162 冷たい校舎村3-1
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/* 水瀬と神楽の落ちロル、すごくよかった……。
よし、秋野。お前を助け出す。 織部に見せ場は譲りつつ。
(-10) 2015/06/28(Sun) 00時半頃
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/* >>#1 ホストに合わせて文章変わるの、ほんと好きー
(-11) 2015/06/28(Sun) 01時頃
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[眠気に勝てなくなってきた頃、>>4:162七尾の一言が聞こえてきた。 何かの聞き間違いだと思った。
七尾は、……高校で見る七尾は。今まで、そんなことを口にしたことがなかった。 俺の兄貴のサインを、七尾にあげた? それすらも、全部忘れている。思い出せない。]
……七尾?
[その時、眠気に混じるように一瞬だけ走った思考。
――ああ、やっぱり、思い出したくなってきた。 思い出してしまうのは……辛い記憶だけではないのかもしれない。 このまま逃げて、過去を全て捨てるのも、勿体無いよな。
なんとなく、そう感じたから。]
(10) 2015/06/28(Sun) 01時頃
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それは、良かった。 大切にしといてくれ。
[そう返事をするが、俺にはサインを渡した記憶は無い。 聞いたところで、七尾が話したい話でもないかもしれない。
だけど、俺が知らない七尾の姿を、――本当の姿を少しだけ知りたくなった。 それだけの好奇心。
ああ、やっぱり大丈夫。
俺はもう、逃げることをやめることができそうだ。 眠りに落ちる前、確かにそれを感じた。*]
(11) 2015/06/28(Sun) 01時頃
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[夢の狭間、意識は揺蕩う。
自分と向き合う覚悟を決めたその直後、誰かが答えをくれるように。]
(17) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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― “誰かさん”の物語 ―
[――俺は、校舎のどこかを歩いていた。 そこは長い長い廊下。文化祭の装飾に彩られ、眩しさを伴った道。
どこへ向かっているかなど分からない。それでも歩く。 気の遠くなるような長い時間。窓の外は黒く塗り潰されたように、闇に沈んでいる。
ようやく辿り着いた、曲がり角。 そこで一度立ち止まった。
「にゃあん」
――聞き覚えのあるような、無いような、猫の声が聞こえた。>>0:18]
(18) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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[曲がり角からとことこと、灰色の毛並みを自慢するように、澄ました顔で歩いてくる痩せた猫。 それは俺の目の前で立ち止まった。
思えば、俺は何故か猫と縁がある。 記憶を失った時>>3:159もだし、この校舎に登校する時>>0:17もだ。
屈んで猫の頭に手を伸ばそうとした時、――ふと、気付く。 俺たちのクラスの11人の他に、誰もいないこの世界。 それは、登校時からそうだった。通行人が誰一人いない違和感をまだ覚えている。
この猫は、どうしてあの時、用水路にいたのだろう。 それは今となっては考えるまでもない。
この空間が見せている、数々の不思議な現象。その一部だったのだろう。
正解、とでも言うように、猫は「にゃあ」と鳴き、その姿を掻き消した。]
(19) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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[そして、掻き消えた猫の代わりに、そこに立っていたのは――。]
「お久しぶりですね。」
[俺の病室にやってきて、そして自殺をした、忘れられない、あの女の姿。 携帯の待ち受け画面でいつも儚げな表情を浮かべている、灰色の髪の――俺の記憶に無い、大切な人。]
……ああ。 久しぶり。
[向こうが透けそうなほど希薄な姿を、視界から外すことはない。 もう、目を逸らすことはない。]
「実は、ひとつだけ心残りがあったんです。 あなたにかけた呪いを、そのままにしてしまったこと。」
[からかうような表情も相変わらず。 こちらの脳を直接揺さぶるような、その声色が耳に突き刺さる。
でも、もう頭痛は起きなかった。]
(20) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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「先輩。」
[あの時のように、真正面から、詰められる距離。>>4:96]
「私のこと、好きだって言ってください。」
[あの時のように、唐突な一言。 ああ、やっぱり理解に苦しむよ、“健五郎”。 お前が好きだったらしい、この女のことは。
少しの間。静寂。見つめ合ったまま、何も言わない俺と彼女。 やがて、彼女は肩を落とす。]
「……言えないでしょう。だってもう、あなたにとって――私よりも大切な人たちが、他にいる。」
そうだな。その通りだ。
[彼女の姿がふわりと消える。次に声が響いてきたのは、背後から。]
(21) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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「あなたはもう、私を好いてくれた先輩じゃない。 あなたは、物語の主人公なんかじゃない。
だから――何も背負う必要はないんですよ。」
[振り返れば、彼女の姿はもう薄く消えかかっていた。]
「言ったじゃないですか。私のことは忘れてくださいって。 忘れてくれたら、……それで、いいんです。」
[彼女は、まるで少し前までの俺の気持ちを代弁しているかのようだった。 何も思い出さずに逃げろと。向き合う必要は無いんだと。
