218 あした、ぼくはきみになる
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[ 『幻想は、時として死神となりにけり』 ]
(1) 2017/06/10(Sat) 05時頃
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[ それは、曲のタイトルだった。 『Bloody Angel』の持ち歌の一つ。 作詞者は、奏多ではなかった。 意味がよく分からず、その人に、 その心は、と問いかけた記憶がある。
彼曰く、
『普段見えないもの。綺麗に見えるもの。 その幻想に取り憑かれてしまうと、 時に死神に命を刈られてしまうかもしれない』
そう、答えられた。 見た目に、惑わされるな……という事だろうか。 そう思いながら、歌詞に目を通した。 ]
(2) 2017/06/10(Sat) 05時頃
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[ 歌詞は、ストーリー仕立てになっていた。
かいつまんで説明すると、 幻想世界に憧れる少年。 その夢をずっと見続けて、 違う世界への扉を開いた。
……普通の曲ならば、その旅を描いて、 宝物を持って帰ったり、 お姫様を見つけたり、そんな話になるだろう。
この曲の展開は、そうならなかった。 彼は、夢を見すぎていたのである。
この曲のラストのサビは、こうなっていた。 ]
(3) 2017/06/10(Sat) 05時頃
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[ 少年は 夢を見たまま 目映い光に 包まれた
嗚呼 嗚呼 彼は知らなかった それが災いだと 言う事に
燃える炎 迸る痛み もう戻れない もう帰れない 痛みは悔いへ 悔いは涙へ 死神は笑う 『もう遅い』と ]
(4) 2017/06/10(Sat) 05時頃
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……なんだよこれ。 救いも何もないのかい?
[ なんて、作詞者の『Bloody Angel』のボーカルに、 そんな言葉を漏らした物だった。 まあでも、言いたいことは、 なんとなく、分かる。
普段起きないこと。珍しいこと。 それはもしかしたら、災いなのかもしれない。
そんな事を教訓として言いたかったのだろう。
……とはいえ、そんな曲の事なんて。 奏多は意識して思い出すこともなかった。** ]
(5) 2017/06/10(Sat) 05時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2017/06/10(Sat) 05時頃
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― 翌朝 ―
[ 夜の内に来た、メールが1通。 >>3:194 その夜は、にやりと笑ったものだった。 そうだね、金魚すくいの競争。 おもしろいかな、って思ったけれど。
財布や、昨日の地図を、 小さい鞄に詰め込んで。 まだ、甚平には着替えず、 私服のままだったけれど。
朝食を取っている間、色々考えた。 夏祭り、楽しみだな、という事、 バンドメンバーは、楽しめているだろうか、 という事。
暇ならば、キーボードでも弾いてようか、 なんて考えていたら、再びメールが届く。 ]
(31) 2017/06/10(Sat) 16時半頃
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[ そのメールの文章を見て、首をひねる。 流石に、それがナガレだと、 メールの文章からは気がつけず。
『何かがあった』らしいけれど。 何かあったんだろうか……。
まあ、ひとまず、『了解』とメールを返す。 その用事とやらが、何なのかは、 分からないけれど。* ]
(32) 2017/06/10(Sat) 17時頃
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― 外 ―
[ がちゃり、と扉を開ける。 了解のメールを受けて、彼女はいただろうか。 それとも、こちらが待ったかもしれない。
兎に角、祥子と会えたならば、挨拶。 この段階ではきっと、彼女がナガレだと 察することが出来なかった可能性が高い。 ]
おはよう。 何か、あったの?
