154 【R18】さよなら、ばいばい、またあした
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/04/08(Wed) 01時半頃
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―201X年3月24日・PM15:30・とうふのむとう(店頭)―
[―――あの世界は、「終わった」のだろうか。
独りで考える時間だけはふんだんにあった。 順番に考えて、考えて。行き付いた、ひとつの考え。
それは、唐突に、頭に沸いた疑問だった。]
(+11) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[しゃがみ込んだ身体。 両手は豆腐の入っているケースの、青い縁を握り締めて。
考え付いた思考の恐ろしさに、双眸を見開き、間近の青を、現実感の塊のような、ケースの色と、水面と、底へ沈む豆腐の白を眺めて。
そろりと起こした顔が左右を見遣る。 店内の風景も、壁に貼ってあるカレンダーやポスターや、家へ続くドア、レジ台、惣菜、ビニール袋。 遠くから聞こえる自転車の音、もっと遠い電車の音。店の入り口を往来する人々の歩み。 普段と変わらない光景が広がっている。]
(+12) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[だけど自分の記憶のように。
こんなにもはっきり記憶に刻まれているのに、ところどころ、そこだけダルマ落としか何かのように抜き取られたような、時折訪れる空虚な気持ちの正体が分からないように。
自分が今いる、この場所も、歪んでいるのではないか。
何の手がかりもなく、自分の体験だけを頼りに、再構築していく記憶。 歪んだ学校、歪んだ教室。 歪んだ自分と一緒にいたはずの麻倉、そして成田。]
(+13) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[そうだ、だって。
その成田は、最初こそ俺たちの前で、教壇に立ち、ゲームスタートの合図をしたけれど。>>2:2 間の世界から出るための、説明はしたけれど。>>2:3
「終わり」の言葉はまだ、聞いていないはずで。
だって、彼が始めの合図をしたのなら、終わりの合図だって彼がするのが筋じゃないか?]
(+14) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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[彼はまだどこかに立って、俺を、俺たちを。 見ているのかもしれない。 思い立つ視線は「ゲームオーバー」に怯えて、忙しなく動いて。
ぽかんと開く口の中が乾いていた。 震える唇が、浅い呼吸を紡いで。
右手が、無意識に左手の古そうな傷跡を抑え込んで。 ドクンドクンと激しくなるばかりの動悸に、ただ、耐えていた。]**
(+15) 2015/04/08(Wed) 02時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/04/08(Wed) 02時半頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/04/08(Wed) 10時半頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/04/08(Wed) 22時頃
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―201X年3月24日・PM15:30・とうふのむとう(店頭)―
[―――ボンッ。
しゃがみこんだ頭に弾む、硬い感触。 硬いと言っても、生々しく覚えているナイフのような、凶器めいたものではなく。 恐らくは本か、バインダーか、なんだかそういう、紙の集合体。
「何やってんの、雪。体調でも悪い?」
見下ろしてくる目線。 スニーカーに、デニムに、パーカー。 自分と大して変わらない、ご近所着で仁王立ちする、黒髪の人。 俺よりもひとつ年上の、とっくに受験体制に入っている、2番目の姉。
手に持っていたのは所謂「赤本」。 3年になる前の、3月の終わりだと言うのに、それはもう何度も捲った痕、蔓延る付箋の山。 その背表紙が俺の頭に降ってきたのだった。]
(+68) 2015/04/09(Thu) 00時頃
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図書館、もう終わりなの?
