181 アイスソード伝記
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──目覚めた日の夜にオアシスのほとりで聞いたのは、 引け腰の男が野党の一団に"私"の刀身を向けて、 がくがくと怯えながらも、「逃げろ」と繰り返す声でした。
(-0) 2016/01/20(Wed) 08時半頃
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夜のオアシスに、男の声が響いている。
(*0) 2016/01/20(Wed) 08時半頃
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■西暦786年
スタルト砂漠のアーエール遺跡から、 氷を操る力をもった剣が発掘される。
(1) 2016/01/20(Wed) 09時頃
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──その剣の発掘者の名前は、サイモン・ガラハッド。
かつて最初の魔法武器「エア」が発見された遺跡で 古代文明の風俗について研究していた考古学者だった。
(2) 2016/01/20(Wed) 09時頃
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発掘後に初めて迎えた新月の夜。 虎視眈々と遺跡の財宝を狙っていた野党の一団を撃退。
サイモンが拠点にしていたオアシスがひとつ 盗賊の一団もろともに氷づけとなった。
(3) 2016/01/20(Wed) 09時頃
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剣の助けを得て、命からがら逃げ延びた サイモン・ガラハッドは砂漠の端の町にて、 キャラバンの商人たちにその剣を売った。
学者である彼にとって、過ぎたる力は 危機を呼び込むものと思われたか。
訳は定かではなけれど、剣は小さな武勇伝と共に 武器を商う者たちの手に渡った。
(4) 2016/01/20(Wed) 09時頃
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史上に初めて残された逸話から、その一振りは 「アイスソード」と呼ばれることになった。
(5) 2016/01/20(Wed) 09時頃
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[月のない空には、星がさんざめいていた。
地上にある灯は学者の男が足元に置いたカンテラがひとつ。 その明かりを受けて光るのは刃たちの研がれた曲線と、先ほど出現した人の身の丈を超える氷柱だった。
かつては砂漠の湧き水であったその氷柱は、しかし厚さを物語るように青みを帯びていた。壁面ばかり場違いに、きらきらと橙の明かりを乱反射している。]
(*1) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[その内側には、驚いた顔をした男がひとり、 瞬間をきりとったように閉じ込められていた。]
(*2) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[「逃げろ!」と繰り返し怯え混じりに響く声は、徒党を組みやってきた襲撃者たちに向けられる。 目は見開かれ、息も荒く、性分には合わぬことをしている緊張が見通しの悪い夜にも呼気の震えとなって現れていた。
そうして砂漠用の長衣を身に纏った男の手には、頼るように縋るように、細身の鋼の刀身に、透き通る氷の刃を纏いつけた一振りの剣が握られていた。]
「む、無益な殺生は、し、したくない。 お前らもああなりたくないなら早く逃げろ!」
(*3) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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["ああ"と指示語で氷柱に閉じ込められた襲撃者を示しながら、瞬時に氷柱を出現させた男は、唾を飲みじりじりと後に下がった。
一方、覆面をした砂漠の盗賊らは、氷柱に閉ざされた仲間と男を見比べ、互いに視線を見交わしあう。]
(*4) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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「──そいつをおいてってくれるんなら、 アンタに貸した金はチャラってことにしてもいい」
[やがて、頭領と思しき男が一歩、男──サイモン・ガラハッドの前へと進み出た。]
(*5) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[カタカタと剣先が震えているのは、その氷剣が纏う冷気故のものとは見えなかった。]
「あ……あんなものは、お前たちが か、かか勝手に押し付けてっ」 「だが、その金を使ったのはあんただろ」
[双方共に構える武器に視線を向けたままの会話は、張り詰めた空気で肌が切れそうにも感じられた。]
(*6) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[「仲間をやってくれたことは見逃すって言ってんだ」と、襲撃者たちの中心に立つ男は続けて言った。
相手は弱腰だ。脅せばいうことをきくはずだ。
或いは震えて見える学者の男にそう判断を下したか。豚の腹ぐらいならすんなりと両断しそうな刀が僅かに上下に揺らされる。 報復と名づけられる暴力をちらつかせて、盗賊の男は言葉を区切った。]
(*7) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[──結果から逆算すれば、盗賊らの判断は誤りだったと言える。
或いは、暴力を傍において暮らすが故に、交渉に置いて恐怖の暴発がおきるタイミングを計り間違ったのかもしれない。
