248 冷たい校舎村6
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少女 Aは、メモを貼った。
2018/08/30(Thu) 00時頃
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[ 庄司さんが握り返してくれた手を>>4:+65 こちらもぎゅっと握ります ]
庄司さんは人をよく見ていますし 人の気持ちを救うのがお上手ですから 看護師とか向いているかもしれませんね。
[ そうして歩いていると、病院にすぐ着きました ]
(+0) 2018/08/30(Thu) 10時半頃
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[ 病院の前にどなたかがおります。>>4:+44 わたくしはそれをじっと見つめます ]
弓木さん? ごきげんよう。 中に入らないのですか?
[ 声をかけながら無意識に 手に少しだけ力が入ってしまいました ]*
(+1) 2018/08/30(Thu) 10時半頃
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[ 予想外に傷付けられたとき 攻撃してきた相手をカテゴライズして それ以外の人間は安全であるのだ と 壁を作るのは一種の防衛本能である。
本来であれば他人など、その腹の中で 何を考えてるか一切分かることなどなく 信用出来るはずもない というのに 世界がやわらかく優しいものだと信じた人は 真実に気付いた際に殻に閉じ籠る。
英司はそれらに腹が立つのだが 罪は無いのだ と理解していたつもりだ。 無口である英司が声に出したのならば 救われる人間も居るのであろうか。 ]
(+2) 2018/08/30(Thu) 15時頃
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[ 或いは罪の無い人間など 存在しないかもしれなかった。 ]
(+3) 2018/08/30(Thu) 15時頃
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[ 手の中の缶というものは あっという間に冷めていき 舌の上に甘ったるさのみが残る。
少しずつ聞こえてくる女たちの声は>>+0 途中で 落花 と 夜子 のものだと思ったが 楽しささえ含みそうな音に瞼を閉じる。 ]
…… うるせえ
[ 放っておけ と、全ての神経を集中させて 怒鳴らないように努めた。* ]
(+4) 2018/08/30(Thu) 15時頃
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[ やはり弓木さんは怒っていらっしゃるというか 不機嫌に感じます。 わたくしの態度が不快でしょうか。 でも震えたりおびえたりしてしまうのは 自分でもどうしようもないのです ]
外にいると冷えますから、 風邪を引かないようになさってくださいませ。 わたくしはなかにおりますから何かありましたら。
[ 空木さんのことを口にしたら 思い切り機嫌が悪くなりそうな気がしまして、 わたくしはそれだけいって、 そそくさと病院の中へと入りました。
暖かな内部にほっと息をつきます ]
(+5) 2018/08/30(Thu) 17時頃
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[ 看護師さんを捕まえてお聞きして、 手術室の前へとやってまいりました ]
安藤さん、黄楊さん、ごきげんよう。 空木さんのご様子は…?
まだ、皆様あちらにいらっしゃるのでしょうか。 全員でご無事に戻られるとよいのですけれど。
[ お二人から少し離れて、 わたくしは壁にもたれかかりました ]*
(+6) 2018/08/30(Thu) 17時頃
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少女 Aは、メモを貼った。
2018/08/30(Thu) 20時半頃
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[母と手を繋いだ記憶なんてありません。 ぎゅっと握られると、>>+0 繋いだ手だけでなく、心臓のあたりがふわんと 暖かくなるような気がしました。]
封都さん、買いかぶりすぎ。 でも、ありがとう。
[私は、看護師を目指すつもりで、看護大学を受験する つもりでいました。 でも、それは封都さんが言ってくれた理由とは 全然別の理由でした。 人の気持ちを救うのが上手だという封都さんのその言葉に、 私が救われる気がしました。]
(+7) 2018/08/30(Thu) 20時半頃
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[実際のところ、お金の問題だけでなく、 私が大学に進学を目指すとなると、問題だらけです。 なにしろ、身寄りがないのですから。
でも、諦める前に、私はもう少し足掻いてみるべきなのかも しれません。]
(+8) 2018/08/30(Thu) 20時半頃
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[病院の外のベンチに、 弓木君の姿が見えました。>>+4:44 私はそっと息を吐き出します。 きっと弓木君は帰ったのだろうと思っていましたが、 連絡をくれていたのは安藤君と黄楊君だけ、 弓木君からは音沙汰がなかったからです。
弓木君に声をかける封都さんの手に力がこもります。>>+1 その手を握り返しながら、私もかける言葉を探しました。 けれども。]
……ご挨拶だなあ。
[封都さんの挨拶に返された声に、>>+4 私は萎縮するより前に笑ってしまいました。 間違いなく弓木君です。]
(+9) 2018/08/30(Thu) 20時半頃
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[その対応に私が怯えなかったのは、 文化祭準備の時に親切にしてもらったせいかもしれません。 病院の中へと向かう封都さんに 「先に行ってて」と声をかけて、 私はお財布を取り出しました。
ベンチの隣にある自販機にお金を入れて、 飲み物を選びます。 がこん、と音を立てて落ちてくるのは、 コーンスープの缶です。]
(+10) 2018/08/30(Thu) 20時半頃
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弓木君も、おかえり。 ……あれ、私の方が後だったんだから、 ただいま?
