158 Anotherday for "wolves"
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[ 消毒液と、ほんのり湿ったにおいのあの部屋で ちりりと眼の奥に走った確かな痛み。
昏い昏い 教会の中、 ぽんやりと いつも視ている焔でない色が
何も映さぬはずの眼に ふわふわと揺れる優しいひかりが みえた気がした ]
(=0) 2015/05/11(Mon) 11時半頃
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[それはまるで、声を押し殺すように。]
(*0) 2015/05/11(Mon) 12時頃
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[ 何かを引き換えにしないと 大事なものは守れない――――]
(*1) 2015/05/11(Mon) 13時半頃
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[ ホワイトノイズ。 ]
(何だ……?)
[次の瞬間 白い空間に見覚えのある影が見えて
濡れた睫毛の奥の 黒曜の双眸と 目が合った気がした。]
(=1) 2015/05/11(Mon) 14時頃
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[怖いのだろう、理解は及ぶ。 しかしながら乙女の涙を拭う役目は 医者の領分ではないので手出しはしない。
もとより、見かけてしまっただけである。]
…。泣くんじゃないよ。ったく
[小さな小さな呟きを落とした。
──それでも先ほどの予感めいたものには 内心首を傾げざるをえなかったのだが。**]
(=2) 2015/05/11(Mon) 14時頃
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[――信じているなら、どうしてもしもの話なんて。
苦々しい思いは、空気を震わすことなく密やかに溶ける。]
(*2) 2015/05/11(Mon) 14時半頃
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手に──…、掛けるなど、
[ヒトのために。まどろみのために。 夢打ち破るものを、殺すというのか]
(*3) 2015/05/11(Mon) 15時半頃
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[ 「 ――…… オォ ン 」
泣くような獣の声が遠く遠く聞こえる。 きょうだいだからこそ聞くことが出来たのかもしれない。
それはひとを愛した、末の妹の遠吠え。
助けを呼ぶような、嘆くような、
幸せと喜びとは程遠い、その声が、
不測の事態がおきたのだと、知らせるように。]
(*4) 2015/05/11(Mon) 16時半頃
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[嗚呼、泣いてる。 幸せを願い送り出した末の妹の思いに心が震える。
守りたいもの。 大事な存在。
禁を破るが彼女ならば、 長は彼女に制裁を加えるだろうか。
ひとを愛した人狼でも叶わぬ共存なら、 それは土台無理な願いだったのだ。
誇り高き狼の血がドクと脈打つ。]
(*5) 2015/05/11(Mon) 17時頃
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[思いに同調するように、繋がる意識。]
共存の為、ヒトの為に同胞に手を掛ける。 本当にそれが、正しいこと?
(*6) 2015/05/11(Mon) 17時頃
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共存のため…、か。
[ふと心に零れた言葉に応え>>*6があったこと、 すぐに意識にのぼることはなく。 ゆるゆると思考は過去と現在とを巡りゆく。
共存のため、まどろみのため。 或いはそれは正しいのだろう、 そう、天秤が均衡を保ち続けていたならば。…けど]
…────しあわせの、ため。
(*7) 2015/05/11(Mon) 18時半頃
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[何が幸せだというのだろう。 ヒトは獣を狩り、食らう。 では何故、人狼がヒトを狩り食わぬのか。
ヒトの知恵が恐ろしいからか。反撃が怖いからか。 そうして緩やかに死に向かうことが、真に幸福か]
… いや、
[巡る思考のこたえは、未だない。 こたえのないまま、定まらぬまま八年を生きた。 妻は人間を食べたことのない人狼だった。 自分も人間を食べたことはない]
(*8) 2015/05/11(Mon) 18時半頃
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[けれど、時折思うのだ。 物言わぬ妻の墓石に花を添える間に。 妻は身体の弱いひと───人狼だった。
病は彼女を蝕み、何を食べさせてもダメだった。 あの時もし、もしもヒトを彼女に食べさせてやったなら。
妻は生きて*いたのじゃないかと*]
(*9) 2015/05/11(Mon) 18時半頃
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[信じているといいながら、 もしもの話をした族長。
信じていないわけでもないといいながら ドナルドの言葉だけを信じきるでもなく サイラスの冗談に翻弄された己。
チクリと刺すような痛みを感じるのは――、 己もまた不安を抱え、 何処かで信じきれていないのだと自覚したから。]
(*10) 2015/05/11(Mon) 22時半頃
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……マーガレット、きれいね。
[脳裏に映るのは、過去に視た野の花か
それとも、診療所のどこかで揺れる 花束だろうか**]
(=3) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[共存のため。 『人』のため。 同胞に手をかけることが、正しいこと。
共栄のため。 『ヒト』のため。 黙って耐えるのが、正しいこと。
それが正しいことなのです。]
(*11) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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私達だって、 ひ と でしょう?
