154 【R18】さよなら、ばいばい、またあした
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― 間の世界・廊下 ―
[離さないとしっかり此方の身体を抱き締める腕>>2に、 此処に居てもいいと、望まれているのだと 錯覚しそうになる。
話の途中で不意に強まった腕の力の強さに息を詰め、 食い込んだ指先に痛み>>3に 少し背中を反らして 小さく呻く。
話す最中、彼の肩に埋めた目には 僅かな戸惑いが揺蕩っていた。]
(12) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[話し終え、彼が自分を離してくれるまでの間。 ずっと終わらず、続いてほしいと願った時間は 彼の笑い声>>4で 破られる。
酷く愉快そうな、場違いに楽しげな笑み。 困惑が先に立ち、捕えていた腕が解けた事にも 気付くのが遅れた。 顔を覆っていた手も、今は離れて所在無く 胸の辺りで縮こまっている。
額に押し当てられた手で ほぼ強制的に上げられた顔には困惑が濃く。
少し離れてよく見えるようになった彼の顔を、 その底意地の悪そうな笑みに 不思議そうに目を瞬く。
細く、すらりと長い指先が、ピアノの蓋を開ける前の、 そっと撫でるような曲線を 描いて。]
(13) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[引き寄せる 荒々しく力強い指先に、 彼が以前引いていた曲が、脳裏を過ぎる。
ベートーヴェンのピアノソナタ第14番、第三楽章。
今でもはっきり思い出せる彼の旋律を思い出しながら、 気付けば大人しく彼の腕の中に収まっていた。]
(14) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[酷いと、彼が言う>>6。 指摘通りに、理解が追い付かずにただ彼の顔を 間近で見上げていた。
泣いて渇いた目を、何度も瞬く。 残酷な夢なら、今すぐ覚めてほしい。 けれど何度瞬いても、目の前の彼は消えもせずに。
其処に 居て。
薄く閉じられた双眸が、そのまま近付いて――]
(15) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[おしおきだと、彼はそう言って>>7、 ―――――――――――唇を、重ねた。]
(16) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[触れ合った感触も、 すぐには信じる事は出来なくて。 触れ合ったまま、固まっていた。
少しして、確かめるように、唇で彼の唇を食む。 渇いた質感。 そこに舌を這わせれば、少し柔らかくなって。
ちゅ、と音を立てて吸い付く。 触れては離れる弾力。]
(17) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[彼の唇を撫でた舌先を、そっと口内に差し入れる。 肌より熱い温度と、濡れた感触、彼の 味。
ざらつく舌を擦り合わせれば唾液が絡んで、 小さく濡れた音を響かせた。
比較的冷静だったのは 其処まで。
その濡れた音がもっと聞きたくて、 その味がもっと知りたくて、 夢中になって 舌を動かして。
重なる呼吸が熱を帯びて、跳ねる。 ――背筋が 震えた。]
(18) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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[開いた両手で、彼の胸元にしがみ付く。 縋るように。 逃がさないように。
――…どれほどそうしていたか。
熱篭り、震える吐息と共に 離れる唇を未練がましく繋ぐ糸が光り、堕ちる。
涙で痛み紅くなっていた目元と頬には 真新しい朱が注して色付き。
恥じ入るように揺らいだ目元が斜めに逸れた後、 再び彼の目を覗く瞳は、
――何処か、物欲しげだった。**]
(19) 2015/04/08(Wed) 01時半頃
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/* 気付いたら台詞なかった。 いやでも、入れても喘ぎというか 吐息描写くらいだし、だし。
い、いいよね?
(-4) 2015/04/08(Wed) 02時頃
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―間の世界・3階空き教室―
[彼はどうして自分の前に出てきたのだろう。 どうしてそこまで、の答えは結局わからない。 でもたぶん、そんな難しいことじゃないんだろうな、と。]
さよなら、ばいばい…また、あした。
[もう少し頑張ってと語ると彼はさよならだと。 自分も彼と同じように、さようならを返す。 難しいことは考えなかった。普通に、普通の高校生の、別れの挨拶をしただけ。 彼が普通に通うことができていたなら、こうやって挨拶しただろう。
そして彼はまた、消えてしまった。 そこに何かがひらりと落ちる。 桜の花びらが、1枚。 それを拾い上げると、なんだか急に、とても寂しくなって。
またあした、って言ったのに、どうしてだろう。 手のひらに乗せた花びらに、沢山の滴が落ちる――。]**
(20) 2015/04/08(Wed) 02時頃
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截拳道 カイルは、メモを貼った。
2015/04/08(Wed) 02時半頃
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―201X年3月24日・AM12:00・美術準備室―
[軽口だと>>+0分かってはいても、極自然に共に暮らすかの様な言葉が嬉しい。
兎を食べ始める吾妻を、微笑ましく見詰めた]
(+6) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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絶対。
[重なる瞳。 願うような祈るような、何かを見付けて、でも、だからじゃない。 最初から、返す言葉は決まっているから。
揺るぎないから、凛とした声で告げる。
鍵は彼の掌に。
勢い良く此方に向いた表情からは、何も読み取れない。 ―――どうして、そんな顔をするの?
