162 冷たい校舎村3-1
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/* いつも思うけど順調に人は減るね……(投票欄を眺めながら)
(-6) 2015/06/24(Wed) 00時頃
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─夜/教室─
バカ、ちゃんと寝なきゃ、 回復するもんも回復しないって。
[そういうことを、言った。
真っ赤な足元について突っ込まれたら、困るから、 教室に入る前、通り掛かった水道で、 秋野を待たせて、靴下は脱いで足だけ水で洗い流した。
やっとのことで帰還した教室で、 ちゃんと用意されていた寝袋>>2:328に驚く。 うちの学校、こんなのあったんだ。]
織部持ってきてくれたの?重かったでしょ。 サンキュー、手伝わなくてごめん!
[笑って感謝の印に手を合わせた、一連の表情と仕草は、 今度こそ、ちゃんと、七尾朱美らしかった、はず。]
(0) 2015/06/24(Wed) 00時半頃
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保健室、ベッドも、ソファもあるから。 女子、そっち行こうよ。ちゃんと寝なさい。
[ほら、って、女の子の、薄っぺらい背中を軽く押して、促す。 しつこくない程度に、そう誘導して、 それでも嫌がられるなら、仕方ない。]
あと、寝袋、借りるねー。
[そう言って、ひとつ。念のため、もうひとつ背負った。
学校もどうせなら、もうひとつ、 ベッドかソファを置いてくれたら良かったのに。
ベッドがふたつに、大きめのソファ。 それじゃあ、ひとつ足りない。女の子がひとり、あぶれる。 それとも、あのソファ、ふたりで寝れるスペース、あったかなあ。]
(1) 2015/06/24(Wed) 00時半頃
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[何人が同意してくれたかは、分からないけれど。 男子には、 「悪いね、譲ってもらって」って強引に話を付けた。
ほら、夜更かしはお肌に悪いよ。 とか言いながら、立ち去った教室の、 机の上。パンがまだ余っていた気がするけど、 誰も気にしないのをいいことに、 あたしも気付かないフリをする。*]
(2) 2015/06/24(Wed) 00時半頃
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─夜/教室への道中─
あー、そっかあ……
[織部も言ってたかあ、って。 考えてる、んだろうなあ。 心強いかも、とか、なんだか罪悪感もどき、とか、 込み上げるものは、色々あるけど。
返ってきた思いもよらない返答に、考えるのをやめた。]
……そっか、朝になったら、 朝になったら、そ、だよね。
[うん。それもそうかも。だって、ここは暗い。 また少し持ち直した気持ちで思う。]
(23) 2015/06/24(Wed) 01時半頃
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明日、早起きして、掃除しよーっと。
[よーし、と伸びをする。 直後、話は変わって、 叱られたこどもみたいにしょげた秋野>>12に、 少し驚いたけど、割とありがちなことなので、笑って流す。
笑って、流せた。*]
(24) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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─教室─
[しずくが素直に付いてきてくれたことに、心底ほっとする。 相変わらず、神楽に懐いているなあ、って、 やっぱり、神楽がそばについててくれたから、 さっきより、落ち着いたみたい、なんて、 耳打ちをする姿にさえ、また安堵する。
ただ、気がかりなのは、 ひな、顔色悪いよ、って、そう言うのも躊躇してしまうような、 そんな顔を、駒鳥ひなこがしていたから、 言葉の代わりに、ぽんってごくごく軽く、背を叩く。*]
(31) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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─夜/保健室─
[しずく、恵冬、ひな、芽耶。 風子がいなくなっちゃったから、それと、あたし。
ベッドがふたつと、ソファがひとつ。 教室から持ってきた寝袋も、一応、ふたつ。]
(32) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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[ひなが、ソファに入れる、っていうから、 ちょうどいいな、と思った。 毛布を借りて、寝袋とダブルで使えば、 だいぶ上等な寝床になる。
そう、思ったんだけど。 しずくが、半ば懇願するみたいに、 ベッドに入るよう促すもんだから、>>15 それを拒むのは、もっと悪いような、気がして。]
……ごめん、やっぱ、狭いねー。
[おじゃまします、ってふざけて、 ベッドに潜り込んだ、けど。 何も気にしてないぜって風に、笑ってみたけど、 華奢な身体とか、つやつやの髪とか、 そういうものがごく近くにあって、近くて、 おんなのこが、すぐ、近くにいて、]
(33) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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[あたし、おんなのこの出来損ない。 なのに、平気な顔して、みんなに混ざって、ごめん。]
(34) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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[……結局、朝まで、一睡もできなかった。*]