(*12) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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[その一言はするりと零れ落ちました。
今はもう誰も聞かなくなってしまった、私の声です。 色も温もりも宿さない言葉は 風のようにそっと、そっと通りすぎて行きました。
喉元には右手が添えられます。
ああ、いけません。 これ以上。 だって。 だって。]
(*13) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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[ ───嗤い出して、しまいそうなんだもの。 ]
(*14) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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[聞きなれぬ声>>*12は遠い日に聞いたような 何処か懐かしさを覚えさせるもの。]
ああ。
[同意か感嘆か知れぬ音をぽつり漏らす。]
(*15) 2015/05/12(Tue) 02時半頃
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──「信頼」の花と、いうそうだ。
[小さく呟いた。 手元の赤い石が僅かに熱を持つ。 石は、持ち主にとって 信じられる人を繋いでくれるという]
何故君の声が聞こえるんだろうねえ? ……マーゴット。
[心の奥秘めた痛みに、 「共鳴」でもしたのだろうか。
───……声は途絶える*]
(=4) 2015/05/12(Tue) 11時頃
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せんせ? やっぱり、せんせいなのね。
[ 名前を呼ばれれば、耳しかないわたしだもの さすがに誰だかわかりました。]
…どうしてでしょうね。 諦めずに眼を治しなさいって、 天国のおとうさまとおかあさまが繋げたのかしら。
………なんて。
[ とおいむかしのあの頃を ほんの少しだけ思い出す。 ]
(=5) 2015/05/12(Tue) 16時半頃
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……それじゃあ、 僕はどうしても君の目を治さなくてはいけないね。 君のご両親に誓ってさ。 ……なんてな。
[いつかの問いに淡々とそう返す。]
[「誓って」なんて――と、多少、困惑しながら。]
(=6) 2015/05/12(Tue) 18時頃
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―銀の薔薇―
[欲しかった。 可愛いものは宝物。
寂しい気持ちを紛らすのはわたしの宝物たち。
小鳥の命より重かった乳白色の宝石 捨てられそうになってたピンクのリボン 盗んだルージュ
そこに薔薇の銀細工も加わればどんなに素敵だろう。 この不安も打ち消してくれるかもしれない。]
[いつもはそんなことしないのに いつの間にかわたしはしつこく オーレリアにしがみついて首飾りを強請った。
オーレリアはとても困惑してたし わたしの手を見て少し怯えたようだった。]
(*16) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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[正確には、わたしの爪を。]
(*17) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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[もつれて、足元を掬われて オーレリアは小さな悲鳴とともに 後ろに倒れ込んだ。]
[不運にもその先には、昨日伐られた丸太とその上に乱雑に置き忘れられていた斧。]
[丸太に頭をぶつけたオーレリアの上体に その衝撃で落ちてきた斧が勢いよく突き刺さる。]
(*18) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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いやあぁぁぁぁああああっ!!!!
[その悲鳴は誰かに聞こえたのだろうか。 信じがたい目の前の出来事に ただ小さな身体を震わせて その場に立ち尽くすだけ。]
(*19) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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[それからしばらくして。]
[少女の頭に浮かんだのは、少女らしい考え。]
(*20) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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どうしよう…。
怒られちゃう……!!
[怒られたら嫌われる。いや、それだけではない。 捨てられてしまうかもしれない。 大事な家族に。
少女は知っていた。実の兄なんていない。 自分の家族ごっこに付き合ってくれている優しい従兄の存在。 そんな不安定な関係。 離れていくかもしれない。
父だって。事故とはいえオーレリアが死んだ要因を作った娘をどう思うか。 激しく怒るか。突き放すか。 自分を見捨てて離れていくか。 母親のように。]
(*21) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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いや…いやだいやだいやだ!! 独りは嫌だ!怒られたくない…!嫌わないで…! わたしを捨てないで……!!
[喉の奥の奥から湧き上がるような叫びに 胸は締め付けられ まんまるに見開いた目からは熱い涙が溢れて零れた。]
(*22) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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