108 裏通りの絆
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[擦ったくらいで末梢の体温はすぐには上がらない]
寒い?
[外から入って来る外気で寒いのかと。 乏しい理解で首を傾げ、棚に収められたタオルを一枚とってジリヤの肩にかけた]
ベッドに戻ってもいいよ 今夜は、君が使って、いい
[階下を指差す。 地下室に対して良い思いがないとは知らず。気の進まない素振りがあればあえて勧めるでもなく、転がった林檎を拾い上げた]
(8) 2014/01/20(Mon) 23時半頃
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そう。まあ、病気じゃないから寝てばかりは飽きるか
…
(20) 2014/01/21(Tue) 00時頃
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…
[間が。保たない。 間が保たないと思ったこと自体に困惑して、林檎を睨んだ。 いくら患者に優しいとはいっても、症状を訴えないならそのへんで適当に過ごせと言えるはずの場面。 だが、 ジリヤの顔を見れば]
リンゴ、好きか ここじゃ硬い椅子しかないし、階段を登れるなら、上、来るか? 温かいお茶なら出せる
[自分の居住空間に入院患者を入れたことはなかったのだが、そんなことを宣って。 カップを傾ける動作をしてみせて上を示した]
(21) 2014/01/21(Tue) 00時頃
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おいで
[鞄は診察室に置き去りに。 買い物の袋を抱え上げ、歩くジリヤに自然に手を貸して、壁の扉をくぐる。 赤々とした壁の色、シノワズリと気取るには賑やかで庶民的な一角を抜けて]
(お茶っ葉がたしか…)
[喫煙用のシャグが収められた薬箪笥の、抽き出しを一つ開けて小箱を取り出した。 「茶茶」で買ったビンテージものの黒茶の葉。 淹れて飲まずに燃やして煙を喫っているとは、茶屋の店主には言っていないがバレているような気もする。それはともかく、お茶なのだからお湯を注げばお茶になるだろうと考えて]
(41) 2014/01/21(Tue) 00時半頃
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― 「ロン」二階 ―
[狭い階段は手摺もない。手を引きながら先を登った。
一階部分より床面積の狭い15平米ほどのスペースに、キッチンとベッドを備えているから人の住む場所だとわかる部屋]
ソファへ
[パソコンもテレビもない。本棚にも何冊か医療書の古本が申し訳程度に立て掛けられている程度の殺風景に、 丸いラグマットが敷かれて部屋に対しては大きめのソファと、ローテーブルがちぐはぐな色合いで置かれていた。自分で買って揃えたようには見えないだろう。
オイルヒーターをつけてソファの足元へ置く]
座っていて
[そしてキッチンへ立った]
(45) 2014/01/21(Tue) 00時半頃
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[お茶の正しい淹れ方もわかっていない。 グラグラ沸騰した小鍋の中に高級茶葉を投入して、散々煮立たせた後、フォークで葉を押さえながらマグカップに注ぐという無惨な荒技を行使した。
その間に林檎の皮を剥く手つきの方は、それなりに様になっている]
[視線が気になるのか、様子が気になるのか。時々振り返っては女を見返す。 「ムーラン」に通った回数は決して少なくない。幻想的なポスターに描かれたモデルは勿論、 ステージに立つジリヤも、薄暗い客席の隅に座って見ていたことが当然何度もあるのだが、 それが今ソファで小さくなっている彼女と結びついていなかった。
化粧や髪型の違い、もある。 まとう雰囲気も恐らくは違っていて。 単にストリッパーの顔というものに意識が向いていなかっただけ、が大きいかもしれない]
(50) 2014/01/21(Tue) 01時頃
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[8等分された林檎の皿と、少なくとも良い香りと色は出ている温かいマグカップを2つ、ローテーブルにおいた]
どうぞ
[ソファの足元のラグに胡座をかいて座る。 低くなった視線で女を見上げ、フォークで林檎を刺した]
(これ、そっちでは何て言うのかな?) リンゴ、
(53) 2014/01/21(Tue) 01時頃
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[突然の大声に、驚いて小さく瞬いた]
(ど、う かしました?)
[リンゴに虫でもついていたかと、頼りない想像力を精一杯働かせて確かめるが、見当違い]
何か?
[困惑に眉根が寄る。 通訳がこの場にいれば破格の値で雇っただろう]
(77) 2014/01/21(Tue) 01時半頃
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どこか痛む?
[俯いて体を揺らすジリヤへ手を伸ばす。 まず手首をとろうとするより早く、その白い手が閃いて林檎が奪われた]
……
イイ? そうか
[なんだ。全然わからん。 調子が狂いっぱなし過ぎて麻痺して来たのか、とりあえず笑顔に笑みを返して]
好きなだけどうぞ 良く噛んでな
(80) 2014/01/21(Tue) 02時頃
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[思考放棄しながらカップのお茶を口に含んで、 苦々しい顔になる]
(変な味)
[ぽろりと口にする。淹れ方が悪かったのか元々こういう味なのか、見当もつかなかった。 ジリヤの方のカップをちらりと見て、でもやめておけとも言わず]
(84) 2014/01/21(Tue) 02時頃
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……悪い
[見下ろされて明後日の方を見た。 でも元々こういうお茶かも知れないじゃない?
