25 仮面舞踏会
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ええ、もう見捨てられたものかと、諦めておりました。 嫁ぎ先で跡取りもないまま、 主人は先立ってしまいましたから。
[そして、これだけの財力と権力を持つヴェスパタインと敵対し、家財は焼失。立場は全く好転しておらず、両家からこの政略結婚は失敗であったと烙印を捺されることだろう。 エスコートされる形ながら、何とか酒臭い男から距離を取ろうと無駄な足掻き。歩みを遅らせればその分、男も合わせてはくれる]
……貴方こそ、折角の軍功がおありですのに、 結婚はなさらないの? こんな行き場のない未亡人の相手だなんて、 お気の毒ですこと。
[恐らく原因は彼が酒に溺れているせいだろうと単純に推察しながら、冷たくあしらった]
(11) 2011/02/03(Thu) 03時頃
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善人ですって?
[大きな瞳をぱちぱちと瞬いて、その音を、意味を、反芻する]
そうですわね。 せめてこんな時くらい、お酒の臭いをさせないでくださったら、 わたくしも貴方の善意に平伏し感謝を惜しまなかったでしょう。
けれど、だからこそ気になりますわ。 それは本当に善意なのでしょうか。 憫れな侍女の復讐劇に、身内の誰もが匙を投げる厄介者に、 手を貸そうなどという気紛れに――理由も下心もなく?
それとも、無念に散ったアイリス様への同情でしょうか。
[分からない、とアイリス――否シリィは、訝る表情で首を振った]
(-12) 2011/02/03(Thu) 03時頃
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ヴェスパタイン王子が、エスコートだなんて。 お揶揄いにならないで下さい。
侯爵様を愚弄し、アイリス様を破滅に仕向けたあの男! わたくしは、いっそ刺し違える覚悟で、 この場に乗り込んで参りましたのに。
[羽根のように軽やかにのせるだけがマナーの手に、ぎゅっと力が篭った。震えはバーナバスへの怯えから、名の挙がった王子への忿りと、大それたことを口にしてしまった恐怖に変わる]
そういえば、他に招待されのも、 あまりヴェスパタイン様とは、 ……上手くいってない方ばかりのようだと聞き及んでおります。
貴方も、何か蟠りがおありで?
[バーナバスのエスコートは、堪難い酒気さえ除けば、粗野な所作はあれど堂に入ったものだった。だからこそ不自然さは際立ち、一度左手に目を留める。が、結局それに関しては話題にするのを避けた]
(-13) 2011/02/03(Thu) 04時頃
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/* フィリップが可愛いです。可愛いです。
男たちは政治と野心の化かし愛。 女たちはサロンでお喋りに興じ。
設定のせいで、どこにも入っていけないアイリスでし た。
赤のお仲間は誰だろう。 てか誰に魔鏡渡そう。鏡の設定なんて考えてないよ! 1日目72hあってよかった。パンクしてしまう。 デフォはディーンなのよね。それもアリね。
(-14) 2011/02/03(Thu) 04時頃
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それに、あいつを亡き者にするって言っても、一体どうやって? 今やあいつは次期王として王国内でもかなり有力視されてる。 物理的にも社会的にも隙なんてないわよ。 隙があるなら誰かと褥を共にする時くらいかしら?
[自分でも下らない冗談を言った、とばかりに肩を竦め、「無理でしょ?」とばかりに首を傾げる。
ゆらり、と大きな耳飾りが揺れる。 異母兄にはそう言ってはいるものの、其の大きな耳飾りの中には、この機に乗じて第二王子を殺害するための毒が隠されている。 その事を明かすつもりは無いが。]
(-15) 2011/02/03(Thu) 07時頃
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[>>0:103夫の漏れた笑みには、真紅が一度細められただけ。 この国で己が一人生きてゆくなど、出来よう筈もない それくらいは判っている だからこそ自ら棺桶に飛び込んだのだから]
ふふ
[笑う夫のそば、口元を袖で隠して小さく微笑む]
酷い事を仰るわ。 私にはあなたしかいないのに?
