164 冷たい校舎村3-2
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── 涼介、は、
[ 水音の中、発する声は、 届かなかったかもしれない。 届かなくてもいいな、とも、思った。]
……ちゃんと、幸せだった?
[ なに?きこえない。 そんな答えを、期待している気もする。
ブースを出て、持ってきたジャージに着替えていく。 髪を乾かしながら、ようやく、ちゃんと理解する。 律は、ホストを探している。 自分のために、探している。*]
(275) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[ ――過去ごと、水で錠剤を流し込んで、飲み込む。 喉のその奥まで通ったことを感じれば、 カウンターに空いた食器を置いて、 背を伸ばしたまま、食堂を後にする。 きっと寝る時間には、 何事もなかった様に保健室>>266に戻っているだろう。
会話があれば、相手が眠るまで応じて。 そうして、ポーチは持ったまま。 ソファを借りて、浅い眠りに、つこうと* ]
(276) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[ 横になっても しばらくは眠れなかった
体育館の中央に広がる 赤色 消えた別所の代わりのように現れた 白いマネキン
それが脳裏にちらついて まどろみと目覚めを繰り返す
それでも疲労が祟って いつしか 眠りへと落ちていった ]
(277) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[目蓋の裏に差す光に、目を開ける。
もう朝が来たのかと、 ベッドから身体を起こしたところで、異変に気付いた。
誰もいない。
複数あるベッドはそのどれもが、 まるで、最初から誰も寝ていなかったかのように 皺一つなく整えられている。
おかしい。
ベッドから降りて、保健室を飛び出す。 誰もいない廊下。駆ける。 自分の、そして、皆がいる教室を目指して]
(278) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[保健室も、三年二組の教室も。 どちらも同じ階にあるはずなのに、随分と遠く感じた。
大した距離ではないはずなのに、息が上がる。 おかしいな。 見えてきた、教室の上に掛かるプレート。3-2。
扉に手をかけて、開く。 駆けて来た勢いのまま、教室の中へと]
(279) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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…………え?
[ 乱雑に、床に散らばる 大量の画材道具とイーゼルとキャンバス。 キャンバスに描かれている絵には、見覚えがある
過去に、自分が描いた絵。
そしてここは三年二組の教室ではない。 放課後によく通った ―― 美術室だった。 ]
(280) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[ どうして。
慌てて扉を振り返って、そして、目を見開く。 扉が、閉まっていた。 閉めた覚えなんか、ない。
取っ手に手をかけて、更に凍り付いた。 開かない。開かない。 まるで壁になってしまったように、ビクともしない。
―― カタン
背後から物音がした。 取っ手から手を離して、ゆっくりと振り返る。 ]
(281) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[ 一瞬前までは、 無造作にイーゼルとキャンバスが散らばっていた 美術室の中央に、散らかっていない円形の空間と、
ぽつん 、 と 一つだけ。
キャンバスが立てかけられた、イーゼルがあった。
おそるおそる。 散らかっている、他のキャンバスとイーゼルを 踏まないように、その中央へと近づく。
イーゼルには、キャンバスともう一つ。 小さなプレートが立てかけられていた ]
(282) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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──保健室──
[保健室につけば、もう恋と来夏は眠りに落ちてしまっていただろうか。>>267 姿を見たことで、
とりあえず手に持っていた寝袋を広げて、どうしよう、と思う。 もし2人がベッドを異にしていたならば、寝袋の数が1つ足りない。 一緒に使っていたならば数は足りるけれど、まだここにいない志乃と月詠の姿が気になる。 どちらにせよ、そのまま潜り込まれることは躊躇われた。
だから、女子全員が揃うまでは、待っていた。 うとうととし始めた頃に、志乃が来て、次に月詠が来たかもしれない。
全員が揃ったのを確認してから、雑に寝袋に身体をねじ込んで、眠る。 ああ、目が覚めたら、全部夢ならいいのにな*]
(283) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[自分たちが教室に着いたと同時位に、郁と再会する。いつも穏やかな郁だが、少しだけ、不機嫌そうに見えた>>263。 篤人の所在を聞き返す言葉に、軽い調子で答える]
まったく、皆個人行動するからこうなるんだぞ。 篤人も、一体どこいったんだよ……あいつ一人で、抜け道でも見つけたか? とにかく、篤人は無事だよ。
[根拠もなく、そう答えた。だって、無事でないなら、篤人は、どこへ行ったというのか。 自分はぜったいに、認めない。あれが篤人だったなんて]
(284) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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"将来の自分"……?