言葉にするより先に、手渡した鍵は指に包まれて消えたから、開いた口は閉じるだけだった]
(+7) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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………嫌われたくないの、君に。 ……………ッ…、……――。
[彼が嫌な事はしたくないから。 頬に触れる温もりが心地好くて、離れたくは無かったけれど、肩に触れる温もりは変わらないから安堵を見せた。
此方へと身を寄せるのに、手を差し出し、膝の上の腰元へと腕を回した。 片手は頬に触れて、瞳の水面を覗き込んだ。
どうして、泣くの。
問い掛けようとして、喉が、引き攣った。 望むものを目の前に、戸惑う瞳。
吾妻が、全部自分のもの。 ………それこそ、夢のようだと思う]
(+8) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[閉じない瞳。 触れる唇。
…もし、彼が瞳を閉じたなら、頬を伝う事無く、雫を睫毛に乗せて跳ねさせた。 それに、気付かなければいいのにと。
扉が開いたのに気付かず、届いた声に>>+131恐らく吾妻が反応するだろうと。 離れるなら一瞬縋るように手を伸ばしては、膝上に落とした筈。
吾妻に遅れて、麻倉へと>>+3向ける視線。 沈黙の後の言葉は、少しばかり懐かしく。
不思議そうな色が、ふわり、浮かび上がる。
きっと、吾妻も、麻倉も、気付かない、筈。
「きもちわるい」それを聞いても変わらぬ表情。 何も映さない硝子玉が、二人から一歩離れた距離で、その遣り取りを大人しく眺める]
(+9) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[―――……誰だっけ?
麻倉を見詰めて、思った]
(+10) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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/* 成田と天使(海君)の表現が綺麗だなって思う。
(-5) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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―201X年3月24日・PM15:30・とうふのむとう(店頭)―
[―――あの世界は、「終わった」のだろうか。
独りで考える時間だけはふんだんにあった。 順番に考えて、考えて。行き付いた、ひとつの考え。
それは、唐突に、頭に沸いた疑問だった。]
(+11) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[しゃがみ込んだ身体。 両手は豆腐の入っているケースの、青い縁を握り締めて。
考え付いた思考の恐ろしさに、双眸を見開き、間近の青を、現実感の塊のような、ケースの色と、水面と、底へ沈む豆腐の白を眺めて。
そろりと起こした顔が左右を見遣る。 店内の風景も、壁に貼ってあるカレンダーやポスターや、家へ続くドア、レジ台、惣菜、ビニール袋。 遠くから聞こえる自転車の音、もっと遠い電車の音。店の入り口を往来する人々の歩み。 普段と変わらない光景が広がっている。]
(+12) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[だけど自分の記憶のように。
こんなにもはっきり記憶に刻まれているのに、ところどころ、そこだけダルマ落としか何かのように抜き取られたような、時折訪れる空虚な気持ちの正体が分からないように。
自分が今いる、この場所も、歪んでいるのではないか。
何の手がかりもなく、自分の体験だけを頼りに、再構築していく記憶。 歪んだ学校、歪んだ教室。 歪んだ自分と一緒にいたはずの麻倉、そして成田。]
(+13) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[そうだ、だって。
その成田は、最初こそ俺たちの前で、教壇に立ち、ゲームスタートの合図をしたけれど。>>2:2 間の世界から出るための、説明はしたけれど。>>2:3
「終わり」の言葉はまだ、聞いていないはずで。
だって、彼が始めの合図をしたのなら、終わりの合図だって彼がするのが筋じゃないか?]
