39 幻想第四次―銀河鉄道2―
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─ 嵐の夜 ─
[その夜、海峡を繋ぐ客船は荒れ狂う波に攫われて、岬伝いの岩場へと座礁した。 酷く叩きつけられた船体は真っ二つに割れ、漏れ出した重油には火がついて、それはそれは酷い光景で。
甲板で荒波を写真に収めようとしていた男は、そのまま海に投げ出された。 酷く冷たくて、苦しくて。 水中から見えたのは、赤黒く燃える炎が、波に煌めいて揺らめく鮮やかな色…]
(+1) 2011/11/03(Thu) 00時頃
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[その船の乗客の中、救助された生存者はほんのひとにぎり。
その内の一人は、古めかしいカメラの吊り紐を、しっかり握りしめていたのだという。]
(+2) 2011/11/03(Thu) 00時頃
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…行かなくちゃ、いけないんだ。
[血の気の失せた瞼を開いたのは、何日眠った後だったろう。 何故、見知らぬ街の病院に居たのかを、理解するまでに少し時間を要した。
背負い慣れた鞄も、新しい写真を貼るつもりだったアルバムも、海の中で失くしてしまったらしい。 けれど、ずっと共にいたカメラだけは、塩水に浸かって傷んだけれど、失くさずに傍らに置かれてあった。 しっかり握って離さないものだから、服を脱がせて手当てするのが大変だったのだと、若い看護師に苦笑交じりに聞かされたか。]
なるべくすぐに、退院させて欲しいんだ。 …あいつには、もう時間がないから。
[そう、夜行列車に乗って、遠いあの街の、あいつの居る病院へ。 急いで船に乗ったのは、あいつの家族から知らせが来たから。
悪性の癌だったと。 若いが故に進行が早く、もう長くは持ちそうにないらしい。] 俺なら、もう大丈夫なんで。 行かせてもらえませんか。
(+3) 2011/11/03(Thu) 00時半頃
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[そして…
揺れる車窓を眺めながら、男の姿は夜行列車に在る。 肩には安っぽいが真新しい鞄、手元には錆びかけた古い二眼レフ。]
…あぁ、そういえば。 こんな風に汽車に揺られる夢を…見たんだ。
[地上を走る列車の窓からは、流れて消える街明かり。 それは何処か、あの星明かりに少し似ているようだった。]
(+4) 2011/11/03(Thu) 00時半頃
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─ そして、あの街の病院 ─
[顔を見るなりあいつから、アホか!?とドヤされた。
アタシより先に死んでどうすんだ、と…例の海難事故のことはどうやらとっくに伝わっていたらしい。
元々細かったけど、すっかりガリガリに痩せてしまって、自慢の赤毛も強い薬と治療で抜けてしまっていた。 それでも、ヒデェだろ?と笑いながら自分の頭を撫でてみせる姿はあまりにも明るくて、 まるで真冬の耳の痛くなるほどに寒い日の、天高くまで澄み切った青空のようだ。]
(+6) 2011/11/03(Thu) 02時頃
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…そんなんなってまで、まだ吸うのかよ。 アホか、お前は…。
[干されたシーツの林立ち並ぶ屋上で、実に美味そうにタバコを吸う姿には思わず呆れ顔。 もう、医者は何も言わないらしい。 そのことでも、やっぱり長くないんだなと実感する。]
写真、撮ろっか? 今度はあの時みたいなヘマしないからさ。
[幼い日。彼女が遠くの街へ引っ越す前の日。 小遣いと牛乳配達で貯めたお金で買った古いカメラ。
三脚を立てて、タイマーをかけて、 寄り添って撮ろうと、駆け寄るときに躓いて。
そのピンボケの失敗写真が、自分で撮った初めての写真。
あの時のように、三脚を立てて…]
(+7) 2011/11/03(Thu) 02時頃
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[カシャリと切り取られた、短いふたりだけの時間。
それがあのアルバムに綴られたのは、奇跡へのささやかなお礼だったのかもしれない。**]
(+8) 2011/11/03(Thu) 02時頃
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─ 病室 ─ [摩り下ろしの苹果は、手を付けられぬまま匙の上で赤くなってしまった。 それでも乾いた咳混じりに語られるとりとめのない話に耳を傾ける。
ほらまた、来てるぜ。と言われて窓の外を見下ろせば、黒塗りのリムジンから降りる肥え太った背広の紳士達。 彼らもまた一様に、痛ましさを装った作り笑いの仮面を被って、 冷たく白い廊下をずかずかと通りすぎていくのだ。
それを横目に彼女は、自分はさいわいだと、そう微かな声で囁く。 こんなになってから言ってもしょうがないけれど、少しだけ病に感謝していると。]
…アホかお前。 治して、帰るんだろ。
[こんなじゃなきゃ、わざわざ来なかっただろう。 死にかけてまで無理矢理来ちまうとか…バカだろうと掠れた声。]