[ キャンバスに描かれているのは、黒い影。 よくみれば、人型をしているそれは、
―― 自分に、似ていた ]
(285) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[シャワーへの付き添いを申し出るなんて、気持ち悪がられるかなと思っていたので、了承の返事に少しほっとする>>265]
なーに言ってんだよ!お代は律のシャワーシーン隠し撮りして、売るから心配するなって。
[そう言ってにやにやと笑って見せた。]
(286) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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―部室煉へ―
[律に手渡されたタオルと着替えを受け取り、軽くお礼を言う。そういえば、ドライヤーってあったっけ。喉を痛めたくないから、風呂上りのドライヤーは必須だ。でも多分、そんな便利な物は見た事がない気がするけど]
よし、んじゃ、お言葉に甘えて俺も一緒に入っていい? 思ったけど、待たせてる間に律が湯冷めしちゃうもんな。
[そう言って、とりあえず上のシャツを脱ぎ捨てた。日焼けは禁止されているので、…の肌は雪のように白い。程よくついた筋肉も、プロポーション維持のために結構努力していたりして。まあ腹筋は割れていないけど。]
(287) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[ ぎょろり ]
[ 黒い影の頭部に現れた二対の赤眼。 それが、ぎょろぎょろ動いた後、こちらに向けられて、
黒い腕が、絵の中から真っ直ぐに、伸びてきた。 ――首元へと、一直線に ]
ぐ……っ!?
[ 驚いて、避けきれず、 首を掴まれたまま、押し倒された。 その拍子にイーゼルが倒れ、 キャンバスとプレートが音を立てて、落ちる。 ]
(288) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[連れ添って入ったシャワー室は、思っていたほど寒くなくて、暖かいシャワーの水音と湯気が、ほんの少しだけ安堵をもたらした。]
『涼介。使うなら、シャンプーあるよ。』
おっ、サーンキュ。気が利くじゃん!
[隣から聞こえた声に>>269、伸ばされた手。渡されたシャンプーをありがたく受け取り、適量取って、律の方へと返した。染めている髪の毛は痛みまくっているけれど、これでも大分気を付けている方ではあるのだ]
(289) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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なぁなぁー。 俺たち明日になったら出られるかな? 俺、明日仕事なんだけどなあ。
[まるで深刻さを感じない、気楽な声で、…は友人へと問いかけた。 今日の昼、何たべる? そんな話をするくらい、気楽な声で。 しかし、言葉を続けようと口を開いた…は、続く律の言葉に思わず口を噤む>>275。]
(290) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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あ…恋ちゃん。ごめんね、食堂、行けなくて。
[いつもより弱弱しい笑みを零しながらそう謝って、抱きついてくる彼女を受け止める。 ああ、あったかいなあ。彼女のスキンシップは、いつも癒される。
一緒に寝よう、と言われれば、少し迷った。保健室のベッドと、あの病室のベッドが、頭の中で重なるから。 ベッドは譲って、ソファーで寝ようかと思っていたのだ。 でも、結局は彼女の隣に入って、一緒に寝ただろう。 断り切れなかったというのもあるけど、今はすこし、人肌が恋しかった。誰かのぬくもりを感じていたかったから。]
(291) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[なぁ律。それって、俺のことを疑ってるのか?]
……ごめん、水の音で聞こえないなぁ。 もっと、大声で聞いてもらっていい?
[ざあざあ。水音が、耳に響く。 声が震える。これ以上、その話はしたくない*]
(292) 2015/07/09(Thu) 23時半頃
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[ 黒髪を床に散らばせ、 首に掛かる腕は一本から、二本。
狭まる気道。失われる酸素。 何で。これは、一体、何?
転がるプレート。 規則正しく並ぶ "将来の自分"の文字。
これが、あたし? 黒々とした身体。 色付くのは、赤の瞳だけ。
そこから、 つ 、と 一筋、何かが流れ 、て 。 ]
(293) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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/* あっっっごめん落ちロルに挟まるなんて最低だ!! 三星ちゃんごめんよおおお
(-105) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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[ だけど、それは黒くなかった。
青に、紫に、赤に、黄に、緑に
次々に色を変えるそれは、 涙のように影の頬に伝って、ぽたり、落ちた。
―――― 嗚呼 。
だんだんと 不明瞭になる視界。 だけど、ようやく、わかった。
これは、やっぱり、あたしなんだ。 ]
(294) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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―― 教室 ――
ん……三星さん?
