167 ― さいごの手紙 ―
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[長い人生のうちで、いくつ星が流れるのを見ただろうか? 一つ、数値的に断言出来る事といえば その日の釣果は、何十年ぶりかのゼロであった事くらい。
釣竿を握っていた。 水面に糸を垂らしていた。 けれど、まなこは上を向いていた。
申し訳程度に首からかけた双眼鏡。 それを使おうと思い立ったのは、もう随分経ってから]
……みな、見とるだろうがね…?
[静寂とは程遠く、 ざわめきとも似ても似つかぬ。 広く、高く、ちらちらと。 ひっきりなしに燃えては消える星々が、 空まで拡張された神経系を揺らしている]
(9) 2015/09/01(Tue) 01時半頃
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[ぱしゃり、と水面を叩く音。 星が一つ落ちたのかもしれない。 神経の途絶えてしまった針先から、 魚が餌を奪った音かもしれない。
ただただ、翁は夜の、星の音を聞いていた。 少し高めの水位に、足が浸されていた事にも気付かずに。]
(10) 2015/09/01(Tue) 01時半頃
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[川辺は星の話題で盛り上がっていただろうか。 それとも晴天の中の輝きを見つけた男達が、 獲物の引きにも関わらず、空を見上げていただろうか。
翁はねぐらで、たっぷりの昼寝をとっていた。 空を見上げ過ぎて、腰が、首が、ほんの少しだけ痛くて。]
………、はァい?
[車輪がぎぃぎぃと去っていく音がして、目を覚ます。 自転車、だろうか。 戸の立て付けは相変わらずでも、一つ違うことがある。 昨日、猫に揉み起こされてから思い立って作り直したのだ。 あの時は、何かせずには居られない。そんな心地だった。
新しい白木の郵便箱。 いつか糸を買った時の箱を、郵便箱に仕立て直したものだ]
(35) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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おンや、こげに…?
[蝶番で留められた蓋を開いてみれば、 するすると幾つかの手紙がずり落ちて来る。 この間、久々にまともな手紙を書いたのだったが 返ってきた返事は送ったものよりも1通多くて、首を傾げた]
(36) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[部屋に引き上げ、まだ明るい室内で寝転がり 届いた手紙を順繰りに、検めていく]
…ふふ、覚えとってぐれたがやなぁ。
[一通目は、奇妙な縁の元に辿り着いた彼からの返信だ。 一文字一文字、昔よりもどこか小慣れた様に見える。 もう随分顔を見ていないが、ほんのり老けた顔が眼に浮かび 自分も笑い皺を目元に刻んだ。 さて、やつはおらんが、と開きっぱなしの戸を見やるが 今日は顔を出した形跡が無い。矢張り家猫になったのだろうかね。 肩をすくめ、文机にずるずるにじり寄って 一昨日の書き損じや、失敗の紙を探しつつ次を開く。
二通目、の差出人にまばたきする。 宛先を綴る筆跡に心当たりが無い。 開いてみて、読み進めて。……咳き込んだ。]
(38) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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ッか、かふっ………ん、んんんんん!?
[あの習慣を始めたのはいつ頃だったか! 少なくとも初めて、彼–––若しくは彼女–––からの『返事』が届いたのだ。 いやいやありえない…と思わず手紙を閉じかけたが、 年を経た便箋上の美しいインクの色は何処か神秘的で、 文面から感じる素っ気ないようであたたかな雄大さは、 己が敬愛するそれに似ている様にすら思えてしまう。
だが肝心の、そのインクが綴る字は。 何やら、のたうったようで神々しさは無く。 誰かの遊び心ある気紛れだろう、と殆ど分かっているのに 逆に「もしかしたら」と思ってしまうような。 そんな絶妙さ。
さほど長くもない文面を何度も何度も読み返す。 同業者であればサイズに関して言及しただろうか。 一体誰が、どのような者が、と暫く頭を捻りながら どこか味のある魚の絵を指で撫でていた]
(39) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[三通目に、おや。と声を上げる。 彼女からの返事も来たとは。胸の中が擽ったく心地よい。 柔らかな文字から、彼女の釣竿を握る手を思い出す様だ、と 便箋を持ち上げれば。はらり、と便箋とは違う硬質の紙が落ち、慌てて拾い上げる。]
ん、焼げだなぁ。メルヤ。
[写されていたものにふと、昨日の己が重なってくすりと笑った。 そっと引き出しから鋲を出すと、文机の前の壁に翳す。 丁度いい場所をなんとなしに見つけると、ぷつり、と壁に鋲を立て。 その側に双眼鏡を立て置くと、満足そうに頷いた。 同封されていた別の字の手紙も読み終わる。 水の中に居るように、喧騒が、遠い。 心地よい。]
ほォ、こんなものが。
[ 四通目は心当たりの無いものだったが、 最後の差出人名に「心当た」った。 この手のものは初めてだ。先ほどの手紙も併せ、流星群の余韻は中々離れない]
(40) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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[少年時代、青年時代、壮年期… いつかで流星群を見た機会はあっただろうに。 この齢になってやっと、空を見上げられたのだろうか。
齢をとって、全てがゆっくりと、喧騒になる。 別の世界に引き離れていく。 それは少し虚しいことで、だけれど、だったからこそ?