[ 右手を挙げて、挨拶をする。 その用事までは、予想はつかなかったが。**]
(33) 2017/06/10(Sat) 17時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2017/06/10(Sat) 17時頃
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[ 彼女の格好を見て、目を見開いた。 髪の毛はただ下ろしているだけで、 Tシャツとズボンだけのその格好。
え、と疑問に思うのもつかの間。 『鴇田奏多』と呼ばれたその声で。 それが祥子じゃないと悟った。>>37
そして、続く台詞を、奏多はじっと聞いていた。]
(45) 2017/06/10(Sat) 22時半頃
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[ 最初の言葉は、謝罪の台詞だった。>>39 頭を垂れる姿と、その言葉。 ああ……一昨日の事か、と。
自分ならやれた、確かにそうかもしれない。 それでも、奏多も、祥子も、不器用だから。 間違えてしまったのかもしれない。
それを意識させてくれたのも、彼のおかげ。 それもまた、事実だった。 ]
(46) 2017/06/10(Sat) 22時半頃
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[ 話は続いていく。 そりゃあ、あの時とか、あの後は。 それを表に出すことはなかったけれど、 あの顔で、あの声で言われて、 傷つかなかった訳じゃないし、 嫌だと思わなかったと聞かれれば、嘘だ。
……でも、嫌いって感情はなくはないけど。 そうじゃない感情も、間違いなく其処にはあった。
トーンは至って真剣なものだった。 話を聞いて欲しい、そう懇願しているようだった。 ]
(47) 2017/06/10(Sat) 22時半頃
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[ 君……『ナガレ』の事が、語られる。 >>42 『入れ替わり』と、言った。浦美里の祥子と、 由良区……かなり都会らしいんだけれども。
気になったのは、初めて聞く、 『三年後』ということも。
ただ、今はそれ所じゃないようで。 流が告げた言葉。 >>43 どういうことなんだろう。 奏多にはその意味を予測することは出来なくて。
俺は、その祥子……嫌、流をじっと見つめた。 流は、俺……俺達3人に、話がしたい、と。 そして、奏多は口を開く。 ]
(48) 2017/06/10(Sat) 22時半頃
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[ 用件は、2つ。 ]
……分かった、許す。 っていうか、俺の方こそ、あの時、 いきなり振って、悪かった。
[ 2人が入れ替わっていたというならば。 一番混乱していたのは、流と祥子だと言うのに。 そして、もう1つ。 ] そんなに大事な話があるのか。 ……分かった。付き合うよ。 那由太はたしか、此処の海に行くって言ってたな、 確か……。
[ 結城はどうだろう。 急を要するならば、メールじゃ心許ない気もするし。 *]
(49) 2017/06/10(Sat) 22時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2017/06/10(Sat) 22時半頃
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[ 彼が流を許すと言ったのは、 流もまた、自分に何らかの変化を、 与えてくれたと思ったから。
嫌、端から見れば本当に悪くないのかもしれない。 それでも、人のせいにだけする事は、 鴇田奏多はしない性分だったからか。 ]
まあ、俺が祥子になっても、 きっと大変な思いすると思うし。
[ あんまり気にするな。 この件は、これでおしまいにしよう、 と、奏多は言っただろう。 ]
(53) 2017/06/10(Sat) 23時半頃
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海に行ってるなら、 直接行った方がきっと早い。 高校駅についてからだと遠いし、 海潜ってるならスマホ触れないし。
[ そう言いながら。 彼が行くならば、まずは。 海に行って、那由太を捜そうか、と提案。]
結城は、ちょっと分からないな。 電話してみる。出なかったら、 メールを送るしかないか。
[ そう言いながら、スマートフォンを操作する。 ]
(54) 2017/06/10(Sat) 23時半頃
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[ 彼女が電話に出た場合は、電話で。 出なかった場合も、メールで送る。
緊急の用事であることと、 結城の現在地は何処かということ、 そして、最後に、 『ナガレ』が現れて、話がしたいと言う事。
それを電話で話した、もしくは送信しただろう。 *]
(56) 2017/06/10(Sat) 23時半頃
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海は、そこそこ距離はあるけれど、 そうだな、走ったら20分くらいかな。
[ >>1:55 そう言いながら、流を案内する。 近い……とまでは行かないけれど。 でも、其処にきっと、彼は居ると思う。
地理が分からないとの声に。>>60 大丈夫、案内するから、と。 *]
(65) 2017/06/11(Sun) 00時半頃
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― 道中 ―
[ その道の途中で。彼女のメールが届く。 それを見て……俺は溜息をついた。>>64 ]
重要な事がある、って言ってるのに、 ……伝わってないのか?
[ 渡された内容に、そう告げて。 『バイトに行く途中、ヘルプが入った』。 そんな内容が書かれてあった。 ]
商店街の喫茶店。 ……バイトしに行くってさ。 多分、ウェイター。
[ そう、伝えて。どうする、と彼に。 *]
(66) 2017/06/11(Sun) 00時半頃
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[ ……渋い顔を浮かべていると。 そうか、と流は言った。>>67
……もしかしたら、と奏多は思う。 あの場では何も言わなかったけれど、 もしかしたら、流の件を、 他人事、とか、本気にしていないのかも。
……それにしても、変だな。 重要な事がある、って言ってるのに。 ]
(79) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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[ 『俺一人で行く』、と、流は言う。>>68 此処からは、海まで自分で歩くらしい。
バイト先に行ってしまう前に、捕まえろ。 流はそう言った。 >>69 二手に分かれる方が、効率が良い。 確かに、その通りだ、しかし、那由太の方は?
