46 青の灯台守り
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[青年の部屋のゴミ箱の中には、くしゃくしゃになった新聞記事。 今年の王立楽団への入団者の名が、誇らしげに並ぶ。
──その中に、音楽院の同級生の名前。 自分よりずっと下手だったはずの、あいつの……。]
(*2) 2012/03/23(Fri) 00時半頃
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[海は暗い。いっそ遠見台から身を投げれば、安らぎを得られるのだろうか。 階段に向かおうとした足は、出窓の人影に気づき、びくりと止まった。]
……そんなこと、今更でしょう。
[旧い旧い言い伝え。今生きる誰も、青の王の時代など知らない。なのに何故、自分の未来は奪われねばならなかったのだろう。何故自分の犠牲の上で、のうのうと皆生きているのだろう。
押さえ込んだ筈の疑問は、膨れ上がる。怒りとなる。]
(*3) 2012/03/23(Fri) 00時半頃
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[日が落ちるのを見届けて、青年は部屋に戻る。 変わらぬ一日を終えて、変わらぬ毎日を始めるための眠りに落ちる。
けれども、夜中に目を開けた青年は、明かりを灯し。 数日前に届いた手紙を広げ、じっと眺めていた。]
(87) 2012/03/23(Fri) 15時頃
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[誰かを守りたいわけでなく。誰かを救いたいわけでなく。 狂気ではなく、ただ積み重なった感情が溢れただけ。]
……どうぞ、お好きに。
[止めなかった、それだけで。本来なら咎められるに値するのだろう。 けれども、もう。]
(*7) 2012/03/23(Fri) 15時頃
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[此処を王都にしてしまえば。頭の中を反響する、狂い人の台詞。]
(*8) 2012/03/23(Fri) 15時頃
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──朝・自室──
[目覚めた青年は、部屋の真ん中に堂々と建つ、グランドピアノと向き合う。蓋を開け、恐る恐る一音を出し。 意を決したように奏でるのは、戯曲の一節、恋する男を恋ゆえに刺し殺す女の、愛を唄った独奏曲。 狂おしい旋律の、その狂気が音に乗らぬことにもどかしさを感じながら、それでも鍵盤を叩きつづける。]
(95) 2012/03/23(Fri) 15時半頃
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[狂想曲の次は月光を讃えるソナタ。春を祝う素朴な旋律、作曲家からの挑戦状と呼ばれた技巧曲。覚えている曲をすべてなぞるかのように、一人きりの演奏会は続く。 時たま苛立ちを抑えきれず、鍵盤を叩きつける不協和音を挟みながら。それでも気を取り直し新たな旋律を刻み始める。 防音がなされているとはいえ、古い灯台だ。部屋の中には閉じ込めきれず、音はホールに、物見台に、溢れてゆく。]
(102) 2012/03/23(Fri) 16時半頃
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[音の洪水溢れ出す、八番の部屋に鍵はかかっていない。いつもきちんと鍵をかけて眠る青年だったから、かけ忘れたというのが正しい。]
……っ!
[また、叩きつける不協和音。]
(111) 2012/03/23(Fri) 17時半頃
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……ベネット。
[鍵をかけ忘れていたらしい。それだけで青年が驚くには十分で。奏で始めていたトリルが乱れ、途絶える。]
……お聞き苦しい物を。
[押し殺した声で述べ、乱入者に向けるのは、なぜ此処に?とでもいうような視線。]
(115) 2012/03/23(Fri) 18時頃
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……どうぞ。
[歓迎なぞしたくもなかったが。ここから追い出せばホールに誘われるかもしれず、締め出すには多少怖い──満月の間の食卓を担っているも同然の──相手だ。 ピアノとソファと本棚と。そんな物に埋め尽くされた部屋に誘い、ピアノの蓋を閉じた。]
(120) 2012/03/23(Fri) 19時頃
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……なんの御用ですか?
[正直なところ、お茶を飲むとか建前だけでも理由があるならともかく、人と話すことは苦手にしていた。幼い頃から狭き門ばかりくぐり抜け、ライバルはいても友人を得ることが出来なかったのが理由だろうとわかってもいる。 ソファを手のひらで差して勧め、自分はピアノのそばに立ったままベネットを見た。]
(127) 2012/03/23(Fri) 19時半頃
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……貴方には関係のないことでしょう。
[短く切られた爪が、ぎっと握りこまれる。]
練習中なんです。前ほど巧くは弾けないから苛立っているというだけです。
[用はそれだけですか?とマホガニーは睨む。]
(135) 2012/03/23(Fri) 20時頃
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[目の前が、かっと赤くなったように感じられた。]
……ピアノを弾く趣味が、悪いとでも?
