94 月白結び
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余暇に……そうだな。 そういう未来も、ある。 …あるはずだ。
[そして、また音楽に触れて、きっとIFを想像して辛くなる。
目の前の寂しそうな笑いに、喉の奥が苦しいと感じた。 視線を逸らす。 白と黒の規則的な並びに手を添える。]
…ホントにな。 なんで俺、あんたたちと同じじゃないんだろうな。
[新しく紡ぐ音は、穏やかな色。 耳に心地良い和音の続く、パッヘルベルのカノン。]
(-0) 2013/09/05(Thu) 20時半頃
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いいや。 …そんな風に言ってくれんの、嬉しいよ。
[鍵盤から指を離す。 少し息を吐いて、彼女のほうを再び見て]
…ごめん。ありがとう。 ……気、使わせたな。
[奏でる音に時が進み、窓の外はいつしか夕暮れの色をしている。
スマートフォンを少しいじれば、雪の最後の言葉が見えて、困ったように微笑んだ*]
(-5) 2013/09/05(Thu) 21時半頃
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[志乃にまたひとつ、ありがとうを向けた。]
……ねえ、なんか一緒に弾いてみる? そこの琴って、志乃さんのでしょ? 沙耶さんも、なんか楽器できるだろうし、一緒に。
[ふと思いつき、そんな提案をした。
窓の外は夜色に近付く。 この何にも縛られない一時がずっと続く事を、心のどこかで願っていた。]
(8) 2013/09/05(Thu) 22時半頃
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[どれだけ不思議な組み合わせの音色でも、それに文句を言うはずもない。 文句を言ってくる誰かもいない。
彼女たちも知り自分も知る曲はそれほど多くもないだろうが、それでもゼロではなく、セッションをはじめる。
久しぶりの合奏は非常に心地いいものだった。 鮮やかに伸びる音色はどこまで響いたか。
穏やかな時に、彼女の飲み込んだ言葉を、気付けずにいた。 ただ、演奏の終わりに、彼女に告げる。]
言いたいことがあれば言って良いよ。 志乃さんの、意外とストレートに言ってくれるとこ、ありがたいし。
(15) 2013/09/05(Thu) 23時頃
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まあ、ね。 今日は雪が帰るらしいし。 時間はまだ少しある。
…また、会いに来る。 内緒の中身はその時聞くね。
[そう彼女の微笑みに約束した。]
(20) 2013/09/05(Thu) 23時半頃
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[三つの音色のセッションを終えて、沙耶の屋敷を後にする。 いつでも遊びに来て良いと言う志乃に頷いて分かれ、夜道を歩いた。
浴衣でこの世界を歩くのも、今夜で最後のつもりだったから、歩幅は名残を惜しみゆっくりと。]
夢、じゃないよな。
[夢だと思っていた筈の異質な世界を、夢ではないと認識していたのは何時からだろう。
月明かり、照らす星。 街角の蝋燭提灯。 宿に向かうまでの景色を、目に焼き付ける。*]
(54) 2013/09/06(Fri) 01時頃
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[翌朝、スマートフォンに表示されるメッセージを確認する。]
『黒井さんまたね。 その次が凛さんね。了解。』
[内容を確認したのだと伝える文章を打った。
悔いがないように、その言葉には何も返せずにいた。
この里から帰ることこそが悔いになる気がして。
妖怪の世界は、現実から目を背けたがる弱い心に、余りに心地がいい場所だったから**]
(=3) 2013/09/06(Fri) 01時頃
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[七倉は、帰りたい?]
[残る二人になると知り、この画面を見詰める人数が減ったからこそ打ち込んだ言葉。 けれど、送信できず、戻るボタンをポチポチと押す。]
(=5) 2013/09/06(Fri) 19時半頃
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[fizzが帰るというその日、ゆっくりとした足取りで妖怪の里を巡りながら、音楽プレーヤーに繋がるイヤフォンに、彼の歌を流していた。 初めてこっちに来た時に聴けた、生歌を思い出す。]
青い、か。
[晴れた空を見上げて、河原で言われた言葉を思い出す。]
黒井さん…俺。 どうしようもなく、馬鹿です。
[考えかける可能性に、今はまだ蓋をする。
少し話をしたかったけれど、彼はもう元の世界へ戻った後だろうか。 顔だけを、鳥居のある方角へと向けた。]
(81) 2013/09/06(Fri) 22時半頃
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[やがて足を向けた鳥居の前。 からから廻る音色の中に、fizzの姿はもう無かった。
そこへと彼を案内した、幼い妖怪の姿はあったかもしれないが。
遠くを見詰める黒い瞳の狛犬の手に握られた煙草と、手紙。 お使いを任された犬のようだと、僅かに笑う*]
(84) 2013/09/06(Fri) 22時半頃
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