187 お狐祭り村
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─ 3日目:夜 ─
[友人のたまこおねえちゃんが『しょけい』されて。 湧いてくる充実感と、少しぽかりと開いた喪失感。
雛子は黒いランドセルを背負って。 ひとりで、下校していた。]
…… あ ……。
[にゃぉ。 猫の鳴き声が聞こえて、はっと顔を上げる。
蜂蜜色の夕暮れはすでに遠のき、紺色の空の下。 気づけば人気のない道で、迷子になってしまった。]
(+0) 2016/04/05(Tue) 00時半頃
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[『ゆうかい』その言葉が脳裏を過り 急に体が震えだす。 こわくて、こわくて、その場にしゃがみ込み
泣いていた。*]
(+1) 2016/04/05(Tue) 01時頃
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― 3日目・夕:《禁足地》―
[アユくんに聞こえないように、膝を抱えて小さな声で呟いた]
ケイちゃん……。
[今日も誰かが処刑される。 こんな声が届くことなんてなくて。 それでも、お守りのようにその名前を呼んだ。 マユとリツ兄が帰ってくるまで、私は祈り続けた]
(+2) 2016/04/05(Tue) 10時頃
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[びっくりした。>>*5 背後から届いた声に振り返れば、 律おにいちゃんが心配してくれていたようで。]
雛子、たまこおねえちゃんのこと考えていたの。 そしたら、また迷子になっちゃって……
ひとりでいるのが、こわくなったの ……。
[彼を見上げる、涙でうるむ目。 (よかった。) 律おにいちゃんが一緒にいてくれるなら、雛子は安心。 おにいちゃんにくっついて帰ろうと思った。]
(+3) 2016/04/05(Tue) 10時半頃
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気づきたくなかった────
なにが?
[律おにいちゃんの口癖だ。>>*6 なにを気づきたくなかったの? 迷子の雛子を見付けたくなかった、という意味ならごめんなさい。]
[洞窟に向かう間。 ひとりはイヤだと、律おにいちゃんの手をつなぐ。 この優しい手が、かつて人を殺したこと。 雛子は知らなかった。]
(+4) 2016/04/05(Tue) 16時半頃
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ひとりはイヤ、ってことなら。 雛子はいつでも、おにいちゃんの味方ですよ。
[力なく笑う。
この辺はなぜか、懐かしい香りがする。 線香の匂いが遠のいて、頭が痛むけど、真新しい心地。 (ここは、どこだろう。)*]
(+5) 2016/04/05(Tue) 16時半頃
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― 三日目・夜:《禁足地》 ―
[ゆっくりとした、おぼつかない足音が近づいてくる。 中に入り込んで来る空気にかき消されそうな、か弱い声が私を呼ぶ。 洞窟の入り口。青白い月の光が照らすのは、今にも消えてしまいそうなマユの姿だった]
マユ……!
[崩れ落ちるマユの元に駆け寄る。 その口から漏れる言葉は、私の想像を遥かに超える現実だった]
マユ……吐き出して、全部。 私が受け止めるから。
[傍に寄り添い、背中を擦る。 ブラウスの袖で、マユの口元を拭う。 こんなことしか出来ない、自分が悔しかった]
(+6) 2016/04/05(Tue) 19時頃
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[短く告げて、またあの場所に戻ろうとするリツ兄(>>*8)。 また、私やアユくんのように友達を助けに行くのだろう。 その背中に、声をかける]
いってらっしゃい、リツ兄。 気をつけて、帰ってきね。
[満面の笑みで、送り出す。 それは、無理に涙を堪えていて、必死に歪まないように作っていて、とても見れたものじゃなかっただろうけど。 ほんの少しだけ、心のほんの片隅にだけでもあの頃を思い出して欲しくて]
(+7) 2016/04/05(Tue) 20時頃
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[この小さな身体に背負わされた重すぎるもの。 それをほんの少しでも減らしてあげたくて、支えてあげたくて]
大丈夫、マユは大丈夫。 おかしくなっちゃったのは世界の方だから。
[右の腕で、縋り付くマユ(>>*9)を支える。 左の手でマユの手を取り、自分の胸元に当てた]
ねぇ、見て、私の眼を。 ほら、感じるでしょ、私の体温。 私の鼓動を。 私の全てはマユの傍にあるから。 約束したでしょ? だから、マユは大丈夫。
[泣いちゃいけない。 自らの手を汚すことなく、安全な所に居た私に泣くことは許されない]
(+8) 2016/04/05(Tue) 21時半頃
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[でも、我慢できなかった。 眼から熱いものが溢れだす]
マユが好きなのはリツ兄だったんだね。 そう、しちゃったんだ……よかった、良かったね。
[本当に良かったと思う。 心からの祝福の言葉を口にした]
でも、無茶しちゃだめだよ。 マユが居なくなっても私は……。
[マユの身体をつよく、つよく、抱きしめる]
どんなことがあろうとも、この先に何があろうとも……ずっと、ずっと一緒だよ!