[考え込んで迷路にでも嵌まっていたような思考だった。 急に現実味のある景色が目の前に、それはある意味で救いのようで。
「まさか。友達に返すCD取りに一度帰ってきただけだよ」
視線は癖のように、姉の左手へ向く。 右手には赤本、肩にはトートバッグを掛けて。左手には何もなかった。
は、と息を付く。 知らないうちに相手の手元に、光るナイフを探したのだと気付いて。
――ぞく、と寒気の走る背中を誤魔化すように。 豆腐のケースに捕まる両手、その腕を突っ張って、立ち上がった。
一辺に体重を掛けたケースが僅かに揺らいで、水面が波だった。]
(+69) 2015/04/09(Thu) 00時頃
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あのさ、姉ちゃんはさあ…、好きな人とかいたこと、あんの。
[家族の中で誰よりも勉強に身を投じる、2番目の姉。 良く言えば清楚系、まあ単なる地味とも言える出で立ち。 立ち上がってみれば、自然少し見下ろす形になって、いつの間に背丈抜いたんだっけ、なんて、曖昧な記憶を辿った。
参考になる答えが聞けるなんて全く期待していなかったが。
「今はそれどころじゃないし」
思った通りの一蹴で。 それはとても普段通りで。]
(+70) 2015/04/09(Thu) 00時頃
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[姉ちゃんがその場で、序でにと手にした赤本を開き、適当に問題を読み上げて。 俺はと言えば、答えどころか、問題の意味すら理解できなくて。 小馬鹿にされて笑われて、「うるっさいな」なんて顔を背けて。
片手で追い払う仕草をして見せても、何も気にする様子なんてなく、けらりと笑って。 一頻り俺のことを弄ってから家へ入って行く後姿を見送って。 赤本の背が弾んだあたり、乱れた髪を右手で触り、撫でつけた。
店の入り口から人影がひとつ。 また馴染みのお客さんが来た。
―――あぁ、この人は、いつも大量におからを買っていく人だ。 気の抜けたような笑顔に貼り付いた笑みを返しつつ、注文に耳を傾けて、計算機片手に金額を示して。
ゆったり流れる時間。
何もかもがいつも通りなのに、まるでここに自分がいないみたいだ。 そんな風に思うのは、俺が、あの世界で。 変わってしまったから、だろうか。]*
(+73) 2015/04/09(Thu) 00時頃
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―201X年3月24日・PM16:00・とうふのむとう(店頭)―
[不思議なもので、お客さんっていうのはお客さんを呼んで来る。 ひとり去ってはまたひとり、と。 暇な時間にぽつぽつ現れる、まあ、殆どは知った顔で。
物覚えの良くない頭でも、多少は買うものも覚えてる程度で。 両親や上の姉と違って、言われた通りの注文をこなすだけで。 もちろんのこと、厚揚げをゴリ押ししたりはしない。>>0:35
成田の世界に行く前の、何も知らなかった頃の、気付かないフリをしてた頃の、淡い記憶。 思い出した瞬間に笑む口元は、貼り付かせたそれよりも幾分柔かったはずで。]
(+99) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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[会計を済ませ、ビニール袋に入れた木綿豆腐を手渡して。 持参したらしいタッパーには絹豆腐を入れて、と、従来通りに手を動かす。
そうして一通りの波を済ませて、中腰を続けた身体を軽く伸ばし。 預かった小銭をレジへ仕舞う序でにポケットから出したスマホを見て。
メール着信を示すランプに気が付くと、画面を表示させた。
視線はちらりと客のいない店頭へ、それから家族が出てこないかと家の奥へ。 正当な理由なしに仕事中にスマホを弄ると叱られる、のが、嫌だったから。]
(+100) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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……、麻倉…。
[夢の話を、いや、現実を夢に見立てた話をしていたメールの返事だった。>>+78 吾妻と蒼真の、「心中する夢」という文章を見て、落ち着きかけていた心臓がまた、跳ねる。 意識にありありと浮かび上がる、テレビの画面。>>3:4
ああ、それよりも。―――それよりも。]
(+101) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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To:麻倉 千旭 件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re: ---------------------------
待ってる。
(+102) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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[止まりそうになった呼吸を意識的に継いで、たった4文字の返信を送った。