(35) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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─早朝─
[黙って出ていこうとして、 でも、昨日のこともあるから、 それは流石に心配させる、って。
悪いけど、しずくの肩にそっと触れる。]
……あたし、先に起きるね。
[まだねむそうな顔をしたあの子が、 ちゃんと言葉を聞き取っていたかは怪しいけれど。
できるだけ音を立てないよう、扉をすり抜けて、 朝日の差し始めた廊下を、ひとりで進む。]
(36) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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[空き教室のロッカーから、モップと、雑巾と、バケツ。 掃除用具を拝借して、再び廊下へ。
朝、明るくなったら、って、秋野は言ったけど。 これはこれで、朝日と、血溜まりって取り合わせは、 ミスマッチで、とても、恐ろしい。
と、無言で、早朝の校舎の、1階の隅っこで、思った。]
(37) 2015/06/24(Wed) 02時頃
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/* 今から3500字投下すんのめっちゃ躊躇すんだけど
(-25) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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─現在/1F─
[すぐそばに、トイレがあったから、 バケツを携えて、水道を借りて、少しずつ、水を溜めていく。
じわじわと水かさを増していく前で、 することもなく、ぼんやり、立ち尽くしていて、 手持ち無沙汰だから、スマホを手に取って、 ロック画面を解除しようとして、気付いた。
──9月X日。 昨日は?……違う。昨日が、今日だったんだ。
そう、気付いた瞬間、 鼻先を、金属の錆びたようなにおいが掠めた気がした。 さあっと体温が引いていく。どこかで、甘いバニラのかおりがする。
口の中が、べたついていた。唾が、飲み込めない。]
(66) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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────っ、
[ガン、って、小さいけど、確かにモノが床を打つ音がして、 でも、それどころじゃないから、口の中でうねる舌や、 喉のすぐそこまで込み上げる何かを、押さえつけて、 ふわふわ、浮ついた足で、少しの距離をなんとか、移動して。
それから。
どうしたってうっすら涙目になるのを、シャツで擦りながら、 レバーを押し込んで、水の流れる音を聞いて、 口の中が気持ちわるいから、ぐらつく頭で、手洗い場に戻って、]
(67) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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──あ、あーーーー、
[勢い良く水を吐き出す蛇口と、それを受け止めきれないバケツと、 そこから溢れて、床を浸す水と、その中に浸かったあたしのスマホ。
水、止め忘れたんだ。すぐに気付いて、手を伸ばす。 キツく、キツく、蛇口をとじて、一息ついて、
なんだか、でも、泣きそうになる。]
(68) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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あー、あーーー。
[言葉には、なんなくて、何やってんだろ、って虚しくもあって。
だけど、泣かない。 泣くなんて、悩むなんて、七尾朱美には似合わない。 こんなことも笑い飛ばせないあたしなんて、あたしじゃない。 思い悩むのも、泣くのも、得体のしれない何かに怯えるのも、 それは、女の子の特権であって、あたしには、ない。
ふと、顔を上げる。]
(69) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[ ──これ、誰?
あ、見つかっちゃったあ、って言うみたいに、 鏡の中の誰かが、慌ててきゅっと口角を上げた。
──ねえ、これ、誰?
どこかで、誰かが呼んだ気がした。 ふっと顔を逸らす。廊下を覗いてみる。 鏡の中の誰かも、消える。]
(70) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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─記憶の断片─
[ふわふわとした長い髪を、 ミルクティー色に染めたあの子を見送って、 美容院の主は振り返る。]
『あの子、あけみと同じ学校だって』
[挨拶すれば良かったのに、と軽い調子で言った。 なら、さっき言ってよう、と返すあたしも、 本気で拗ねてるんでも、なんでもなくて。
ただ、椅子の上で膝を抱えたまんま、 恥ずかしいから、目は合わさないで、呟いた。]
いいなあ。あたしも、髪、伸ばそうかな。
[部活を引退してから、切らずにいた髪は、 まだまだ、短くて。気の長い話だけど、と、 少しの憧れを滲ませた我が子に、母は少し困った風に笑う。]
(71) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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『お母さん、あけみは、ショートの方が似合うと思うけど』
[そっかあ。じゃあやめとこ。 って、多分、少し傷付いた声で言ってしまったから、 おかーさんは、『今年はショート、流行るわよお』って、 母親らしく、力強く、そう言った。]
うん。