しかしミナカタのカップのお茶は全く減っていない]
(91) 2014/01/21(Tue) 02時頃
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[普段飲むものといえば、水か酒か、新鮮な果物か野菜があればミキサーでフレッシュジュースを作るくらい]
[怪我人に酒は勧めない。 困った顔で、苦い色水がなみなみと溜まったカップを撫でた]*
(92) 2014/01/21(Tue) 02時頃
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っえ
[凄い勢いで一気飲みする女を口を開けて見守り、 さらに二杯目に突入すると流石におい、と声を掛けた]
(無理しなくても…って、うわぁ)
[この泥水みたいなお茶が気に入ったのだろうか。 だとすれば相当ひどい食環境で過ごして来たに違いないとかなんとか、しかし想像力の翼はレベルが足りなかった。 気持ち悪そうにする仕草に呆れたような息を吐いた]
(96) 2014/01/21(Tue) 02時半頃
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[狭い階段を降りて行く背に、暖かくして休めと声を掛け。 洗い物をするために2階に残り、そのまま夜の時間を過ごした]
[寝る前に下の様子を見に行かなかったのは失敗だったと悟るのは、しばらく後 浅い眠りを何度か繰り返して、朝と呼べる時間、煙草を巻きに一階まで降りて行った時]
…な
[部屋の隅の床で眠る女を見つけて、顔を顰めた]**
(97) 2014/01/21(Tue) 03時頃
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― 「ロン」・電話 ―
[灰皿以外には部屋主の嗜好を示すものが何もない2階で、やることがなければたいてい、寝て過ごした。 浅い眠りは物音に──正確にはPHSの電子音と救急車のサイレンにだけ敏くあるように慣れている。
現在の生活で言えば、それは裏口が開いて急患が飛び込んできた音か、医院の各階に置かれた電話の音]
……ロン。
[3コールで誰も出なければミナカタの携帯に転送される設定になっている電話を、1コール半でとった]
もしもし
[出た直後に切られることも、ひたすら無言や呻き声が続くこともある。 どうあれ、それが"患者"からの電話ならばミナカタは拒絶することはなかった]*
(141) 2014/01/21(Tue) 17時頃
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― 「ロン」一階・早朝 ―
[冬場、陽が昇るのは遅い。 時刻は朝と呼べる時間、まだ真っ暗だったから灯りをつけて、朝の一服用に煙草を巻いた。
たまたま奥の扉を開けて、裏口側の診察室を覗くのは、ダイキリのカクテル系シャグを喫いながらだった]
…な
[漏れる明りが照らしたのは部屋の隅で壁にもたれて眠る女]
(142) 2014/01/21(Tue) 17時頃
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(なんでこんなとこで)
[顔を顰め、近付いた]
ジ──…
[声をかけようと吸った息を、 細い煙に変えて吐く。
触れたら、消えてしまうような錯覚がした]
…ジリヤ
[低く囁く。 伸ばした指の先は容の良い額に触れるか触れないか、躊躇うように宙に浮く]
(143) 2014/01/21(Tue) 17時頃
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[床で寝るのに慣れているのか、熟睡している女の前でしばらく途方に暮れて]
おい
[酸味の強いダイキリで脳がすっきりしてきた頃、ようやく肩に手を掛けて軽く揺さぶった]
ジリヤ、寝るならベッドで 体を冷やすと免疫が下がる
(144) 2014/01/21(Tue) 17時半頃
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/* 雀荘が複数ある欧米…?と思って調べてみたら、
亜米利加でも欧羅巴でも麻雀は結構流行ったらしかった。へー! 役が簡略化された独自ルールとかあるんだってへー!