もしくは、学者の男にとって命綱となっていた剣を手放せということが、どのような拒否反応を引き起こすかを想像できなかったか。
または、学者に掘り当てられた剣が持つ能力を侮ったか。
理由は組み合い、混じりどれとも言えず、ただおそらくは望んだ結果と穏便さから彼らを遠ざけた。]
(*8) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[ひとつの可能性として、男が剣の扱いに長けていたなら、また別の結果に辿りついたのかもしれない。
ただ、不幸なことに資金難の考古学者の男が専門としていたのは、あくまでも古代の風俗についての調査であり、世でもてはやされる魔法の武具──まとめて「エア」と呼ばれるものついての研究ですらなかった。]
(*9) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[人を傷つける力を奮うことに慣れない男の脳裏に木霊してしたのは、襲撃者への恐怖と思わぬ力を手に入れたことへの動揺が多くを占めて響いていた。
"どうしよう どうしよう どうしたら" "この剣を手放して、本当に見逃してもらえるのか?" "どうにか どうにか 逃げたい"
そう口は出されぬ言葉がぐるぐると心内で回る。]
(*10) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[そうして、本来誰も耳にすることはないはずの言葉を"聴き取り"]
"にげられればいいのですか"
[応じる声はサイモンのものと同じく、男の脳内にだけ響いた。]
(*11) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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"私はあのひとたちをとめれば?"
(*12) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[──そう彼へと発した言葉がどういう効果をもたらしたのか、 正確なところは、私にはわかりません。
ただ覚えているのは、いちもにもなく 彼が頷いたということでした。
"助けてくれ"、と。]
(*13) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[──そうして"指示"を、得た剣は、幽かに了承の意を示すように震えると、その言葉と同時に、夜の空気を急速に冷えこませた。
そのときかたかたと鳴る歯の音は、 寒さ故かそれとも別の畏怖だったか。]
(*14) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[その新月の夜に、スタルト砂漠からは ひとつのオアシスが消え、 代わりに氷の柱を取り囲むように 人の姿をした氷像が、増やされた。
──それがとある剣が、 初めて力を奮ったある夜のお話です**。]
(*15) 2016/01/20(Wed) 17時頃
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[西暦790年、春。
ヴィリデの城にある広間の床に、 高い窓から陽光が差し込んでいた。
敷かれた緑の絨毯の上にも落ちた明るい光は 濃い緑を萌える若葉色に見せている。
広間には尖らぬ静けさが満ち、そこに居並ぶ並ぶ者たちの上にたゆたっていた。]
(13) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[その日、広間に列席した人間たちは いずれもヴィリデ家に関わる者たちであった。
その人間らの視線は、敬意を故とする 柔らかな静謐さをもって、一様に奥へと向けられている。
開かれた両開きの扉のその奥、列席者たちの視線の先には、 壇になった床に立つ領主の姿があった。]
(14) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[そうしてその領主アルフレッド・ヴィリデの一歩手前では、 白金の髪を持った少女がひとり、 祈りを捧げるように手を組み膝を折っていた。]
(15) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[黒の衣装を纏ったその娘姿へと剣を取る男の手が伸べられる。
祈りを捧げるように面を伏せていた少女が、 緩やかに顔を上げる。]
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[一見すればおとなしやかな青い瞳に、 髭を蓄えた領主の姿が映った。]
(16) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[二度、髪と同じ色の睫で縁どられた瞼がまばたいた。 祈りを捧げていた白い手が、新雪の表面に跡をのこさぬ静かさで、剣だこのある掌に乗せられる。
凍った湖面を思わせる目が、 瞼の奥の瞳を見止めて、 少女はゆっくりとひとつ頷いた。]
(17) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[瞬間。膝をついていた娘の姿が ふ。と空気も揺らさずに掻き消えた。]
(18) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[そして消えた姿と入れ替わりに、 その場に現われたるのは、 領主の手に握られた、細身の長剣だった。]
(19) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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[氷を纏いつけぬ剣を片手で掲げ、ヴィリデ家の当主は、 朗々とよく響く声で宣言をした。
汝の名をオーレリアと定める、と。
命名の言葉が春の日差しに暖められた城の広間にしんと染み入る。]
(20) 2016/01/21(Thu) 01時頃
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