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167 ― さいごの手紙 ―

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地下鉄道 フランクは、メモを貼った。

2015/09/01(Tue) 00時半頃


【人】 地下鉄道 フランク

[男は陽が落ちた後の夜空を眺めながら山へと帰る。

珈琲を淹れると新しい原稿用紙の包みを開け、机に向かった。

空が白むまで、静寂の中に用紙の上を万年筆が滑る音だけが響いていただろう。]

(4) 2015/09/01(Tue) 00時半頃

【人】 地下鉄道 フランク

[夜空に絶え間なく流れる星を見たからだろうか。

きっとどこかで、同じ星を見ている誰かがいると思えたからだろうか。

その夜は流れる様に筆も進んだ。

懐かしい友人や恩人の顔が思い出と共に星に乗り、流れて行く。

顔も知らない奇特な彼女も、空を見上げてくれていると何故だか信じられた。
期待していないことに応えるくらいなのだから、きっと。

いつもとは違う、一人きりではないと感じた夜。


それでも夜は明け、また朝が来る。
それは決して変わることの無い日常。

そう、男は思っていた。]

(12) 2015/09/01(Tue) 01時半頃

【人】 地下鉄道 フランク


[どこか満たされたような気持ちのまま明け方となり、手を止める。

齟齬などがないか確認をするために上巻を読み返しながら煙草に火を点けた。]


 『 終わりの始まりのあの日、私は何を思っていただろうか。
   今となっては思い出せない。
   思うことがあるとすれば、家族や友人、恋人
   私を取り巻く全てに
   もっと感謝すべきだったのだ。
   もっと彼等と過ごす時間を大事に扱うべきだったのだ。

   だが、私は思う。
   そんな平凡で、くだらない後悔を抱けることは
   私が幸せだったという他ならない証拠ではないか、と。』

(13) 2015/09/01(Tue) 02時頃

【人】 地下鉄道 フランク

[本の中の、一人きりの男は言う。
まるで何かを訴えるように。

一年以上前の自分が書いた言葉。
ただのフィクションの世界の言葉。

それなのに何故か、彼の言葉は澱のように心の片隅に沈んでいった。]

(14) 2015/09/01(Tue) 02時頃

【人】 地下鉄道 フランク

[その日は昼頃、編集者がやってきた。
原稿の催促に来たのかと尋ねると、偶々近くに来たからと言うが
表情には「それでいつ書き上がるんです?」と書いてある。

あと少しで書き上がると告げると、待つと言うので珈琲と魚の干物を出したら変な顔をして編集者は男を見た。]

 …茶菓子は切らしてるんだよ。
 急に来るからだ。

[先生の淹れる珈琲は不味いですが、この魚は美味いです。と編集者が言ったので、うるさいよ、と苦笑して机に向かう。

流星群は見ましたか?凄かったですよねえ、との呑気な世間話には、
背中越しに、見たよ。とだけ答えて、男は万年筆を動かした。]

(20) 2015/09/01(Tue) 11時半頃

【人】 地下鉄道 フランク

[書き上がった原稿を流し読むと、はい、確かにと編集者は鞄に原稿を仕舞う。]

 …それ、いつ頃刷り上がる?

[秋頃ですかね。と答える編集者に、まあそのくらいだよな、と返して少しの間が空く。
その空白の時間に瞬きをして、彼は良いことを思いついたかのように早口で言った。]

「なるべく早く出しますから。一年空いてますし…ああ、今から広告を打っておきましょう。上巻の売り上げも伸びるかも。」

[別にいいけど…という男の言葉は、
別にそんなことしなくていいけど、という意味だったのだが
彼はそれを肯定と受け取ったらしくデザインや文面とかをどうしようだとか勝手に話を進めていて、上の空で聞き流していた。]

「じゃあ、行きましょうか。」

[唐突に彼は立ち上がる。
実際は唐突ではなかったかもしれないが話を聞いていなかった男には唐突に思えた。]

(23) 2015/09/01(Tue) 13時半頃

【人】 地下鉄道 フランク

 どこに?

[不思議そうに尋ねる男に編集者は、聞いてなかったんですね…と溜息を吐いて、デザインとか次の作品の話も諸々あるから暇なら出版社に来てくださいということだったらしい。]

 …やだよ、面倒臭い。

[一応断ってはみるものの、そう言って後で来いと言ってもなかなか来ないんだから。その癖出来上がってからあれはどうかと思うとか文句をつけてくるし、と文句を言われると反論出来ず]

 今日寝てないんだがな…僕。

[そんな男の僅かばかりの抵抗の言葉は、いつものことでしょうと軽く流され、結局出版社までついていくことになった。]

(24) 2015/09/01(Tue) 14時頃

【人】 地下鉄道 フランク

[出版社に着くと、編集者はなにやら慌ただしくあれやこれやと、どんな広告を打ちましょうかと資料を広げた。

適当に相槌を打ちながら話を聞いていたが、結局編集者の言うままに広告は出来上がった。

僕が来る意味あったの、これ…とぼやくと、じゃあ何か一言添えて下さいよと言われる。

少しだけ考え込んで、短い一言を添えた。]

(49) 2015/09/01(Tue) 23時半頃

【秘】 地下鉄道 フランク → 逃亡者 メルヤ

!緊急告知!

上巻の発行から一年、満を持して完結。

『朽ちゆく日々』下巻は、秋初旬に発売!

是非とも皆様、秋の夜長のお供にどうぞ。

作者からの一言。
あの日、流星群を見た全ての人に捧ぐ。

frank

[広告には流れ星のイラストと、荒廃した大地に佇む男が描かれている。]

(-50) 2015/09/02(Wed) 00時頃

【秘】 地下鉄道 フランク → 記者 イアン

[ラヂオ局宛の手紙。
朝のニュースのついでに宣伝よろしくお願いします、と出版社名の横に厚かましい走り書きがしてある。]

!緊急告知!

上巻の発行から一年、満を持して完結。

『朽ちゆく日々』下巻は、秋初旬に発売!

是非とも皆様、秋の夜長のお供にどうぞ。

作者からの一言。
あの日、流星群を見た全ての人に捧ぐ。

frank

[広告には流れ星のイラストと、荒廃した大地に佇む男が描かれている。]

(-51) 2015/09/02(Wed) 00時頃

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