[こういう場合、どちらが正しいのでしょう。 おかえりとも言われていないのにただいまと言うのは 図々しいでしょうか? でも、私は深く考えることなくそう言って、 缶の蓋を開けました。*]
(+11) 2018/08/30(Thu) 20時半頃
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[唸り声に目が覚めた。 朦朧とした意識の中、小さなパイロットランプの薄い緑の光が揺れている。 身の内に籠もった熱を追いやるように、布団を押しやり胎児の様に身を丸めた。 真冬だというのに身体は汗だくで、荒くなった息を整えながらわたしは先ほど見た夢をおもう。
奇妙な不安と停滞した幸福に包まれた、凍った校舎。 最後に見たあれは、わたしの心痛の象徴だろうか。
それはら他の皆は。]
……一色さ
[文化祭の後、あからさまに男性への態度が変わった彼女を思う。 何かあったのは明白で、もし、似た思いをしてしまうならそれは。 わたしには予想も出来ないくらいの苦痛だろう。 思わずスマホに手を伸ばしたけれど、すぐに気付いた。
あれは夢だ。わたしが見た、奇妙な夢。 関係ない、と言うのは簡単だったはずなのに。]
(+12) 2018/08/30(Thu) 21時半頃
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[幾つか、メールの履歴がある。
最新の履歴は庄司さんのもの。>>4:+66 封津さんといるらしい。 その一つ前に黄楊くん>>4:+49 庄司さん>>3:+9 安藤くんのメール>>3:+3で、ここが最初かと思い。]
……うそ。
[思わず、ベッドの上に身体を起こす。 黄楊くんが話してくれたことが、頭が過ぎった。 指が震えて、まともにスクロールできない。
安藤くんのメールには、 夢の中の話や、メールについても触れられていて。
わたしは、震える指でメールを表示させる。 差出人は……確かに、彼だった。>>1:5>>1:6]
(+13) 2018/08/30(Thu) 21時半頃
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[よく交わしていたメールとは違う、長い文章。 夢の中で何度も何度も見た本文。]
ぁっ……
[気付いてしまう。 最後のチャンスは、メールの事だったんだと。 わたしに、わたしたちに何かすることなんて、 なんにも望んでなかったんだ。]
ゃ……っ
[他愛ない日々の会話、夜の逢瀬。執拗な兄弟ごっこ。 家族に何か問題でもあるのかなって、気付いてた。 気付いていたのに、聞き出したりしなかった。 いつか話してくれるかもしれないと、 信じていたし、期待してもいたから。]
(+14) 2018/08/30(Thu) 21時半頃
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ばかだ、わたし……っ
(+15) 2018/08/30(Thu) 21時半頃
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[幼なじみの事情に踏み入らないと決めた時から、 誰かの事情に踏み込むのは得意じゃ無くて。 いつだって一線を置いた、ちょうど良い他人の距離を取る。 だけどそれはやっぱりすこしさみしくて、 でもそれに慣れてしまえばどうしたらいいかわからなくて、 がらんどうの身体に好きだと思えたものを詰め込んだ。 けれど、なんにもない心は一つも満たされず、 ふとした瞬間、何もかも捨ててしまいたくなる。 ぐいぐいと詰め込んだバンドの音。 もうあたらしく聞くことが出来なくて開いた穴に、 詰め込まれたのは君だったのに。
踏み込めばよかったんだ。 家が嫌いなの、とか、兄弟いるのに何で?とか。 聞けるタイミングも聞けることも、 きっと、いっぱいあったはずなのに。]
(+16) 2018/08/30(Thu) 21時半頃
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わたしのせいだ……っ
[覆水盆に返らず。 口元を覆った手に、ぱたぱたと涙が落ちた。 もし、あの時、こうしていたら。なんて。 とりとめのないIFが頭の中を通り過ぎていく。*]
(+17) 2018/08/30(Thu) 21時半頃
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[夜明けが来る、その前に。
ゆらり、身体はうごく。 あたまなんて、うごかない。
部屋の中、…ないな。どこならあるかなぁ?