(+9) 2016/04/05(Tue) 21時半頃
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んなっ!? そ、それって太ったって言いたかったりする?
[マユの笑顔(>>*13)が見られた。 慌てる素振りを見せながらも、少し安心した]
(+10) 2016/04/05(Tue) 22時頃
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[律おにいちゃんに洞窟へ、連れて行って貰った後。 急に体の力がぬけて、 ついさっきまで、ランドセルを枕にして、寝ちゃってた。]
うー……?
[起きたばかりで、目がとろんとする。 真弓おねえちゃんにぺたぺた近づいた。>>*14]
(+11) 2016/04/05(Tue) 22時半頃
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これは、ゆめ、なの……?
[真弓おねえちゃんに、ぎゅっとして貰う。 伝わる体温はあたたかくて、いい香りがした。
思わず抱きしめ返して、真っ白な頬に、小さく口付ける。]
元気、あげる。 真弓おねえちゃんの笑ったかお、雛子もすきだよ。
(+12) 2016/04/05(Tue) 22時半頃
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[今日助けだされたのはヒナちゃんだった。 マユと抱きしめ合う、ヒナちゃんを見てよかったと思う。 反面、まだ村に残っているみんなの事を思う]
ケイちゃん……ごめんね。
[自分が安全な場所に居ることに、胸が痛んだ]
(+13) 2016/04/05(Tue) 22時半頃
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[顔を上げて、リツ兄を見上げる]
ねぇ、リツ兄。 マユを泣かせちゃ駄目だよ? そんなことしたら、私絶対に許さないから。
[リツ兄の顔をひと睨み。 そして、今度は力の抜けた笑顔が出来た]
(+14) 2016/04/05(Tue) 22時半頃
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うん、リツ兄。 約束だからね。
[目の端に溜まった涙を拭って、そう返す。 たとえそれが本心からでなくても、約束は約束だ]
(+15) 2016/04/05(Tue) 23時頃
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ヒナコは、真弓おねえちゃんから、腕を離した。
2016/04/06(Wed) 00時頃
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はい。>>*17
[やがて真弓おねえちゃんと、律おにいちゃんが、洞窟から去っていくだろう。 雛子は、どこにも焦点を合わさることなく、ただ月の方角をながめた。]
…………。
(+16) 2016/04/06(Wed) 01時頃
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(ここは、どこなんだろう)
[ぼーと、座り込んで。 一人の世界に閉じこもる。 視界に映るものは、色を成していない。 聞こえる音は、意味を成すこともない。]
(歩ちゃん、遥香おねえちゃんがいる)(ここは。)
(なんで 私は)(あれ どこか おかしいな )
[頬のキスの感触を残したまま、目はうつろ。 からだはぴくりとも動かないが、頭は早く回転して。]
(+17) 2016/04/06(Wed) 01時頃
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(だって)
(おにいちゃん?)(おしえて!) (ここは)(あれ?) (ゆうかい)(?) (たまこおねえちゃん)(あしたも)(帰らないと) (線香の匂い) (ゆめみてるの?) (篤胤せんせ ) (和菓子にふれる友人の手)(繋いだ手 ) (ヒナコと呼ぶ可愛い声)
(えがお)
(すき) (すき)
( だいすき ) ( だから )
[──瞼の裏でフラッシュバックするのは、穏やかな友人の死に顔。 そして、「たまこおねえちゃん」と書いた紙を投票した、自分の手。]
(+18) 2016/04/06(Wed) 01時頃
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─── ─── ……。
[心の空洞は、無視できな程に広がっていく。
夢から解放された後に見えた現実は、心を砕いた。**]
(+19) 2016/04/06(Wed) 01時頃
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― 朝:《禁足地》 ―
