169 きみがおとなになるまえに
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[オーレリア、ではなくて。 ファミリーネームのついた、"家柄"のものとして。 そう、強調する。
過去の聖女には、其の、名は。付かなかったから。 形だけの式も挙げて、学者の中では"妻"と、呼ぶような人ではあったけれと、書類にも残っていない、彼女の名前。 唯一の傷痕は、あの、墓の存在だった。それでも、ファミリーネームは刻まれていないけれど。
彼女のように、永い歴史から名を消されるのではなくて。 現代の聖女は、名を、残すことを選び、偏屈な学者と共に歩むことを選んだのだから。 自分に言い聞かせるような、そんな口調で、ファミリーネームの付いた、こどもの名前を、確りと、]
(1) 2015/09/27(Sun) 00時頃
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[矢継ぎ早な店主の言を、一つ一つ消化していく聖女の隣、 標的がずれた、なんて性格の悪い思考さえある。 何時もであれば、散々罵倒されるわけで。
息をつく聖女に意地悪く問えば、分かりやすい見栄。 く、と喉奥を鳴らして背中を向ければ其処に張り手が返ってくる。 ───ぺしん!
痛みはないものの割りに大きいその音に、とうとう吹き出して笑った。 好きな子にちょっかいをかけるこどもの其に少し似ている。 笑顔で見ていた店主も少しだけ驚いたような表情で、]
(8) 2015/09/27(Sun) 12時頃
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[解かれたプラチナブロンドがふわりと落ち、 其の天鵞絨が店主に渡された頃。
辿々しい発音を聞きながら、初めて名乗られた並びに、少し視線を下げて。 俯き加減に背中を預けて、思い出すのはあの、白の──結婚式の、衣装たち。あの、ちいさなせかいのずっと奥に仕舞われて、其でも時々手入れに出されている。 認められたものじゃない、自己満足の塊。]
(9) 2015/09/27(Sun) 12時頃
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[ふと、声をかけられれば視線を上げて灰を見返す。 聖女の言葉に、少し、思考時間。]
──髪飾りの類いは、余り…… 簪の代わりに生花を使う様なおんなだったからなあ…
[マリアは、街角のおんなだっただけあって、そこそこ派手を好んだ。真っ赤な薔薇の花、サテンのドレス。 屋敷に居るときは、それでも少し大人しかったけれど。 彼女が最も淑女で、最も美しかったとき、そんなもの、たった一回だ。
学者は棚から離れて、刺繍糸を取り出した店主に声をかける。]
白い、ワンピースを作ってくれないか。 [花嫁衣装のように、とは、言わないけれど。]
(10) 2015/09/27(Sun) 12時頃
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──12歳の記念にしよう。
[ぽつり。]
(11) 2015/09/27(Sun) 12時頃
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[こどもは、日に日に大きくなるものだから、 毎年、記念の日にはワンピースを頼んで、その年の御祝いにしていて。 頭の中、居なくなってしまった聖女の面影にできるだけ被らないように、彼女が滅多に着なかった黒を、毎年、毎年。 ──今年は、もう。 只面影に苦しむような、そんなこともないから。
誕生日を覚えていた店主は、白なんて腕がなるよ、と笑い。 刺繍の手は、流石の慣れか運針が早い。 時折細かく口を出して、うざったがられてみたりして。 ちいさく、ちいさく続いた言葉を掻き消すような、そんな横槍。]
(16) 2015/09/27(Sun) 22時半頃
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[然して満足したらしい学者は、漸く聖女に向き直って、 見上げる灰に金枠越しの碧を合わせる。 ぴ、と、年期の入った其の指を鼻先に、 そして少しばかり屈んで、灰の奥を覗き込んで。]
君がおとなの淑女になった頃、返してもらうとも。 寧ろ強引な前貸しなのだよ、お嬢さん。
──私の自己満足だから、付き合いなさい。
[態とらしく、意地悪に。 "出世払い"とか、押し付けてみて。 ふ、と、視線を反らせば内心を語る。ただの、此までやってこなかったことの、精算だと。]
(17) 2015/09/27(Sun) 23時頃
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[先伸ばしに先伸ばした、未来の選択。 一人では踏み出せなかった"難しい"未来。
只、その。 おとなに踏み出していく聖女の為の、自己満足。 12歳、こどもを卒業するその年に起こるだろう様々な出来事のために。
然して、何時か。 そう、何時か、"ずっと一緒"という約束を破る時が来るのだから。 その時、聖女の未来が暗いものにならないように、これからも学者は、先に先に、手を使う。 こんなおとなだから、其の方法だって綺麗なものだけではないだろうけれど、きっと、そう。聖女にバレなければ良いや、なんて。
意地悪で、皮肉屋で、頭だけは回る学者は。結局、聖女にとっても意地悪で、"ちょっと苦手"な先生で居続けるのかも、しれない。]
(18) 2015/09/27(Sun) 23時頃
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[───そうやって、ふたり。 店先でおとなとこども、それぞれおしゃべりしていれば。 店主が聖女を呼ぶ。
聖女のお気に入りのリボンに写された細かな刺繍細工、その出来映えを、何故か学者ではなくて聖女に確認して。 途中で割り込んで、カウンターに代金を置けば、リボンを受け取って少し眺め、]
──鏡を借りるよ、
[と、等身を写す鏡の前に。]
(19) 2015/09/27(Sun) 23時頃
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[聖女が近寄れば其のプラチナブロンドに指を通して、 結局櫛を借りたりして、馴れない手付きで髪を梳かして、集めて。 ──昔はやってたじゃないか、なんてちょっと自分を叱咤しながら。
漸くリボンを作れば、刺繍が見えるように形を整え、正面の歪みを直して。 たっぷり時間をかけて、一人の淑女を鏡の前に。確かに完璧ではあったけれど、如何せん手付きが辿々しすぎて。 背後の紳士は苦い顔。]
…いい加減不器用だな、
[と、何時か誰かに言ったような。]
(20) 2015/09/27(Sun) 23時半頃
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[結んだリボンの、垂れた先。 金の刺繍部分は少し固く重く、細かな細工を感じさせる。 其処を指先で持ち上げて、一撫で。
柵だったものが、此処に有る。この刺繍分重く、此処に。 何度も逃げようとした此が護るべきものになるとは、この短い人生で思ってもいなかった。 遠い瞳はこの細工を手にすることのなかった過去の聖女を幻視して、 彼女には到底似合わなかったな、と、想う。
オーレリアが身に付けるものだったのだろう、きっと。 マリアでは、なくて。
リボンを戻して、学者は一度緩慢に瞬き。開いた碧には灰が映る。]
(21) 2015/09/27(Sun) 23時半頃
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──似合っているよ、オーレリア。
[珍しくも素直に、学者は、 只、それだけ告げた。*]
(22) 2015/09/27(Sun) 23時半頃
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