[それから、眉根を寄せて首を振って見せた]
そうしましょう。 有難う御座います、あなた。
[舞踏会の衣装は何もひとつに決める必要はなく 彼に選ばせたのは彼と踊る際だけ着れば良いかと 色の狭間に泳ぎながら部屋を出る夫の囁きを聴く]
(12) 2011/02/03(Thu) 07時半頃
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――…どうせヴェスパタインさまの目的も同じなら 必要などないと思うのよ?
[そう告げて、首をかしいだ。 夫と姉を取り合った第二王子は、己にも声をかけてきた。 人のものがほしかったのか、それとも姉の代わりがほしいのか どちらかなど、興味もなく どうせ彼の傍へ行けば同じ行為がまっているのだと囁いて]
香が薄かったかしら 私のあなた ずいぶんと鼻が利くのね。
[笑み消し呟くと仕度をと衣装部屋から夫を追い出した。 当然提案など受け入れる気は無い。 これは己が未だ此処に生きて在る証]
(13) 2011/02/03(Thu) 07時半頃
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[やがて夫の選んだとおりの衣装で妻は馬車へ乗り込む。 東洋の装飾施されたその中で、愉しげに微笑みながら外の景色を物珍しそうに見やり、話しかけられる当たり障りのない会話には全て是で答えるばかり] [離宮のエントランスに降り立つと、身長差ある夫にエスコートを受けエントランスに姿を見せる。 東洋の絹織りは異彩を放つかどうか。 黒の扇で口元隠し、一人ごちる]
『ああ……此処へくるのは久しぶりだ 王子は私を覚えているだろうか それとも未だ姉の幻を見ているか』
[異国の言葉で発する音。 其々に馬車が到着する時刻なのだろう、見知らぬ男女が数人見える。 夫の傍らで小首を傾ぎ、挨拶があるなら妻として恥じぬ程度の返しを向ける。 やがて広間の準備が整う頃、東洋の派手な色合いの面をつけて広間へ向かう姿があった**]
(14) 2011/02/03(Thu) 07時半頃
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それに―――――
[女は尚も続ける]
美しい? こんなに醜い身体になってしまった私の、何処が!?
[忌々しげにそう言い放つと、長い長いグローブの裾に手をかけ、払うような勢いでグローブを外した。 そこに姿を見せるのは、美しい肌に刻まれた無数の赤茶の傷跡。
紫水晶が深い色をとなったように見えたのは、怒りの色を湛えているからだろうか。]
(-16) 2011/02/03(Thu) 08時頃
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あの男は、私からお兄様を奪っただけでなく―――…私から女として生きる道も奪い去ってしまった。
[自嘲気味に乾いた笑いを浮かべる。]
さぞ滑稽でしょう? こうやって必死に傷跡を隠している私の姿は。 長い長いグローブを身につけて、胸元を覆い隠すドレスを着て――――
[うっすらと涙を湛える女の宝石は、光を増し、輝く。
これが「悪魔の紫水晶」と称される、由縁。]
(-17) 2011/02/03(Thu) 08時頃
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[馬車の中での着替えがどれ程大変か――と言うのは先に部屋で試着した際に想像できなくもなかったが、家を出るのに女の姿で、と言うのは嫌だったのだから止むを得まい。 ただ、セシルの想像以上にアクロバティックに困難であった、とのみ付け加えておく。 それでも、忠実にして有能なる侍女のお陰で、広大な森を過ぎて第二王子の離宮が見えてくる頃には、何とか体裁を整えていた。]
(15) 2011/02/03(Thu) 08時頃
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[モンタランベールの紋章を隠した地味な馬車が乗り入れる頃には、既に先客のそれが何台か停まっていたことだろう。
初老の従僕の手で開かれた扉から降り立ったのは、鮮やかに燃え立つ炎。 赫灼たる赤に、煌く炎の金で装われ、紅玉のビーズが光を弾いて連なる。 そこにアクセントとして要所要所に大粒のダイアモンドがあしらわれ、更なる光輝を与えていた。