(+13) 2011/11/03(Thu) 09時頃
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[せがまれて語るのは、あの長い夢。 とても綺麗な、汽車での旅の夢。
じゃぁ、行ったら伝えてやるよ。 うちのバカがお世話になりましたってさ。
そんなことを言う骨と皮ばかりの手を、しっかりと握りしめて…何も言えなかった。**]
(+14) 2011/11/03(Thu) 09時半頃
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[日増しに彼女の体調は悪化していった。 痛み止めが手放せなくなり、意識のある時間も短くなっていく。
眠りに落ちた細い手首を布団の中にしまってやって、中庭を見渡す窓へ向かったのは、 この時間の景色を、残しておきたかったから。]
(+16) 2011/11/03(Thu) 21時半頃
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[祈りを捧げる少女の姿に、気がつけばレンズを向けていた。
ピントルーペの向こうの景色は、隣に一人分の空間を開けるように偏っている。]
(+17) 2011/11/03(Thu) 21時半頃
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………君。
[その声も、その眼差しも、まるであの夢のなかで出会った少年にそっくりで。 けれど、長い髪とわずかに柔らかい体の線は、彼とは違うとも思えた。
きっと二枚の写真を重ねて焼けば、あつらえたかのようにしっくりとくるような、そんな気がする。 アルバムは、あの波の向こうに消えてしまったけれど。]
(+22) 2011/11/03(Thu) 21時半頃
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あぁ、そうだよ写真を。 …今の君も残しておきたい。そう思ったから。
ごめんね、いきなりで。
(+23) 2011/11/03(Thu) 21時半頃
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[あの日からこっち、無理もしてきた。 ろくに眠れない日も続いていたから、患者と間違われても仕方のないくらいにはやつれて見えていたかもしれない。 けれど、はにかむ少女に向ける視線は、いつかのように柔らかい。]
そうか。 早く良くなるといいね、君の大切な人。
俺も、君と同じでお見舞い。 家族じゃ、ないけどさ。 とてもとても大事な人。
[季節ごとに幾枚も送った、写真入りの封筒。 返信は短くぶっきらぼうな葉書一枚だけど、毎回律儀に4日後に届いていた。]
もう、長くはないんだけどね。 あいつが生きている時間を、たくさん残しておきたくて… [カメラをそっと撫でる手は、まだ冷えたまま。 現像前のフィルムは、もう7本も溜まっていた。]
(+26) 2011/11/03(Thu) 22時頃
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…ねぇ。 代わりに死ねたらよかったな、なんて…やっぱり思っちゃいけないんだろうね。
俺があの時死んでいたら、彼女の分の座席を埋めておけば、 奇跡は向こうに行ったのかな、なんて…
そんな馬鹿な事、少し考えるんだ。
[あいつの前では言えなかった、そんな胸の奥の痛みをこぼす表情は、 きっと寒い冬の日の晴れ渡る空に似た笑み。]
最期に逢えただけでも、本当は奇跡なのにね。
(+28) 2011/11/03(Thu) 22時半頃
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そうだね。
何が本当のさいわいか、なんて…考えれば考えるほどわからなくなってしまうよね。
けれど、あいつが生きているうちに逢いに来れたのは、よかったって思ってる。
[海水に浸かって傷んだカメラは、元のように撮れるか分からない。 けれど出来る限りの手入れをして、今も手元にある。
新しいのを買うつもりはなかった。 あいつとの時間を残すのは、このカメラじゃなければならないのだから。]
(+33) 2011/11/03(Thu) 23時頃
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そう言ってもらえると、少し気が楽になったかな。 還って来れてよかったって、きっと彼も…思っているよ。
[ごめんなさいと漏らす少女に、ゆっくりと首を振って。
そのまま廊下の長椅子に並んで座る静かな時間。]
(+35) 2011/11/03(Thu) 23時頃
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[駆け出す少女のその先にある姿。 二人が並ぶその様子は、何よりもしっくりと来るように思えた。]
共に在ることがさいわいでありますように。
[ファインダーの中の像は、完璧な構図。 男の指は静かにシャッターを切った。]
(+38) 2011/11/03(Thu) 23時頃
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