181 アイスソード伝記
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我は佇む 冷えにし暗き雑木林に 冷たき水は密やかに 森の間に間に流れ行く
見よ あれは遠きひかり 一振りの剣の放ちし 祈りの氷の その行く末の水は 星を映して 暗く輝く
─── 無名詩歌集 第1集「アルビオン」より抜粋
(6) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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■西暦789年
ウィリディス領主、アルフレッド・ウィリデ、 武器商人よりアイスソードを購入す。
(7) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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アルビオンという土地がある。 湖沼の多い湿地帯として知られるこの土地は、 かつてウィリディスと呼ばれていた。
ウィリディスとは即ち緑、或いは緑の園とでも訳せようか。 土地の規模は然程大きなものではない。 大きさといえば人の足でも一昼夜、 馬で駆ければ更に短く日のあるうちに抜けられるほど。 三方を山に囲まれ、西の一方は広く開ける平地である。 山間を道が通っている。三方への近道だ。
この土地を、ヴェリデと名乗る一族が治めていた。 この小さな土地に、危機が迫りつつある。
(8) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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ヴィリディスの北側は、山というには少し低い丘である。 この北の向こうを迂回して、東西に大きな街道が通っている。
アルフレッドがヴィリディスを治める当時の八世紀後半、 西の領主アウァールスが、北の地を攻め取った。 アウァールス家は、これまでも度々ヴィリデ家と干戈を交えている。
これを機にヴィリデ家を滅ぼしヴィリディスまでも攻め取れば、 アウァールス家は一気にレグルス地方の大領主となり得るだろう。 アウァールスは、ヴィリデを攻め滅ぼすことを決意した。
(9) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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────この剣は、氷を生む剣である。
そんな売り文句と共に、アルフレッド・ヴィリデの元に アイスソードが齎されたのは西暦789年のこと。 この年代は近隣との戦闘の記録から見て、 ほぼ間違いないと見て構わぬだろう。
兵力に劣るヴィリデにとって、アイスソードの力は天恵だった。 ヴィリデは、この年から翌年にかけて続く幾つかの戦闘に勝利する。
(10) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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アイスソードの齎した戦力は著しかった。 ある戦いにおいては、剣は敵兵の一群を凍らせたといい、 ある戦いにおいては、なんと街ひとつ分の地を氷に閉ざしたという。
敵わぬと見たアウァールスは、ヴィリデに和平を申し出た。 これより、西暦973年にヴィリデが滅亡するまでの184年間、 小競り合いはあったものの、ヴィリディス平地は、 ヴィリデ家の治める地として平和を享受することとなる。
(11) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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西暦790年。 アルフレッドは一連の勝利を喜び、アイスソードを家宝と定めた。 剣は女の姿へ変化し、人語を解する能力を有していた。 アルフレッドは剣を手に取り、宣言した。
汝の名をオーレリアと定める、と。
以後、アイスソードはオーレリアと呼び習わされることとなる。 アイスソード「オーレリア」の始まりである。
(12) 2016/01/20(Wed) 17時半頃
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■西暦789年
ウィリデ家当主、ブルーノ・ウィリデに第一子誕生。 子を、サイラス・ヴィリデと名付ける。
(25) 2016/01/21(Thu) 01時半頃
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[ヴィリデ家には代々伝わる風習がある。 よってこの時も、そのようにした。
幼子を抱いた当主ブルーノが、剣を手にしている。 オーレリアと呼び習わされるアイスソードは、 常は人の姿でいることが多い。
それはその方が家人にとって便利で馴染みやすいからであり、 剣の柄を誤って握らぬよう─── 即ち、迂闊に主が変わってしまわぬようにとの配慮でもあった。
剣の主の移行は「柄を握る」その一点によるものである。 古来これは変わることのない、アイスソードの「習性」であり、 かつて学者のサイモン・ガラハッドがアイスソードを従わせた理屈もこの理による。]
(26) 2016/01/21(Thu) 01時半頃
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[ともあれ、戦場の外に於いてオーレリアは主に「人」であるのだ。 それが例外的に剣の姿を取る時がある、そのひとつが子の誕生だった。
ブルーノが剣の柄を握ったまま、幼子の手をそれに添えさせる。 風習通りに小さな手を剣の柄に触れさせて、当主は重く頷いた。]
(27) 2016/01/21(Thu) 01時半頃
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オーレリアよ、これが我が子サイラスである。 この子がいずれ、汝が主となるであろう。 この子の行方に祝福あらんことを。
… 守ってやってくれ、頼むぞ。
(28) 2016/01/21(Thu) 01時半頃
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[幼子が小さな指を剣に触れさせながら父を見上げる。 その目の先にある父は、氷を纏う剣に視線を注いでいた。 彼のまなざしの色は物思わしげに深い。
