266 冷たい校舎村7
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ああ、逆パターンもあり得るか。 ……たったひとりを覗いて全員死んでる、とか
でもまあ、な…… 俺以外がこの校舎からいなくなって ひとりだけ取り残されたら? ───……怖くない、つったら嘘にはなる
[ 窓枠に肘をついて、真っ暗な外を見るが 吹きすさぶ風に煙草の火が消えてしまいそうで すぐに壁に寄りかかるような姿勢に戻る。 ]
(260) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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でも、お前が追いかけてくんじゃねえの? うぜえくらいに付き纏ってたくせに。 ……飽きたら、ぽいか?
[ 煙を拓海の顔に吹きかけるように、 息をふわっと吐きだした。 ]
(261) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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それに、もしも俺がお前を置いて消えても どうせ追いかけてくんだろ?地の果てまで
(262) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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[ 違った?なんて言いたげに、轟木にしては 極稀な口角をあげる瞬間が見れるだろう。
とん、と灰を落とせば、 短くなりきった筒は息の根が止まりそうになる。 あと、もうひと蒸かしってところだろう。 ]
ま、んなことがあったら、 っつー話だけど。
[ すん、と鼻を鳴らし横目に拓海の方を見ていた。 ]*
(263) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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/* はなたれ小僧しつつ。 おなかいたくなってきた……ふぉあ…… 23時までには戻ればいいかな。いいよな。うん。
(-82) 2019/06/15(Sat) 22時半頃
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──現実:4階──
誰かの思い出にしちゃ、 あんまりにもほの暗すぎだろ。
……一発、文句いってやんねえとな 犯人さまには、な。
[ 相変わらず、暢気だった。養拓海ってやつは。>>266 思い出たる世界の持ち主とは、到底思えぬほどに。 犯人捜しもほどほどに、凡ゆる想定の話へ飛躍する。
末恐ろしい妄想が膨らみ、 窓の外の闇にまでのまれそうなほどだった。 ]
(303) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ 晒すまぬけ面に吹きかけた煙は、>>268 どうやら拓海の肺まで沁みただろうか。 しばらくせき込む様子を、鼻で笑いながら見ては 言葉が出てくるのを、待っていた。 ]
俺に可愛げ求めるなんて、阿呆だろ それに、心中するとは一言もいってねえし
[ だから、少し調子に乗っていた俺は、 近づいてくる拓海のその先の行動の予測ができず 反抗するような煙に巻かれて、息を止めた。>>271
危ない、吸い込んじまうとこだった。 二の舞になるのは、ごめんだぞ。 ]
(304) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ つっても、完全に避けるのは無理で。 軽くせき込み、耐えるように息を止めれば 顔の熱が上がるのが分かる。
子犬みたいにじゃれる拓海の笑い声と、 外に飛んでいくちびた煙草の行方を目で追えば 真似っこするみたいに、自分自身も炎の消えた煙草を 暗闇の中へと放り投げていた。 ]
うるせえ、気持ち悪いこと言ってんな
[ 立ち去るその背に、ひとつ言葉を向けて ]*
(305) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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──チャイムの鳴る前に──
[ ───人間なので、トイレに入った。
みんながまだ寝静まる頃、教室から静かに出た。 やっぱり縄張りの保健室で寝る、……じゃなく 教室へ俺は向かったんだ。なんとなく。 連れション、なんてするタイプじゃないもので、 3階の通い慣れた男子トイレへひとりで行ったんだ。
用を済ませて、いざ教室へ戻らんとする。 そんな時だったろう。 ]
(306) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ 目の前に、あいつ≠ェ現れたんだ。 ]
……なんで、おまえ どこいたんだよ、腹減るだろ
[ 校舎に紛れて、隠れていたのだろうか? 我ながら、らしくないとは思うものの 嬉しくなって、表情が綻んでいたように思う。 近づいて、いつもみたいに腕を掴んだ。 瞬間。 ]
(309) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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───ッ!?