奇妙なのは、そのドレスが流行を全く無視してつくられていることだ。 乳房を覗かせる大きく開いた襟ぐりもなければ、大胆に露出する背中の開きもない。 ダイアを嵌め込んだ太いチョーカーを巻いた喉元から、手袋に包まれた指先まで、肌の見える部分は極めて少ない。 かろうじて、火炎の形にカットされた胸元に白い肌が覗くくらいだ。 整った白い貌さえ上半分は炎の仮面に覆われて、顔立ちすら分からない。]
(16) 2011/02/03(Thu) 09時半頃
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[炎の精霊に扮した女は、支え手の手も借りず自分で立つと、すっくと頭を聳やかす。 大きな頭飾りから零れたあかがね色の髪が、仮面の上でさらりと揺れる。 肩までしかない短い髪を結い髪に見せかけるためか、後頭部は殆ど紅玉を散りばめた真紅の飾りに覆われていた。 そうして、仮面の奥から暗緑色の瞳を彷徨わせ、今宵のパートナーたる友人の姿を探した。**]
(17) 2011/02/03(Thu) 09時半頃
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― 第二王子離宮 ―
[私はディーン様の手を借りて馬車から、地へ降り立ちます。 先方へ視線を向ければ、先客の離宮へ向かう鮮やかなお姿も見えましょうか。]
お洋服、舞踏会のものを着込んでくるべきでしたかしら? 此方で着替えさせていただければ良いと、思ったのだけれど。
[私は急に不安になって、ディーン様に尋ねました。 着替えたとて、今とあまり代わり映えはしないでしょうけれども。 肌を露出させたとて、肌と布の境は定かではないでしょう。 リボンもフリルも白に白ならば、装飾余り無い今のドレスとどれ程印象が変わるものか、客観的には判らないものです。
けれど、一つ馬車の中交わした会話で、改めたい箇所があったのです。頂いた紅に想いを馳せながら、エスコートされるがまま歩いていれば、背後で新たな来客を知らせる馬車の音が聴こえました。]
(18) 2011/02/03(Thu) 10時半頃
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まぁ、まるで炎の妖精のよう。 素敵だわ。素敵ね。
[ご挨拶をと思って振り返れば、地味な色彩の馬車から現れたのは、燃える火炎。ほぅっと感嘆の息を吐いた私の存在は、視線彷徨わすその麗人の視界に入ること叶ったでしょうか。お気付きになれば、私もディーン様も挨拶を向けたことでしょう。
私は流行に聡い方ではございませんが、麗人が纏われているドレスが流行からは外れていることは判ります。けれど、それすら超越し、赤を纏うはかくあらんやといったようなお姿に、頂いた紅をつけるに少し意気地が湧きました。嗚呼、けれど、近くにこのような方が居られれば、私が纏う紅も可哀想でないかもしれないとも思うのです。]
(19) 2011/02/03(Thu) 10時半頃
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[そのような想い持って、肌を焼く心配ない夜会ということもあり、珍しく流行に乗ったデコルテと背の肌蹴た型の白のドレスを纏い立った姿見の中。 まるで首と身体を切断するように首筋を廻る紅は、私に似合うかどうかは別といたしまして、斬首刑を思わせて好ましいと思うのは、もう少し先の出来事となりましょう。
今は無色彩のまま、客人にお会いすれば、ディーン様の隣で挨拶を向けつつ、私はエスコートされるがまま歩むのです*]
(20) 2011/02/03(Thu) 10時半頃
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/* >>19 訂正 意気地が湧きました× 意気地『のなさ』が湧きました○
(-18) 2011/02/03(Thu) 10時半頃
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[夢物語に似せて>>1いると、現れたのは婦人のパートナーと思しき人物>>2。 軽く挨拶を済ませると、自身もパートナーを探す為にその場を離れる。 他に知り合いがいれば簡単に言を交わしながら。 やがて現れた炎の精霊>>16には息を飲み、人波を悠然と掻き分けると一礼。]
これは、お美しい。 うっかり僕も心を奪われてしまいそうだ。 お嬢様、今宵は僕と一緒の時を、過ごしてはいただけませんか?