[証が発現し、抉り取ろうとして、なし得ず痛みに倒れ、気づいたときにはこの塔に軟禁されていた。以前から居る彼ならば、その経緯はわかっていることだろう。 わかっていて、何故、問える。手に込められた力は、さらに強く。]
(145) 2012/03/23(Fri) 21時頃
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……出て行ってください。
[こちらも顔をあげることは出来ない。顔を見れば殴りたくなるから。──殴れば指が傷むから。もうそんな意味はないのに? いや……──]
僕は、王に捧げるピアノを──
[触れられた手を、振り払う。]
(168) 2012/03/23(Fri) 22時半頃
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……ここを王都にすればいい。
[囁く声に応える、声は硬い。]
(-70) 2012/03/23(Fri) 23時頃
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出て行ってください。早く!!
[声を荒らげ、背を押す。荒々しく扉を閉めれば鍵をかけ、怒りをぶつけるかのようにピアノの蓋を開けた。 洪水のような音の奔流。神と悪魔の戦いを描いたという戯曲。狂ったかのような、音、音、音。直接殴ることの出来ないぶん、音をぶつけるかのように。 ──それにしたって心の全てを表すには、この指では足りない。稽古をつけてくれる師もなく、それどころか理解してくれる観客すら、居ないのだ。]
(181) 2012/03/23(Fri) 23時半頃
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……青の王なら。
[わかってくれるのだろうか。言葉にせぬ、言葉。]
(*13) 2012/03/23(Fri) 23時半頃
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/*ベネットに殺意が向きすぎてヴェスパ殺す理由がない。 両目青だから、でいいか。
(-75) 2012/03/24(Sat) 00時頃
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[細かいトリルの一音を外した。それだけで、絶望するには十分だった。 嵐のような演奏を終えて、ふらりとベッドに倒れこむ。
ゴミ箱の中には丸められた新聞。音楽院で同級だった、けれども自分の足元にも及ばぬような腕前だった男が、王立楽団の一員となったというニュース。 ……なぜ自分はこんなところに居るのだろう。理解者もなく、評価されることもなく。 求められるのは命だけ。日がな一日阿片に溺れる廃人や、酒と女に浸るだけの男と、自分の価値は等しいのだ。
積み重なった怒りは、もう涙となって溢れることもせず、固くなってゆくだけ。]
(202) 2012/03/24(Sat) 00時半頃
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[声が聞こえた。女の声だ。 今の灯台に女は少ない。声の年代だけで容易に相手は知れる。]
……。
[相手をしたい気分ではなかったが、無視して何度も扉を叩かれるのも面倒か。立ち上がり、扉を細く開ける。]
……何。
[ひどく不機嫌な声をとりつくろうこともなく。]
(209) 2012/03/24(Sat) 01時半頃
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……ベネットに聞いたらどうです。
[>>211お節介な女め。苛立ちを隠そうともせずに棘のある声で告げる。]
貴女如きが音楽にわかったような口を叩くな。
(239) 2012/03/24(Sat) 10時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2012/03/24(Sat) 11時頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2012/03/24(Sat) 11時頃
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貴女を楽しませるための音ではありませんから。
[冷たく吐き捨てる。先程の曲だって、楽しんで弾けていたわけではない。 ……ならばなんのために弾くのだろう。暗い思考を追いやって。]
何も出来ないくせに、偉そうに!
[このまま扉を閉めてしまおうか。指くらい挟むかもしれないが、知ったことではない。]
(245) 2012/03/24(Sat) 13時頃
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……貴女を殺して、青の王にでも聞かせましょうか。
[イライラする。どうして誰も彼も自分の神経を逆なでするのか。望んでこんなところにいるわけではないというのに。 反動つけて勢いよく、扉を、閉めた。]
(248) 2012/03/24(Sat) 14時頃
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[扉を閉める。鍵をかける。白い白い牢獄の中、心を閉ざす。 体が空腹を訴えても、ベネットの料理を食べる気にはなれない。ハンストなど子供じみているし、続く筈もないのだが。
扉の外からは呻き声が聞こえた。]
……自業自得。
[呟いた。]
何もなし得ない手なら、いいでしょうそれくらい。
[小さな声は、扉に阻まれ届いたかどうか。]
(251) 2012/03/24(Sat) 14時頃
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[青年は、涙を流さない。 嗚咽を零すことも、もうない。 ただじっと、ピアノを見つめていた。 一人きりの部屋の中、青年の胸中を知る者は、ない。]
(282) 2012/03/24(Sat) 21時半頃
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/* 引きこもりごめんなさいorz
(-106) 2012/03/24(Sat) 21時半頃
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[近くの部屋から、なんだか騒音>>283がした。 見にいくべきかちらりと思うが、行かぬうちそれは消える。 外からは暖かないい匂いもしてくる。朝からなにも食べていない身体が空腹を訴えるが、いく気はしなかった。仲良しごっこなど、したくもない。
そうしてまた、独りになる。]
(315) 2012/03/25(Sun) 00時頃
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/* 回廊あったほうが良かったな……。 ホールに人がいると自室から外に出られなくなるっていうね! この引きこもりめ!
(-122) 2012/03/25(Sun) 00時頃
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