(33) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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子守り パティは、メモを貼った。
2012/03/14(Wed) 23時頃
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[深緑は、その瞳の奥に記憶を熾す。 そこにいた人々と自分は、同じ夢にいるのだろうか それとも、橙のいうように、皆一人の夢の、分裂した人格なのだろうか。 どこかの国の、多重人格の殺人者のように]
ここは、夢だろうか。 それとも、現実なんだろうか。
俺は…
[生きているのだろうか。既に死んでいるのだろうか。 曖昧となった境界線は、もう既に自分を溶かしかけている]
(34) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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[ぴん、と弦を弾く音。 それに続くみたいに曲が変わった。静かに耳を傾けて、時々隣のエリアスの様子を伺い見る。]
なんか、気持ちいいなー。
[つないだ手、ぶらぶら揺らしつつ。 音楽が聞こえる、暖か過ぎも寒過ぎもしない桜の木の真下。 静かな夜を、数人と過ごす。 本当にこのまま、ここに居られたらいいのに。]
(35) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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のぞむ…さん。
[変わった響きだなと思い、一度声に出してみた。 東洋の名前だろうか。 くすのき、は上手く発音できる自信が無い。 なら、名前でいいかな、などと思考を巡らす。
>>19好きに呼んでと云う彼の顔は、何故だか強張っている様に見えた。 気を遣わせてしまっているのかもと思い、今になって、繋がる指先からちょっぴり緊張が奔る。]
(36) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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あの…、のぞむさんは、 ここが夢の世界だと思いますか?
私には……なんだか、あの樹が私を呼んでいるような、 そんな気がしてならないんです。 さっきも、幻聴の様なものが聞こえて、怖くて…
[ふ、と桜を見る。 梢が揺れる様は、誰かを手招いているようにも感じた*]
(37) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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[飛んだ花弁を目で追うと、ひとりの青年の姿が目に止まった。]
…………。
[その姿を見て、眉を顰める。]
(38) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/14(Wed) 23時頃
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[哀れ野ばらは童に手折られ、傷みや嘆きも届かぬまま ……――と、締め括り曲は途切れる。]
―――……。
[無言で女を見、そして差し出すのは白のハンカチーフ。 棘は彼には届かぬのに、同じく痛めた野バラには刺さる。
慰めの言葉を、野バラは持たない。 同じ香りで同朋を慰めるに似て、音で共感を示すだけ。 そして、戯れに風で花弁が触れ合うように、 こうして露を拭う布を差し出す位。]
(39) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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[視線を感じて深緑を向ける。 自分を見ているのか、それとも他をみているのか。
もう、空虚な笑みも浮かばない。 それすらも個性と思うももう遅い。 口端が、わずかに表情を笑顔に見せよう]
(40) 2012/03/14(Wed) 23時頃
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……怖くはないのか?
[消えようとしている男に声をかける。
尤もこれが夢であるなら、愚問以外の何物でもないが。 しかし、夢とするにはあまりにも鮮明で。
けれど現実とするには、あまりにも曖昧すぎる……。]
(41) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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[桜に近寄って来た銀糸の女が、ふっと、空気に溶ける様に消えた。]
────…!!
[女の両眼が驚愕に見開かれる。]
(42) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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どうして──?
[ざわ──…ッ
叉、空気がぞろりと蠢いた。 女の視線の先で、桜の蕾がふたつ、みっつと、綻んで行く。]
(43) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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そう、そう、のぞむ。 別に、さんはなくてもいいよ。
[のん、じゃなかったら、何でもいい。 彼女が選んだ呼び名がストレートなものだったから、強ばりはすっと溶けてった。]
(44) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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夢の世界……
[うーん、と首をひねる。 正直、夢ではないのではないか、と疑い始めてはいるのだけれど。 けれど、夢でなかったら、一体何だ。]
あの樹が呼んでる? あの桜? 僕には聞こえてないけど。
[でも、怖くて、という女の子の手を、気のせいだと離すほど野暮じゃない。 ぶらつかせていたのをまたしっかりと握って、確かめて。]
ねえ、エリアスは、ここが夢じゃなかったら、何だと思うの? 天国? 地獄? それとも知ってる街の、どこかなのかな。
[薄あおい桜を見上げる。 ざわつく梢に、誰を呼んでいるの、と心の中だけで問いかけた。]
(45) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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何が。怖いんですか?