[教室に入ってきた彼女の名を意味もなく呼ぶ。 黒板に書かれる文字>>271を見て、目を瞬かせた。]
放送もダメ、ですか。 ああ、寝袋は寝床が無いので借りてきたそうです。 女の子は保健室を使ってください。 あと、その。日下部さんが調子悪そうで。 出来れば、様子を見てあげてください。
[寝袋>>274についてのこと、寝床についてを伝えて、 おやすみなさい、と三星を見送った。]
瑠希くん。僕、ちょっと、つかれまし、た……。
[精神的にも肉体的にも疲弊した身体は、 すぐに眠りへと落ちていく。*]
(295) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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/* あああ、月詠ちゃん……!助けに行きたい(だめ
(-106) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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――翌朝――
……ん……。
[目が、覚める。ゆっくりを身体を起こし、掛け時計を見れば8時20分を差していた。 疲れていたからか、いつもより遅い時間に起きてしまったらしい。 そういえば、昨日は結局ココアの缶を貰っただけで、他には何も食べてなかったからお腹が空いている。 まだ皆は起きていないようだが、先に起きて食堂に行って、昨日のお詫びも兼ねて皆に何か料理を作ろう。 一人では大変だろうが、なんとかなるはずだ。 そう思い、そっとベッドを抜け出して保健室を出てから、食堂へと向かおうと歩き出した。]
(296) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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[ 将来の、自分。 ああでもない、こうでもないと。 描いては、書き直し、 描いては、書き直し。
何を描けばいいのだろうと 悩みながら、また思い描いて。
そうしている内に、 分からなくなって。 色を乗せすぎて、
真っ黒になっちゃったんだ ]
(297) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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―二階廊下―
あ……。
[階段を上がり、曲がり角を曲がったところで、立ち止まる。 正面の数メートル程離れた位置に、車椅子に乗った人影があった。その人影の右目には、医療用の眼帯。 また、その膝にはブランケットがかけてあり、足がどうなっているかは見えないようになっている。]
…あかり、ちゃん…。
[こちらをじっと見る人影…あかりに向けて、ぽつりと呟く。不思議と、驚きはなかった。心のどこかで、分かっていたのかもしれない。 彼女が、今日会いにくるって。 だって、今日が丁度――お見舞いに行った日から、一週間後の、タイムリミットなのだから。]
(298) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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[ 首を絞められながら、弱弱しく、笑う。
―― ごめんね。
視界の隅。 床に転がっているパレットナイフを、掴む。
―― あたしが ちゃんと描かなくて。
左手を、ゆるり、持ち上げ、 愛しげに影の頬を撫でた。
―― こんなになるまで 気付かなくて。
ぽたり、ぽたり。 落ちてくるカラフルな雫。 ]
(299) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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「覚悟は、できた?」
[こちらを見て問いかけるあかりの言葉に、曖昧に笑いながらも、こくりと頷く。 正直、今でも死ぬのは怖い。生きたいという気持ちだって、変わらず持っている。 でも、死に向かう親友を見捨てるような真似は…もう、二度としたくないから。 私の命で、あかりが救われるなら――]
「…来夏…本当に、いいの?嫌なら、逃げてもいいんだよ。」
[それなのに、彼女が戸惑ったような表情でそんなことを言うから、思わず苦笑した。 彼女の元に近づいてその後ろに回り込み、ハンドルを手に取る。]
もー、今更何言ってんの。遠慮しなくていいんだって! 私にさ、罪滅ぼしさせてよ。ねっ。 あ、でも場所くらいは選ばせて。流石にここだと人目につくしさ。
[わざとらしいくらいに明るい口調でそう言うと、ゆっくり車椅子を押して、とある場所へと向かっていく。]
(300) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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[ ―― だから、ちゃんと描き直すよ。
残された力を、右腕に込めて、振り上げる。
―― 今度は、上手に。だから、
その切っ先は、
影の、真ん中 ]
(301) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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[ ―― 一度、リセットしよう ]
(302) 2015/07/10(Fri) 00時頃
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