89 アウトブレイク〜WerewolfSyndrome〜
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―5月7日夜明け 「三元道士」―
[窓から細く控えめに差し込む朝日が店内を照らす。何処か遠くで小鳥の囀りが聞こえてくる。 随分短くなった蝋燭からのろのろと視線を外して、窓に目を向けた後、鍵の開いた扉へと顔を向けて重々しい吐息を零した]
――……、…
[暫くじっと目を伏せていたが、扉から差し込まれた投票用紙が落ちる乾いた音に顔を上げた。 様々な感懐を振り切るように頭を振ると重い身体を背凭れを掴む事で支えて立ち上がり、店の扉に鍵をかけると足元に落ちる投票用紙を拾い上げる。 一層重くなる肩に眉間に皺を寄せながら、仮眠を取るべく私室へと向かった]
(11) 2013/07/31(Wed) 11時半頃
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―回想/5月5日夕方 「三元道士」店内―
[以前ナユタに渡したものと同じ配合の薬を薬包に包みながら、どうすべきかと店の方へと視線を投げる。現状判断するに、恐らく感染者絡みと推測は立つ。 大人しく薬を渡してもいいものだろうか、機動隊に報告すべきだろうか。
思考は別の事へ向けながらも慣れた手元は手早く薬を包んで紙袋にそれらを納める。以前と同じく6包。
――とりあえず、渡そう。
そう決断させたのは、彼女の瞳が真っ直ぐだった事もあるし、一瞬……青年の姿が脳裏を過ぎったからかも知れない。 袋を抱えたままほんの少し浮かべた苦笑は、少女の視界に入ればあっさりと掻き消えた]
――ハイハイ、お待たセヨ〜 この間ト同じお薬ネ。
[もし後ろめたさに負けて彼女が居なくなっていたら迷わず機動隊へ連絡しよう、という考えは無駄になった様で。 彼女の意図を見る為とはいえ少し威圧し過ぎたかもしれないと、力が抜けた小さな身体を見ればほんの少し申し訳なさを感じずでもなかった。その分で、金額にはほんの少し色を付けて。具体的には、ナユタに提示した額より指2、3本程度少なく。値段を知らぬ彼女には分からない事ではあろうが]
(12) 2013/07/31(Wed) 12時半頃
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―5月7日正午頃 閑散とした商店街―
[薬と香でそれなりに仮眠を取った後、洋装に着替えると投票用紙を片手に外へ出る。
シャツは連日と同じく無地の白を選んだが、鮮やかな花のスカート>>3:45は少し人目を引くように思え、適当に店主の居なくなった洋服店に入り込むと、店内に並んでいた白い帽子を頭に乗せた。緩く一本の三つ編みに結い上げた髪を肩から前に垂らせば何となくそれらしく見える、と磨かれず曇った鏡を薄化粧の顔で覗き込む。
カウンターに適当に金を置いて店を出た――置いてきた金を回収する店主は、理由は知らぬがきっと戻らないだろうけれど]
(24) 2013/08/01(Thu) 08時半頃
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―5月7日夕方16時頃 街外れの空き地―
[身支度を整えて暫く歩き回ったものの、特に成果も上げられぬまま随分傾いた太陽を見やって、溜息一つ。 随分溜め息が多くなったと、ほんの少しの自嘲と共に意識を思考へ向ける。半ば思考遊びのようになった、決断の出ない考え事。 目的の無いままに動かした脚は、気が付けば随分町の中心部から外れていたようで。本当に無意味にするのも少し癪で辺りを見渡した視線は、特徴的な二本の『耳』>>23を捉えた]
――……、…猫さん、猫さん、何してるの?
[声をかけながら、野良猫にするように、刺激しないようにとのんびり、ゆっくり歩みを其方へ向けた。彼女しか周りに人影は見えぬものの、特徴の1つは隠した方が良いだろうと不慣れな訛りは消して声をかける。 知己と言う程彼女の事は知らなかった。恐らく、一方的に知るばかりであろう。そう言えば人としての名前も知らなかったなと、改めて思う]
(25) 2013/08/01(Thu) 08時半頃
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三元道士 露蝶は、メモを貼った。
2013/08/01(Thu) 09時頃
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―5月7日夕方16時頃 街外れの空き地―
[猫を模した声>>26に相好を崩し、彼女が止めなければ手を伸ばせば届く範囲まで歩み寄る。 続いた礼の言葉にはきょとりと目を丸くした後その意味を咀嚼すれば「あれ、ばれちゃった?」と困ったように笑いながら帽子を押さえる]
――…いえいえ。私も思う存分楽しませてもらったからね。
[礼には及ばないと片手をひらり。改めて平素の口調に直すのも馬鹿らしく思えて、口調はそのまま。それなりに形になっているとは思っていたが、解るものにはやはり解るらしい。自分の姿確かめるようにスカートを軽く広げていたが、彼女の言葉にぱっと裾を離せば、ふわりと花が落ちるように裾が落ちた]
……嫌になっちゃった?
