人狼議事


237  それは午前2時の噺。 

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【人】 墓守 ヨーランダ

[ワン!
元気な声に呼ばれて振り向けば、賢い顔をした金の毛並みのレトリーバーが真っ黒な丸い目玉をキラキラさせてこちらを見ていた。
アパートの近所に住んでいるようで、朝と夕方、食事や散歩に出ると度々すれ違う。大きな犬は嫌いでなく、なんとなく目を惹かれる内に飼い主とも金の彼とも挨拶をするようになり、彼の方もこちらを覚えてくれている。

住宅地の中の一軒家を改造した、大きなテラスのある珈琲店。店内とテラスに数席、コーヒーを楽しめるスペースが用意されていて、ウッドデッキになっているテラス席ではペットも一緒に座れるようになっている。
腹這いになり尻尾をゆらゆらと振りながらこちらを見る彼に手を振って、傍らに座るその飼い主にも会釈をしながら──

この店から生まれた作品の事を、思い出していた。]
 

(5) 2018/03/23(Fri) 08時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ


  「おかしな子だね。
   こんな死に掛け、放っときなよ。」
   顔を顰めて吐き捨てられた言葉に、私は首を振り、
  「お互い様。
   先に死に掛けを助けたのは、お姉さんよ?」
   そう笑って、ピイと小鳥の鳴き真似をしてみせる。

   あの時、お腹が空いて、空いて空いて、すっかり
  衰弱して。死告鳥の羽搏きを待つばかりだった小さな
  雛鳥に、水とパンくずを与えてくれたのは、貴女。
   身寄りのない少女を、拾って傍に置いてくれたのも
  名前を与え、生き方を教えてくれたのも、貴女。

  「お姉さんに貰った命なんだから──
   貴女に、返したいのよ。諦めて世話されて?」
   彼女を真似た皮肉っぽい笑い方でそう言えば、
  「好きにしな。」布団の中から微かな声。
 

(6) 2018/03/23(Fri) 08時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[あれも春先だったように思う。
駅前の繁華街で朝まで呑んでいたらしいふらふらの、服装と化粧からきっと店に勤める方の女性。
店主の趣味で早くから開いていたこの店の、そのテラス席にぐったりと座りながら、テーブルの上に着地してきた小鳥にサンドイッチのパンを細かくちぎって与える姿を眺めていたら、

 世界の欠伸が聞こえてきたのだ。

おはよう、と伸びをして一気に膨らんだ世界は、病を抱えた女性と不思議な少女の物語に姿を変えた。
ファンタジーめいた短い話だったけれど、似た境遇で、だとか共感した、という手紙を幾つか貰えた、自分でも気に入りの一編だ。]


 またね。

[レトリーバーに声を掛け、再び緩やかな歩みに戻る。]*

(7) 2018/03/23(Fri) 08時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[病、といえば。
珈琲店で『優しい鐘は夜に鳴る』を思い浮かべたのにつられ、もう一作品、この近くで生まれた一編が脳裏に文字を踊り始めた。

もう少し歩けば大きな建物の頭が家並みの向こうに見えてくる──「斗都良総合病院」の看板と共に。
三年程前だったか、体調不良で一時期通っていたその病院で、行く度に見掛けた二人組がなんだかとても気になって。
ぼんやりと目で追う内に、彼らの佇むその空間に、

 重なるように、世界が降った。

はらはらと静かに降り積もり、築かれていくその世界のタイトルは──]
 

(10) 2018/03/23(Fri) 18時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ


  「ほら!見てご覧よ、君。
   これで僕が王様だ!」
  「随分小さな城で満足するんだな。
   だが、お前には似合いだよ。」
   長く続く海岸に設置された、石造りの遊具。
   城を模した、滑り台の付いたアスレチック遊具は
  潮風と吹き付ける砂で塗装が剥げかけていて、この
  終末旅行で立ち寄るにはうってつけに思えた。
   滅びの王国。終わりへと向かう我々の、生きる場所。
  「一国一城の主……か。」
  「マイホームを手に入れた時には誰もが王様に
   なれたんだよね。夢があるなあ。」

   狭く細い螺旋階段を無理矢理に登りつめて
  最後の「王様」が空を眺めてそう言った。
   俺には何も言えなかった。
  ──夢の弾けた結果が、これなのだから。
 

(11) 2018/03/23(Fri) 18時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ


 『こどものくに』……。

[病院で見掛けた彼らは、不思議な組み合わせだった。
常に点滴を引いている痩せた男性は、いつも穏やかに微笑んでいて、どこか幸せそうな表情をしていて。
傍らに付き添うのは大柄で険しい表情をした男性で、不満の露な表情で、けれど患者の彼に手を貸し、寄り添い、見守るようだった。

