96 【飛び入り募集】たびびとのまち
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『貴方はまだまだ青春謳歌しなきゃ駄目よ、ロビン。 折角、神様が奇跡を与えてくださったんだもの。』
[死ぬ間際、老いて衰えた彼女から発せられたのは、そんな言葉。
何が、奇跡だ。と、彼女の痩せこけた皺だらけの手を取って神を笑った。 彼女の歳は自分より十つ、若かった。そんな彼女が息を引き取るとき、触れていた自分の手は、力強い壮年の大きな手であった。
そうして、ひとりになった。
彼女の居ない世界で、奇跡なんて必要はないのに。彼女に看取られ、死ぬ筈であったのに。 後を追おうにも、彼女との約束は破れない。死人は、蘇らない。これ以上の奇跡は、望めない。
もう、世界には愛するものは何も無い。そんな世界で、ただ赤子のその前に戻り、死を待つだけだと思っていた。]
(+0) 2013/09/28(Sat) 01時頃
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[二人の間に、子は居なかった。唯一の娘は、その産声をあげることすらなく、逝ってしまった。
店を引き払い、港町を離れて、行く宛てのない旅を始めた。彼女との、思い出の残る場所に居られなかったから。
内陸の村、高山の街、城塞都市。 色々と訪れはしたが、そのたびに、一緒に来れたならばと彼女を思い出すばかり。 そうするうちに、みるみる身体は若返っていった。
ある夜、ふと不安になった。 このまま、誰にも知られず消えてゆくのだろうか。 彼女の最期は、自分が看取った。彼女のことは、少なくとも自分が覚えている。では、彼女を覚えている自分は? 自分がひとりで消えれば、彼女の居た証すら、失われてしまうのではないか。 眠れない夜が続いた。
そんなころに立ち寄ったのが、はぐれものの集う街。]
(+1) 2013/09/28(Sat) 01時頃
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[この街ならば、自分を看取ってくれるかもしれない。
そんな考えで、ふらりとここに住み着いた。 かつて開いていた仕立て屋を、再びこの街で始めた。それくらいしか、自分には能がないのだ。
小さな街の、小さな仕立て屋。彼女と共にやっていたころよりは、客足はずっと少ないけれど。 お客が来れば、作った自慢の品を勧めた。注文があれば、その希望からは寸分違わないように。補修は、心を込めて丁寧に。
彼の仕事に、客は皆、決まって笑顔になってみせた。あるものは素敵な品だ、と。またあるものは思ったとおりの仕上がりだ、と。そしてまたあるものは、まるで魔法みたいだ、と。
……そんな言葉を、いつしか心から喜んでいる自分が居た。
自分の品を悩ましげに見立てる若者達が居て、時折手伝いにやってくる、孫のような健気な娘が居て。 食堂で愚痴をぼやき、街の者とは出会い頭に語らい。
至って、平凡な毎日。 色を無くしたはずの世界に存在した、当たり前で、それでいてとても、満ち足りた毎日。]
(+2) 2013/09/28(Sat) 01時頃
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