忘れることができれば、俺は楽になる。 “健五郎”ではない別の誰かとして生きていくことができる。
ああ、そう思っていた。少し前までは。]
(22) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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俺がお前を忘れたら、お前が……ずっと、苦しいままだろ。
[彼女の表情が、変わった。からかうような視線は、戸惑いへと変わっていく。
――死者の気持ちなど分からない。だからこれは、俺が見ている彼女の姿は、俺にとって都合のいい夢かもしれない。 でも、それでも良かった。
俺が過去から逃げないこと、それを後押しする理由が、ようやくそこにあったのだから。]
(23) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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[捨てられた舞姫の心境は、未だに上手く想像できない。
でも、もう、俺は。
舞姫の存在を、忘れたりはしない。]
(24) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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[彼女の姿は再び濃くなり、影を取り戻していく。]
「……遅いですよ。」
[その声は、どことなく上擦っていたように聞こえた。]
「遅すぎます。」
……ああ。ごめんな。
「…………惨めじゃ、ないですか、こんな、の……っ。」
[泣き顔は見ない。ただ、天井を見上げる。 文化祭の装飾が、目に眩しかった。 視界が潤んで、霞んでいく。
何があっても泣くなと、兄貴は言っていた。>>3:112 帆北健五郎は絶対に泣かない。
だから、泣いているのは、別の誰か。]
(25) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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「本当に私のことを思い出すつもりなら、それなら、全部思い出して貰いますからね。 約束したことも。」
勿論。……お前の勝ち、だったか?
「ええ。そうじゃなきゃ、許しません。」
[>>4:95あの日、彼女が言ったこと。それの意味も、きっと思い出す。 昔の俺が、ロクでもない約束を受けていないことを祈ろう。>>3:273]
「……そろそろ、時間みたいです。」
[彼女がそう言った。 俺もなんとなく感じていた。
今、こうして彼女と出会っていることは、ホストとかは一切関係がない、俺の夢。 そして、この夢は何を示しているのかも。]
(26) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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「この世界の主は、あなたではない。もう、分かっていますね?」
ああ。
「――あなたは、外に出る前にやるべきことがある。それも分かっていますね?」
そうだ。
[彼女の語る言葉は、俺の思考そのもの。再確認。 できるかどうかは分からない。 だが、全ての迷いは無くなった。]
「期待しないで待ってますよ、先輩。」
[彼女が笑顔を浮かべる。その表情を二度と忘れない。 あの日、目に焼きついた死に顔を上書きするように。絶対に忘れない。
――視界が白い光に飲み込まれ、>>#0チャイムの音が聞こえた。*]
(27) 2015/06/28(Sun) 02時半頃
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― 朝・教室 ―
[夢の世界からゆっくりと体を起こし、人数を確認する。 神楽と水瀬がいない。先に帰ったのだろう。分かっていたこと。動揺はしない。
残るのは4人。俺はホストではない。 ――その時、>>8秋野のあっけらかんとした告白を聞いた。]
そうか。
[俺の反応は、七尾に似ていただろう。>>15 織部が先に驚いてくれたおかげかもしれない。>>9
意外、というわけでもなかった。 誰にでも可能性はあると思っていたから。
お前だったのか!なんて、驚くような声を上げることもない。]
(28) 2015/06/28(Sun) 03時頃
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[ホストだということが分かって、秋野はどうしたいのか。 聞きたかったことは七尾と同じ>>15だったから、俺は黙っている。
その次の提案にも。>>16]
……行ってみるか? 見に。 気が進まなければ無理にとは言わないが。
嫌なことがあったら、すぐに俺を壁にしてくれればいい。
[秋野が抱えているもの――その正体には、できれば、踏み込まない。 だが、辛い現実から守るための壁になることは、俺の役目だ。**]
(29) 2015/06/28(Sun) 03時頃
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/* 擬似落ちロル。
書いてるうちに筆が乗ってきて、書く予定の無いことまで書いちゃったよ? エリスにキャラチップをつけたくて仕方がなかった
(-19) 2015/06/28(Sun) 03時頃
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/* まあ、なんだろう。
不思議な現象に頼ることができるのは校舎の中だけだし、和解するならこの形しかなかった。 エピロルは、雨宮への墓参りシーンかなって。
ホストとは関係のない、ただの夢ということでひとつ。
(-20) 2015/06/28(Sun) 03時頃
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/* 実は、エリスのことを忘れることを選んで、 エリスが完全に消滅して解決、でもいいかなって思ってたんだけど。
ハルの言葉もあったし、流れ的に思い出すほうを選びそうだから、 こういう形になったという裏事情。 最初は伏線のつもりじゃなかった台詞とかシーンが伏線になっちゃったよ?(約束とか舞姫とか 実は予定外なんだよ?
