278 冷たい校舎村8
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ねえ、喜多仲くん。 変なこと、聞くかもしれないんだけど
……ここに来る前、変な夢、みなかった?
[ もしかしたら、触れない方がいい話題だったかも。 でも、ただ静かに待っているのは落ち着かなくて しゃべっていたい、から。そう問いかけた。
彼のマネキンを直接目にはしていない。 ……夢から醒める直前の自分を思えば、 喜多仲くんにも、何かあったのかもって。 だた、共有したかったから話を振っていた。 いつも笑顔でハイテンションな彼なら、 どことなく、ゆるしてくれそうな気がしたから** ]
(+30) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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── 病院内 ──
[ 病院の中に踏み込む。明るい。暖かい。 心乃の後ろをついて行って、 0.5人分開けたその隣に座る。……静かだ。 ]
え?あぁ……変な夢、見たよ。 チョー見た。みんなで学校に行って…、 すげー雪降っててさぁ、閉じ込められて。
みんな元気で、それで…………。
[ 心乃が夢の話をするので、>>+30 郁斗は夢のことを思い出した。
終わり方。っていうのを思い出せば あまりいい夢ではなかったかもしれない。 手首をさすりながら、ぼんやりと言う。 ]
(+31) 2020/06/22(Mon) 08時頃
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……変な夢だった! 心乃ちゃんも見たの?変な夢〜。
[ 病院の人工的な明かりが二人を照らす。 大雪が降っていた校舎の中よりは いくらか明るく感じていた。
見たのかもしれない。と郁斗は思った。 なにせ集まっているのはみんな、 あの世界にいた友達ばかりだった。 ]**
(+32) 2020/06/22(Mon) 08時頃
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[ 帰ってきてほしいと祈るべきなのか、 嘘つき! と言ってやりたいのか、 礼一郎にはもうよくわからなかったけど、 近くで待ちたいとは、確かに思った。]
(+33) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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──現在/病院前── [ 夜の病院。 こちら品行方正な健康優良児。 まるで縁のない場所の前に立ち、 はあはあと肩で息をしている。 そういえば、何も言わずに家を出てきた。 礼一郎には家族に送ってもらう発想はなく、 別にそれは不仲だから、とかじゃない。 心配してるかな。 とごく当たり前に礼一郎は思い、 スマホで父親にメッセージを送った。]
(+34) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ 友人が危険な状態であること。 他の友人たちと病院に駆けつけること。 家を勝手に出てきてしまったこと。 このメールに気づいたら返事がほしいこと。 眠っていたはずの父だったから、 返事など来ないかと思っていたが、 案外間を置かずスマホが震えた。 そういう事情なら仕方がないが、 一言声をかけるべきだった。という指摘と、 迎えに行くから帰りは連絡するように。 入り混じる礼一郎と友人を案じる言葉。]
(+35) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ あー、気づいてたんだなって礼一郎は思う。 まあ、出がけにバタバタしていたし、 目が覚めたって不思議じゃないよな。 礼一郎は起こしちゃって悪いなと思い、 病院に入る前、もう一通返事を送る。 心配かけてごめん、ありがとう。 また連絡します。みたいなね。 そういうふつうのやり取りをする。 ふつうに、やり取りが成立する。]
(+36) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ 礼一郎は、ふつうにそこそこ両親が好きだ。 ちょっと口うるさかったりもするけど、 つきとおせない嘘ついてんじゃねえよって、 呆れ果てちゃったこともあるけれど、 でも、礼一郎のことを息子として大切にしてくれる。 塾から遅く帰っても温かい食事を出してくれたり、 おまえは父さんより賢いからなあ、 できるだけ良い大学に行けよって、 自分のことみたいに嬉しそうにする人たちが、 礼一郎はふつうに家族として好きだよ。
何やってんの、って呆れ果てても、 家族に対して、いなくなれなんて思わない。]
(+37) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ ほんとやってらんないよね。]
(+38) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ とにかく、そんな連絡を終えて、 いざ病院に入ろうかってときに、 礼一郎はふとそこに立つ人影に気づく。>>+26
……気づくのが遅れたのが不思議なくらい、 鮮やかな、存在を主張するような白をまとって。