麻倉は、俺が覚えていない、左手の傷のことを知っているのだろうか。 もしかして、もしかしたら。
俺が自分で刻んだ傷のことを、更に「ちーちゃん」が、突き立てた刃のことを、覚えているのだろうか。
……何処にも行かないで、なんて。 待ってて、なんて…。 ]
そんなこと、言わないで…。
[画面へ落とす目線が、何度も何度もその文章を追った。
俺が気持ちをぶつけたことも?>>2:286 あんなに無様に縋り付いたことも?>>3:7 ]
(+103) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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[「ちーちゃん」が、俺に「すき」なんて言ったことも?>>3:113
廊下に滴る血液。 滑る感触と、鉄の香り。 紅に覆われる視界。 皮膚に沈むナイフの切っ先。
ぐらりと身体が揺らいで、何も持たない左手が己の目元を覆った。
痛い記憶、苦しい記憶、辛い記憶。 そして確かに幸せだ、なんて感じた記憶。
ああ、だけど。 それよりもなによりも、彼に成田の世界の記憶があるとしたら、それは。]
(+104) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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……―――恥ずか…しい…。
(+105) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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[麻倉はこれからこっちへ来ると言う。 俺が店番なのは前のメールで言ったから、きっと店に来るのだろう。
顔を合わせる前から、恐怖とは別に跳ねる鼓動があった。 引き結んで噛む下唇は、何かに耐えているように見えるかもしれないけれど。
これはひとえに、ひとえに。 ただただ羞恥めく、気持ちだった。]
(+106) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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[麻倉がどこからここに向かっているのかは知らないが、待っててと言うからには待っていられる時間内に来るのだろう。
己のメールを彼が受け取って、間も無く姿を現したのならば、店の左奥、レジ付近で、カウンター台に置いたスマホの画面を表示させたまま、なにやら耐える姿でも目に入ったかもしれない。
―――もっとも、そんな姿は長くてもモノの5分程度。]
(+107) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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[どちらにしても幼馴染の姿が視界に入れば、初めて中学の制服を身に纏った朝のような、修学旅行から家へ帰ったときのような。
気まずいというよりは、どこか気恥ずかしげな淡笑みを浮かべ、ひらりと片手でも挙げて、迎えるのだろう。]
…―――久しぶり?
[なんて、すぐの再会にも関わらず、懐かしがるような挨拶と共に。]
(+108) 2015/04/09(Thu) 01時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/04/09(Thu) 01時半頃
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―201X年3月24日・PM16:00・とうふのむとう(店頭)―
[一言だけのメールの返事を送ってから、たっぷり10分弱。 送ったのはたったの4文字だ。
ただそれだけなのに、不自然ではなかったか、素っ気なさすぎるか、ちゃんといつも通りに返事が出来ているかと、頭の中がぐるぐる回る。
確かに間の世界の話もしたかった。 左手首の謎も、知っていることがあるなら教えて欲しかった。
自分がそう思おうとしているように、自分の中に、夢で仕舞い込んでしまおうとしている矢先に、もしかしたら同じ記憶を持っているかもしれない彼に、話したいことはいっぱいあった。 聞きたいことだっていっぱいあったんだ。 ]
(+115) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[だけど、麻倉は左手の話をしてきただけだし、違う夢を見たと言っただけだし、「覚えている」とは限らないから。
その話を切り出した方がいいのか、麻倉に任せるべきなのか、考えていた。]
何よりも。
メールが来て、初めて気付いたのだ。 会いたいと―――思った。 ]
(+116) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[あのメールを見てしまったら。読んでしまったら。 とりあえず何もかも脇に押し遣って、麻倉の顔が見たいと願った。 だから、忙しければやめるなんて、そんな言い方は、まるで返事を待たせただけで逃げてしまいそうで。
だから一言だけのメールを返した。 とにかく来てほしかった。顔が、見たかった。
どこにも行かない。 待ってるから―――。 ]