(-21) 2015/06/28(Sun) 03時頃
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/* 盾役を引き受けて、踏み込みは織部に任せたい、そんなスタンス。
(-22) 2015/06/28(Sun) 03時頃
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/* どうするか、な……。
折角だから水瀬の本を借りてくのもいいかなと思ったけど、 余計なことせずに織部に任せるべきか。
(-28) 2015/06/28(Sun) 21時頃
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/* 図書室に寄って水瀬のマネキンを見つけて、その本の内容を確認して持って行くだけの、 合理的な理由が健五郎には無い……。思いつかん。
すまぬ水瀬
(-29) 2015/06/28(Sun) 21時頃
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[4階へ行くという提案に、秋野は首を振って。>>30 そして、彼はいつもの穏やかな様子で、教室を出て行く。>>32
この校舎の中で、彼がいつも見せていた様子と変わりなく。]
……。
[少しだけ、そのまま固まっていた。 その間に、織部>>45と七尾>>47が動き出していた。
胸騒ぎがした。 >>4:97あの時のように、自分の元を去っていく背中。 その後に起こった、取り返しのつかないこと。
それがフラッシュバックした。 だから、俺も3人の後を追いかける。]
(52) 2015/06/28(Sun) 21時半頃
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[秋野はどこに行ったのだろう。 先に追いかけた織部や七尾が階段を駆け上がっていくのが見えた。
その後を、遅れながらも追う。 上って上って最上階へ。
階段は3階で止まってはいなかった。4階があった。 しかしそこに広がっていたのは、黒板に書いてあった“おばけやしき”などではなく。 荒れ果てた教室や廊下の、何かの光景。
そこに足を踏み出そうとして――足元に散らばるガラスが邪魔をする。 まるで、踏み入られたくない、来て欲しくないというように。]
(53) 2015/06/28(Sun) 21時半頃
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[一瞬だけ迷う。 俺にはあいつの心に踏み入る権利は無いだろう。 この先に秋野がいたとして、かける言葉もまだ見つけられていない。
だが、――このままでは取り返しがつかなくなりそうな、そんな予感がする。 いや、予感ではない。はっきりとした確信。
先を行く2人に続き、ガラスの破片を踏み砕きながら追いつこうと走る。
その先に、更に階段が見えた。]
(54) 2015/06/28(Sun) 21時半頃
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/* 見守るしかないかなー、うーん…… 割り込むのはちょっとあれだ
がんばれ織部ー
(-45) 2015/06/29(Mon) 00時頃
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― 屋上 ―
[久しぶりに日の光を浴びる。 文化祭の装飾とは違った、暖かい光。 だけど、それでもどこか作り物のように感じる。
フェンスの側に、秋野がいた。 何をしようとしているのかなんて、すぐに分かる。 分かりたくなくても分かってしまう。
そして、彼に手を伸ばす織部。 秋野が織部に向かって何かを問いかけていた。 だから、少し離れた位置で2人を見守る。
ここまで来たおかげで荒くなった息を整えながら、平常心をできるだけ保つ。 言葉はまだぐちゃぐちゃで、全く整理ができていなかった。]
(62) 2015/06/29(Mon) 05時頃
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[秋野の問いに、織部が答えるのをじっと見守っていた。 俺に言えることは多くは無い。 だが、やっぱり、言えることもある。]
その“ごめんなさい”を、先に帰った奴らに言う機会すらも無くなる。 それでもいいのか。
[>>58聞こえてきた秋野の言葉に、>>60織部の答えを後押しするように。 声色は努めて冷静に。責めるつもりも、追い詰めるつもりもない。 秋野が迷っているなら、その迷いを振り払うための盾となりたい。
まとまらないまま、言葉を紡いでゆく。]
(63) 2015/06/29(Mon) 05時頃
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手放そうと思ったものも、執着してるものも、今の俺には無い。 だが、そんなものがあったら諦められないだろうな。
――それの何が悪いんだ。 誰だって、きっと……割り切れないものがある。 だから埋め合うんだ、その穴を、皆で。文化祭が楽しかったように。
他の事をしながら、考えながら、楽しみながら。 ゆっくりでいい、時間がある限りゆっくりと考えていけばいい。 一人で抱え込もうとするな。
[秋野が抱えていることは分からない。分からなくてもいい。だから、踏み込まない。 ただ、困っていることがあるなら頼ってくれていい。 悩みの内容は打ち明けられなくても、辛い時に一緒にいてやることぐらいならできる。それだけを伝えたかった。
この先、受験だったり進路だったり――すぐに待ち受けているのは大きな壁だけれど。 壁を乗り越える手伝いはできなくとも、互いを励まし合うことぐらいはできるはずだから。]
(64) 2015/06/29(Mon) 05時頃
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