福住だ。そういえばさっきメールが来てた。 4回目のチャイムのときまではいたはずで、 じゃあ、同じタイミングだったのかなって思う。]
(+39) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ 礼一郎は軽く手を振って、ちょっとだけ遠慮がちに、 こんばんは、という感じに何歩か近寄った。]
……葉野、だったんだな。
[ はじめてその名前を声に出したとき、 礼一郎はなんだか無性に悲しくなる。
話が違うじゃん。とも思うし、 なんで? って疑問も渦巻いている。
あんまり悲しいので、 はあって大きく息を吐いてから、 いまだに潜れずにいる入り口を見てた。]
(+40) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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死にたかったとか、全然ないって、 ……言ってたんだけどなあ、葉野、あいつ。
[ 礼一郎はじっと入り口の方を見てる。 なにかの間違いでもいいから、 今すぐ葉野が元気に歩いて出てこないかなって、 現実に起こり得ないことを考えたりもする。]
(+41) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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[ それから、やっぱりあの世界で人形になるのは、 帰ってくる、と同義だったんだなって思って、]
……福住もさ、人形になったんだろ。 大丈夫だった? その……痛いとか怖いとか。
[ 福住の人形を礼一郎は見ていないけれど、 友人のああいう姿、見るたびに思ってて、 深い理由もなく、心配げに聞いてしまう。
ぶるりと身震いをした。ここは寒いな。 病院の中に入らなくては。入って……、 入ったって、待つしかないんだなって思う。
帰ってきてほしい。また会いたいなって、 礼一郎はやっぱり当たり前にそう思っている。**]
(+42) 2020/06/22(Mon) 10時半頃
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―― 現在:病院前 ――
[ 車から降りたら途端に冷気が襲ってきた。 雪は降っていなくても、寒いものは寒い。 温かいものを買おうと自動販売機を眺めていた。 飲む用とカイロ用。今日も買うのは2本。 がこん、と音を立てて落ちてきた飲み物を、 取り出して顔を上げた誠香の視界に、 意外な、とても意外な人物の姿が飛び込んできて>>+40 誠香はぱちぱちと目を瞬いた ]
え? あれ?
[ 手を振る姿に釣られたように、 ジャスミンティーのペットボトルを持った手を上げて、 それでも誠香はまだぽかんとした顔をしていた ]
(+43) 2020/06/22(Mon) 14時半頃
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阿東、帰ってたんだ?
[ マネキンと代わったクラスメイト達に、 きっと会えると思っていた。 けれど誠香の記憶している限り、 阿東は校舎にまだいたはずだ。 もしかして同じタイミングだったのかな、と誠香は思う ]
……うん。
[ 葉野、と阿東が名前を口にした。 わかってはいたけれど、 自分以外の人がその名前を口にすると、 改めてその事実がのしかかってくるようだ ]
(+44) 2020/06/22(Mon) 14時半頃
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[ 死にたかったとか、全然ない。>>+41 紫織が言っていたという言葉を考える。 あの校舎での本心だったのか、 それとも嘘をついていたのか、誠香にはわからない。 わからないけれども ]
すごーく今更の話なんだけどさ。 昨日の夜、あ、校舎の話な、保健室で寝る前に、 しおちゃんと話してて。 元の世界に帰ったら、千夏ちゃんに みんなでメイクを教えてもらおうって話、 してたんだけど。 その時、しおちゃん言ったんだ。 「いいなぁ」って。>>0 ……今思えば、なんかその返事って、他人事っぽい。 その場に、しおちゃんはいないみたいだ。 ……ほんと、今更だけど。
[ じっと入口の方を見ている阿東をちらりと見て、 また誠香はペットボトルに視線を戻した ]
(+45) 2020/06/22(Mon) 14時半頃
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……う。うん。なった、んだろうな。 なった記憶はないけど。
[ 人形になった。>>+42 誠香にその記憶はないけれど、 意識が途切れた後に、きっと代わったのだろう。 あまり考えたくないけど ]
怖い……はあった。痛い……はそれほどでも。 でも、それよりなにより……恥ずかしかった。
[ あれは誠香の悩みで、恥だ。 恥の具現化に襲われたようなものだ。 考えただけで恥ずかしい。 あれが見られたとか、消えたくなる。 頭を抱えてうわーっとか叫びたくなる。やらないけど ]
(+46) 2020/06/22(Mon) 14時半頃
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阿東は?