[廃業の言葉も聞いてから、改めて訊ね返すとほんの少し腰を折って、首を傾げるようにして彼女の顔を覗き込む。主語を排した言葉は彼女がどう捉えるのかを量るようでもあり、どう捉えられても構わないようにも取れるもの]
(28) 2013/08/01(Thu) 10時頃
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―5月7日夕方16時頃 町外れの空き地―
[止まれと言外に示すクシャミの掌>>29に目を瞬きながら歩みを止めた。露になる白い肩に残る、まだ新しい赤い噛み痕は何よりも雄弁に彼女の状態を表す。 続けられた言葉にふむ、と小さく唸ると腕を組ながら悩ましげに顔の縁に指を添え、虚空と彼女の顔を視線は移ろい。 やがて考え纏まったのか、再び面には微笑みを乗せて組んだ腕をほどいた]
…そっか。撫でられないのは残念だけど、仕方がないね。 有難うね、優しい猫さん。
[質問への返答には何度か頷いた後、礼を言う。 やはり、猫のような娘だと思う。今の状態で、このような誰も来ないであろう場所に居ることも含めて。
名乗りには洋装纏っているの事もあり、スカートの裾を摘まんで優雅で、それ以上に慇懃さを含んだ一礼を添えて]
私は露蝶…「三元道師」って薬屋をやってるんだけど、知ってるかな? ま、ただのお薬屋さんだよ♪
(44) 2013/08/01(Thu) 17時頃
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―5月7日 夕方16時 街外れの空き地―
いやぁ、逃げても多分私の足じゃ無理なんじゃないかなぁ…かけっことか、やった事ないしね。 逃げ切れたら褒めてね?
[頷く顔>>45には頼りなく眉尻を下げる。それでも口元の笑みは消える事無く浮かんだまま、軽口も変わらずに滑らかに。 途切れた言葉の意味を何とも無しに察しながら身体を起こし、目を細め表情和ませて]
何か頼りたい事があれば来ると良いよ。
………ん?私で良ければ聞くよ〜
[不意の言葉に首を傾げつつも、一度首肯して。 翳る陽の中、二つの意で意味の無くなった帽子を脱いで後ろ手に持ち、彼女を言葉を待つ]
(70) 2013/08/01(Thu) 23時頃
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―5月7日夜20時頃 町役場前広場―
[クシャミと別れてから、広場へと戻る。 陽が落ちて数時間、すっかり暗くなった空の下でやけに規則正しく並んだ機動隊の列を横目に眺めながら悠々と進む。 掲示板の前を通ると、見覚えの無い張り紙に気付き足を止める。どうやら確認漏らしたものらしい其れを眺めて]
――……、…パティ・ベル、……トレイル・トイ、……、…
[一人目は知らない名前。二人目は、良く知る名前。胸中でのみ先程知ったばかりの三人目の名前を呟き、それぞれ指を折って数える。三人の感染者――三人の候補者。 暫く折った指を開いたり閉じたりした後、一人の名前を投票用紙に書けば冷たく光る箱へと入れて、足早にその場を去った]
(78) 2013/08/02(Fri) 00時頃
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―5月7日夜 繁華街近辺―
[店への帰り道、のんびりとした足取りで石畳の路を歩く。 随分と寂しくなった灯りと極々少ない人の往来を横目に進めば、何事か一人で声を荒げる女性の姿>>75が視界に入る。 久しく見ない光景には興味惹かれるものの、まだ『約束』が在る身では好んで面倒事に首を突っ込むのも気が引けて、避けるように彼女から顔を背けて再び足を動かし始める]
――……、…トーイ?
[ふと、知人の名が聞こえた気がして、再び女性へと顔を向ける。どう見ても女性、である。 自分の知る人物と女性、という接点が中々結び付かずに首を傾がせた後、後ろ髪引かれながらも家路へと急いだ]
(83) 2013/08/02(Fri) 00時頃
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