サイラスは、ブルーノが年を経て漸く儲けた子であった。 いずれこの子は、己よりも若くして主の座を継ぐだろう。 その時に、彼をいかな運命が待ち受けるか。 平穏なれとの祈りは、いつの世も変わらぬ親の情であったろう。
幼子の笑い声が無邪気に響いた。 神ならぬ人の目に未来の姿が映ることはなく、 幼子の掌には、今は未知の可能性のみが*握られている*]
(29) 2016/01/21(Thu) 01時半頃
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■西暦956年
ウィリディス平地西方領主アウァールス、 近隣アウストラリスへと侵攻、攻略す。
戦闘に炎を操る「エア」が用いられたとの情報あり。 アウストラリス村落並びに城下を焼く炎が、空を赤く染めたとのこと。
(33) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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[西暦959年。サイラス・ウィリデ9歳である。 この年のウィリディスは良く晴天に恵まれていた。 作物は良く実り、領民たちの顔は穏やかである。
ただ、気になる話もあった。 ある夜、南に程近い地に暮らす民が空に妙な輝きを見た。 暁には未だ時がある、にも拘らず空が赤く明るく染まった。 焦げ臭い匂いが風に乗って、ウィリディス平地にまで漂った。
数日してことの次第は判明した。 南から、命からがら逃げ出してきた人々があったのだ。 ウィリデの人々は、彼らを労わり迎え入れた。 そしてアウァールスによりアウストラリスが滅ぼされたとの報は、 瞬く間にウィリディス領内にも広まっていった。]
(34) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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[ある日、サイラスはオーレリアと共に城の中庭にいた。 城外のきな臭さは、未だここまではやって来てはいない。 今この場には、常と変わらぬ温かな日差しがあるばかりだ。
オーレリアは、こうして良く遊び相手に引っ張り出される。 今も昔もその前も、代々ずっとこうしてきた。
ある時は子どもの遊び相手や剣の稽古に引っ張り出され、 ある時は当主の妻や母の話し相手に引っ張り出される。 「彼女」はウィリデの人々にとっての「家宝」であり、 また、「家族」でもあった。
本性は人ならぬ剣であり、ひとたび振るわれれば 恐ろしい威を振るう古代の遺産と頭では、皆分かっている。 それでも人の形で言葉交わせば、 人のように扱ってしまうのもまた自然な流れでもあったのだろう。]
(35) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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レリィ。
[二人きりの時、サイラスはオーレリアをこう呼んでいた。 最初は意図してのものではない、 単に子どもの口が回らなかっただけの話である。 けれどある日、サイラスはオーレリアにこう言った。]
(36) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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お前はお父様からも、お爺様からも、 その前の前のずーーーっと前から、 オーレリアって呼ばれているんだろ?
なら、俺はお前のことをレリィって呼ぶ。 俺だけがそうやって呼ぶ。 そうすればお前は俺に呼ばれたって分かるだろう!?
[そう言って、少年は得意げにどうだとばかりにオーレリアを見た。 それは少しばかりの、承認欲求であったろう。 子どもは彼女に、”一人の”自分を認めて貰いたかったのだ。 けれどこの時、そこまでの意識は彼の頭に浮かぶはずもなく、とまれこの時から、サイラスはこっそりとオーレリアをレリィと呼びはじめた。]
(37) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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─ ウィリデ城中庭 ─
…… っ、休憩!!
[その日サイラスとオーレリアは、 城の中庭で練習用の木剣を打ち合わせていた。 正確には、サイラスはオーレリアに剣の指導を受けていたのだ。
かんッ!と幾度目か、高い音を立てて木剣を弾かれて、 少年は息を弾ませ声を上げた。 そのまま、その場にどさりと腰を落とす。 見上げた先には息も切らさぬオーレリアの姿がある。 うぐぐ。と、悔しげに少年の口元が歪んだ。]
(38) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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ずるい。
[軽く口を尖らせ言って、唇をへの字に曲げる。 見上げるオーレリアの姿はいつものように変わらず綺麗で、 息も切れなければ汗も無論かいてはいない。 髪だって乱れていないように見えて、負けた少年は軽くいじけた。]
(39) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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レリィは強いなあ、ちっとも勝てないや。
[はあ。と、息をついて手を地面につき、空を見上げる。 やがてオーレリアが傍らに来れば、そちらへと顔を向けた。 少年の最近の成長は著しいが、未だ彼女の背を追い越してはいない。]
もう少しだと思ったんだけどな。こう…
[くいっと手首を捻って考える。 なんのかのと言って、オーレリアと剣を合わせるのは嫌いじゃない。 ぶつぶつと言って、傍らを再び見上げた。 静謐な湖を思わせる、青い瞳と視線が交わる。]
(40) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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──── レリィ、オーレリア。
[ふと、名を呼んだ。 響きを味わうように名前を呼んで、 じいっとその瞳の色を見つめる。]
お前、夢はあるか?
