193 ―星崩祭の手紙―
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…とんっ…とんっ…とんとん…
[最初は楽しい店番も、時間が過ぎれば飽きがやってくる。 ワタシは如何にもつまらなそうな顔で頬杖をつき指で机を叩いていた。]
おかーさん!まーだぁ? ね、ね、ほらぁ!文流し始まってるよ?
[連なる集合住宅から一つ、カプセルが浮き上がればそれに続くように色とりどりのカプセルが続いて流れてゆく。 その様子を見つけたワタシは勢いよく後ろを振り返り、そのまま2階の部屋へ駆け込んだ]
(12) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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おかーさん!お手紙書くから!店番よろしくね!
「こら!クリスマス!……もう、仕方ないわね。 今日はこのまま閉じるから、終わったらご飯にするわよ。」
[やった!と小さくガッツポーズ。 興奮気味に椅子に座るとカプセルを開ける。 中には何を入れるのか、もちろんワタシは最初から決めていた。 引き出しから取り出して、表面を少し磨いて色んな角度からチェックをする。]
よし、後はお手紙だけかな…ふふっ。
[最初の挨拶は何がいいかな、こんにちは!ごきげんよう! 久しぶり?それともこんばんは? お父さんに届くかな?それとも違う人? 受け取ってくれるのはどんな人だろう、人かな? お返事くれるのかな?失礼のないようにしなきゃ!]
(13) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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/* 女の子みんな可愛くてしあわせ。
(-14) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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[ワタシは1枚のお手紙を仕上げるのに、何枚もの羊皮紙を丸めては放り投げを繰り返し、ようやく出来たそれを慎重に贈り物に添えて収めると]
…ばいばいっ!いってらっしゃい!
[空に向けて放った。
ワタシは小さくなるその姿を見えなくなるまでずっとずっと、見送り続けた]
(14) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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ふわり、ゆらり、幾つもの軌道を変えて、星たちに流されたカプセルはライジ[[who]]の手元へと
(-15) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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[貴方の元に届いたカプセルは、金色に水色で縁取りされたクリスマス色のカプセル。
中を開ければ、まず目に入るのはケースに入った銀のコイン。 さらに鼻を掠めるその日の夕食のたっぷり野菜のシチューの香り。
コインの表には翼を広げた鷹の彫刻、裏には流星の彫刻が刻まれている。
最後にケースを取り出すと、その下に見つかる羊皮紙に綴られた手紙。]
(-16) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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アナタは今、どこにいますか? これを受け取ったアナタは、今……何をしているのかな。
アナタが旅人なら、アナタの故郷が知りたいな。 アナタが旅人でないのなら、 アナタの星に来た旅人に…伝えて欲しい。
『まってるよ』って。
そのコインは、少しでもいいことがありますように、 そう願って作ったから。気に入ってくれると嬉しいな。
Christmas
(-17) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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/* むんずんかしいいいいい なんだこれ!?設定何も考えてない自分の馬鹿!
(-18) 2016/07/16(Sat) 22時頃
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/* それにしても手紙が来なくて悲しいきもちでいっぱい。
(-19) 2016/07/16(Sat) 22時半頃
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[一頻り喋った後、ばいばーいと〆てカメラに手を振ると、慌てて宇宙カプセルに近寄り録画を止める。]
これでいーんかなあ…もうちっと畏まった方がいいんか?わっかんねーよなあ…。
[なんせ初めての体験である。動画レターなら本部や母星の親や友達に向け送ったことはあるが、これは誰とも知らぬ相手に送るのである。勝手が違う。ましてや、自分たちの星とは違う、全く異なる星系に向けて!]
…ま、撮ったもんは撮っちまったし、難しく考えてもしゃーないか。 俺、今日の分の採取のついでに、これ送ってくんな。
[誰ともなくそう声を掛けて、外気スーツにメットを被ると、しっかりと封をした宇宙カプセルを小脇に抱え、幾重の扉を抜けてプラントの外へと出る。]
(15) 2016/07/16(Sat) 22時半頃
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『エフ、貴方の字って綺麗なのね』 『私、ちょっとびっくりしたわ』
[ 本当に驚いた!
