212 冷たい校舎村(突)
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[ ────── ゆさり、 ]
(+0) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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[肩を揺すられる感覚で、私は目を覚ましました。 寒々しい、リビングの真ん中。 テーブルに突っ伏して、私は眠っていた様です。
「遅くなってごめんな。 病院には行けた?」
私の肩を揺する父が、そう尋ねてきます。 それと共に、こんな所で寝てたら風邪ひく、だとか 如何にも父親らしいお小言を、一つ。
……けれど、私はそれに返事をするでもなく 半ば呆然とした調子で、父を見詰めて]
(+1) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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…………ただいま
[「おかえりだろ?」って、父は笑います。
ううん、違うよ。ただいま だよ。 そうは思っても、私は微笑むだけ。 肩に添えられた手を、そっと取って その勢いのまま、着替えもしていない父に抱きつくのです。
外から帰ってきたその体は、ひやりとしていますが 暖房もつけないリビングで寝ていた私の体も、 意識してしまえば、酷く冷えていると気付きます。
だけど、今はそんな事、どうでも良いのです]
(+2) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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お父さん、私、お母さんに会ったよ。 全部、聞いたよ。
["貴方と血が繋がっていない事も聞いた" と 言外に、そんな意図も含ませた囁き。
父は、全て解っていた風に嘆息して、 一度だけ、肯きました。 ……いいえ。掠れた声で、一言 「ごめんな」って いつだかみたいな、謝罪]
私とお母さん、すごく、似てた だけど────
[あの人みたいに、なりたくないの。 昏い本心は、喉の奥に突っかかって、出てきてくれません]
(+3) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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[だけど、父は言うのです。
「似てないよ」
って、私の心底欲しかった言葉を、事も無げに。
「似てないよ。 ちよは、ちよだからね」
言い聞かせるみたいな、優しげな声音。 もしかしたら、父は 私の悩みを、察したのかもしれません。 いいえ、それは流石に、希望的観測でしょうか。 もしかしたら、ただ、事実を言っただけかも。
だとしたら、それでも良いのです。 父が"似てない"というのなら。 きっとそれは、誰に言われるよりも、確かな事実で]
(+4) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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うん。…………そっか。
[最後に一度、ぎゅっと縋り付いて 私は、父から体を離しました。
優しげな笑みには、少しの翳りが。 母と会ったという事実を告げて、 傷付けてしまったのかも、しれません。 だけど私はもう、 踏み込んで来ないでとは、言えないのです。
私が、自分でつけた傷の理由を 父にもちゃんと、伝えなければいけないと……、]
(+5) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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[そんな思案が中断されたのは、 ついさっきまで居た場所を思い出したからでした。
冷え切り、時の止まった校舎。 誰かの、心のなか。
……そういえば。 先に消えた皆も、ちゃんと帰って来れたのでしょうか? 私が此処に居るのです、問題無いとは思いますが それが確実とも思えず。
慌てた様子でスマホを取り出す私を、 怪訝そうに見る父にも構わずに、 ロックを解けば、一通のメールが目に入りました。
──── 水野つばさ。 ほっと息を吐くのは、まだ、早く]
(+6) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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…………おとうさん、 私、病院行かなきゃ。
違うの、そっちの病院じゃなくって、 友達が、学校の屋上から、飛び降りたって……
[彼女は帰ってきていたのだ と 喜びと共に開いたメールの内容に、 私の心はすぐに萎んでしまいました。
幸い、"彼"が運ばれた病院は、遠くありません。 徒歩でも充分、行ける距離。 だから私は、何にも考えず 着の身着のまま、泣き出したい気持ちで駆け出すのです*]
(+7) 2017/03/18(Sat) 04時頃
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─ 外へ ─
[病院に向かって、歩きながら 考えるのは、"最悪の可能性"。
理一の状態だとか、 そういうの、書かれていませんでしたから。 この心配が、どの程度的を射ているのか 私には、解りません。
もしかしたら、病院に行けば いつも通りの笑顔で迎えてくれるんじゃないかな? ……そんなの、流石に楽観が過ぎるでしょうか。
でも、ねえ。 貴方、いつも笑っていたじゃない。 どうして急に、死のうとなんてするの]
(+8) 2017/03/18(Sat) 04時半頃
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[ぢりぢり、責めるみたいな思考。 吐き出せない悩みを抱え込む気持ち、解ってるつもりです。 だけど、あんな世界を作りあげる程辛いなら 死を選ぶ程、悩んでいたのなら ……遺書を遺す前に、する事があるじゃないですか]
…………ッは、
["向こう"で、級友が一人一人居なくなった時より、 よっぽど心が重くなります。 早足で歩きながら、 悪い方悪い方に流れる思考を、持て余して。 進む一歩の、なんてもどかしい]
(+9) 2017/03/18(Sat) 04時半頃
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[病院へ向かう、途中。 長い信号に捕まってしまい、 私は舌を打ちたい気持ちで立ち止りました。
焦っても、意味は無いと解っていますから 何度か深呼吸をして、息を整えます。 幾らか落ち着いてくれば、 手に持ったままのスマホを、ぼんやり見て。
……ふ と 先に此方に帰った筈の莉緒の連絡先を、呼び出しました。 かじかむ手で、簡素なメールを一通。 ああ、今朝もこんな事をした……って あれは、何処から何処までが現実だったのでしょう?]
