84 ― 手紙 ―
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ウェーズリー。 ここに残していく、最後の手紙だ。
次会うときは、……この街まで名が届いているといいが。
[増えてしまった手紙を 震える指を隠す形で改めて押し付け、 私も旅路の支度にかかる。 とは言っても、小さなトランクに収まるようなものだ。 それまで交わした手紙と、出先で書けるのならばと あまり期待をせずに封筒を突っ込み 私は旅支度を終えた。]
(+0) 2013/05/26(Sun) 00時頃
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[鉄道。車内にて手帳に記す。 手帳を開いた瞬間に香るのは郷愁思わせる手紙だ。 私はそれに口づけを落とした。 妹への贖罪と誓いとを込め、 これからの憂いを期待で塗り込めるよう。
そうしてまた手帳にとりかかるのだが]
(+1) 2013/05/26(Sun) 00時頃
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[今はもう私自身にさえ、 これが日記なのか手記なのか判別がつかない。
日記と言うには語りすぎており、 手記というにはなにもかもが中途半端だ。 その上ひどく見栄えのしない。
たとえば、あの友人であればもっとマシな自伝を書くのだろう。 安定した仕事を辞し夢を綴る毎日を、もっと、 言葉巧みに表すに違いない。 彼からの封筒を受け取るたび、 私の胸には一種独特な羨望、嫉妬が生まれ それでも封を切り読まずにはいられない、 期待の様な何かを抱いていたことを隠すべくは無い。]
(+2) 2013/05/26(Sun) 00時半頃
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[ しかし、言葉を綴る習慣のおかげが、 こうした語り口では筆が迷うことも少なくなったように思う。 その為、飲酒した折りには見苦しい感情を残してきたが。
ともかく、一つの新しい帰路に立ったのだ。 車内でこれ以上を書き物に費やすのは止めようと思う。 私の人生にようやく、光明が差してきたのだから。]
(+3) 2013/05/26(Sun) 00時半頃
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[そのページを最後に、手記はしばらくの空白が続く]
(+4) 2013/05/26(Sun) 00時半頃
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[男が目を覚ましたのは深夜だった。]
[霞む目を開け、真白の天井を見、感覚淀む身体を見下ろした。その両手にきつく巻かれた包帯に視線を止め、男は一息に長く息を吐いた。それまでの全ての経歴も記憶も、胸中に湧き上がる感情も全て流しきるように、長く息を吐いた。 指先をうごめかそうとして、何一つ感知しない――いや、感覚のない両腕を知覚する。しばしの間、男は無言だった。何を考えてるともつかないアイアンブルーの双眸をもって、静かに眺めていた。優に五分が経過したのち、男はその歯だけを用い、包帯を引きちぎりにかかった。]
(+5) 2013/05/26(Sun) 00時半頃
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―― 翌朝:病棟 個室にて ――
[日が上ったころ、男の両腕は今度は拘束衣のように固定されていた。 医師側の判断だ。錯乱に近い状態と診断された男は、その錯乱のもととなった両腕の自由を完全に奪われた。もっとも、固定されていなかったとして、動かせる状態にあったのかは不明だ。]
――いいえ、ドクトル。 いまは何も、聞きたくありません。 覚えていないんです。
[個室に入室した医師は看護士を伴い、男に病状を――もとい、経緯を話そうとした。 ****へと向かう列車に乗った男が、その町につき何があったのか。 なぜ真白の病室に押し込まれ、その両腕も、片足も、真白に巻かれているのか。 そのような、多少複雑な経緯を医師が静かに告げようとした時に、男は明確に拒絶した。]
(+6) 2013/05/26(Sun) 01時頃
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私は、――……****に行かねばなりません。 あちらに、――……あそこで、こそ、 ようやく。よう、やく、……私は――……、
[詰まるように絞り出した声は、嗚咽など欠片も含まれていなかった。ただ血を吐くような慟哭が、胸中にせり上がり、彼自身を窒息させているかのような哀願であった。あるいは、哀悼であったのかもしれない。その腕に宿らぬ感覚と、その指先から生まれ出ぬ技術の欠片に対しての、彼自身が明確に見せた哀悼だったのかも、知れない。]
(+7) 2013/05/26(Sun) 01時半頃
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ドクトル、お願いです。 私をあちらに、あの町に、行かせてください。 舞台に。 そうでなければ、そうで、ないのなら、 私は。何故、だと言うのですか。 私のこれまでは、なにもかもを彼女に押し付けた一切は、なんだと、 お願いですドクトル、お願いです。 私に 夢を。 掴ませ、