[ どろり、と崩れ落ちた。 デブの身体は形を失い、どろんこ塗れになる。 ひとまわりもふたまわりも小さくなった塊は、 俺を見上げて、わんわんと泣き始めたのだ。 ]
(311) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ まるで、あの雨の日のように ]
(312) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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……なん、なんだよッ
[ うるさい、と思った。 少年のようなソプラノは耳障りで、 どろんこまみれで人の形をしたソレを、 思わず、蹴り飛ばさざるを得なかったのだ。
だって、もう捨てたんだ。 ]
(313) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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強者に、なりたかったんだ
(315) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ 捨てたのに、現れる方が悪い。 あの日の自分はもう捨てたんだ。 弱い自分はどこにもいない筈なのに。 どうして、なんども、なんども、
こうも抉り返してくるんだ ]
(316) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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──文化祭のあった日──
[ ───あの日、おねがいを聞いたんだ。
ついてきて欲しい場所があるっていう。>>39 学校から離れた繁華街の裏通りに何の用だ? 暗いな、って思った。思ったけど、まあ、 あいつの言うことだし、と思ってついてった。
ここだよ、って到着地点を示された、 どっかの廃ビルの扉を促されるまま開いた。
評判のよくない学校の制服を着崩して身に纏う ガラの悪い男たちの視線を一斉に浴びる。 ]
(317) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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……おまえら、
[ 遠い昔の記憶が、脳裏に蘇る。
高みの見物、とは違う。 直接的に手を施してきたいじめっ子たちだった。 俺が、あいつを見ると、生まれたばかりの小鹿…… もとい、子豚のようにぷるぷると震えながら リーダー格っぽい男にへこへこ頭を下げていた。
胸の奥が、熱くなった。 それからのことなんて覚えちゃいない。 真っ先に飛び出るのは拳だったけど。 ]
(318) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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革命、なんて笑わせる
(319) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ 気づけば視界は薄汚れた天井を映し出していて、 集団の腕やら足やら、たまに赤い血やらが、 ちらちらと視界の端に映っていた。
ああ、自分の血かって気づくには なかなか時間がかかったけれど。 こんなのは致命傷になんかにゃなりゃしない。
視線を横に流してみると、 あのデブは俺から目を逸らして、 逃げるようにその場を立ち去っていく。
ほらな、結局こうだ。 誰も、助けちゃくれないんだ。 ]
(320) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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痛かった。すごく。 殴られるのも、蹴られるのも、 痛かったけど、それ以上に
昔のいじめっ子に会ったのも、 昔みたいに扱われているのも、 辛かったけど、それ以上に
(321) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ その頃には力なんか入らなくって、 ぼんやりと意識が薄れていったんだっけ。 ]
(322) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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勝手に、まもってやってるつもりだった ともだち、になれると思ってたやつに 裏切られたってことが哀しかったんだ ただの、上っ面の嘘っぱちだったんだ
(323) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ 強者になれればいいと思ってた。……いいや、 羨ましかったんだ、みんなが、純粋に。
つよく上にいる立場の人間は、 いっつも人に囲まれて楽しそうにしていた。 ともだち、だってたくさんいて、 笑いたいときも、泣きたいときも、 共有できる仲間ってやつを持っている。
そんなものは、俺の世界から見える 主観であり夢物語的な世界なのかもしれないし、 ただの、妬みと嫉みでしかないけれど。 ]
(324) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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力があるだけじゃともだちなんか作れない みんなに従うだけでもともだちなんか作れない ともだちの作り方なんか分からない
(325) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ ───あんなことがあったのに。 それでも、あいつの作った飯を待つなんて 本当に馬鹿だよな、って自分が笑えて来る。
封印したつもりになってた記憶だってそうだ。 またあえる、なんて期待したって仕方ないのに。
俺はいつまでたっても、変われない ]
(326) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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思い出に縋ってばかりの人生もやめたかった
(327) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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──現在──
[ どろんこ塗れの怪物を殴っていた、と思ってた。 あいつに自分を重ね合わせてみてるなんて、 おこがましくってたまらねえなと思う。
逃げたくて、怖くて堪らなくって、 殴り続けていたのは、自分の中心だった。
痛い、と思う暇もないと良い。 ただひたすらに傷をつけていた。 叩いて、殴って、押し潰して、抉り取って、
次第に視界がぼやけて、呼吸もしにくくなる。
無我夢中になって、ゴロン、と落ちた。 ]
(328) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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消せない傷を負った 目には見えない心の傷を
(329) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ 分かち合う火も、大まじめな言葉も、 向けてくれる優しさすべてを、 正面から素直に受け取れないくらいに。 ]
(330) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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[ そのマネキンは、3階男子トイレにある。 ]
(331) 2019/06/15(Sat) 23時半頃
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