[つい最近まで、読むこともなかった少女漫画雑誌に、 顔を隠すようにうずめて、答える。
うん、そうだね。そっちのほうが、いいなあ。]
(72) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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─現在/1F女子トイレ─
[床は、ちょっとした池か何かみたいに、なっていて。 しゃがんで、その中から、水没してしまったスマホを拾い上げる。
電源ボタンを押しても反応しないソレは、 たぶん、あっけなく死んでしまった、ひとつの死骸。
もう動かないのに、じっと、見つめて、いる。]
(73) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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─記憶の断片─
[スカートを折った。太ももを掠めるのがくすぐったかった。 ごついクラブバッグじゃなくて、リュックを買った。 全然、荷物入らなくて、びっくりした。
髪の毛を伸ばすのは、やめた。
バカほど明るくて、前向きで、元気が有り余ってる。 そういうのは、嘘じゃないから、とても楽で、
クラブメイトくらいしかつるむ相手がいなかった中学時代とは大違いで、 あたしは、教室にいることもできる。クラスに組み込まれてる。 野球部の変な七尾さんじゃなくて、教室でも、居場所がある。 名前で呼んでくれる女の子がいる。]
(74) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[そうやって過ごす"学校"には、中学時代とは違う楽しさがあって、
あの日も、そう。この夏の少し前。 いつものように、席の近い人と、お菓子を突っついていて、]
『プール行きたい』『海行きてー』 『受験とかもーやだ』『塾ダリィ』『遊びたいよねえ』 『でも、それにしたって』『そーそー、痩せなきゃ』
[複数人で、わいわいつくり上げる会話。 あたしも、同じように、笑っていて。 途中から、女の子が、会話の真ん中に陣取って。 あたしも、何の気なしに、同じように、言う。]
夏までに、ダイエットしよっかなあ。
[別に、それで、みんなが静まり返ったわけでも、なんでもない。 だよねえ、って言ってくれた子もいて、マジヤバイ、って、 たぶん、気にしてない子もいて、ただ、耳についたのは、]
(75) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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『おまえ、ダイエットってキャラじゃないじゃん』
[会話の隅に追いやられて、少し暇そうにしていたクラスメートの、 その、たった一言。それが、突然、突き刺さった。]
『ああ、でも七尾、ホントよく食べるよなあ』 『わたし、あんたの食べっぷり、好きだよお』 『確かに、ダイエットとか言ってる朱美ちゃんって、』
[朱美ちゃんじゃないみたい、って、誰かは言った。 わかる、って誰かは言った。だよねえ、って、誰かが言った。]
……うん、あたし、食べるの我慢とか、ムリだあ。
[また、あたしは、そう言って笑って、 みんな、だよねえって納得したみたいに、やっぱり笑った。 そのほうがアンタらしいよ、って、笑った。]
(76) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[たった、それだけ。 それだけのことで、ごめん、あたし、今、息ができない。 きもちがわるい。飲み込んだ先から、何かがせり上げる。 めんどうくさい人間でごめん。 あたしらしくなくて、ごめん。 ごめん、あたし、調子乗ってたね、って。
違う、あなたたちのせいじゃなくて、 あたし、自分でそう思う。]
(77) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[高校生になって、教室に居場所ができて、 ひとつ、新しく知ったのは、
あの日、夕焼けの下で、あたしを笑ったあの子たちには、 確かに、その権利があったのだ。あれは、女の子の特権。
だって、今こうして、あたしの隣に立つ、女の子たちは、 とても華奢な身体で、キラキラ笑って、 柔らかくって、いいにおいがして、
こうも、こうまで、あたしとは違う。 別の生き物、みたいだ。]
(78) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[たとえば、淡い色合いの下着を買うことや、 それを身につけて、女の子たちに混じって着替えること、 ムダ毛の処理について囁いたり、 生理痛が辛い、なんて誰かに相談すること。 それどころか、好きな洋服のブランドをあげたり、 ほんの少し、化粧品売場を覗くことの、
そのひとつひとつのハードルがどれだけ高いのか、 きっと彼女たちは知らない。]
(79) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[帆北はきっと、覚えていない。 それは、朱美にとって、確かに救いでもあった。 あの頃の自分を知っている人の前で、今の自分を晒すこと。 例え、その相手が、からかいの言葉を投げるタイプじゃなくたって、 きっと相手が覚える違和感や、「変わったね」という言葉を想像するだけで、 惨めさや恥ずかしさに溶けて死んでしまう。]
(80) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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[おんなのこ、といういきものになりたかった。
だけど、今のあたしは、 絶望的に得体のしれない、気持ちの悪い、、 前の無邪気な子どもにも、甘やかな女の子にもなれない、 どうしようもない、なり損ないの、半端者だ。]
(81) 2015/06/24(Wed) 03時半頃
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