その疑問も、流の台詞によって、 『大丈夫だ』 との事。 ]
本当に?……じゃあ、海の方は、任せるけれど。
[ そう告げて。]
(80) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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[ 『夜になったら、不味い。』 >>70 流は、そう言った。 其処まで、急いでいる意味も。 どこか、焦っているようにも、見えた。
『三年後から来た』 その言葉も、頭に引っかかっていた。
彼は、一体。何を見たのか。 その疑問を口にしようとした瞬間。
彼から、言葉が、発せられた――……。 ]
(81) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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[ 彼から、告げられたのは。
この町の、未来の姿。
それは、なんとも残酷なもので。 >>72 >>73
流星が落ちた、この日に。
浦美里町は、滅んでしまったというもの。
それを聞いた奏多から最初に発せられたのは。
『否定』ではなかった。
しかし、『肯定』でも、なかった――…… ]
(82) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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ハァ……、 ハァ、ハァ……!!
[ 何も、喋れなかったのだ。 呼吸が、荒くなり、一気に苦しくなる。 酸素が、足りない。息が、出来ない。
生まれ育った、この町が、 隕石によって、今日、壊滅する。 そんな、ことって――……。
立ちながら、両手で頭を押さえる。 肩を掴まれ、必死にバランスを取る。>>74 彼がそうしてくれなければ、 そのまま、倒れてしまったかもしれない。
流もまた、必死だった。 その必死さが、『真実』である事を肯定し、 『どうでもいいこと』であることを否定していた。 ]
(83) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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……――はぁ……、ふぅ……。 うん、大分落ち着いてきた、大丈夫。
[ しばし後、そう、流に声を掛ける。 未来から、これを教えるために来た、流。 これを俺に教えられた理由。 ……それは、一つしかなかった。
このままでは、沢山の犠牲者が出る。 みんな、死んでしまう。 それを……その、未来を、変えるため。 だんだん、理性が働いてきた気がする。 ]
(84) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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……本当、なんだよね。
[ その言葉を、改めて言葉にする。 それは、確認するように。
……結城や、那由太。 母や父、クラスメートたち。
……嫌、祥子ならば、町の誰一人、欠けても、 きっと恐ろしく悔やむだろう。 そうだ、そうなんだよ。 今、一番辛いのは、これを待つしかない、祥子なんだ。]
……分かった。結城を見つける。 そして、説得するよ。 祭に来てる人も、そうでない人も。
[ 事態が分かっていて、犠牲者を出すなんて。 俺だったら、それこそ激しく後悔すると思うから。 ]
(85) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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[ 海までの道を教え、 祥子に必要になるかもと昨日の地図を手渡す。 ]
……また後で、会おう。
[ その約束をしたのは、どの場所だったか。 もしかしたら、この場ではやらなかったかもしれない。 兎に角、彼を見送り、自分は、来た道を戻っていく。 *]
(86) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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― 行く道 ―
[ 流とは別の道を、ダッシュで走っている。 『バイトに行く』、と彼女は言っていた。 そもそも、メールを送ってきたと言うことは。 彼女はスマホを持っているものだと、思っていた。
だから、走りながら、改めて電話をした。 きっと、繋がるだろうと思っていたのに。
何故だ。 何故?
5回かけても、6回かけても。 『電源が入っていないため、かかりません』 その音声が耳に入るだけ。
……おい、何やってるんだよ、結城! ]
(87) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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[ ……そうだ、と立ち止まる。 バイト先に行く、って事は……。
奏多はスマホで検索をかけていた。 勿論、彼女が働くバイト先の喫茶店 もしかしたら、そこに電話が載っているかも。 たしか、『喫茶店 meteor』って名前の店……
予想は、当たっていた。 喫茶店のwebページ。そして……。 ちゃんと、載ってあった。電話番号。 ]
(88) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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[ 奏多は必死で、その電話番号に電話をかける。 ]
……もしもし? あの、もしかしたら、そちらに、 結城美風さんが、いらっしゃいますか?
はい、俺、彼女の友人です。 鴇田奏多って言います。 緊急の用事があるので、彼女がもし来ていたら、 繋いで頂けると、嬉しいんですが……。
……へっ? 今日は、シフトはない? いや、先ほどメールで、バイト先に向かってるって。
[ 混乱する、奏多。 一体、どうなってるんだ? ]
(89) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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……そう、ですか。 彼女は今日は、店には来ない……って。
[ おい、結城。 なんでそんな、嘘ついたんだよ? ]
分かりました、あ、あと。 今すぐに、店や客の方に伝えて下さい。
この町に、隕石が降ります。 一刻も早く、その場から避難を……
って、あ!!
[ 一番大事な事だったのに、切られてしまった。 そりゃあ、悪戯電話かと思うかもしれないけれど。 ここまで本気のトーンだと、察するだろ、普通!]
(90) 2017/06/11(Sun) 03時頃
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