187 お狐祭り村
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[村に充満する香りは少しずつ死臭にその場所を明け渡し始めている。 それはここ狗願寺でも変わらない。寺の中に動く気配は一人だけである。
篤胤の妻は今だ処刑を受けず、いつもと変わらず日課として寺の掃除をこなしていた。
彼女は息子達の誰かが寺を継いでくれるものと期待していたのだが、五十路になって一人残されてしまった今、整理を始めるべきかと家のものを一つ一つ片付けている。
篤胤のよく自慢していた大きな魚拓。愛用の数珠。詰将棋毎日ドリルは数ページで飽きた様子が見える。 そして、私室の大きな本棚に大事にしまわれた、三十年分のアルバム。]
(+4) 2016/04/07(Thu) 10時半頃
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[整理の合間に手が伸びてしまうのは人の習性だろうか。 各年度の卒業アルバムと、写真を現像したらおまけについてくるような小さなアルバム。 最初に意図もなく開いたページにあるのは集合写真だった。
この時にはもう1クラスだったようだけど、今の倍程度の人数は映っている。 篤胤は登山用みたいな服装をして生徒たちの中心にいて、両脇に一番小さな男の子二人を抱えて笑っている。男の子達は照れているのかぶすっとしていたり、困り笑いをしていたり。
写真の横には荒く筆圧の強い大きな癖字で、年度と日付、それと「新入生初レクリエーション 椎社と樫原!」とメモされている。]
(+5) 2016/04/07(Thu) 11時頃
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[アルバムの中のメモ書きは、いくつもいくつもある。 他のものを手にとってみても同じ。篤胤はマメな人間ではなかったはずだ。 それを、こんなに]
こんなに……家族の思い出より、多いじゃないの
[篤胤の妻・百合子はつい一人こぼした。 夫の人柄を思いながら、この三十年ずっとそうだったように、少し困ったような笑顔を伴えて。]
(+6) 2016/04/07(Thu) 13時半頃
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/*ナナオはいいキャラしてるんだよな〜〜。表発言がもっとあればなあ。
(-28) 2016/04/07(Thu) 15時頃
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[片付けを中断して、ついもう一冊と見てしまうアルバム。 百合子が無作為にとって覗いてみれば今度はもう少し先のこと、たまこが初めて自分で考えて作った和菓子を学校に持ってきた時。 お菓子を学校に持ってくるとは何事だ、などとケチなことは言わない夫だったろう。 皆が笑顔で美味しそうに食べている写真。それを見たたまこの嬉しそうな顔よ。]
たまちゃん……少し前にもお団子持ってきてくれたのよねえ
[元気かしら、と呟くもこの広い和室には百合子が一人。 学校の生徒たちもよく家には来てくれて騒がしい時もあったものだが、祭りのために人が少なくなるとはいえ、寂しいことだ。]
(+9) 2016/04/07(Thu) 19時頃
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[また一つ、また一つとアルバムをめくっていく。 鹿島の道場でまるごと出稽古に行ってみた時の写真。 終わった後に遥香が汗だくの顔でピースサインを出している。その奥には疲れきってへばった夫の姿がある。 真弓もついていってはずだ。ページをめくれば荷物の片付けをしている真弓が静かに微笑んでカメラに向かって手を振っていた。]
……
[百合子の目が潤んでくる。 何もかなしいことなどないはずなのに。皆、今も元気で、祭りの準備を今日もしているはずで。 だからただこれは懐かしんでいる涙だろう。歳をとって涙腺が緩んでるんだなんて、夫にはよく言われたものだから。]
(+19) 2016/04/08(Fri) 01時頃
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/*ナナオどうなってるんだ……? うーん……マユミに票をまとめると見せかけて自分が別に票を入れることによって票を散らす……? 意味わかんねーな。本当にマユミ吊りたいのか……なんで……?