(-87) 2014/01/21(Tue) 17時半頃
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ミナカタは、えらくぼんやりされた。
2014/01/21(Tue) 22時頃
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いやだ?…
[逃げ場のない地下を嫌がる患者は今までもいた。出入り口を確認出来ないと落ち着いていられない人種だ。 けれど余程ぼんやりしていて張り詰めたところの薄い女が病室を嫌がる理由は、想像力に乏しいミナカタが察するにはレベルが足りなかった]
わかった。でもここは良くない 誰が来るかわからない
[暗い診察室の灯りをつければ、白々とした蛍光灯の元では女の姿は生身の人間として目に映る。 ジリヤの薄青の瞳を覗き込んで、上を指差した]
さっき座ったソファ。それで妥協できるか まだ朝まで少しあるから、暖かくして休みなさい
[ソ・ファー。ともう一度言った。伝わらなければ紙に絵でも描けばいいのだろうか]
(201) 2014/01/21(Tue) 22時半頃
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痛み止めと処置は朝飯の後な。
[ふらふらするジリヤに手を貸して、二階へ促した。 振り返って疑問を呈するらしい様子には少しばかり考えて]
君が俺の使ったシーツのままで良いなら、ベッドでも構わないが
[全然見当違いの返答をしながら階段を昇らせていく。 夜の電話で昂った神経を宥めるために煙草が必要だった、とは、たとえ言っても伝わるのは難しかっただろう]*
(221) 2014/01/21(Tue) 23時頃
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― 「ロン」二階 ―
[ところで、あのエグいお茶を二杯も一気飲みして、胸焼けとかしていないのだろうか。洗って自然乾燥中のマグカップをちらりと見た]
ここを使って
[ソファを整えて、ブランケットを出す。 ジリヤが横になるなら、うるさかったらすまないと言いおいて朝食の支度でも始めようか]
(-140) 2014/01/21(Tue) 23時頃
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― 夜の散歩へ、「ロン」→ ―
[電波ごしの乾いた破裂音>>158に、半分持ち上げていた体を起こした。
受話器を耳に当てたまま、シャツに腕を通して片手でボタンを留める。 微かに届く若い男の静かな声>>160、その話す相手の方までは聞こえなかった。
"治療が必要だと思う傷"で、"僕にも手当できる範疇"かもしれない。零されるヒントを拾って鑑別診断を考えながら靴に足を突っ込む。 場所は教会、ならば「聖ルカ」以外ない。情報屋の千里眼を躱す為に茶屋のある広い道を避けて行くなら、少しの回り道になる]
(226) 2014/01/21(Tue) 23時頃
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[カタンという音を最後に、受話器の向こうの気配が遠くなった。 電話機を操作して通話を携帯に転送し、そちらを耳に当て直す。
まだ往診を依頼されたわけでもないから、夜の散歩が助祭への貸し一つ、か]
…
[鞄を一つ持ち上げて、階段を降りた。 次のバザー用の寄附品を持っていくのだ。別に訪問が夜になったくらいでカミサマは怒るまい]
(229) 2014/01/21(Tue) 23時頃
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[隅で眠るジリヤに気付かないまま暗い診察室を抜けて裏口を開け、
いきなり「茶茶」のロゴが入った包みに出くわせば思わず息を詰めることになった>>219。 情報屋 こわい]*
(232) 2014/01/21(Tue) 23時頃
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どういたしまして
[ジリヤの"アリガトウ"に笑顔を作る。 電気はキッチンのものだけに絞ったが、外の薄明りが窓からさして周囲のものも充分見えるだろう]
[流石にお茶を淹れようとはもう思わないらしい。 オレンジを剥いてミキサーに入れ、温野菜のサラダ(茹でるだけ)を仕込んで、ライ麦パンをトースター代わりにフライパンに並べた。 時計を確認して振り返り]
…どうした、やっぱり眠れない?
[穏やかな声で首を傾げる]
(-153) 2014/01/21(Tue) 23時頃
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腹が減った?
[キッチンを示す指に、曖昧に頷く。 もう寝ないなら飯にするか。と、フライパンを火にかけてミキサーのスイッチを入れた]
(-159) 2014/01/21(Tue) 23時半頃
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(っ、と)
[高い棚から重ねた皿を出して両手に持ったところで、古くなって緩んだミキサーの蓋が飛びそうになるのを肘で押さえる。 そのうちフライパンの方から香ばしい匂いがしてきて、火力の強さで焦げる予感がした]
(まず…)
[手がもう一本あれば。 バランスの悪く重なった皿を取り落としそうになりながら、ジリヤの方へ視線を流した]
ちょ、悪いけど───火
(-160) 2014/01/21(Tue) 23時半頃
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それ。頼む
[走る動きはちらりと見えて。それほど痛みもなさそうだと判断すれば咎めはしない]
助かった。ありがとう
[どうにか焦げの運命から救われたパンに、ありがとうを返す。
それから、どうやら手伝ってくれるらしいジリヤの手も借りれば、いつもより手際よく朝食がテーブルに並んだ。 オレンジジュース、ハムエッグ、温野菜のサラダ。 簡単だがバランスの良い、ノーマルな朝食。
ただし、ライ麦パンの上にこんもりたっぷり異常な量のせられるのは、ピーナッツクリームだった。 先日ブラックマーケットでたっぷり仕入れたからしばらくはなくならない]
(いただきます)
(-166) 2014/01/22(Wed) 00時頃
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― 鍼灸医院「ロン」・朝 ―
[呼び鈴が鳴った。 クリーニング屋が仕上がった品を持って来たようで]
どうも。急な依頼ですまなかったな
[二階から降りると、いつもなら言わないような労いを短くかけて、配達のチップ込みで紙幣を渡した]
…
[中に戻ろうとして、医院の壁にいつの間にか貼られていたクリスマス・マーケットのビラに気付く。 クリスマス?あ、うちFSM教なんで。 興味がないこと砂漠のごとし、剥がして道にそのまま棄てると、洗濯物を持って「ロン」の中へ引っ込んだ]*
(270) 2014/01/22(Wed) 00時頃
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