[言葉を紡ぐたびに軋み、痛みを発する肋骨にさえ、男は気づかなかった。錯乱した状態が続いていると医師が判断するに十分な言葉を吐き続け、男の静脈に鎮静が打たれる。 紺青の瞳が歪む一瞬、それまで医師にのみ注がれ続けた視線が指先に、真白のギブスしかみれないものへと向かい。つかめないのか、と舌の回らぬ様子で呟いた。それだけが、医師との対話の中で彼が口にしたまともなことだった**]
(+8) 2013/05/26(Sun) 02時頃
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―― 病院:個室にて ――
[薄い瞼が、微かに震え、次いで開いた。ぼやけたアイアンブルーは焦点を合わせるべきものを探し、彷徨う。 その眼が郵便屋を捉えたのは、けれど、存外早いものであった。廊下を歩き、通り過ぎようとする彼を見、思わずと言った態で、男の口から言葉が漏れる。]
『あら。あの方に用ですか? いまお呼びしますね。』
[流れるような動きで郵便屋を呼び止めに掛かる看護士を、男は止めることは出来なかった。いまだ思考が追い付いていなかった。 寝台の上半分が傾いたつくりのおかげで男自身が身を起こすことは必要なく、看護士の白い背中より視線を外し、瞑目したのち、また開いた。]
(+9) 2013/05/26(Sun) 21時半頃
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[開き直した瞼のした、紺青には思考が宿ったようには見えなかった。何を思うも推し量れない、ただの青としてぽかりと口を開けているような目玉であった。 この度の目覚めが起こる前の数時間は、時折瞼を開けては看護士に言葉をかけている。 「家には決して連絡しないでくれ」 「****の街の公演に連絡が取りたい」 その二つが、おおよそ彼が拘泥したものだ。いくらか言葉にあやふやなものがあったことは否定出来ないが、彼があまりに繰り返すものだから看護士が上に話を通す運びとなっていた。
郵便屋を見かけ、声を発したことを掬い上げられたのはこうした背景も、小さくながら関係していたのかもしれない。]
(+10) 2013/05/26(Sun) 21時半頃
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[常とは異なり、男の金髪は重力に従い下がっていた。瞼にはかからぬ程度の金糸が揺れる。 アイアンブルーをもて、郵便屋を眺め、口を開いた。]
君には、これはどう見えるのだろう。 悲劇か、喜劇か。 名を立てて帰ると言った翌日には、立てる手立てすら失った状況を 君ならどう見るのだろう、ウェーズリー。
[男の口調は、いっそ穏やかですらあった。 感情の凹凸もなくしたように、男は緩慢に言葉を紡いだ。 眼差しはその、真白に包まれた腕に注がれている。]
ひどく、喜劇的だと、私は思う――かな
(+11) 2013/05/26(Sun) 22時頃
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――あれに、妹に、 なんと言葉を届ければいいのか、なにも思いつかない。 なにも考えられなくてね。 様々なことが頭に浮かんでいるような気がするのに、 その実、すべて空虚な目くらましのようなんだ。 いや、――……つまらない話だね、もう止そう。
[話す口ぶりはよほどしっかりしていたが、その中身は取り留めもなく、また配達員であるウェーズリーに告げるのにも適切でない言葉を続け。 それから、ひどく、緩慢に。瞬きを幾度か繰り返し。]
(+12) 2013/05/26(Sun) 22時半頃
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ウェーズリー。 どうか、頼まれごとを一つしてくれないか。 私の愛する妹に、しばらくは手紙を送れないと。
――……、ようやく、掴んだチャンスがあるのだと。
……もし、あれが、手紙が来ないのを不審がることがあるならば そう伝えては、くれないか。
[やはり、口から出るのはでまかせなのだ。 人を喜ばせる空虚な手品とも違う、空話を、男は絞り出すように口にし]
(+13) 2013/05/26(Sun) 22時半頃
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[それからもう一度目を閉じた。 郵便屋の返事を聞こうと、それだけに全神経を集中させるようにして。 瞼を再度開いた時には、男は揺れる瞳孔のまま、小さく「すまない」と口にした。何に向けてか、誰に向けてか、それともすべてに向けてなのか。男自身にも判然としなかったに違いない。]
(+14) 2013/05/26(Sun) 22時半頃
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ひどく疲れた。 ウェーズリー、手紙を、いままでありがとう。 出来ればそのまますぐにでも 背を向けて出て行ってくれ、こんななりでは、
満足に顔を覆うこともできやしない**
(+15) 2013/05/26(Sun) 22時半頃
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