[今日も朝が来た。 朝が来なければ、もう誰も処刑なんてされることも無いのに。 それでも太陽は登る。 目を細めて睨みつけてやるけれども、その眩しさには勝てなかった]
[アユくんに周囲を見てくる、と言って今日も湧き水の所へ。 此処に来て二日、制服も汚れてしまった。 おもむろに服を脱ぎ始めると、洞窟の入口に気配を感じる]
(+20) 2016/04/06(Wed) 15時頃
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[目を丸くしたアユくんが慌てて引っ込んでいった。 心配して見に来たのかな? カバンからスポーツタオルを取り出して、水で濡らす。 体を拭きながら、考える。ヒナちゃんへどう話をするべきか。 難題である]
(+21) 2016/04/06(Wed) 15時頃
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[でも、マユとリツ兄はもっと難解で危険なモノに立ち向かっているんだ。 私が二人を手伝うのに、今日は遅すぎた。 昨日、無理にでも学校に行くべきだったんだ。 誘拐されたであろう人間が顔を出して、犯人の名前を出さなければどうなるか。 親しい人間をかばっていると思われるだろう。 マユとケイちゃんが疑われる。 私のせいで二人を危険な目に合わせるわけにはいかなかったし、マユとリツ兄の足を引っ張るわけにはいかなかった。 だから、私はここにいる。 何も出来ない人間として]
(+22) 2016/04/06(Wed) 15時頃
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[ヒナちゃんは人の心の機微によく気が回る聡い子だと思う。 でも、聡い子には聡い子ならではの心配もある。 とにかく、話をしなくちゃ。 えんじ色のジャージに着替えて、私は洞窟へと戻ることにした]
(+23) 2016/04/06(Wed) 15時頃
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[時間はゆっくりと過ぎていった。]
(+24) 2016/04/06(Wed) 22時半頃
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[過ぎる時間が、永遠のようにも、あっという間のようにも思えた。
ただ、呼吸をすることで精一杯で。]
(+25) 2016/04/06(Wed) 22時半頃
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[やがて心配してくれた歩ちゃんが、飲み水を持ってきてくれる。 渇いた声でお礼を言って、それを飲む。 吐き気はしないが涙も出ない。泣いちゃダメなきがした。
泣いて、なにになるというの。 それで、心の負担を軽くするというのか。そんなのずるい。
えんじ色のジャージ姿の遥香お姉ちゃんと会えば、 唇だけを動かし「おはよう。」と声をかけただろう。>>+23
時間はゆっくりと過ぎていく。 こんな状態の雛子を、篤胤せんせや、たまこおねえちゃんが見たら。どんな反応をするだろうと、少しだけ思考が飛ぶ。*]
(+26) 2016/04/06(Wed) 22時半頃
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[洞窟に戻ると、ヒナちゃんが挨拶をしてくれた。 声は殆ど届かなかったけれど]
おはよう、ヒナちゃん。
[挨拶を返して、隣へ座る。 ヒナちゃんの顔はすっかり憔悴しきっている]
ねぇ、ヒナちゃん。 少し、話しない? それとも、私が話し相手じゃ駄目かな?
[眼を見つめながら、そんな声を掛ける]
(+27) 2016/04/06(Wed) 23時半頃
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……。
[遥香おねえちゃんが隣に来てくれたとき>>+27 一瞬だけ日常に戻れたようで、うれしかった。
首をゆるりと彼女に向けて、小さく囁く。 うっすら 遥香おねえちゃんの輪郭がみえる。]
……遥香おねえちゃんと……お話するの、すき。 なにを話そうか……?
(+28) 2016/04/07(Thu) 00時頃
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うん、ありがとう。
[できるだけ柔らかくなるように、そう努力した笑顔を向ける。 軽く髪をなでてから、言葉を続ける]
なんでも良いよ。 今日の天気の話でも、ヒナちゃんの好きなことの話でも。 あ、私が毎朝どんな日課をこなしてるか話そうか? ヒナコちゃんがしたい話、なんでも。
(+29) 2016/04/07(Thu) 00時頃
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