[首をかしげて問い返す]
…もし、俺達が一つの夢にいるのなら 消えても、夢から覚めるだけ。
貴方は怖いんですか? もう、何かを失った後なのに。
[それは、橙色がいうように 皆、誰かの欠片であるのだという思いから。 だから、包帯の男が失ったものを知る訳はないのだが]
(46) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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俺は…もうなくしてしまった。 探す為に、桜に問うたけど。答えは、ない。
だけど、気付いたことがあるんだ。 だから、消えてもいいと 思う。
[消えるなんて、非常識だ。ここが現実であれば。 けれど、今自分は不思議と目覚めを望んでいない]
(47) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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[彼女の涙を見ても気付かなかった 自分は、愛されていたんだと。
ずっと自分を苛ましていた涙は 一番求めた答えを示していたのに
それはもうなくしてしまったもの。 なくして、初めてわかったもの]
(48) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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[蒼い花弁が一層存在感を増した。 ぞくりと肌粟立つ不気味さと同時に、美しさも感じて。
女は意味もなく、ぎゅ。と携帯を握った。
銀糸は目を覚ましたのだろうか。携帯に触れて落ち着きを取り戻した女が最初に考えたのはそんな事。 ならば矢張り此処は、夢路の集う場所なのだろうか。 現実感のない風景の中、思考は同じ所を何度も回る。]
(49) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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[零れる涙を今度は拭うこともせず。 ただ音色を聞いていた。
ヴァイオリンが歌うことを止め、奏者が差し出す白いハンカチを少し躊躇ってから受け取る。>>39]
ありがとうございます。
素敵な、演奏だったので。
[涙の理由をそう言い訳して、礼と共に涙をそれで拭った。 溢れる感情も涙も止まらない。
半分は事実だったけれど。 音の欠片が、心にあるからだと奏者には分かっているのかもしれないと、ぼんやり思う。]
(50) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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貴方は私では無い──の?
なら、貴方は誰。 私達はどうして、此処に────。
[問い掛けは既に言葉にすら出さぬ侭。 桜の魔力を借りてか、直接心へと語り掛ける。]
(-13) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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未練があるから怖いんでしょう。 もう、未練がなければ…
何も、怖くないんですよ。
[また、薄い笑みを一つ零す]
(51) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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貴方が私なら良いのに──…。
境界なんて要らない。 そんな物が在るから、私と彼は分かり合えなかった。
貴方も行って仕舞うの? ────約束、したのに。
(-14) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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大勢の中で独りで居るのは、 世界に独りしか居ないのより、ずっと辛いよ──…。
(-15) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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…君が…俺だと思うなら… 俺は、君なんだろうね…。
知る必要は、ないと思うよ。 答えなんて、ここがわからない限り、ないのだし。
ただ、俺は君の近くにいると約束はした。
それだけ。
(-16) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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……。
ここが君の夢なら。 俺は、君の夢の中にいる。 君の傍に、いるよ。
[青年は、「近くに」とは言わなかった]
この中に溶けてしまえたら 君との境界線も なくなるよ。
(-17) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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[>>27厭だ。叉ヴァイオリンの音。 何故あの人は弾くのだろう。
こんなに辛いのに。 こんなに哀しいのに。
やめてと願っても、意志とは関係無く弦は掻き鳴らされる。]
(52) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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[素敵な演奏……。 その感想に、唇の端を微かに持ち上げて見せる。 受け取られた白が、水を吸うのを見詰める。]
――……もしかしたら この共感を水のように、桜は吸っているのかもしれないね。
[ふっと、そんなヴィジョンがよぎるのは、 桜の花びらが、そのような感情を連想させる色 だったからかもしれない。]
吸い尽くされたら、さて、どうなるんだろう。
[『未練は、もうない』と紡ぐ黒髪の青年に視線を向ける。 それはまるで、すべてを吸い尽くされたようにも、聴こえたから。]
(53) 2012/03/14(Wed) 23時半頃
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────〜〜…ッ
や、めて。
[喉の奥から、声を搾り出す。 泣いて仕舞えと拐かす音に気道を塞がれて。今にも零れ落ちそうな涙を榛色いっぱいに浮かべて。
涙と共に湧き出す、出会ってから別れを告げられる迄の、思い出して仕舞えば一層辛さが増すだけの、残酷な記憶に耐えた。]
(54) 2012/03/15(Thu) 00時頃
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