[脈絡もなくそんなことを聞いた。 見上げる瞳の色が青い。その向こう、空の色も青い。 青を映すサイラスの瞳も、また空と同じ青色だ。]
(41) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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俺はあるなあ……ずうっと!!! ずーーっと向こうに行きたい。海が見たい!
レリィ、お前、海って見たことあるか?? こないだ商人が話していたんだ、海のこと。 お父様に聞いてもお母様に聞いても、 乳母に聞いても誰も海を知らないんだ。
だから俺はいつか、海を見に行きたい。
外に出て、ずうっと広い──…
[ぱっと空に向け、両手を広げた。 広い空、その視界は今は城壁に隅で区切られている。]
(42) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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お前も行こう、俺と一緒に! 俺はいつかお前の主になる。だから、
[そうして言葉を切り、同意を求めるように笑顔を向けた。 笑みのまま軽く首を傾げて、言葉を促す。]
レリィの望みも、俺がかなえてやる。 お前の夢を。 それにしても、……
(43) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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あーあっ!!
[広げていた両腕を伸びをするように伸ばして、 ばたりと後ろ向きに地面に倒れる。]
喉が渇いた!!!!
[わがままを、思い切り空とオーレリアに向け宣言した*]
(44) 2016/01/21(Thu) 16時半頃
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あ、…───レリィ?
[地面に仰向けにひっくり返っていた少年は、 やがて水を持って来てくれた娘の姿に身体を起こした。 コップを受け取らんとして伸ばした手の動きが止まる。
水を差し出そうとして動きを止めた娘に倣うようにして、 動きを止めた少年の空色の瞳が彼女>>52へと向けられた。]
(60) 2016/01/22(Fri) 00時頃
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[そうして語られるのは、昔の話。 サイラス自身が覚えてもいない、古い話だ。
ちいさな手が。と言われて、 何となくコップを掴む手へと視線が向いた。 ほっそりとした娘の指がコップへと添えられている。 それに伸ばした自分の手は、未だちいさい。
小さいけれども決してひ弱な細い手指ではなく、 やがて父のように厚く大きな手になるだろうと──… 彼女がそう言うように、少年自身もそう信じていた。]
(61) 2016/01/22(Fri) 00時頃
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[変わらないのは。
ふと、思う。 彼女がヒトを不思議という響きに映すようにして。
ヒトの変化をオーレリアは不思議という。 けれど人にしてみれば、変わらない彼女こそが不思議だ。 不思議だと思うと同時、心に落ちるものがある。
それはささやかな欠片であり、 その時それは心の隅を僅かに撫で、音もなく流れ落ちた───]
(*28) 2016/01/22(Fri) 00時頃
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[手に、コップの重みが加わった。 彼女の手が離れたを知り、手が緩やかに引き戻される。 けれど視線はそこに落ちることなく、 僅か傾けられた剣の娘の顔へ真っ直ぐと向けられたまま>>56]
…────。 うん。
[語られる、その言葉に。 どこか誇らしげに「ウィリデ」のオーレリアを名乗る、その声に。 少年もほんの僅かに背筋を逸らして、胸を張った。 彼の耳にはそれが彼女の夢に───誇りに聞こえた。
淡く胸のうちを満たし行くものがある。 暖かく溢れ、少年の頬に笑みを浮かべさせるそれは、 言葉にすれば誇らしさ…主たらんとする誇らしさと、喜びであったろう。]
(62) 2016/01/22(Fri) 00時頃
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連れて行く!
[だからそれだけ、誓いのようにきっぱりと口にした。 そうして一気にコップの水を飲み干した。 剣を振るった疲れは今や爽やかに身体を熱で満たして、 喉を駆け下りる水の冷たさに、少年はまた楽しげに*笑った*]
(63) 2016/01/22(Fri) 00時頃
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水よ映せよ 鏡の如きその水底に かつて栄えし 夢の姿を
暁よ 時を照らせ 夢の在り処を 光のままに知らしめよ 夢と昼の狭間に 我はただ立ち尽くすのみ
─── 無名詩歌集 第1集「アルビオン」より抜粋
(64) 2016/01/22(Fri) 00時頃
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