(+10) 2017/03/18(Sat) 04時半頃
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[文末に付け足した一言は、本気なわけもなく。 けれど、"何処にも行かない"って約束を破って 彼女がそれを気に病んでしまっていたら、嫌ですから フォローというか、気にしてないよって、ポーズのつもり。
いつか彼女に、彼女の"ヒーロー"の正体を 伝えねばなりませんね。 彼女の中の、文通相手への期待値が、 随分上がってしまっている様ですから。 正直に言うのは、心底、こわいのですけれど。
……でも、隠し事をしたままでは、いけませんね。 だって莉緒は、私の一番の親友なんですから]
(+11) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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[送信を押して、丁度、信号が青に変わります。 こうして身を縮こませて歩いていると、 本当に、今朝の通学途中を思い出して。
ああ、そういえば "誰かが転んだら">>27 って、 そんな賭け事を、しましたっけ。 あれは、私の勝ちで良かったかしら?
だってあの直後に、 転んだらしい那由多が通ったんだものね。
どうでも良いと思っていた、勝ち負けですけれど。 この状況になると、逆に、 意地でも取り立ててやらねば と、思うのです]
(+12) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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[何故って? そりゃあ、勿論。
……通も含めて、全員が、 幸せに帰ってくる確証が、無いからでしょう。
だからこれは、願掛けみたいなもの。 "滑らないように" そうやって、願掛けするのと同じで]
(+13) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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To:通 From:ちよ ───────────────
通は、此方に居ますか? 今居ないなら、 それはそれで良いけど
私が賭けに買ったんだから 早く此方に帰ってきて、 ちゃんとお汁粉、奢ってよね
───────────────
(+14) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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[私にお汁粉を奢る為に帰ってきて って かなり、がめつい様に見えますけれど 大事なのはお汁粉でなくって、彼自身の安否です。
正直、ちゃんと帰ってきてくれるのなら お汁粉なんて、どうでも良いんですよ。
長いその前髪を指差して、 "切らないと駄目でしょ"。 そんな風に言えるのなら、それで。
……実際、就職するにしても、進学するにしても 長い前髪って、不利だと思うんですよね。 おでこに傷のある私が言うのも、難ですけれど]
(+15) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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[信号がまた赤に変わらない内に、歩き出します。 "向こう"の世界への心残りは、まだまだ、あるのです。
あの世界で、最後にした会話。 それは、悠>>37と交わしたものでしたね。 どうして私は、あの時、 彼女の話をちゃんと聞いてあげなかったのでしょう。
言いかけて飲み込まれた言葉は、 今となれば、想像すら難しく。 彼女は、手を差し伸べなければいけない存在だと、 そう思っていた筈なのに。
要らぬ心配までさせて、 その上、自分の都合を優先させてしまって]
(+16) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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[代わりとばかりに吐き出された謝罪>>39には、 "私は大丈夫"って繰り返す事しか出来なくて。 何処か消耗した様子の彼女に対して、 逆に気を遣わせてしまうという、体たらく。
ごめんって言わなきゃいけないのは、私です。 貰った髪飾りは、まだ、確かに私の手の中にあるのに 広がってしまった心の距離は、 どうやったら、埋める事が出来るのでしょう。
折角"また明日"って、言ってくれたのに 私、勝手に帰ってきてしまいました。 彼女に対しても、きっと、謝る機会が出来ると信じて、 結局私は、待つ事しか出来ないのです]
(+17) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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[何だか、泣き出したい気分。 すん、と小さく鼻を鳴らしながら歩きます。 やがて見えてきたのは、病院の入口。
そこに、健士郎とつばさ>>+4:35の姿も、 あったでしょうか。 あ、と 私は小さく口を開けて ほんの少し、気不味げに、健士郎を見るのです。 だって、"母"の事、ずっと、引っかかったままで。
それに、帽子の下だから解りにくいでしょうが、 私の目、今、少し赤くなっていると思うんです]
あの……、理一、どうだって?
[震えそうになる声を律しながら、問いかけます。 慌てたみたいに、"私、帰ってきたばっかりで" って、そうやって、付け足しながら]
(+18) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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……ていうか 健士郎、もう帰ってきてたんだ ね。
[つばさは兎も角 彼のマネキンを、私は見過ごしていましたから。 少しだけ無理をして、戯けた調子で 誤魔化すみたいに、首を傾げて*みせました*]
(+19) 2017/03/18(Sat) 05時頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2017/03/18(Sat) 05時頃
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[……そわそわ。 話が一段落ついた後、わたしは落ち着かなくロビーの中をうろうろし始めた。
寂しい、とか、……怖い、という思いが、 絶えず後ろから付きまとっている。 お化け屋敷で遭遇する恐怖のように、逃げ出せば引き離せる類のものじゃないのに、 なけなしの抵抗を繰り広げていると、ポケットの中でスマートフォンが震えた。
電話かもしれない、と思って、外に出てから画面を見る。 そっちの心配は杞憂で、電話ではなくメールだったんだけど――]
……!
