266 冷たい校舎村7
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[毛布の運びだし。 蛭野が頑張って積み重ねたため、明らかに人数分より多く運ぶことになりそうだ。>>381 いいんじゃなかろうか。たくさんあって困ることとかなさそうだし。
お泊り会、なんて認識の輪も広がって、 寝床作ったら次は食べるものかな、と、ぼんやりと考えた。
1階から3階へ。毛布を持ちながらだと、歩きなれた道も長く感じる。 教室前を染めていた赤色はとっくに拭われていて、>>318 相原みたいなマネキンも運び出されていた。 なにごともなかったかのような静穏に一息をついて。 教卓のそばに持ってきた毛布を置いた*]
(436) 2019/06/11(Tue) 20時頃
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/* ヨ、ヨーコちゃーん…………
(-89) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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―― 幕間/あるふたりの話・2 ――
[そしてこれは、イロハと“お母さん”の話。
“お母さん”がすべてのひみつを明るみに晒したのは、 イロハの高校最後の文化祭の後で。 イロハがあまりに“ママ”に似すぎたことに堪えきれなくなって、 “お母さん”でいる事をやめようとしている彼女に感じたのは、 ―――ただの憐れみでしかなかった。
いつから“お母さん”はおかしくなっていたのか、 こんなに弱いいきものになっていたのか。 いつからイロハを“ママ”の代わりとして見るようになっていたのか、 そんなことを考えるのはやめた。
“お母さん”がずっとイロハに甘かったのを、 ずっとイロハのために服や装飾品を見繕ってくれたのを、 そのせい、だと考えてしまって嫌になったから]
(442) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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[嫌になる。なにかがおかしい。 そう思ったのにどうして突き放さなかったかって? “お母さん”があんまりにも、 捨てられた子猫のような目をしていたからだ。
だから、いいよ、とイロハは言った。 “お母さん”が周りにはないしょで“お母さん”をやめてしまうのを、 一度はゆるしたのだ]
(443) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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――― あたしはお母さんの味方でいるよ。
(445) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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[ふたりきりの家(せかい)にいるのは、仲睦まじい女がふたり。 イロハは求められるままに大人っぽい服を着て、化粧もして、 求められるままに“お母さん”を下の名前で呼んだり、手を繋いでみたりなどして、 ――それから、視線に晒された。 いつか、恋をすると人が変わる、という話をした時のような、 恋人に思いを馳せる甘ったるい雰囲気の。
学校ではいつものイロハのままでいられた。 厚化粧もしないでいい。あんな視線にもさらされなくていい。
――早いうちから気付いていた。 ひみつを知り、ひみつを抱えてからというもの、 そこはかとなく息苦しさが積み上がってきていることに。 だがどうにもできなかった]
(447) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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「彩華は私の味方でしょう?」
(448) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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[家から通える服飾系の学校を勧められて、 それに難色を示した時(もともとちょっと遠いところのいい学校に行けるよう頑張っていた)、 縋るような目でそう言われた。
その時、言葉では言い表せないほど嫌な予感がした。 いっときの慰めとなっていれば、もとの“お母さん”と娘に戻れる気がしていたけど、 そんなことはなくて、決定的に間違ってしまったのではないか、という予感。
結局遠い方と近い方、両方受験することにしたけど、 どっちを選ぶか、答えはまだ出ていない]
(449) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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[一度拾い上げたのだからちゃんと最後まで味方でいたってきっと苦しいのに、 いっそ何もかも捨ててしまうのもきっと、苦しい。
足元がふらついている。ならばどうすればいい。 あたしはどこにいけばいいの。 どうすれば苦しくなくなるの?
いっそ誰かが攫ってくれればいいのに、なんて、 考えたってしかたがないし*]
(450) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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/* (死にかけの・∀・) 連投するのに勇気を振り絞ってしまった 進路のくだりけずろうかと思ったけどこれも1(深夜のやつ)と同じで7発言だからってぶっこんだよ わはは
(-95) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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/* じゃああの目の正体はもうひとりのイロハ……!? いやいやいやいや んんん?(何かに生かしたい顔)
(-98) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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/* 正体というかまあ 結局無意識下で何を投影していたのかという話? (脳が溶けてr)
(-99) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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―― 毛布運搬中 ――
[おさらい、のように語られる蛭野の言葉は、 さっきみたいにわかりやすかった。
メールの話も宇井野としていたから、 うんうん、と頷いておく。>>460
それから、提唱された帰る方法(仮説)に、ぱちぱちと目を瞬かせた。>>461 血を流していたマネキンのことを思い出す。 本物だったらまず助からないあの傷]
(488) 2019/06/11(Tue) 22時頃
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[帰らないと、……って、自分はそう言ってたのか。 宮古に拾われたことで気が付いた。>>452 やや間を置いてから「かもねえ」って応じた]
帰りたい、し、……帰したくない。
じゃああたし達、招かれちゃったのかもね、世界をつくったひとに。
[これもまた予測でしかない。>>461 だいたい、あのメールには「探さないで」とか、 「忘れて生きてくれると嬉しい」と書いてあったのに、 誰かを招くとは何事なんだろう。
どこかでこの校舎(せかい)のことを楽しがっているのに、 帰らないと、とどこかで思っているイロハ。 それと似たようなものなのか。わからない]