(+117) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[店頭に、見知った人影が姿を現した。
同級生、幼馴染、クラスメイト、幼馴染。ちーちゃん。麻倉。 幼馴染、あさくらちあき、俺の大事な、
すきな ひと 。
その顔を見ただけで、頭の中はぐるぐると回る。 彼の呼び方、形容詞。関係性、ああ、なんて言えばいいんだろう。
普段よりはどこか元気のないような、困ったような。 そんな笑みを見る双眸が細まって、レジのある一角から、店頭に出た。
ほんの数センチ、高いところから此方を見る視線を柔らかく見返して、きっとそうできたのは、自分のホームであり、テリトリー内だったから。]
(+118) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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……豆腐好きだよ。
[ キミとおんなじくらいに ]
茄子よりも、ずっと。
[ キミの、ことが ]
(+119) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[成田の創り出した世界で自覚してしまった気持ちが。 間違いなくその直前までは、ごまかしごまかし抑えられていたはずの気持ちが。 今にも溢れてしまいそうだった。
どこか不自然に笑おうとした口元を見た目元は、瞬間、陰ったかもしれない。 年頃特有の気まずさからか、あんな出来事の後だからか。 彼に記憶があるのかどうかはまだ、俺には分からない。
家族やら近所やらの目があるこの場所で会えたのは幸いだった。 「仕事中」は、それなりに冷静でいられた、と自分では思うから。]
(+120) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[ああでも、このときの麻倉の唇から零れた言葉を、俺はきっと忘れない。>>+114
「 会いたかった 」
1秒の何分の1か、とにかく本当に一瞬の間だ。 その言葉が唇から落ちたあたり、だいたい彼の顎辺りだろうか、その辺を見つめたまま、間を置いたのは。
その把握できない程の短い時間で、こんなに多くの感情が込み上げることがあるんだ、なんて、どこかぼんやりとした思考が思っていた。]
(+121) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[目線がチラリと彼の手元へ注がれる。 家から買いに来たのならタッパーやら持ってくることもあるのだろうが、今日はどこかの帰りらしく、そのテの豆腐グッズは無さそうだった。
だから、パック詰めをした分の絹豆腐を手に取って、それをビニール袋に入れる。個数に指定があるのなら、その個数詰めて、気心知れた幼馴染への気軽さで、冗談交じりに厚揚げも推してみた。
いらねーよ、なんて言われるのも慣れっこだ。 だけど今日は「じゃあそれも」だか、「入れといて」だか、とにかく悪くはない反応を示すもんだから、何度か本当に入れるよ、なんて確認めいた口調で伝えて、会計を済ませる。]
(+122) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[最後に、彼が俺から視線を外した隙に。 袋へは棒付きキャンディを一本ビニール袋の中へ入れて、オマケのつもり。
渡すときに敢えて何も言わないのは、ほんのちょっとした悪戯心だった。
少しだけ触れた手の温もりは、そのまま繋いでしまいたくて、引き寄せてしまいたくて。そうできないのがもどかしくて。
一度堰切った気持ちはどこまでもめんどくさいものだと自分に呆れた。]
(+123) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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店、20時までなんだけど。それからじゃ遅い?
[本当は今すぐ話したい。 けれど、仕事はほっぽり出すわけにもいかなくて。
今はあの世界とは違うから、今捕まえなくても、ちゃんと会えるから、って、胸中では自分に言い聞かせて言い聞かせて。
彼の反応を窺いながら尋ねる口調は、自信が無さげに語尾が消え入ったかもしれない。]
(+124) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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[そろそろ夕食の買い物時だ。
商店街にも人が増えて、麻倉を満足に見送る暇もなく。 次の客の対応に追われる。
だから、彼の立ち去り様、軽く声を張ったんだ。]
……――場所、メールして。どこでも行く。
[って。
彼の反応を見る時間はなく。 答えがあったとしても聴こえなかった。 商店街のざわめきが増して、一際元気なおばちゃん軍団が、一斉に注文を口にし始めたからだ。
自宅からは父親も顔を出して、自分よりは幾分愛想よくお客さんをさばいていく。
俺はそれからチラチラと、時計ばっかり、見ていた。]**
(+125) 2015/04/09(Thu) 03時頃
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