(+14) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[彼はまだどこかに立って、俺を、俺たちを。 見ているのかもしれない。 思い立つ視線は「ゲームオーバー」に怯えて、忙しなく動いて。
ぽかんと開く口の中が乾いていた。 震える唇が、浅い呼吸を紡いで。
右手が、無意識に左手の古そうな傷跡を抑え込んで。 ドクンドクンと激しくなるばかりの動悸に、ただ、耐えていた。]**
(+15) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/04/08(Wed) 02時半頃
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―201X年3月24日・AM12:00・美術準備室―
……絶対、ホントに?
…………嫌うのは、蒼真の方だよ。 俺は、酷いから。
[膝の上へと跨って、いつもと違って下にある彼の瞳を見詰めた。
頬と腰へと回った腕が、あの人みたいに、自分を捨てるんじゃないかと思ったら――ただ無性に怖くなった。
小さな金属の塊だけを残していなくなるんじゃないかと、不安になった。
瞳は閉じて、彼の唇の柔らかさだけを追って――声に、気付いて、それは離れた]
(+16) 2015/04/08(Wed) 03時頃
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…………。
[多分ずっと知っていた。 気付いたら、バレたら、麻倉は螢一を嫌うだろうと。
だってほら、あんな声>>+3>>+4で、あんな事を言うんだ]
[蒼真の肩に置いたままの指先には、無意識にきつく力が篭っていた。 離れようと思わなかったのは何故なんだろう。
楽になったと、そう思ってしまったのは何故?
幾度も頭の中で繰り返した言葉――きっと彼はそう告げるのだろうと、思っていたそれが現実となって鼓膜を揺らす。
紡ぐ唇を見詰める表情には色がなくなって、また泣き出しそうに瞳が揺らいだ]
(+17) 2015/04/08(Wed) 03時頃
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……隠すに決まってるだろ。 だって麻倉、そういう目で俺の事見るって……分かってたから。
[怖かった。
だから楽になりたかった。
でも、聞きたくなかった。
だって友達だと思っていたから]
(+18) 2015/04/08(Wed) 03時頃
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……ごめんね、気持ち悪い友達で。 俺の事、もういらない?
[その言葉が麻倉の耳にどう届いたのかは分からない。 そして螢一を腕に抱いた蒼真>>+9の表情には気付かない。
捨てられたら もう 蒼真しかいない
でも 友達はいない
だから、離れない。
肩へと縋りつく手は微かに震えていた]
(+19) 2015/04/08(Wed) 03時頃
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[知られたくなかったのは『螢一』の事。 蒼真との関係じゃなかったから。
騙して騙して手に入れた居場所は離さないと――]
(+20) 2015/04/08(Wed) 03時半頃
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―201X年3月24日・AM12:00・美術準備室―
[目は口ほどに物を言うというが、蒼真の真意を推し量ることなどできなかった>>+10 よくよく考えてみると蒼真にとって自分は“いらない”のだから、そこに何かを見出すのは不可能だったのかもしれない。
自分だけの推測だ。 でも結論付なければ、揺らいだ瞳>>+17に向き合える気がしなかった。]
………お前、人と付き合うの下手だね。
[決めつけだと反射的に思った。 それと同時に信じられていなかったのだとも思った。
もしも、事前に吾妻のことをもっと知っていたのなら。 たとえ話にするには重過ぎる課題だ。 だから全く思い浮かばないビジョンだけれども、目を凝らして。見つからなくて。
自分は何がそんなに気に食わないんだろうか。 でも、嫌になる。 その言葉>>+19は恐らく、一番聞きたくなかった。]
(+21) 2015/04/08(Wed) 10時頃
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………お前が捨てたんだろ。
[「いらない?」 なんて、まるで俺が拒絶したようなこと。 友達だと思っていたのに、自分だけ仲間外れ。
そんなこと、前もあったような気がする。 あの時>>0:109はどんな顔をして言葉を紡いだのだったか。
まあ、でも構わない。 ふと脳内に過った声>>2:147に目元を和らげて首を傾げた。]
嘘つき。
[友達だって。 また後で来るって言ったくせに。
いらないのは俺じゃないか。 そう、あの時>>3:84と同じだ。]
(+22) 2015/04/08(Wed) 10時頃
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[無言で扉に手をかける。 全てが敵に思えた心地は恐らく三度目。
次はもう誰も着いて来てはくれないのだろう。 漠然と思ったけれど、足はとどまらず。 そのまま振り返ることなく部屋を後にする。]**
(+23) 2015/04/08(Wed) 10時頃
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