[差出人の名前はちよちゃん。>>+10 思わずスマートフォンを取り落としそうになったのを、こらえて、 簡素な文面を読む]
(+20) 2017/03/18(Sat) 19時頃
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[……そうだよね、そう思うよね。 わたしがちよちゃんの立場でもそう思っただろうし。
メールから感情はダイレクトには伝わってこない、けど、 最後の一文を、どんな顔で言ってるか勝手に想像することはできる。
たぶん怒ってはいないんじゃないかな。どうでしょうか]
(+21) 2017/03/18(Sat) 19時頃
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[ちよちゃんにメールを送信して。 そうしたら、何故だろうか、 今まで落ち着いて立っていられたのが嘘みたいに、 急に支えを失った気分になって、なんだか泣きそうになってきた。
どうしよう、どうしよう、って、心の中で繰り返して、 結局、メールをもう一通つくった。 感情周りは排して、切実な訴えって感じの短い文面]
(+22) 2017/03/18(Sat) 19時頃
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[ネットワークの波に乗ってくメールを見送りながら、 しばらく息を整えた後にようやく顔をあげる。 夜天の下、わたしの吐く息だけが白い。
―――待つ、ことにしよう。出入り口の近くで。
そうと決まれば――と、 コートのポケットに手を突っ込みつつ外をうろついて、 見つけた自販機であったかい缶コーヒーをふたつ、買った。 冷めないうちにやって来る方に賭けることにした、わたしがいる。 誰と勝負しているわけでも、まあ、ないのですが**]
(+23) 2017/03/18(Sat) 19時頃
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[校舎を出た時の記憶、よく覚えていないと同意を求められれば>>+40]
確かに…そうかもな。 窓閉めそこねて落ちそうになった、 ってとこまでは覚えてるけど そのあと落ちたか落ちなかったかわかんねーわ。
……昴が見つけてなきゃいーけど。
[頷きを返して、それから幼馴染を思ってため息を付いた]
(+24) 2017/03/18(Sat) 21時半頃
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[天ヶ瀬の推測>>+42
知ってほしかったから。
確かにあのおかしな校舎は 時間を追うごとに変わっていく校舎は 理一が何を思い悩んでいるか伝えようとしていたのかもしれない]
そんなら。 残ったやつらがそれに気づいて、 理一をひきもどしてくれりゃいいな。
(+25) 2017/03/18(Sat) 21時半頃
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理一のやつ、さっさと戻ってこねーかな。 んで戻ってきたら 一発ぶん殴る。
[今の自分は手加減なんてうまくできないから 腕ひしぎされたときよりも もっと力を込めてしまうだろうけど。
心配させたんだから、それくらい 諦めて受け入れてくれるだろ*]
(+26) 2017/03/18(Sat) 21時半頃
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……大和……?
[遠くから歩いてくる、見慣れた帽子を被った人影>>+18が見えて、ああ、彼女も帰ってこれたんだな、とほっとした。どうか、このまま、全員が帰ってきてほしい。]
橘、は……助かるかどうかは五分五分で、あとは本人の気力や体力次第、だそうだ。
[一瞬だけ見えた大和の目元が、赤かった、ような気がして。そんな彼女に橘の容体を伝えるのは少し躊躇われたが、でも、隠すべきではないだろうと思ったから。 先ほど水野から聞いた容体をそのまま伝えた。]
(+27) 2017/03/18(Sat) 22時頃
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ああ、俺も、ついさっきな。 ……大和も、帰ってこれて良かった。おかえり。
[そう言って少しだけ笑ってみせれば、彼女の表情や気持ちは、多少は和らいでくれただろうか。 目元が赤い理由は分からないし、橘のことを思えば、気が沈んでしまう気持ちはよく分かるけど。 落ち込んでばかり、というのも、あまりよくないんじゃないかと思うのだ。 勿論、無理して笑ってほしいというわけではないが。 多分、アイツは……俺達が笑って、おかえりと言ってあげた方が、喜ぶんじゃないかと思う。 眉間に皺を寄せていれば、物理的にでも伸ばしてくるような奴だから>>2:440>>2:461]
(+28) 2017/03/18(Sat) 22時頃
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[それは、それとして。俺が帰ってきていることを大和が知らない、ということは、少なくとも彼女には、俺のマネキンは見られてはいないんだろう。 三星や天ケ瀬に似たマネキンも見つかった、というのはあの朝食の時に知ったし、俺もこうして帰ってきている以上、 マネキンが残されているのだろうとは思う。そして、そのマネキンがどんな状態なのか、だいたい予想はつくけれど。 見られてなくて良かったと思う。 いや、今は別に、自分の趣味を知られるのが怖い、とはそれほど思わないし、あの文化祭を共に過ごした仲間達相手になら尚更、なのだが。 それでも、やっぱり。ただの自分に似たマネキン、とはいえ、ぬいぐるみを抱えている姿を見られるというのは、ちょっと、その、恥ずかしい。]
(+29) 2017/03/18(Sat) 22時頃
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