[やはり芝居がかった台詞に、真相を隠して。 その手を取ると、ひざまずくようにキスをする。]
(21) 2011/02/03(Thu) 10時半頃
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炎の精のエスコートを仰せつかった僕は、 業火に恋焦がれた哀れな男というところか。 最後には骨まで焼き尽くされて、跡形もなく消えてしまう。
…名乗りを上げておいたほうがよろしいのでしょうか? 初めまして、レディ。 僕はフィリップ=スタッフォード。 なんとお呼びすれば?
[どこまでもふざけた口調に、友人は怒るだろうか。]
あのさ、本当に。 君、常に"女装"していたら?
(-20) 2011/02/03(Thu) 11時頃
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/* アイリスに言われるまで素でエスコートすることを忘れていたなど\(^o^)/
セシルごめんwwwwwww
(-19) 2011/02/03(Thu) 11時頃
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/* そしてわけのわからないくっさい台詞を吐くのは、イメージがシェイクスピアの舞台だから。
僕のせいじゃないww僕のせいじゃないんだwww
(-21) 2011/02/03(Thu) 11時頃
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― 時は少し遡り 馬車の中 ―
[囁きに返された言葉に、ディーノ・ディンディアは僅かにその碧硝子の嵌った眼を見開いてから、口端の歪みを更に曲げた。金色の髪が身を離す頭の動きの後に続き、柔らかく孤を描く。]
私の父は、貴女を失くす事が自由だとは思いませんよ。
[二重の言葉の片面だけをを拾うのは「態と」だと語るのは口では無く、僅かに緩められた眉間の皺ひとつふたつ。反応を見るような言葉に対しての嫌悪は見られず、寧ろ捻った問題を解かれた時のような、感心と関心の混ざる色すら浮かべた。]
貴女に居なくなられると私はかなしい、ヨーリャ。
[死、と言う言葉を出す彼女に何時でも返す言の葉には、ふたりだけで内緒ごとを話すときの呼び名を添えて。 繰り返される同じ其れは彼女に何かを感じさせるのか、束の間の時男はじっと彼女を見た*]
(-22) 2011/02/03(Thu) 11時半頃
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[からから、と音をたてて馬車は第二王子の離宮へと進む。 すっかり日は暮れ、ランタンのぼんやりとした明かりが馬車内の二人を照らした。
女は頬杖をつきつつ、ちらりと隣に座る男に目をやった。 異母兄は腕を組み、俯いて考え事をしているのか、眠っているのか。そこまで伺い知ることはできなかったが。
掴めない男だ、と女は思った。
ベネデッド。王国の第四王子にして、私の異母兄。 実兄の第三王子との関係は悪くなかった―――、というのは、そこまで関わりが無かったからかもしれない。 第三王子イアンは、母親の生まれが伯爵家であったことも関係してか人好きのする性格で情に厚く、他の王子に比べ王族のそれよりもくだけた振舞いをすることが多く、いい意味でも悪い意味でも目立つ存在だった。 その為、派手好きで我の強い第二王子のヴェスパタインとは事あるごとに対立することが多く、関係良好とはとても言えたものではなかった。 第四王子のベネデッドとは、どうだったのだろう。あまり記憶に残るところはないが、兄はベネデッドの事を他の王子に比べて目立ちはしないが、王子の中では一番のキレ者だと言っていたかもしれない。]
(22) 2011/02/03(Thu) 14時頃
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[私のヴェスパタインとベネデッドを嫌う言葉を聞き、安心したとはどういう意味なのだろう。 女はぼんやりと考えるが、真相は言った本人にしかわからぬ事。 男はずっと腕を組み、黙り込んだまま。
まだ、離宮までの道は遠い。
おそらく、一番最後に到着するのはこの馬車であろう。**]
(23) 2011/02/03(Thu) 14時頃
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― 時は少し遡りて ―
[馬車を降りる為に手を借りるその前。 私は、眼前に金が弧を描くのを見ました。 その色の軌道を追っていた所為で、ディーン様の微かな表情の移ろいを知ることは叶いません。]