なんて、わざわざ伝えずとも分かる表情で、 男の顔を眼鏡越しにのぞき込んだのは、 未だ互いに若かった頃の 話だ。
彼女自身はといえば。 所謂 止めとはねとやらがない、 まあるい、まあるい字。 彼女は男と違って 自分で"伝える"ばかりだったから、 文字を書く機会なんて、そうそう無かった。 それ故のもの、なのだろう。 ]
(16) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[ 引き出しの、中。 ]
[ 電子機器や 念 ばかりのこの星では、 あまり売られなくなった、 昔ながらの 手紙 一式。
まっさらな、白い紙に。 同じく取り出した、黒い ペンで。 神経質そうな 細い字を連ねていく。 ]
(17) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[ 書き出すのは。
彼女が知りたがったのだろう。 そとのせかいへの 興味と。
それから、 ]
(18) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[ 男の 願いか。 ]
(-20) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[ 無地の白い紙に、 きっちりと並んでいる、細く黒い、文字。 ]
やあ。 遠い星か近い星か、 場所も名も知らぬ、何処かの誰か。 そっちの宙は、どうだい。 星が輝いているか あるいは真っ暗かい。
それか、 声を届かせ、歌を歌う誰かはいるかい。 愛する人 なんて、気障な表現でなくても良いが、 君の隣に立つ、人間はいるかい。
(-21) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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俺は。 随分と、きっと、長いこと。 暗く、光らしい光も、 君の想像するような声も無いこの星を生きていたよ。 俺はそれで不満はなかったが、 どうにも この星は。知人曰く 暗くて狭いらしい。 外の、たとえば君の住んでいる星のことを、 知りたいと言っているのが、常だった。
(-22) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[この西の果ての星の空は、地平線の乳白色から空が深くなるほど夕暮れというには桃色の強いグラデーションを形作っている。光源らしきものの存在は認められるが、空を覆う霧状とも雲状ともいえる物質で拡散され、1日中等しいほの明るさである。
最初は違和感を覚えたそれも、この星に来て6ヶ月、任務外で外へ出る事はなくとも、プラントの小さな窓からでも見慣れた。]
そーれっと。…可愛い女のコのとこに届きますよーにっと。
[宇宙カプセルを垂直に放り投げると、パン、パン、と手を合わせて拝む。カプセル上部に風圧を受けたことをセンサーが感じ取ると、暫しまるで鳥が迷うように宙を揺蕩ったが、ゆっくりゆっくり上昇していき、うす桃色の霧の中へ消えた。]
ほんとに届くのかねー。
[手をかざして宇宙カプセルが視界から消えるのを見送ったあとも、暫くその姿勢で立ち続け。ゆっくり首を振ると、いつもの採取作業に取り掛かる。]
(19) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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知人は 一寸、手が離せなくてね。 この祭りに参加できそうに無いから。 代わりになってしまうが。
折角の、縁だ。 君の世界を、君の好きな誰かや何かを、 知りたいと願うよ。 F.
(-23) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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岩にはりついた珊瑚の様な苔、石に見紛うような緑色の種、硝子のように摘まんだ指先を透かす花弁の花。この辺りはよく見掛けるもので、プラント内での生育を実験する為、毎日試料として採集している。
生き物と言えば、風に吹かれて転がる大小の毛玉のようものがそうと言えるか。だがこちらは、生憎プラント内の環境では、1日もすれば萎んでしまった。
もう少し遠出をすれば、既に馴染みになったこれらの異形の動植物もサンプルとできるかもしれないが、いかんせんひとりでは手に余る。
ふと、明日はこの花を宇宙カプセルに詰めて送ってみようかと思った。]
そろそろ帰りますかねーっと。
[一頻り試料を詰め終わると、時間の経過のわからない空を見上げる。
あの空から、遠く遠く宇宙の波を漂って、俺のところにも手紙が届くのだろうか?]
