[——熱気溢れる会場からの、たいへんやかましいアナウンスが、嵐のように通り過ぎ去った後には、
老兵は元通りの表情に戻っていた。]
「ありがとう。いいものを、見ることができた。
マブスラに捧げた青春——輝かしいものだったな。
今、ありありと瞼の裏に蘇ったような、そんな心地だ。
ああ、見せてくれただけで十分だ。それは君たちが持っているといい。
しかし、こんな古いバッジ。手に入れるのが大変だっただろう。
せめてものお礼をしよう。なあに、余るほど集めたものだ。
受け取ってほしい。」
[初老の紳士は、懐から取り出したバッジケースから、
ブルースカルバッジを「5個」拾い、君たちに手渡す。]
「君たちも長く生きて、かけがえのない思い出を作りたまえよ。」
[柔らかに微笑んで、老兵は手を振り、喧噪の中へ向かって行っただろう。]
(#22) 2017/06/17(Sat) 00時半頃