[ ぶるりと身震いをする姿に、 あまり引き留めてはいけない気がしたのに、 聞かずにはいられなかった。
真夜中の病院前は、なんだかまだ非日常にいるように 錯覚する。 寒そうに立っている阿東は、当たり前だけど 年相応の男子高校生の姿をしていて、 勝手に苦手意識を抱いていたというのに、 どういうわけか兄に似ているようには見えなかった** ]
(+47) 2020/06/22(Mon) 14時半頃
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──現在・病院内──
うん、私も見たよ。変な夢 閉じ込められて、最後には……
[ 手首を摩るのを見れば、心乃は自らの胸元を撫でる。 ……痛くも痒くもない、なあ。 ]
(+48) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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[ もしも、もしもだよ。 あの夢がこっちとリンクしてるなら。 ]
あの世界で、死んじゃえばさ、 こっちに帰って来れるってことなのかな
……だったら、向こうに戻って、
[ 戻って、しおりちゃん、のこと。 ──と、言いかけて、口噤む。
もう、なにかを与えられると思っていない。 そもそも、向こうに戻れるかすら怪しい。 物騒なお話はやめにしたいと思うのに、 無機質な白い光が照らす中では、 心はざわついたままだった。** ]
(+49) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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──現在/病院前── ああ。 愛宮と綿津見が帰って──、 たぶん、そのあとかな。 最後に時計見たの、8時50分前だったし。 ……タイミング的に、 福住もそうだったのかなって。 [ 物わかりのいい子の顔して、 礼一郎は投げられた問いにうなずく。>>+44 あのとき、順番が来たのだと思って、 それは今も感覚として変わらない。 残れなかったなあ。残してきちゃった。 そういう気持ちがないわけではないが、 どこか、仕方ないような気もして。]
(+50) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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……いいなぁ、か。 気づいてたのかな、あいつ。 自分が死にかけてるって。 気付いてんならさ、 教えてほしかったな。 ……こっちのわがままだけどさ。 [ 礼一郎にだって、 そいつの何が嘘で本当かなんて、 察しようもないから、寂しいなって。 ぼんやりと口にしてから、 ふと、福住のほうに視線を向けた。]
(+51) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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今さら、つったってさ、 そのとき気づけなくたって、 そんなの仕方ねえよ、だから、 ……あんま気に病むなよな。 俺なんか、ソーマにまでさ、 葉野は違うらしいぞーとか言っちゃった。 [ 礼一郎はちょっと後悔している。 あれもまた、無責任な発言だったね。 今からでも訂正できないかなって、 念じてみたって届かないし、 ここからできるのなんて祈るくらいだ。]
(+52) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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……恥ずかしい、か。 なんかさ、みんなの人形、 痛そうだし、怖かったじゃん。 そうじゃないといいなって、 ……思ってたんだけど、 恥ずかしいのもいやだな。 [ 想像してみる。相当いやだな。 いやだけど、無事戻って来れたのはせめての救い? 避けられてんのかなあとか思ってたのが嘘みたいに、 礼一郎の口からはすらすらと言葉が出てくる。]
(+53) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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……どうなったか知らねえし、 別に、聞きだすつもりもないけど。 大変だったなあ、お疲れ様。 そんな思いしたならなおさら、 ちゃんと帰ってこれてよかったわ。 [ しみじみというけど、 礼一郎の言葉はちょっと他人事みたいだな。]
(+54) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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[ でも事実、礼一郎の幕引きはあんなだったし、 同じように聞き返されて、うーんとうなる。 なんていうかなあ、首をかしげて苦笑した。] 俺は……なんだろ。 思ったよりあっけなかったわ。 [ あっけなかったし、とっくに知ってた。 わかりきってて見ないふりしてんのに、 目の前に突き付けられてるようで、]
(+55) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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ま、いい気分にはならなかったけど。 [ そんな感じですかねって笑って、 まあ、細かい話は先約があるからさ、 先に伝えなきゃいけないやつがいまして。 また視線を入り口の方に戻して、 言葉だけを福住に向かって投げていた。]
(+56) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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中入んねえの? 風邪ひくよ。**
(+57) 2020/06/22(Mon) 16時半頃
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―― 現在:病院前 ――
ああ、それなら僕と一緒だ。
[ 心乃とまなが帰って、その後。翌朝。 自分がマネキンと代わるのも、 誰かがマネキンと代わったのを発見するのも嫌だった。 けれど、誠香に選択の余地なんかなかった。 退場は強制だった。 舞台からはけるにしても、強引な展開過ぎない? と 物申したいところだ ]
ということは、今残ってるのって……4人?
[ それって、もう、紫織の世界が、 それだけの人数を留めるので精一杯なんじゃないか。 そんな想像が頭に浮かんだ。 言葉にしそうになって、飲み込む。 精一杯の理由が、紫織の容態のせいだったら。 そんなことを考えてしまうととても口には出せなかった ]
(+58) 2020/06/22(Mon) 20時半頃
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……わからないなあ。 気づいてたのかもしれないし、無意識だったのかも。
[ 購買で、手を濡らして、 手術前の医師のようなポーズをしていた 紫織の姿を思い出す。 そんな大きな秘密を抱えているようには見えなかった。 紫織はいつも通りに見えた。 演技が上手だったのか、本当に気づいていなかったのか、 誠香にはわからない。
あの「いいなあ」が、気づいていて言った言葉なのか、 紫織も気づいていない無意識が言わせたのかは わからない。 どちらだったとしても、知ってしまった今となっては、 寂しい言葉だったと思う ]
(+59) 2020/06/22(Mon) 20時半頃
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