193 ―星崩祭の手紙―
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『 小惑星5656MC3が、 昨夜上空***地点にて観測され…… 』
[画面の中、アナウンサーの男が読み上げるニュースを どこか遠い星の出来事のように、 ぼんやりとした意識のまま耳に入れる。
“ その時 ”にはまだ遠い。 けれど、それは確かに 音も無く近づいている。
俺たちに残された時間は───…]
(58) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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………おはよう、セト。
[テレビをじっと見つめたままソファに座り きゅっとエプロンを握る彼女。 こちらに気付き上げられた顔は笑顔だけれど 唇が、僅かに震えていた。 シンはまだ 起きていない。]
……大丈夫だよ。そんな顔するな。 宇宙プランクトンの大移動で 軌道が変わるかもって話だろ?
[実際のところ、その可能性は低いらしい。 けれど、無力な俺は、俺たちは 今はただ それを信じることしかできず。]
(59) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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[ぎこちない笑みを浮かべながら ぽんぽん、と彼女の柔らかな髪を撫でると そのままバルコニーへ繋がる窓へ。]
……なあ、今日も届いたよ
[転がっていたのは、三つのカプセル。]
(61) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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よーし、開けるぞー?
[夕暮れ時。 昨日と同じように三人並んでソファに座る。 テーブルには三つのカプセル。 今朝届いたそれは、俺が仕事から帰ってくるまで 開けずに置いておいてくれたらしい。 仕事は早めに上がらせてもらえた。 皆、例のニュースの影響か あまり仕事に身が入らないようだった。]
(63) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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まず一つ目。 ……これも、カプセルなのか。
[自分たちの星のものよりやや小ぶりなそれは 淡く輝くガラス玉。 壊れないよう、そっと開けば どんな仕掛けなのだろうか 透き通るような、美しい声が鳴り響く。 歌うような、語るように流れるその詩は どんな意味を持つのだろう。
シンが目を輝かせながらカプセルを開閉する横で 俺は中に入っていた手紙に目を通す。]
これ……この前の返事だ。 すごいな、返事もちゃんと届くのか。
(64) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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[少し興奮した声でそう漏らせば 隣のセトが手紙を覗き込み、 「なんて送ったの?」と問いかけてくる。]
まぁ……いろいろ。 世間話みたいなもんだよ。 ……ん?飛行機?
[同封されていたのは、紙飛行機。 手紙にPSと続いた文章と 決して上手とは言えない出来のそれを見て 思わずくすりと笑みが漏れた。]
ほら、シン。 この前のあれ、喜んでもらえたって。
[やや不恰好な飛行機を手に乗せてやると 「ヘタクソだ!」と言いながらも シンは嬉しそうに笑っていた。]
(65) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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じゃあ、二つ目。
[テーブルの真ん中に置いたカプセルから取り出したのは ややレトロな羊皮紙に書かれた手紙。 小さな文字で丁寧に綴られた内容は]
星を…育てる……?
[今まで、聞いたこともないようなもの。 同封されたキットの説明書チップを起動すれば その“育て方”を知ることができた。 好奇心旺盛なシンが興味を持たないはずはなく すぐに大きな水槽を用意して育成開始。]
(69) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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これは……すごいな。
[材料を混ぜ合わせれば、 それはぐるぐると集まり、形を成す。 まだはっきりと星らしい形ではないけれど
終わりを迎えるこの星で、 それは確かに、“いのち”を持った。]
(70) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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最後……これ って、昨日の…? あの子のと、同じ……
[つるりとした触り心地のよい、繭のようなカプセル。 中に入っていた手紙にも見覚えのある文が書かれていて やはり、同じ子たち…だろうかと推測がつく。]
(71) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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すごい偶然だな…! 同じところから、二回も。 ほら お返事待ってるって。 シン、お友だちになれるんじゃないか?
名前は、────…
[昨日と同じく、中には折り紙が入っていた。 けれど、その形は俺たちの知らない折り方で “ はな ” というらしい。
いろとりどりのそれらを じっと見つめ 良い香りのするらしい“本物”の姿に胸を躍らせた。]
(72) 2016/07/19(Tue) 01時半頃
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どこかの星の Paula へ
返事をありがとう。 素敵な声と一緒に、無事届いたよ。 あれはどんな曲なんだろうか。 今まで聞いたことのないような、素敵な唄だった。 会ったこともないのに、 歌うあんたの姿が目に浮かぶようだった。
星のことも、教えてくれてありがとう。 そちらでは、空にはずっと星が輝いているのかな。 こちらの星は植物が生えない。 だから、星の光で輝く花がどんなものか 想像するのも難しい。 きっと、とても美しいんだろう。
(-70) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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あぁ、聞いてばかりで悪かった。 こちらの星は、そうだなあ 機械がたくさん溢れていて 食い物はそんなに、美味くない。
朝は輝く日が昇り、夜は沈む。 眠ることを知らないこの街は 夜も明るくて、星もよく見えない。
だから、星が崩れる日 街中の明かりを消して、皆で空を見上げるんだ。 大切な人と一緒に、願い事をして。
そちらの星は、どんな祭をするんだろうか。 楽しくて、素敵なものであることを願うよ。
(-71) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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そうだ、紙飛行機、ありがとう。 シンが嬉しそうにしていたよ。 あまりうまくは飛ばないようだったけど。 同居人の方も、喜んでもらえたなら良かった。 俺の手紙を拾ってくれてありがとう そう、伝えておいてほしい。
それから………いや、いいや。 お返事、すごく嬉しかった。ありがとう。
それじゃあ。
ライジ
(-73) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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やあ、手紙をありがとう。 俺はライジ。 妻と息子と、三人で手紙を読ませてもらったよ。
星崩祭、俺はよく知らないけれど 繁栄とか平和とか、 もともとはそんなのを祈る祭だったんじゃないかな。 前回は俺が生まれるずっと前のことだから 本当の意味は、誰も知らないのかもしれない。 今回は、星に住むみんなで祈りを捧げるんだ。 懺悔と救済……君の星と同じ、なのかな。
(-74) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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薄っすらとだけど、ここからも星は見えるよ。 そちらの星は何色だろう。 でもこんなに広いんだ、きっと、見つかるよな。
そうそう、星を育てていると知って、驚いたよ。 あのキット、こちらの星でもうまく使えるのかな。 さっき息子と一緒に試してみたよ。 まだもやもやしてて形にはなっていないけど 本当に育てられるなら、すごいな。 名前をつけてあげなくちゃ。
名付けは本当に難しいよな。 俺も、息子に名前をつけるのには苦労した。 でも、君が一生懸命考えた名なら きっとその星も喜んでくれるさ。 名前は、親から貰う初めての贈り物だから。 もし決まったら、ぜひ教えてくれ。
(-75) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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俺は、幸せだよ。 大切な人と一緒に過ごせて。 ずっとこのままでいられたらいいのになって 最近つよく、思うようになった。
星が生まれるそのときに 遠い宇宙のどこかで、命を終える星もある。 君の星が空に輝くそのときは 俺もそれを見つけられたら、いいのになあ。
はじめまして、さようなら。 君と、君の星の未来を願って。
ライジ
(-76) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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/* 眠たくて意味わかんないこと言ってそう…… イースターちゃんへのお返事は明日灰に落とします……
(-79) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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[ ふわふわ
ふわふわ
今日もまた、空へと小さな星を飛ばす。 暮れ始めた空の端、 昨日まではなかった 赤い煌めきが、ひとつ。 ]
(76) 2016/07/19(Tue) 02時頃
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