どちらにしろ、ほら。 読み終われば、また耳が震える。
凭れかかるように身体を預けていた文机に、座り直る。 墨を、擦る。 夜の川みたいに真っ黒な闇が、こなれ、とろける。
騒音が帰ってくる前に、息継ぎして。 静かさの中へ、もう一度深く、深く、潜って、沈んで、 筆を取った。]
(41) 2015/09/01(Tue) 21時半頃
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フランク殿
文面を見るに 私の事ァ覚えてくれてた様だ 魚どもも残らず届いだ様で胸を撫で下ろした物だ 海の奴たぁ違う味もするだろう 山に居るらしきおめさんに合うがもなァ
私も驚いたものだが 世の中偶然の連鎖だもンな 針だけの釣糸にも魚が偶然えらを引っ掛け釣れる事もあるものだ そうな 雨コ降らねばしょっちゅう釣りだ ニャアーニャアー騒がしい仲間共も多いが 夜になりゃこんと静まって そうだ 酷く綺麗だったな 今日の流星群 ちらちらきらきら 汽車の様にせわしなく駆け燃えるが 煩く感じながったのは 奴ら 一種で燃え尽きちまうがらだな
(-44) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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おめさんの手紙を受け取ったのが今日なものだが 気づかんうちに約束を果たしていで これも愉快だ 昔のおめさんのこどだどか でもきっと 色んな人が空見上げてただろう 君の知らん人間も きっと今日は首を痛めた人間まみれろう
相変わらず沢山の文章を書いとるのだろうなど 文字見て思ったげ、間違いなく成長しとるのだろう 描いた絵の分だけ画家が成長すんのなら 字書きも同じだ 文学わからぬ門外漢ながら 勝手にそう思うのだ
おめさんに送ッたンと同じ魚齧りながら、筆を置こう 行く末に幸多からん事を
(-45) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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追伸:単なる友人だが 最近お洒落を覚えたらしい
ヌマタロウ
[便箋の空白に、不慣れな筆致で猫の黒いシルエットが描いてある。 最初は顔も描かれていたらしいが、その上から少し薄めの墨で塗りつぶしてあるので見えにくい。 首には布の様なものを巻いている様に描かれているが、 その柄がどうにも不明瞭で、水玉なのか滲みなのか、描き切れていなかった]
(-46) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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河の神へ
常々の感謝と返礼を受け取り頂いた事に加え 返事を頂戴し 光栄に候 貴殿より釣り上げた魚は私のみならず 私に縁の有る者無き者 人に限らず猫獣の類の血肉となってあろう
川を敬愛する者は私に限らぬと思う 此れからも貴殿に濁らぬ命の血液と 生命の繁栄がある事を願う
追伸:かの夜空からの落し物を同封致す ヌマタロウ
[いつもと同じ様式の、折り結ばれた手紙。小さめの酒瓶。 ただ二つ、違う点があった事は、瓶の口には目立つように 少し古びた赤い布が結いつけられていたこと、 そして紙に包まれていたのは煙草ではなく金平糖だったことだ]
(-47) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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[少し大きめの、妙な膨らみ方をした封筒には 『食物注意』の注意書きが赤で書かれていた]
メルヤへ おめさんがらの返事が来るたぁ思わなくてな 嬉しかった 初めての魚拓だろうがら、飽きるまでかざるといい
いぬのような男の声が元気なラヂオだ ヒョっとしたら同じだろうか 同じならゆかいな事だ 双眼鏡が買えたなら、昨日の流星群をみれただろうか わたしも双眼鏡をひとからもらったのだが つける暇がねえぐれェ 雨のようだったな これまで夜空をみつめつづけたのは長い人生 初めてかもしれん 釣りすんのも忘れて ずッと見てたものだがら もしかしたら一緒にみれていたかもしれンものだ
日焼けしすぎて肌痛くせんようにヨ お母さんやともだちと仲良くな 西の ヌマ爺
[母に向けては写真に関しての感謝と 飾ったという報告。 それから夕のおかずにでも、という言葉と共に、干物が家族の数の分だけ、紙に包まれて入れられている]
(-48) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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ナナボシ放送局様
双眼鏡は持っていたのだが あんまり使わなかったものです 空を区切ッて大きくすっもんよりがは 全身で光を浴びているようなんが 私の様な機械オンチの老人には合っていたのでしょう
この老体 願う事なんざ思いつかず ただただ眺めておりましたが ヒョッとしたら 蚊だの 鉢だの ユーフォだの 邪魔が入らんことを願ってたかもしれんですね ナマズ翁
[買ったまま使われていなかったのだろう、 日に焼けてクリーム色、様式も一世代前のような葉書には ゆらゆらと、考え事をしながら運んだような筆さばきで 呑気な文字が書かれていた]
(-49) 2015/09/01(Tue) 23時半頃
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気紛れに頼んでおくものだな、菓子ちうもんは。
[しわくちゃの手が、2つの封筒をぴっと糊付けして封じる。 そこに葉書を挟んで、迂闊に折らぬ様にして手に持つと、 懐にはまた、適当な紙で包んだ酒瓶を入れた。 文机の上には、魚匂が残る紙袋と小さな透明の袋が残っている。
腰を軽く回し、また何分かの格闘後に戸を開くと 馴染みの青年とばったりはちあった]
ああ、おめさん。 んにゃ、こりぁ自分で行くけぇな。 やや、郵便局だげじゃねんだぁ。 おっきにゃぁ長め散歩も必要、だげな?
(50) 2015/09/02(Wed) 00時頃
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…つかおめさん、頭さっぱりしだなぁ。 床屋ぁ、そぉげそぉげ。
かっはははは、おれぁ間に合っとるが。 んだら、また。
[特に買い物は頼まず、軽い雑談を交わし 額をつるりと撫でて笑ってから別れる。 何やらやつの気弱な声も、今日は喧しく感じない。 気分が良いのは、星のせいか、手紙のお陰だろうか。]
(51) 2015/09/02(Wed) 00時頃
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