兄弟には見えない。友人と言うにはタイプが大分違うように思えて。
会話が聞こえた事はないから実際にはどんな関係なのかは分からないけれど、病院の外の彼らがどんな景色に生きるのか、そんな些細な興味が世界を拡げていったのだ。

おじいさん、と呼べる世代のふたりの、心の旅。鮮やかな色と音を残して静止した世界を、大人の童心に導かれて巡る話。
通院が終わってからは、どうなったのか知らないけれど──彼らがまだ、静かなソファで並んで座っていればいいな、と思う。]*

(12) 2018/03/23(Fri) 18時半頃

墓守 ヨーランダは、メモを貼った。

2018/03/23(Fri) 18時半頃


【独】 墓守 ヨーランダ

/*
ホリーちゃんの「子供の表現」がとても好き。エリちゃんも可愛い。
三割方さんは死に続けるのかな……秘話にはエグイのが格納されてたりするんでしょうか。わくわく。

(-2) 2018/03/23(Fri) 18時半頃

【独】 墓守 ヨーランダ

/*
イスルギさんは(あっ……これ未読無視や……)って可哀想になるやつだけど、くみたさんには何かが起こっているのかいないのか……わくわく。

にゃんこの描写にふな〜…とデレ顔しつつ、村蕪さんの名前上手すぎで所見で噴いたことを白状します。
「村」娘 蕪(ラディッシュ) 恋(ラヴァ)だよね。
はー!ってなった。
携帯はネットブラウザ使わないメールと通話だけのガラケーにしようと思ったけど……猫生配信見たいこれ……

あと二本くらい落として深夜に行きたいんだけど時間が無くてぐわぁぁ……用事が済んだら更新まで頑張ります。

(-7) 2018/03/24(Sat) 12時頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[ゆっくりと町を歩く。

駅に近付くにつれ少しずつ賑やかで、けれど特筆すべき場所も無いような平凡な景色。けれど、そのなんでもない景色の中で、なんでもない会話が成されれば。当たり前の光景が広がれば。日常のある一点が目に留まれば。
産声を上げた世界は瞬く間に成長して両手いっぱい広げてその姿を見せ付けてくる──いつもならば。]


   どこまでが自分の子供だった?
  「全員手を繋いで!一人も零すんじゃないよ。」
   今となっては関係ない。
   自分で産んだ子も、引き取った子も、いつの間にか
  紛れ込んだ子だって、全部纏めて我が子で良い。


[大きな籠で車を避けながら公園へ向かう、保育士と幼児たちが丸ごと家族だったら賑やかだろうな、と書き始めたそれは、子供の成長と巣立ちで己を少しずつ剥がれていく哀しい母の物語になった。]

(38) 2018/03/24(Sat) 21時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[まだ探してるんだ…。

休憩がてらに昼食を、と入ったファミリーレストランのボックス席、背中合わせの隣の席で会話する声が聞こえれば、そんな呟きが胸に落ちる。]


  「また……なんなんだ、この夢は。」
   落下の衝撃は未だ身体に残っている。けれど息を
  荒らげて横たわるのは己の布団の上で、たった今まで
  見ていた光景はどこにもない。
   彼女は──暗い崖から足を滑らせたアスカは、
  助かったのだろうか。
   知りたくて目を閉じても、夢の気配は消えていた。


[婚約者が突然、失踪したのだという。
五年も前のあの時も、開けた店内で声を抑えきれずに話しているものだから、細かい事情まで耳に入ってしまったのだ。

良くある異世界召喚物。その主人公の、元の世界に残された人たちはあんな気持ちで主人公を探すのだろうか。
そんな想いが、二冊目の長編のトリガーとなった。
斗都良へ越してきてすぐの事だったけれど、どうやら彼の婚約者は未だ手がかりが途絶え、しかし諦めずに探し続けているようだった。]

(39) 2018/03/24(Sat) 21時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

 …………。

[セットのサラダをフォークでつつきながら、気持ちがずぶりと沈んでいくような気分になる。
町を歩けば幾つも思い出す、世界の生まれた瞬間の事。

きっかけだから。
フィクションだから。
真実であるはずが無いのだから。

同じ気持ちになる度にそう言い聞かせるけれど、果たしてそれで良いのだろうか。
名も知らぬ他人の人生を面白おかしく作り上げて無責任に発表している、と言われてしまえば否定はできない。モデルがあると口外したことはないにしても、だ。

その迷いが、筆を止めているのだろうか。
──などと思い詰めてしまってはますます世界を閉ざす殻は固くなるばかりなのだろうけど。]*

(40) 2018/03/24(Sat) 21時半頃

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