(-58) 2016/04/08(Fri) 09時頃
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[アルバムを取り出していくと棚の奥に、また別の冊子群が隠されるように置いてあった。 なんだろうこれはと恐る恐る引っ張り出して。生きていたら逆に見てやろうと思うのだろうな、とふとよぎった。 隠された秘密の中身は、厚く黒い表紙の日記や、学校の連絡帳やらであった。 開いた瞬間ばさばさと何やら色々なものが落ちてくる。 押し花、折り紙、リボン、他愛のないメモ、生徒からの手紙……息子達からの手紙も混じっていた。
あらあらあら、と拾いなおしてから改めてぱらぱらと冊子を開いてみる。日記の方。
『高宮の家の葬儀をしてきた。何も二人で逝くこともなかったろうに。若すぎる。馬鹿者め。 何より、弟たちの前で泣くまいと堪える菜奈緒が不憫でならない。 助けてやりたいと思う。』
3年程前の日だ。高宮の夫婦は、篤胤が一度状況する前この村でよく面倒を見た子どもたちだった二人。 百合子もよく覚えがあって、村に戻ってきてからも多く親交があった。
葬儀のあとはしばらく、やたらに菜奈緒達姉弟を家に無理矢理連れてきてご飯を一緒に食べさせていたな、と思い出す。 よく、あんなに真っ直ぐ育ってくれたもの……。]
(+32) 2016/04/08(Fri) 10時頃
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[そこから少しページを戻ってみる。
『慶一が毎年恒例のぶどうを持ってきてくれた。 生意気盛りでどうしてくれようかと思っていたが、やはり根は人にやさしい良い子だ。 このまま育ってほしいもの。』
そうそう、と百合子は思わず日記の文字に相槌を打ってしまう。 あそこのぶどうは美味しいのよね、と思い返して。]
あなたが小園君に大分振り回されていた時もありましたねぇ……
[すぐにどこかにいなくなってしまって探し回ったり、遊びに篤胤を巻き込むものだから夫の服が毎日のように汚れほつれていたり。 それももちろん、この夫婦にとっては大事で愛しい思い出だ。]
(+33) 2016/04/08(Fri) 10時半頃
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[また別の冊子。
『前川の言ってることがわからん。 悪い子じゃないと思うんだが……。 こんなに頭を抱えたのは教師生活初めてかもしれん。思わず百合子にこぼしてしまった。』
憶えてますよ、と百合子は日記に返事をした。 あれが今の若い子なんだろうか、と気疲れしたように肩を落としながら晩酌する姿を。 思わず笑ってしまったことも。あなたなら何とかなりますよと励ましたことも。]
(+34) 2016/04/08(Fri) 13時頃
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[『曽井はおてんばというか、やんちゃで困ったものだ。昔の慶一を思い出す。 しかし元気が一番!いっそ賀出にも見習ってほしい。
賀出のことを考えると少しため息が出る。 家庭に何かややこしいものを抱えているようなんだが、踏み込ませてくれない。 あれはただ大人びているで済ませていいものでもなさそうなんだ。 教師なんて無力なもんだ……。』]
(+35) 2016/04/08(Fri) 16時頃
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[『深川のところの赤ん坊が入学してきた。 体の弱そうだったあの子がちゃんと挨拶をしてきて、無事に育ってくれていることがうれしい。』
『雛子が樫原にランドセルを貰ったのだと喜んで報告してきた。 本当に嬉しそうで、この子が村に来てくれて良かったと思う。 誰かのあとをずっとついて歩くのが心配なくらいだ。』]
(+36) 2016/04/08(Fri) 19時半頃
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[日記帳を膝に置いて涙を拭けば、百合子の目には篤胤の書机に置いたままの本が積んである。一番上には夫の趣味ではなさそうな小説があって、それが生徒からの借り物だと思いだした。椎社君の本だったかしら、と口に出すと、夫が言っていたことをふと思い出す。]
『椎社はすごいぞお。あんなだがいくつも本を読んでの、これも面白いって言うから借りてきたんだ。 やりたい事があるんだと言うし、たいしたしっかり者だ。 自慢の生徒だな!』
[我が子を自慢する親のように笑う篤胤が百合子の記憶には鮮明に浮かぶ。]
(+48) 2016/04/08(Fri) 22時半頃
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『それに比べると樫原はなあ……』
[篤胤は確かそう続けた。]
『あいつは気にしすぎなんだ。廊下を掃除してると思ったら一つの汚れが気になったとかで延々十分も二十分も同じタイルだけ掃除してたりするんだぞ? ……ワシの小さかった頃に似てるよなあ。』
『いい男なんだがな。朝の挨拶だって欠かしたことが無い。真面目で、色んなことを考えてるいい奴なんだ。 だからこそ、ちょっとしたことで躓いて大失敗しやしないか心配でなあ……』
[小さなため息があった。本当に心配で、同時にどう成長していくのか楽しみであったんだろう。]
『ま、あれも男だ。守るものの一つでも自覚できれば、どーんと何かやってくれるはずだな』
[それが待ち遠しくて、楽しみで仕方ない顔をして、篤胤は笑っていた。]
(+49) 2016/04/08(Fri) 23時頃
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[そうね、と記憶の中の夫にまた返事をする。 それから本を手にとって、返さなくちゃいけないわねえ、と呟き立ち上がる。背後ではまだ記憶の中の夫が何か言っている気がした。]
『心配度でいえば白銀もそうだがなあ。 あいつは周りを大事にしすぎて、うっかりすれば自分を後回しにしそうでな。そういえばこの前なんか鹿島の娘と口づけとったぞ? 信じられるか? いやあ、もうそういう奴だからほんとに……。』
[鮮明に思い出される篤胤の姿を、声をしっかりと掴んで、抱きしめるように大事に。]
『でも遥香がいるうちは大丈夫だろうな。 男らと違ってあそこは結束が固いからなあ……良かれ悪しかれだが…………』
(+52) 2016/04/08(Fri) 23時半頃
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[耳に声を残しながら、百合子は椎社の本を抱えて部屋を後にする。
誰もいなくなった部屋には、日記もアルバムも連絡帳も残っている。 ハルカが初めて稽古を挑んできた時のこととか。 マユミが鹿島家に世話になり始め、やたらに遊びに行ったこととか。 男らのいたずら遊びを叱ったこととか。 みんなを連れて釣りに出かけたこととか。 いくらでも、いくらでも思い出が残っている。
そして篤胤の書机に、愛しそうに置いてある写真立てには、 全員の集合写真。
みんな、みんな笑顔で、そこには残っている。]
(+53) 2016/04/08(Fri) 23時半頃
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