……ディーン様に、ヨーリャと呼ばれるのは好きよ。
[それでもいつもの言の葉が返れば、私の視線は見詰める碧に落ちます。こちらも返すは、唇に弧を描きいつもと同じ。死に関する言はあえて重ねません。
かなしいという単語は、私には大した意味合いを持つものでないのです。死と言う言葉を向けた時の、使用人たちの表情を思い起こせば、意味のないことと知っているのですから。 それよりも、ヨーリャと呼ばれたくて、私は囁くのかもしれません。ヨーリャという響きに、両親や情の通った肉親というものの幻想を抱いているのでしょうか。私は束の間、ディーン様の碧の瞳の奥に、そのような幻想を見ました*]
(-23) 2011/02/03(Thu) 15時頃
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[こんなことならば、普段の三割増しで香水を振り掛けて貰うのだった。せめてこの、此方まで悪酔いしそうな臭気から、身を守る盾とはなったろうから。後悔に曇らせかけた眉を、慌てて取り繕う。男爵家から見捨てられた未亡人の相手を引き受ける物好きが居ただけマシだと自身に言い聞かせるも、やはり慣れぬ。堪難い。 幾許の非難を篭めた扇越しの会話は、ドレスの裾引く衣擦れよりかそけく、誰の耳にも届かない。秘め事はその後ろめたさ故に甘美な誘惑を伴って、その妖しさをかえって際立たせるよう。華美に着飾る娘たちの纏う色彩を目の端に留めながら、ホールの前でアイリスもまた用意していた仮面を着ける]
(24) 2011/02/03(Thu) 15時半頃
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[目元だけを覆うそれは、ドレスに合わせた金縁の黒。貌の半分を影の如く埋没させるかわりに、残る口元を白粉より仄白く、紅引く唇のかたちを意識させる。浮かべる笑みは隠さねど、動かぬ偽りの表情であればそれは仮面と大差ない。完全なる線対称を崩すのは、黄金と黄玉を連ねた左手のブレスレット、そして右耳の上からにょっきり突き出た羽根飾り。蝶の片羽を模して、黒とピンクが交互に透ける]
…………。
[パートナーの一歩後ろから続き、笑みはそのままに優雅な一礼。通常の舞踏会のように、王――この場合は主催者であるヴェスパタインの前に進み出て、名宣り挨拶を交わすような無粋な慣習は省略される。今宵は仮面舞踏会、誰何を問わぬことこそが礼儀]
(25) 2011/02/03(Thu) 15時半頃
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あちらの女性は、どなたかしら。
[それでも、気になってしまうのが人のサガ。 視界の端で、ちらつく炎がアイリスを嘖む。自己を犠牲に得た全てを無に帰した、業火の記憶ばかりは癒えることがない。鏡の向こうで無限に揺れる蝋燭のそれより、鮮やかに、忌まわしく。炎の化身がこの世に舞い降りたよう。 皮膚を露さずとも、並の娘なら色負けしてしまいそうな緋を着こなす彼女の、洗練された物腰。それが、嘗て乙女時代に心を踊らせ恋文を送った張本人であるとは、気付きようもない]
少し、気分が……。
[仮面の裏に滲む脂汗。必死に赤を視界から追い払おうとする。次に目に入ったのは、髪も、肌も、衣装も、一切の色彩を拒否するかの如く切り取られた白の真ん中で、余計に――血染のように映える、一点の あか ]
(26) 2011/02/03(Thu) 15時半頃
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アイリスは、バーナバスに腕を預けたまま、軽い立ち眩みにバランスを崩した*
2011/02/03(Thu) 15時半頃
受付 アイリスは、メモを貼った。
2011/02/03(Thu) 16時頃
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[それは、コールタールのように、胸の裡にどす黒く巣食う闇]
(*0) 2011/02/03(Thu) 16時頃
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『それは、貴女の欺瞞ではないの?』
――がう。ちがう。
『本当はわたくしを羨んでいたのでしょう』
違います! そんな、そんなことは――ッ!
『ならば何故、貴女はそこに居るの? わたくしの――』
(*1) 2011/02/03(Thu) 16時頃
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