(489) 2019/06/11(Tue) 22時頃
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―― 準備、それから ――
[毛布を置いた後、蛭野も宮古も別々に動き出した。 さてあたしはどうしようか……とイロハは考え、 3階の別の教室に向かうと扉をがらっと開けた]
おお、ビンゴ。
[3年4組の教室――― 文化祭の時、そこでは喫茶店をやっていた。 既にカーテンの取り去られた一角>>149をちらっと見た後、 教室机を四角く並べた上に敷いてある、かわいめのテーブルクロスに手をかけた]
(493) 2019/06/11(Tue) 22時頃
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[テーブルクロスの上には何もなかった。>>120 床上に落とされた食器や調味料入れ(の一部残骸)が、 照明を受けてせつなく光っていた。 なんて乱暴な扱いをされているんだろうかわいいのに。 (あとちょっとお高い気がする)
テーブルクロスを折りたたんで脇に抱えると、 まだ無事な品々を机の上に乗せなおして7組に戻る。 それから適当に机を寄せ集め、持ってきたテーブルクロスを敷いた。
ここで寝るとしたら、教室を寝るスペースと食べるスペースに分けた方がいいと考え、 寄せ集めテーブルをつくった位置は教室の後ろ半分側]
(494) 2019/06/11(Tue) 22時頃
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[あとはもう一度3階を巡って、何か食べ物を出していた教室から、 食べ物も拝借しようかと思ったけれど。 昼に食べ損ねたお弁当の存在を思い出して、 寄せ集めテーブルの片隅で食べながら、 誰かが戻ってくるのを待っていた。
高本がひとりで戻ってこようものなら、>>417>>441 そっちの方をいぶかしげに見て、]
……ヨーコちゃんといっしょじゃない。 どのへんで別れたの。……2階。そう。
[居場所が分かったのなら2階へ向かう。軽快に階段を、降りて、]
(511) 2019/06/11(Tue) 22時半頃
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ヨーコちゃんっっ ここにおりますかー!
[――多目的室。 小さな光のつぶつぶが天井を彩るその場所に、七月はまだいただろうか>>455]
教室、なんかこう泊まれる準備できそうだよ。 毛布も持ってきたしテーブルも作ったし、 ……アイちゃんのことは気になるけど、でも、 アイちゃんは帰れたのかもっていう説も出てきてて……
とにかく、いこうか。
[姿を見つけたのならいろいろまくし立てて、 さっ、と、手を差し伸べるのだ*]
(512) 2019/06/11(Tue) 22時半頃
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/* ウワーーーー(死ぬまでのプロットが決まらない図)
(-107) 2019/06/11(Tue) 23時頃
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/* ういのくーーーん
(-119) 2019/06/11(Tue) 23時半頃
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[いろいろあった一日の終わり、眠りにつく少し前、母のことを思った。 常に何かを求める母の二つの目を。
ちょうど、蛭野と話していた時に、>>444 脳裏をよぎっていたのも、同じ、眼差しだった。
彼の言うこともある意味ひとつの真実に近しいのかもしれない。 だとしたって、どうして、ずっと、 ただの”お母さん”のままでいてくれなかったのか]
(580) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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[……何か、ぐにゃぐにゃした感じの夢を見た気がする。 目を開けて見えたのは見慣れた自室の天井――ではない。 徐々に記憶がはっきりしていく。閉じ込められたこと。家には帰っていないこと。
ようやく視界が明瞭になってきた頃、 天井に何かが浮かんでいるのが見えた。 「目」だ。手のひらサイズくらいはあるんじゃなかろうか。 かつて腕にメイクされているのに似た、 無機質なふたつの「目」がイロハを見下ろしている]
……ッ!
[辛うじて悲鳴をこらえて部屋を抜け出すが、 「目」はいつまでもついてきている。 廊下まで出たところで、「目」はとうとうイロハに追いついて、 イロハの両腕に張り付いて――次の瞬間には一体化していた]
(581) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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[捨ててしまいなさいよ――と、 ふたつの「目」を見ていると、そう語りかけられている気がした。
イロハは戸惑った。 いつも写真で見ていた思い浮かべていた目と違う。 だけど、語りかける声は同じだ。 イロハのようでイロハじゃない誰かさん。 あなたはそこにいたんでしょうか。ずっと]
(582) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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『 何もかも捨てられないというのなら。 呪いを。“お母さん”からかけられた呪いのようなものを、 呪いをかけられたお姫様じみた役割を、捨ててしまいなさいよ。
ここにずっといても、貴女はきっとずっと呪われたままだよ。 』
(583) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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そんなのわかってるよ……。
[ぽつり、と呟くイロハの目に映ったのは、 校舎の各階を繋ぐ階段で。 その時イロハの胸に去来した思いは端的に言えばこうだった。 呪いを捨てる方法はまだわからないが、 お姫様の出てくる物語を、 正しく進ませない方法ならまだわかる]
(584) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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[普段は一段飛ばしで上り下りするのがせいぜいの階段。 その、3階の踊り場から飛んだ。 着地はできず、片足は滑り、 そのはずみで身体はごろごろと転がった。 2、3階は頭をぶつけた感触があった。 やがて踊り場の壁にぶつかって止まる。
最後にイロハが見たのは、腕に埋め込まれて、 イロハのひとり舞台を見守っていたはずの「目」が、 まだ天井に張り付いていて、わずかに微笑む、そんな光景だった。]
(585) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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[―――だから。 3度目のチャイムが鳴る頃にイロハの姿はなく。
2階と3階の間の階段の踊り場に横たわる、 イロハによく似たマネキンが転がっているばかり、 片方の足はあらぬ方向に曲がり、顔は天井を向き、 明らかに階段から落ちたかのような姿かたちで**]
(586) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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/* やったーたぶんあと20秒くらい余裕がある!!!!
(-128) 2019/06/12(Wed) 00時頃
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