一階。リビングを通って鏡台のある部屋。
化粧道具に混ざって、それがあることは知っていた。 ちっぽけで軽い剃刀のケースを外し、手首に当てる。]
(+18) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[ 今はこちらに誰が帰ってきていて、 あちらに誰が残っているのでしょう。 確かめたくてメールを打とうかと 作成画面を呼び出しましたが、 ひびの入ったスマートフォンが 謎の文字列を打っていくので ちっともメールが書けません。 読むのには大丈夫でしたのに。 これではわたくしから 誰かに連絡を取るのは無理なようです。 わたくしはため息ひとつついて、 スマートフォンの画面を閉じ、 ネックレスをそっと握りしめました ]*
(+19) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[いい友達だった。って言ってください。
――…だって。
わたし、いい友達じゃない。 望まれた距離感以上を、望んでしまった。 軽くスライドさせれば、痛みと共に薄い線が出来る。 こんなこと、したことないからよくわからない。 力が、もっと、もっと要るんだろう。 きっと、すごく痛いんだろう。]
……ぁ。
[ぐるぐる、思考を回せば気付いてしまう。 わたしが今死んだら、 誰のせいにされちゃうんだろう。
……勘繰られるのも、勝手に噂されるのも嫌だった。]
(+20) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[ 一言二言かけて去る落花を やはり奇妙なものを見るような目で眺めた。 翼成高校へ入らなかったのならば 言葉の交わすことも無かったような人種が 自分の名前を知っているというのは 何度でも奇妙さを感じさせる。
対して夜子は此の場を去らないばかりか 英司の隣に留まることをした。>>+10 誰だって怒鳴り散らしたい気分であるが 不機嫌に言葉で殴るには 夜子は嫌だと思う部分が少なかった。 ]
……
(+21) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[ 挨拶をする習慣が英司には無いので>>+11 無言で瞼を開けては 自動販売機の明りで 作られる足の影などを見た。
夜子は落ち着いているように思えた。 英司は クラスメイトが死にかけているのに 如何してそんなに落ち着いていられるのか 理解しがたいと感じていた。
結局のところ、そうなのであった。 英司は少なくとも 理 と友人であったし 自殺を踏みとどまる理由の一つであったのに どうやら向こうはそうでは無かった。 英司は決して認めてやりたくないというのに クラスメイトは 理 が自殺を図ったことを 淡々と受け入れているように思える。 ]
(+22) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[ こう見えてロマンチックなところがあるので あの日笑いあった生き物たちは 特別仲が良いのだと思いたかった。 此方が引いて指差し笑うくらいに 心の隅々までこの事実で満たされてしまい 動揺したり怒ったり悲しんで欲しかった。
全員がそうなりはしないのだと 心の何処かで知ってはいたのだが、 例えその後傷つくのだと分かっていても 英司は 世界はやわらかく優しいのだ と 一度くらいは思い込みたかった。 ]
(+23) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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追伸:
もしもなにか聞かれたら、 いい友達だった。って言ってください。
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(+24) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[ 絶対に言ってやるものか と英司は思う。 ]
(+25) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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…… 何か用
[ 誰かの支配する精神世界とは違い ひやり とする風が冷たいだけで 白の降り積もらない場所でしかない。
居心地の悪さに背を押されるようにして 言葉に出来たのは其れくらいであった。* ]
(+26) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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―回想:断片のその後―
[『自業自得だろ』と兄は言った。
掴みかかって、乃歌は吠えた。頬がずきずきと痛む。 掴まれた腕が、切りつけられた首筋が悲鳴を上げた。
ぐすぐすとべそをかく妹を振り払って、 兄はただ罵倒を繰り返すだけだ。 やれ危機管理だの、責任能力だのまくし立てる兄の言葉は 乃歌には全く届かない。それが全うな正論だとしても。
悪いのはあの男の筈なのに、 何故怒られなければいけないのだろう。 何故、乃歌の方が責められているのだろう。
フローリングの床にぽたぽたと涙が落ちる。 早く逃げたい。乃歌に考えられたのはそれだけだった。]
(+27) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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[沈黙が落ち、暫しリビングに響いていたのは すすり泣く乃歌の声だけだった。
兄が溜息を吐く音、ぐしゃりと髪をかき上げる音。 それから、ぱしゃり、と シャッターの音がした気がした。*]
(+28) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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―自室―
[暗い部屋の毛布の上で乃歌は目を覚ます。 血の気の引いた顔、がちがちと震える歯で 目覚めの良さが如何かは明白だった。
首元に手を遣る。 痛みも息苦しさもないことに安堵して 乃歌は枕元のスマホに手を伸ばした。
夢、だったのだろうか。 そう思いながら、手に取ったスマホには いくつかの通知が届いていた。]
(+29) 2018/08/30(Thu) 22時頃
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