【墓】 道案内 ノックス
───リセ。ソフィアちゃん。
[魂の一端は欠片を絡めとり現実に触れる肉体をもたらす。
戸惑いながら、手を握る。開く。口を開き声にする。
声に出したのと同じ名前を胸中で導を求めるように強く想う。
霞の向こうから届けるかのように微かな声だけれど
確かにそれは在った時と同じように]
…俺は、ここだ。
[自分の存在を示すかのように、二重音声はぴったりと重なる。
ここにいると、どちらかの姿が見えるまで繰り返す。
二つ重なる兄の青白い星と真珠のように目映い妹の星を探す。
けれど先にどうしても二重連星を探してしまうのは、ソフィアはきっと大丈夫だからと思ったわけではなく]
……っ!
[会いたかったから。目の前に見つけたときは迷子の子供が親を見つけたときのように、
今にも泣きそうなのを堪えながらただその姿に手を伸ばすために走り出していた]
(#22) 2010/09/27(Mon) 10時頃