(20) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[ カプセルの中。 手紙に同封されているのは、 真新しい写真立て。 ]
贈るものは。 知人とは、関係ないものだよ。 もし君に誰かや何かがあったのならば、 その思い出を、残せられるよう。
[ そうして、 男の手紙は締めくくられている。 ]
(-24) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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『文字だと饒舌なのね』 『私と全然お話ししてくれないのに!』
[ 手紙と、それからもうひとつ、物を詰め。 カプセルを閉じる最中。
何時かの彼女の言葉が過ぎった気がして、 口の端で僅かに、ぎこちない笑みを作った。
懐かしさ、と。 自嘲と。
きっとそんなところだろう。 ]
(21) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[ 窓を開き、 過ぎるばかりで、写真も、何も。 形として残ったものの無い 殺風景な部屋から、 カプセルを暗い宙へ放る。
どうか 届くと良いと。 そう思うのも、きっと思い出とやらの彼女の影響。
カプセルを見届けてから、 ふ と 視線を下げれば。
声こそ出さずとも、 男よりずっと器用に、心から笑うこどもたちが、 街を装飾していく光景が、見えた。 ]
(22) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[湖の星は、その殆どを湖に覆われた大きな惑星だ。 人々は僅かな地表の上と、陸を模した船、それから小さな舟の集合体の上で暮らしている]
[水に沈むこの星も、嘗ては広い大地を持つ惑星だった。 そんな御伽噺にも思える事実が判明したのは、ほんの百数年も前のこと。 寿命の短い種族である我々からすれば目覚しいまでの功績を以って、数代の生を架けて行った調査の結果だ]
(23) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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[地表や船から見る湖は、遥か彼方まで一つに繋がり広がっていて、果てなく思える。 その水底に潜ると、果てなく思える湖も、嘗ては一つ一つ別の個性を持った『地上』だった事が窺える]
――――…
[こぽり、と。排気口から気泡が漏れ、湖を漂い消えて行く。 手元にある小さな機材から漏れるオイルが、清廉な水を僅かにだけ黒く染めるも、それも直ぐに滲んで周囲に掻き消えた]
(24) 2016/07/16(Sat) 23時頃
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- 空白 -
書かないよ。
[星崩祭の時期になると毎度のように繰り返される問い。 俺はいつもと同じように答えるだけ。 祭りが馬鹿馬鹿しいとか、こんなモノ届くはずがないとか思ってはいない。 単純に書くことが浮かばないのだ。
俺が創られて最初の星崩祭。 彼女にとっては二度目のそれの時。 楽しそうに文を綴る彼女に倣って筆を執ったが、 その紙がに文字が躍ることは無かった]
(-25) 2016/07/16(Sat) 23時半頃
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……毀れてしまっているんだろうな、俺は。
[肩にかかる重みが心地いい。 藍色の髪をひと撫ですれば、淡青色の瞳が眠たげに持ち上げられた。 二三度瞬きすれば再び閉じた。そうして、微かな寝息が聴こえてくる]
[ココロが欠落している。 関心も、興味も。 心が動くのは全て彼女に関係のあることだけ *]
(-26) 2016/07/16(Sat) 23時半頃
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[電子数式の中に於いて暮らす君は、 本来であれば 紙 と呼ばれるものに、 文字列を自らの指で綴ることなど、 ほとんどしないらしい、いやするはずがない。 それなのに、いま君が指に持つものは? ……─── そう、筆記のための道具。
骨董品や、宇宙 <sora> から降ってくるナニカを、 拾い集めることが好きな君。 それも恐らく拾ってきたものの一つなのだろう。]
ほら、見て。 完成、したんだ。
[目元が、緩み。 口許が、弛み。 片手には筆記具、片手にはカプセル。 私の存在する箱庭に向かって、歩いてくる。 愛おしそうに撫でられる其れ。]
(25) 2016/07/17(Sun) 00時頃
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[文は、キカ[[who]]のいる星へと流れゆく。]
(-27) 2016/07/17(Sun) 00時頃
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[おっと、送ろうとしたものがエラーで 返ってきてしまったようだ。
えい。今度こそ。 文は、ピート[[who]]のいる星へと流れてゆく。]
(-28) 2016/07/17(Sun) 00時頃
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[C6H2(OH)3COOHにFeSO4を加えて、 生成された古典的と呼ばれるインク。 生成りの、これもまた古典的な羊皮紙に刻む。
丸みを帯びた、小ぶりの文字列。 一文字一文字、丁寧に刻まれているが、 成形のバランスは取れてはいないもの。]
(-29) 2016/07/17(Sun) 00時頃
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